問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第三十二話

ゲームが再開された

 

それが合図のように激しい地鳴りが起き、風景が一変した

 

「これは、ハーメルンの街か!?街ごと召喚するなんて面白い相手じゃないか」

 

「そんなこと言ってる場合じゃありません。早く魔王を見つけないと」

 

「そうです、赤羽さん。探すのを手伝ってください。」

 

「おいおい、無茶言うなよ。俺は魔王の姿なんて見てないんだぜ」

 

そういうと二人はしょうがないといった感じで紫炎を放って探し始める

 

すると突然黒い風が襲ってきた

 

「おっと」

 

それを難なく燃やし、防ぐ紫炎

 

「驚いた。まだこんな人がいるだなんて。」

 

頭上から子供のような声が聞こえてきたので三人がその方向を見る

 

「“黒死斑の魔王”(ブラックパーチャー)」

 

「赤羽さん、あれが魔王です」

 

「へえ~あれが魔王ね」

 

紫炎は魔王を見つけた後、十六夜が言ってたことを思い出した

 

(ホントに斑ロリだ)

 

「赤羽さん!」

 

黒ウサギが叫んだ時、紫炎に黒い風が襲いかけてた

 

それを苦も無く燃やし尽くす

 

「この程度なら問題ない。焦んな、黒ウサギ」

 

「は、はい」

 

「ふーん。なかなかやるのね、あなた。」

 

そいうペストの目は玩具を見つけたような眼だった

 

「よそ見とは余裕だな」

 

紫炎がそういうとサンドラがペストに攻撃を仕掛ける

 

それを余裕で止めるペスト

 

「!?」

 

「ええ、余裕よ。」

 

「へえー、面白い。」

 

紫炎が日本刀とリットゥの二刀流で襲い掛かった

 

―――――――――――――――

 

「やっぱ強いな。さすが魔王様」

 

幾ばくかときが経ったが3人相手でもペストには傷一つ付けれていない

 

「箱庭の貴族、火龍の二人。がっかりだわ」

 

「なに!?」

 

「その点、そこの人間は少し楽しめそうね。神の武器とはいえレプリカで私の風を切り裂けるんだもの」

 

「それはこっちのセリフだ。死神の神霊とはいえ3人がかりで傷をつけれないとはちょっと傷つくぜ」

 

笑いながら答える紫炎にペストが見透かすように答える

 

「あら、私が見る限り、3人がかりなのに傷がつけれないんじゃなくて、3人がかりだから傷がつけれないように見えるけど?」

 

「どういうことですか!?赤羽さん!?」

 

「言葉通りよ。あなた達はただの足手まといよ。おかげで私は殺さない程度の力に抑えることが出来るんだもの」

 

サンドラの問いにペストが紫炎の心を読んだかのように答える

 

「随分過大評価してくれてんな。これで全力かもしれないぜ?」

 

「それはない。だって他の二人と違って全然疲れた様子はないんだもの」

 

ペストの言う通りサンドラと黒ウサギはすでに肩で息をしているが紫炎は何もないような感じで突っ立っている

 

「レプリカとはいえマルドゥックの炎の剣、リットゥを使いこなしてるのも評価する点ね」

 

「そりゃどうも。なら少し本気を出すか」

 

そういうと紫炎の炎が龍の形になった

 

それに色が付き、本物のようになった

 

「「!?」」

 

「本当に面白いわね、あなたのギフトは」

 

ペストの言葉が言い終わった瞬間、龍がペストに襲い掛かった

 

「でも、炎には変わりないわ」

 

苦も無く黒い風で防ぐペスト

 

「それは囮だー」

 

「!?」

 

刹那上からリットゥを振り下ろす

 

予測しえない行動にペストは驚き、今まで以上の風で紫炎を包み込んだ

 

「「あ、赤羽さん!!」」

 

「驚いた。いきなり上に現れるんですもの。思わず殺しちゃったじゃない」

 

「よ、よくも」

 

ペストの悪びれない言葉に黒ウサギが怒り、飛び込もうとした瞬間、ペストの後ろから刀が振り下ろされた

 

「くっ」

 

一瞬反応が遅れたペストだったが何とか防ぐ

 

「いいタイミングだと思ったんだが、この刀じゃ結構厳しいな。」

 

「な、なんで・・・」

 

黒ウサギとサンドラが呆然と、ペストが激昂の眼でその人物を睨んだ

 

「なんで死んでないのよ」

 

そこには何事もないように空に立っている紫炎がいた

 

「なんでも何もお前の攻撃を食らってないからだ」

 

「何?」

 

ペストが訝しげに紫炎を睨む

 

「おいおい、直前にあんな大ヒントを出してるんだぜ?こうやって出てきてるのを含めたらすぐわかるだろ?」

 

ペストと黒ウサギはそれを聞き、何か思いついたようだ

 

「ま、まさか」

 

「さっきのは炎だったんですか?」

 

「え?え?」

 

サンドラはいまだにわかっていない様子だが3人でどんどん話が進む

 

「ご明察。だが炎だけじゃあ色はつかない。だから一瞬本物と間違った。」

 

「ええ、まるで本当の人間のようだった。だから避けるのが遅れちゃった」

 

そういって出した左手には少しの切り傷があった

 

「色はどうやって付けたんですか?」

 

「俺のもう一つのギフト、“色彩付与”の力だ。“自由主義”で俺の炎限定に色を変えれるようにすることでさっきのように自分の思った通りの色が一瞬で着くようになったのさ」

 

「そう、説明ありがとう」

 

ペストはそれでさっきの紫炎が偽物だった理由がわかったがもう一つ疑問があった

 

(あれが偽物だったなら、本物はどこにいたの?不意を突かれていたとはいえ、切りかかるまで姿が見えなかった。色をつけるだけで自分が瞬間移動するわけないのに・・・)

 

その瞬間遠くで一際大きな振動が起こった


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