問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第五十二話

紫炎は耀を上空に連れて行った後、いきなりお姫様抱っこをしたことで殴られ、その後下に下りて暴れていた

 

「弱いくせに数だけはいるなっと」

 

紫炎が喋りながら余裕で倒していると、サラが近寄ってきた

 

「余裕そうだな。ところで顔、どうしたんだ?」

 

「聞かないでくれ」

 

「?」

 

サラは良く分からないといった表情をしていた

 

「まあ、そのことはいいじゃないか。目の前の事に集中しようぜ」

 

紫炎はそう言いながら巨人を真っ二つにする

 

「俺は大丈夫だから、お前は連盟の連中を助けとけ」

 

「ああ、そうさせてもらう」

 

そう言ってサラが紫炎から離れて行った

 

「さてと、時間まで楽しまさせてもらうぞ」

 

紫炎がそう言いながら巨人に切りかかろうとすると、他の巨人が紫炎の剣に鎖を巻きつける

 

「げっ」

 

そこに巨人が斧を振り下ろしてきた

 

「ちっ」

 

紫炎がギフトカードからもう一本の剣を取り出して片手で受け止めようとする

 

剣と斧がぶつかる瞬間、その巨人が凍りついた

 

「危ないとこでしたね。油断大敵ですよ?」

 

声をかけてきたのは紫龍と一緒にいた少年だった

 

「全然危なくねーよ」

 

紫炎がそう言うと、鎖に捕まれている方の剣から炎を出し、鎖を伝って巨人を燃やす

 

「ほう。なかなかやるよ・・・」

 

少年が喋ってる途中に紫炎がその後ろに剣を振り下ろす

 

「危ないとこでしたね。油断大敵ですよ?」

 

紫炎が少年の後ろから斧を振り下ろそうとしていた巨人を切り捨て、先ほどの少年の口調を真似て言い返す

 

「なんですか?さっきの仕返しか何かですか?」

 

「仕返しって何のことだ?ただ巨人を切っただけだぜ?」

 

二人はメンチを切りあってる

 

「「やんのか、コラッ」」

 

紫炎は炎を手に灯し、少年は手に氷を纏わせる

 

巨人を無視して今にも殴り合いが始まろうとした時、

 

「何処に逃げたの、白夜叉あああああぁぁぁぁぁ!!!」

 

戦場とは無関係の駄神の名を叫ぶ声が聞こえた

 

「・・・なんだ?この声は?」

 

「多分、うちのリーダーがギフトで呼び出した黒死病を操る元魔王だが・・・」

 

何故、白夜叉の名を叫んでいるのかが分からない二人

 

そこに巨人二体がそれぞれ二人を狙う

 

それを軽く受け止める二人

 

「お前、名前は?」

 

「青川碓氷。あなたは?」

 

「俺は赤羽紫炎だ」

 

二人は自己紹介を済ませると、各々巨人を倒す

 

すると、琴線のはじく音が聞こえ、周りが霧に囲まれる

 

「なあ、碓氷。勝負しないか?」

 

「勝負?殴り合いならこの戦いが終わってから…」

 

「違う違う。今から霧が晴れるまで巨人を倒した数、どうだ?」

 

ニヤリと笑いながら言う紫炎

 

「いいですね。数は自己申告で良いですか?」

 

「ああ、それじゃあ」

 

「「スタートだ」」

 

二人はそう言った瞬間、近くにいた巨人を倒した

 

「あらよっと」

 

紫炎は刀を軽く振り、どんどん巨人を倒していく

 

すると、小柄な巨人が紫炎に剣を振り下ろしてくる

 

それを軽く剣で受け止める

 

「おっと、昨日と同じ奴か。多少はやるようだが・・・」

 

そういいながら巨人との距離を縮め、直接手を触れる

 

「雑魚には変わりない」

 

炎を出し、燃やし尽くす

 

すると、霧が晴れてきた

 

「耀が上手くやってくれたんだな。それじゃあ・・・」

 

紫炎が安堵していると、巨人二体が攻撃してきた

 

「めんどくせー」

 

紫炎が刀に手をかけた瞬間、一体は燃え、もう一体は真っ二つに切り裂かれた

 

「おおー、紫炎。派手に暴れてるな」

 

燃え盛る巨人の方から紫龍の声が聞こえる

 

「おい、碓氷。お前は何体倒した?」

 

「無視は酷い!」

 

紫炎は気にせず碓氷の方に向かい、聞いた

 

「一斉に言いましょうか」

 

せーの、と声を揃えてそれぞれ巨人倒した数を言う

 

「「32」」

 

同数であった

 

「「・・・・・・」」

 

二人の間に沈黙走る

 

「あ、紫炎君。何してるの?」

 

すると、グリーに乗っていた飛鳥が紫炎に声をかけた

 

「飛鳥か。いや、ちょっとな」

 

「?」

 

言葉を濁す紫炎に飛鳥が疑問符を浮かべる

 

「それよりなんでペストはそんな恰好をしてるんだ?」

 

紫炎がジンに使役されているペストの格好に疑問を持つ

 

なぜならペストはフリフリのメイド服を着ていたのだ

 

「あんたには関係ないでしょ。それとも殺されたいの?」

 

ペストが殺気を込めて紫炎に言うと、この空気に似つかわしくない声が聞こえた

 

「おおー。ペストちゃん、やっぱりその服似あってるね」

 

紫龍の声が聞こえた瞬間、ペストがそちらに黒い風を送る

 

「あんた、いたのね。絶対に殺す!」

 

「お、落ち着いて、ペスト。あの人は味方だ」

 

「いいえ、あいつと白夜叉は私の敵よ」

 

「グリーさん、すいませんが地下都市に戻ってください」

 

ジンがペストを抑えようとしたが、抑えきれそうもないので黒ウサギがグリーに頼んで地下都市に戻って行った

 

「碓氷。紫龍と白夜叉は何やったんだ?」

 

「さあ?」

 

「おいおい、二人ともなんだ、その冷めた目は?泣きそうなんだけど・・・」

 

涙目で訴えてくる紫龍を無視して、周りを見渡す紫炎

 

「どうし・・・」

 

「お、見つけた」

 

そういって紫炎は視線を向けていた方へ飛んで行った

 

「どうしたんでしょうか?」

 

「まあ、青春ってやつだろ。お前もああいう風になったら?」

 

「?」

 

紫龍の言ってることがよくわかってない碓氷だった

 

―――――――――――――――――――――

 

「良かった、うまくいった」

 

耀は黄金の竪琴を奪った後、上空に逃げて周囲を気にしながら地下都市の方へ戻っていた

 

すると、下の方から見知った姿が見えた

 

「耀!」

 

紫炎が耀の名前を呼びながら近づいてきた

 

「紫炎、どうし・・・」

 

耀の言葉が途中で途切れる

 

何故なら紫炎に抱き寄せられているからだ

 

「無傷で済んで良かったよ。それとお前のおかげで巨人族の侵攻も収まった」

 

耀は紫炎の言葉を聞かず、顔を真っ赤にして抵抗する

 

それに気づいた紫炎が耀を離す

 

「悪い、苦しかったか?」

 

紫炎がそう聞くと、耀の右ストレートが決まった

 

「いきなりはやめてほしい」

 

「俺もそれは言いたい」

 

殴られた頬をさすりながら紫炎が返す

 

「早く戻ろう?」

 

そういって耀が紫炎に手を差し伸べる

 

「そうだな」

 

紫炎も耀の手を取り、二人で宿舎へと帰った

 

――――――――――――――――

 

巨人の強襲してきた次の日、紫炎は昼過ぎまで寝ていた

 

「久々に起こされなかった気がするな」

 

紫炎がそんなことをぼやきながら歩いていると、前から耀と飛鳥が走ってきた

 

「おはよう。どうしたんだ、そんなに急いで?」

 

紫炎が声をかけると二人は紫炎の腕を持つ

 

「付いて来て」

 

「その前に説明してくれ」

 

聞いてみると、ジンの代案としてヘッドホンを耀のいた世界から召喚したが、それはネコミミのあるヘッドホンだったらしい

 

何もなければそれを渡すらしいが、流石にネコミミは・・・、となったので代わりのものを探しに行くらしい

 

それを聞き、紫炎が少し考え込んでいる

 

「・・・ふむ。ちょっと失礼」

 

紫炎がそう言って、耀の持っていたヘッドホンを取って耀の頭に付ける

 

「ちょ、ちょっと」

 

「うん、やはり可愛い」

 

紫炎がそういうと真っ赤になった耀が照れ隠しで殴る

 

それを呆れた様子で見ていた飛鳥が声をかける

 

「そんなことしている暇はないでしょう。早く探しに行きましょう」

 

「そうだった」

 

飛鳥の言葉で我に返る耀

 

「・・・俺の行く意味は?」

 

「男の子の欲しいものがどんなものか見てほしいのよ」

 

「役に立つか分からんぞ?」

 

「とりあえず付いて来て」

 

紫炎に有無を言わさず、連れまわしたが結局よさそうなものがなかった

 

「やっぱ、そのヘッドホンを渡すしかないんじゃないか」

 

(少し、もったいないが・・・)

 

「何か不穏当なこと考えてない?」

 

耀の言葉に紫炎がわかりやすく動揺を見せる

 

「な、なんのことかな?」

 

それを聞き、二人は冷めた目で紫炎を見る

 

「貴方って人は・・・」

 

「・・・」

 

その目に耐えきれなくなった紫炎が口を開く

 

「何にもなかったことだし、宿舎に帰ろう。そうしよう」

 

紫炎はそう言いながら、二人を連れて宿舎に戻った

 

 


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