問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第四十一話

ゲームが始まって次の日、紫炎、飛鳥、耀は北側六七八九〇〇外門に来ていた

 

理由は耀がウィル・オ・ウィスプの招待を受けたからその本拠に来たのだ

 

着いてすぐに紫炎は耀と飛鳥と別れ、一人歩いている

 

「しかし、北側はいつ来ても凄いな。東側とは全然違うな」

 

感心してみて回ってるといきなり頭に衝撃が走った

 

(金槌かなんかで叩かれたような・・・。まあ、工房とか色々あったし、誰かが手でも・・・)

 

そう思ってるとまた激痛が走る

 

(二回目か・・・。次来たら消し炭にする)

 

周りに気を配りながら殺気を増幅させる紫炎

 

「・・・大丈夫?」

 

「!?」

 

すると、目の前からいきなり声をかけられ驚く紫炎

 

(後ろからならまだわかる。けど、いきなり前から現れなかったか!?)

 

紫炎が考えこんでいるとその人物がまた話しかけてきた

 

「・・・頭、大丈夫」

 

「あ、ああ・・・」

 

そこで紫炎は、始めて彼女の姿を確認する

 

(耀とおんなじ位の娘かな?)

 

紫炎がそう思ったのは彼女が薄いウェーブを引いたツインテールに幼さの残る顔立ちに耀と同じ位の身長だったからだ

 

しかし本当に耀と同じ年齢か疑問に思ってしまう

 

(すげー巨乳・・・)

 

そうなのである

 

耀との違いはその豊満な胸である

 

「ん?」

 

その時、紫炎は彼女の手に金槌が握られているのに気づく

 

「さっき、俺を殴ったか?」

 

それを聞き、コクリと頷く少女

 

さすがに少女を消し炭にするようなことはできないので

 

「失礼」

 

声をかけ、デコピンを一発食らわせる

 

「・・・・・・・・痛い」

 

「これでおあいこだ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」

 

少女が額をさすりながら答える

 

「ところで何の用だったんだ?」

 

「?」

 

「いや、なんか用があったから金槌で叩いたんじゃないのか?」

 

フルフル、と首を横に振る少女

 

紫炎は少しむかついたのでもう一度デコピンをした

 

「・・・痛い」

 

「こっちの方が痛かったんだぞ」

 

少し呆れながら言う紫炎

 

すると、唐突に少女が口を開いた

 

「・・・私はウィラ。あなたは?」

 

「へ?・・・ああ、名前か。赤羽紫炎だ、よろしく」

 

「・・・赤羽?」

 

紫炎の名前を聞き、少し考え込むようなしぐさを見せる

 

「どうした?」

 

「・・・なんでもない」

 

紫炎が聞くとウィラは自己完結を済まし、向き直った

 

「・・・じゃあね」

 

「!?」

 

一言そう告げると視界から消えた

 

「あら?何してるの、紫炎君」

 

「どうしたの?」

 

すると、後ろから飛鳥と耀が声をかけてきた

 

「・・・いや、何でもない。ところでどこ行ってたんだ?」

 

「アーシャのところ」

 

「彼女の部屋、面白かったわよ」

 

少し笑いながら告げる飛鳥

 

「へー。ところでゲームって何時から始まるんだ?」

 

興味無さそうに返事をした後、聞く紫炎

 

「確か今日の夜、月が頂に上る時間だって」

 

今は日が沈み始めたくらいの時間である

 

「結構時間があるな。ここらへんうろつくか」

 

「そうね。それじゃあエスコートを頼もうかしら」

 

「うん」

 

そう言って二人は手を差し出してきた

 

「期待すんなよ」

 

紫炎が二人の手を取ろうとした時、

 

「ヤホホホ。皆さんお久しぶりでございます」

 

ジャックがやってきた

 

「ジャック、ゲームの準備はしなくてもいいの?」

 

耀が疑問に思ったことを聞く

 

「準備はさっき終わったところですよ。帰ってる途中に声が聞こえたので、用事もありましたし、会いに来ただけですよ」

 

ヤホホホ、と陽気に笑うジャック

 

「しかし、凄いですね。まさに両手に花、羨ましいですよ」

 

「まあ、他人から見たらそうかもしれんが、実際二人を同時にエスコートするなんて地獄に近いぞ」

 

趣味も時代背景も違う二人を相手にするのだから当然だろう

 

「それなら飛鳥嬢は私がエスコートして差し上げましょうか?」

 

「俺は別にいいが・・・」

 

ちらっ、と飛鳥の方を見て答えを待つ紫炎

 

「そうね。どうせなら土地勘のある人にエスコートしてもらった方がいいわ。春日部さんは?」

 

「私は・・・」

 

そう言って耀は無意識的に紫炎に視線を向ける

 

「ヤホホホ、春日部嬢は紫炎殿に任せて二人づつで回りましょう」

 

「それもそうね。それじゃあ、春日部さん。またゲームで会いましょう」

 

「おっと、ゲームといえば紫炎殿に伝えようと思ったことがありました」

 

その言葉に紫炎は少し嫌な予感がした

 

「それが最初に言ってた用事か?」

 

「ええ、彼女たちがゲームをしている時に本拠で待ってもらいたいんですよ」

 

「ゲームに参加するなってこと?」

 

「そういう訳じゃありませんが結果的にはそうなってしまいますね。実は私たちのコミュニティのリーダーが会って話したいそうなんですよ」

 

「そういうことなら仕方がない。コミュニティの名前を売るチャンスにもなるし。それじゃあ飛鳥と耀でゲーム頑張ってくれや」

 

紫炎が少し、諦めたような感じで言う

 

「ええ、もちろんよ」

 

「うん」

 

その言葉を聞き、紫炎が口を開いた

 

「よし、それならゲームまでの時間を楽しみますか」

 

「ヤホホホ、そうですね」

 

そう言って別れて行動しようとすると、ジャックが紫炎に近づき、小さな声で囁いた

 

「頑張ってくださいね」

 

「なっ・・・」

 

それだけ言うとジャックは笑いながら飛鳥を連れていった

 

二人が見えなくなると耀が口を開いた

 

「・・・私たちも行こう」

 

そういって耀が紫炎に手を出した

 

「ああ・・・」

 

紫炎がそれに答えて手を繋ぐ

 

「それじゃあ行こうか」

 

「うん」

 

そうして二人はゲームが始まるまで楽しく過ごした


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