問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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バレンタイン③

「さあ、十位の発表です。十位はウィル・オ・ウィスプ所属、クリス・イグイファトゥスさんです」

 

黒ウサギがいつものように快活に言うと、横から紫龍がADのように黒ウサギに紙を渡した

 

「え、なんですかこれ?」

 

いきなり渡された紙に黒ウサギが困惑していると、紫龍はまんまADのように『良いから読め』と紙にかいて黒ウサギに見せる

 

「えっと・・・投票いただいた方からいくつかコメントを頂いてます」

 

紙に視線を向けて確認すると、いつものように笑顔でそう言う黒ウサギ

 

「えーと、『合コンした時に土下座されて仕方なく渡した』『直接頼まれたので仕方なく』『本命がいないと言ったら土下座で頼まれたから』・・・、さあ続いて第九位」

 

読んでいて居たたまれなくなったのか、すぐさま次の順位を発表することにした

 

「第九位は龍角を持つ鷲獅子所属、サラ様です。ってこれは大丈夫なのでしょうか?」

 

バレンタインのチョコの貰った数のランキングで女性の名前が出たので黒ウサギは白夜叉の方を見る

 

「別に構わん。異性と明記しておらんかったこっちのミスだ」

 

白夜叉がそう言うと、また紫龍が黒ウサギに紙を渡す

 

「理由としては『クールでカッコいい』というのが大半の意見ですね。他にも『そこらにいる男より男前』と言ったものがあります」

 

黒ウサギがサラの紹介を言い終わると紫龍が渡した紙を回収した

 

「えー、では第八位、サラマンドラ所属、マンドラ様です。『頼れる男って気がする』『クールな目つきが素適』などなどたくさんのコメントを貰いました」

 

「うむ。姉弟ならんでのランクインだな」

 

黒ウサギが真面目に紹介していると、白夜叉が呑気にそう言う

 

「第七位、サウザンドアイズ所属、蛟魔王様です。『伝説の方と会えるだけでもうれしい』『うさんくさいけどそこが良い』という意見が多くありました」

 

―――――――――――――――――――――――――

 

北側某所、クリスはこのランキングを見て項垂れていた

 

「女性のサラ様より下・・・」

 

そんなクリスを見て、アーシャとジャックは恐る恐る声をかける

 

「た、たくさんいる中の十位って凄いな、クリス」

 

「ヤホ。それに貴男より上にいるのは五桁、四ケタの方々。知名度の差というものがありますから仕方ありませんよ」

 

二人がクリスにそう言うと、クリスは勢いよく立ち上がった

 

「だ、だよな。六桁の俺が十位に入れただけでもすごいよな。やっぱり上位は中層以上の人たちで・・・」

 

クリスが二人の言葉を聞いて元気を取り戻す

 

しかし、その途中でランキングの続きが聞こえてきた

 

『第六位はウィル・オ・ウィスプ所属、ジャック・オ・ランタンさんです。『カボチャだけど紳士的』『紳士的な態度に惚れました』などなど、十位にランクインされている同じコミュニティのクリスさんとは雲泥の差があるコメントを頂きました』

 

黒ウサギは元気な通る声でそう発表した

 

すると、またクリスが項垂れる

 

「ジャ、ジャックさんは長年箱庭で生きてるから評判がいいんですよね」

 

「そ、そうですよ。クリスも今は焦ってるだけで大人になれば落ち着いていい人になりますよ」

 

アーシャは問題なかったが、ジャックはフォローしようとして逆に今のクリスを貶めてしまった

 

「だよな。ジャックさんは不死の怪物としてもウィル・オ・ウィスプの参謀としても有名だもんな」

 

しかし、クリスには自分に都合の悪い言葉は聞こえなかったようだ

 

「同い年くらいで入ってるのは俺だけ・・・」

 

『第五位は七桁ジン=ラッセル率いるノーネーム所属、問題児筆頭の坂廻十六夜さんなのです。『唯我独尊の雰囲気が良い』『あの人に罵倒されたい』などなど多数のコメントを頂きました』

 

クリスが調子に乗っていると、黒ウサギの無情な声が聞こえてきた

 

クリスは涙目で二人を見る

 

すると、アーシャもジャックも気まずそうに視線を逸らす

 

「ちくしょーーーーーーー」

 

そんな二人を見てクリスはその場から走り去っていった

 

「あ・・・」

 

そんなクリスを見てアーシャは小さく声を漏らす

 

「クリス、行ってしまいましたね」

 

ジャックはアーシャに優しく声をかける

 

「確かに彼に負けたのは精神的ショックは大きいですね。こんな時は誰かが直接チョコを渡して上げるのが一番でしょうね」

 

「なっ!?」

 

ジャックが優しく微笑みながらアーシャに言うと、アーシャは顔を真っ赤にする

 

「昨日、夜遅くまで頑張っていたのでしょ?意地を張っているといつか後悔しますよ」

 

ジャックが優しく言うと、アーシャは少し考えた後、覚悟を決めた顔になった

 

「ジャックさん。私、クリスを探してきます」

 

「ヤホホ。いってらしゃい」

 

アーシャはジャックに一言告げると、クリスを追いかけた

 

「うまくいくといいんですが」

 

ジャックは父親のようなコメントを残して本拠の方に戻って行った


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