問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第三十話

「んあ。もう朝か。」

 

春日部が倒れて看病をしてたらそのまま寝ていたらしい

 

紫炎は珍しく誰にも起こされずに昼より前に起きる

 

耀を確認してみると少し苦しそうだがまだ大事には至ってないようだ

 

「そういえばあの後、ギフトを確認してなかったな」

 

そういってギフトカードを確認する

 

『赤羽紫炎・ギフトネーム“火生灰塵”“自由主義”“色彩付与”(カラーリング)

         

       “ダーインスレイブ”“日本刀”“約束の指輪”“リットゥ”

 

「火色炎舞が別れて火生灰塵と色彩付与に、それでリットゥが渡された武器か」

 

そこまで考察し、頭を抱える

 

(なんだよ、色彩付与って。全然使い道がわからん。)

 

するといきなり扉が開いた

 

「おーい、耀。倒れたって聞いたけど・・・ってお前誰だ?」

 

「俺は耀と一緒のコミュニティの仲間だ。お前は?」

 

「私はコミュニティ“ウィル・オ・ウィスプ”のアーシャ=イグニファトゥスだ」

 

「私はジャック・オー・ランタン。そこのお嬢さんとは創造主の決闘の本選で戦ったものです」

 

そういって紳士なカボチャが握手を求めてきた

 

紫炎はそれに返す

 

「よろしく、ジャック。そこのツインテールよりあんたのほうが話が分かるようだな。」

 

「なんだと、この“名無し”。」

 

「おやめなさい、アーシャ。それとあなたも喧嘩を売らないように」

 

ジャックに諌められたアーシャは紫炎を睨み、紫炎は笑いをこらえている

 

「悪いな、ジャックさん。思った以上にこいつの反応が面白くてな」

 

悪びれずにいう紫炎にアーシャがきれた

 

「なんだと。名無しの分際で」

 

「落ち着きなさいアーシャ。ところであなたの名前は?」

 

「赤羽紫炎だ、ジャックさん」

 

「ヤホホホ。よろしく紫炎さん」

 

ジャックたちと話していると耀が目を覚ました

 

「ん・・・。紫炎?」

 

「よかった。起きたか。」

 

「あれ、私倒れてたの?」

 

「おう、目覚ましたか。耀。」

 

「ヤホホホ。おはようございます、お嬢さん」

 

「アーシャとジャックなんでいるの?」

 

驚いた表情で二人を見る

 

「アーシャが心配で来たいというので」

 

「ちょ・・・。何言っちゃってくれてるんですか。ジャックさん」

 

ジャックの言葉に焦るアーシャ

 

それを見て席を立とうとする紫炎

 

「どこ行くの?紫炎」

 

それを耀が止める

 

「いや、二人が話すなら席外した方がいいかなと思ってな」

 

「別にいいじゃん。なあ、耀。」

 

「うん。」

 

「それじゃあここにいるわ。」

 

その後四人で少しだけ歓談した後、アーシャ達が出て行った

 

「もうこんな時間ですか。アーシャ、もう出ましょう。」

 

「何でですか、ジャックさん。」

 

「ヤホホホ、それは無粋というものでしょう」

 

そういってジャックが俺と耀を見てくる。

 

それでもアーシャは何の事かわかってないようだ

 

「まあまあ、一度外に出ましょう。」

 

そういって俺と耀を残して去る時、俺にだけ聞こえる声で

 

「彼女のこと振り向かせたいなら自分から行動することだと思いますよ。」

 

「!?」

 

「驚くことでもないでしょう。いくらコミュニティの仲間が心配といっても一日付添をしてればわかりますとも」

 

ヤホホホ、と笑いながら去っていくジャック

 

「ジャックと何話してたの?」

 

「い、いや。なんでもない」

 

「なんでもない反応じゃない」

 

「いいじゃないか、別に」

 

じっ、っとこっちを睨む耀。

 

「うん。元の紫炎だ。」

 

「へ?」

 

「だって、お父さん見た時の紫炎は別人に見えたから」

 

「さっき、普通に話してただろ?」

 

「アーシャ達とは初めてあったから見せないようにしてただけかもしれないから」

 

「今もそうかもしれないぞ」

 

おどけて言う紫炎。

 

「大丈夫。目は口ほどに言うっていうから」

 

「そうか」

 

その瞬間ぐうぅぅ、と腹の音が聞こえた

 

耀を見ると真っ赤だった顔がさらに赤くなった気がする

 

「紫炎、はしたない」

 

少し拗ねたように顔を背ける彼女がとても愛らしく見えた

 

「そうだな。昼食持ってくるから一緒に食べるか?」

 

首だけが縦に頷くのが見えたので肯定と取る

 

すると、紫炎は思い出したかのように扉を思いっきり開ける

 

「ひゃあ」

 

「・・・おはようだ。紫炎」

 

「もう昼だ、十六夜。それとこれで六回目だぞ、黒ウサギ」

 

「い、いえ。今回合わせてまだ三回しか盗み聞きしてません」

 

「未遂も入れたらだ。そしてよく自白してくれたな。」

 

そういうと気まずそうに黒ウサギが視線を十六夜に移す

 

「盗み聞きの何が悪い。隠されてるものがあれば知りたくなる。黒ウサギのスカートのように」

 

「そうそう、黒ウサギのスカート、って何言ってくれちゃってるんですか、このお馬鹿様」

 

「コントしてるとこ悪いんだが状況わかってんのか?」

 

今、紫炎が十六夜の頭と黒ウサギのウサ耳を掴んでいる状態である

 

「盗み聞きしてたならわかると思うがここで昼食をとろうと思う」

 

「それがどうしたんだ?」

 

自分には関係ないといった表情で返す十六夜

 

「もし、昼食を持ってきたら黒ウサギの審判衣装を着替えさせるのを手伝おう」

 

「おい、その言葉嘘偽りはないか?」

 

「ああ、黒ウサギより早く、おいしい物を持ってきたらな」

 

その言葉を聞き、十六夜と黒ウサギが飛び出して行って

 

「扱いやすい」

 

そういって部屋に戻る紫炎

 

料理はほぼ同時に着いたので着替えさせないという結論になった


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