問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第二十八話

「さっさと教えろ、おっさん」

 

「そうよ、おじさん。素直に話した方が身の為よ。」

 

「おっさん、おっさん言うな。それなら白夜叉はクソババアじゃないか。」

 

「こんな美少女を捕まえてババア呼ばわりとはおんしには灸が必要だな」

 

「皆さん落ち着いてください」

 

二人で貴賓室前に来たのは良いが中の様子がコメディチックになってるのでシリアスな話をするのに向いてないので入りづらかった

 

「入りづらい」

 

「でも入るしかない」

 

「まあ、このまま有耶無耶にするのも手だが今聞かなきゃこれからに響きそうだ」

 

そう言って勢いよくふすまを開ける

 

「耀さん、連れ戻したんですね。止めるの手伝ってください。」

 

「紫炎君!?戻って来たなら教えてもらうわよ」

 

「こんな状況で隠し事はなしだぜ」

 

三人が各々聞いてくる

 

しかし、龍と呼ばれた男は紫炎の名前を聞き、何か考え込んでいる

 

「その前に確認することがある。そこの龍とやら」

 

「ん、ああなんだい?紫炎君」

 

「いつから箱庭にいるんだ?」

 

「十年くらいかな?ところでなんで私が異世界から来たってわかったんだい?」

 

「二つ目に自分自身の意思で箱庭に来たのか?」

 

「無視はひどいよ、紫炎君。まあ、そうだが・・・」

 

「三つ目、どうして箱庭に来た?家庭があったんじゃないのか?」

 

「なんでそんなことまで知ってるの!?・・・まあ、それは内緒だよ。」

 

ばつの悪そうな顔をする龍

 

「ねえ、なんでそんなこと聞いてるの?」

 

「そうですよ。」

 

流石に何かおかしいと思った飛鳥と黒ウサギが聞いてくる

 

「おい、紫炎」

 

何か感づいた十六夜が紫炎に声をかけた

 

それを紫炎が目で返し、十六夜は下がる

 

「最後に質問だ」

 

「なんだい紫炎君、さすがになんで聞かれてるか気になってきたんだが・・・」

 

飄々とする龍に対し紫炎は少し暗い表情をする

 

「・・・赤羽朔良、知ってるだろ」

 

「・・・はあ~、やっぱりお前か、紫炎。なんでお前がこんなとこにいるんだ?」

 

その言葉を聞き、紫炎が激怒する

 

「それはこっちのセリフだ、紫龍!!あんなことして逃げて、なんでこんなとこにいるんだ」

 

「ねえ、怒ってるとこ悪いんだけど、この人とどういう関係なの?」

 

「そうです。教えてください」

 

詰め寄ったのは飛鳥と黒ウサギ

 

十六夜は話の流れで耀は過去の話から

 

(あんなことして逃げてってことは・・・)

 

「おいおい、紫炎。父親に向かって呼び捨てはないだろ」

 

「「「!?」」」

 

「誰が父親だ!!あんなことまでしてよく言えるな」

 

「あれには理由があるんだが…どうせ聞く耳もたないんだろ?」

 

「聞く耳ぐらいあるさ、あんたをぶちのめせるのならな」

 

そういって紫炎の殺気が膨れ上がる

 

「それじゃあ今から勝負するか?」

 

紫龍がそういってギフトカードを出すと三つの太陽に照らされている奇妙な場所に移動した

 

「おいおい、こりゃあお前のとおんなじもんじゃねえか」

 

「ああ。あやつならそれぐらい簡単にするだろう」

 

十六夜が白夜叉にいうとしょうがないといった感じで喋る

 

「おい、龍。ちゃんとルールを決めてゲームをしろ」

 

「俺はそれでいいが紫炎どうする?」

 

「乗ってやる。明日もあるしな」

 

 

『ギフトゲーム名“誇りの炎”

 

 ・ルール説明

    ・気絶、降参をした方の敗北

    ・背を地面につけられても敗北

    ・但し、殺人はその時点で敗北

 

 宣誓 上記のルールに則って“赤羽紫龍”“赤羽紫炎”の両名はギフトゲームを行います』

 

 

ゲームが始まった瞬間、紫炎が炎を纏った拳で殴りかかる

 

「!?」

 

拳は空を切る

 

しかし、驚いたのはそこではなく、紫龍が動いたそぶりもなく消えたことだ

 

それは周りも同じようだ

 

「どういうことだ、白夜叉?これもあのおっさんのギフトか?」

 

「そんなもんは知らん。数日前に来たばかりと言っただろう」

 

「そんなこと言ってる場合じゃないわよ。あれじゃあ紫炎君の攻撃が当たらないじゃない」

 

「だろうな」

 

「だろうなって・・・」

 

「それでもなんか考えるのがあいつだと思うが・・・そう思ってんのは俺だけか?」

 

ニヤリと三人に笑いかける十六夜

 

一方紫炎は

 

(瞬間移動の類か?面倒臭い。そんなもん対処ぐらいあるわ)

 

そしてもう一度駆け、拳を振るが空を切る

 

そして紫龍がそれを見て拳を一発いれようとした時、紫炎が最大出力の炎を出す

 

(同じ系統のギフトでも耐性があるだけでまったく効かないわけじゃないからな)

 

ましてや基本的にはほぼ同じ能力、多少の力の差があっても自分の最大出力なら拳は届かせずにある程度のダメージを与えられると・・・過信していた

 

「ガハっ」

 

紫龍は炎を何事もなかったかのように拳で殴り飛ばした

 

紫炎が拳で飛ばした後も特に追撃もせず、ただ立っている

 

「くそがっ」

 

紫炎は自信が誇る二番目に火力が強い赤色の炎で紫龍を襲う

 

それに対して紫龍は左手に小さな炎を灯しているだけである

 

入る、そう思った瞬間、紫龍の左手の炎が紫炎の赤い炎を焼き尽くした

 

「お前の炎は本来は俺より上だ。しかし、何故効かないかわかるか?」

 

紫炎がその言葉を無視し、今度は銀色の炎で襲う

 

しかしそれもすぐに焼け落ちる

 

「いい加減に気づけ。お前の炎が弱くなった理由を」

 

「うるせー」

 

今度は黄色い炎を纏いなぐりにかかる

 

(黄の炎は炎を食い、それを攻撃に換算する。いくらギフトを燃やす炎でも)

 

そう思い殴りにかかるが、一瞬にして炎が焼けちり、また殴り飛ばされる

 

「お前のもう一つのギフトが原因だ。色を増やすごとに元の炎熱から分配されてる」

 

紫龍が紫炎の頭を掴み、全身を炎で包む

 

「がああああああ」

 

「「紫炎(君)」」

 

耀と飛鳥が助けようとするが白夜叉と十六夜に止められる

 

「何でよ、十六夜君」

 

「前にも言ったぜ、お嬢様。あれはあいつのゲームだ。俺たちが手を出すのは無粋だろ」

 

「そうじゃぞ、おんしら。・・・まあ、死ぬ直前には助けてやる」

 

「でも」

 

「春日部、あの時紫炎は信じてたぜ」

 

十六夜はグリフォンの時のことを言う

 

「誰もあいつがやられっ放しで終わるとはおもってないだろう?ならあいつがなんかするまでみとこうや」

 

そう言ってもう一度視線を紫炎たちに戻す

 

「子供の頃は純粋な炎でよかった。だが小学生ぐらいから色を持ったお前の炎は曇った。だからあの時」

 

「があ!!」

 

その瞬間、紫炎の手から今までより大きい炎が出て、紫龍の顔面に拳を入れる

 

「・・・少しはあのころに戻ったんじゃないか?おい、審判。俺の勝ちだ」

 

「えっ!?でも赤羽さんはまだたってますよ?」

 

「よく見てみな。そのまま気絶してやがる」

 

そう言って紫炎のすぐ近くに移動し、少し押すと何の抵抗もなく倒れる

 

それを見て黒ウサギが、苦虫を潰したような顔で宣言する

 

「・・・勝者、赤羽紫龍」

 

「紫炎」

 

それを聞き、耀が紫炎に駆け寄る

 

「大丈夫!?答えて」

 

「落ち着いて、春日部さん」

 

「あ、飛鳥・・・。ごめん少し気が動転してた」

 

「はいちょっとごめんよ」

 

紫龍が耀たちをのけて紫炎に刀を刺した

 

「「「!?」」」

 

それを見た飛鳥、黒ウサギ、白夜叉は驚愕の表情を浮かべたが耀はそのままグリフォンの風で攻撃を仕掛ける

 

「危ないな、嬢ちゃん。下手したらおじさん死んでたかもよ?」

 

「黙りなさい」

 

飛鳥がギフトを使うがほとんど効かない

 

「落ち着け、春日部、黒ウサギ、お嬢様。」

 

「どうしてそんなに落ち着いてられるのよ。仲間が刺されたのよ」

 

「そうです。十六夜さんは何も感じないのですか!?」

 

「薄情者」

 

「だから落ち着け。紫炎を見てみろ。やけどは酷いが血は出ちゃいない。ならこの刀は何か特別な力を持ったものだ。ということは昔何があったかわからないがこれが理由なんだろ?」

 

全員が十六夜の言葉を聞き、もう一度紫炎のそばに駆け寄った

 

「いや~凄いね、君。良く分かったね。」

 

「ゲーム終わって殺すなら始まる前にするだろうと思ってじっくり観察してただけだ」

 

「けど、普通はさっきの子たちみたいに取り乱すよ?」

 

「別にあんたがあいつを殺したとしても俺は取り乱さないさ。冷静にあんたを殺そうとしたに違いない」

 

殺気交じりの目で紫龍を睨む十六夜

 

「敵わんな。しょうがない、こんなすごい仲間がいるのなら少しおまけだ」

 

そう言うと紫龍の手には紫炎と自分のギフトカードを持って重ね合わせた

 

「よし、これ紫炎に返しといて。十六夜君」

 

そういうと紫龍は消え白夜叉の方に出ていた。

 

白夜叉と紫龍が話し終わった後、元の箱庭に戻り各自、自分の部屋に戻った


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