問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児― 作:gjb
「はあ、はあ。フェイス・レスさん、恥ずかしいところですが箱庭の騎士というのも初ウサ耳でございます。今回のゲームや主犯の手掛かりになるかもしれません。是非教えてください」
十六夜と紫炎をハリセンで黙らせた後、フェイス・レスにシリアスムードで話しかける
「私も詳しく知ってるわけではないので詳細は省きますが、全階層支配者となったレティシアさんがその利権と権力を手に、上層の修羅神仏へ戦争を仕掛けようとしたそうです」
それを聞き、ノーネーム一同は言葉を失う
いつものコミュニティ内の姉役からは想像もつかない内容なのだから当然であろう
すると、碓氷が疑問に思った箇所があるようで質問をぶつけた
「『仕掛けようとした』とはどういう事でしょう?」
「戦争を阻止しようとした同族の吸血鬼たちが革命を決起し、殺し合いの末に滅んだと聞いております」
「・・・それは本当に事実なのか?」
「此れについては当時を知るクイーンの話なので間違いないかと」
そんな話を聞いても今のレティシアを知る面々には信じ難かったが、サラは契約書類を見ながら何か納得していた
「なるほど。第四の勝利条件は当時の革命主導者を差し出して殺せという意味なのかもな」
「そうでしょうか?」
「ほかにどのような解釈がある?他の抽象的なキーワードと比べて格段にわかりやすい。ペナルティで追い込まれた吸血鬼が革命主導者を殺し…」
「…結果クリアは出来なかった。」
サラの言葉を紫炎が反論するように止める
案外まともな反論で言葉を失うサラ
「どちらにせよ現状、情報不足は否めない。だから地上を守る部隊とゲームクリアを目指す部隊と別れよう。あんたらの連盟なら空をかける幻獣もいるだろ?」
十六夜がそう提案すると、いつの間にか戻ってきた紫龍が口を開く
「それに攫われてる奴も気になる。連盟の重役のガロロの事もあるが、ゲストに死者を出すわけにはいかないだろ?」
その言葉を聞き、サラはその提案を快諾する
「精鋭を選出して二日後の晩には部隊を編成しよう。その時にはここにいるコミュニティの力を借りることになる。キャロロ、この形を最高主賓室にお通ししろ」
「はい、わかりました」
そうしてこの日の会合はお開きとなった
紫龍と碓氷はサラにまだ話があるらしく、まだ会議室に残り、フェイス・レスも紫龍に話があるらしく待つらしい
そうして残った、キャロロとクリス、ノーネーム一同がエレベーターで話し合ってる
ちなみに紫炎は此処に来る間に初めて契約書類を見た
「部屋に案内されたらすぐにでも謎解きにかかりましょう」
「YES!三人よれば文殊の知恵と言いますし、五人いれば何かいい知恵も浮かぶ筈です」
「ええ。耀さんとレティシアさんを助けるために謎解きを・・・」
「いや、謎解きならすんでいるんだが・・・」
「同じく」
「「「「「え!?」」」」」
十六夜と紫炎の言葉にジン、飛鳥、黒ウサギ、クリス、キャロロが驚く
「まあ、俺はここに来るまでに、十六夜にこのゲームのサン・・・、サンなんたらってギフトゲーム名の意味とレティシアの『十三番目の太陽をうて』だっけ?それを聞いてわかった」
それを聞き、二人に向けられていた視線が十六夜一人に向けられる
すると、キャロロが口を開いた
「えっと、常連さん?貴方、会議の時『情報が少ないから敵城に部隊を送れ』って言ってませんでしたけ?」
「俺は『情報は少ないが、謎は解けたからクリアしに行こうぜ』って意味で言ったんだがな・・・」
十六夜が白々しく答える
「そんな風に誤解してくれて救援隊まで編成してくれるなんて良かったな、十六夜」
棒読みで続く紫炎を見てキャロロが口を開いた
「残念ですがこのことはサラ様に・・・」
「「全メニュー半額とは気前がいいな」」
「いやん♪するわけないじゃないですか」
二人の脅迫に冷や汗を流しながら満面の笑みを浮かべるキャロロ
それを見てクリスがキャロロの手を握り、何かのスイッチを入れたらしい
「お嬢さん。こんな可愛い笑顔をして東側で喫茶店を営んでるなんて」
「え・・・あの、その」
いきなりの事で困惑しているキャロロ
うるさいので紫炎が右手を挙げて、飛鳥に合図を送る
「黙りなさい」
合図を見てギフトを使った飛鳥
「よし、静かになったことだし行くか」
キャロロと黒ウサギが苦笑いを浮かべ問題児三人の道案内をした
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ところ変わって会議室
「紫龍殿。話とはなんだ?」
「いや、サラちゃんは可愛いなって」
紫龍がそう言い終わった瞬間、碓氷の拳がクリーンヒット
「それだけなら私は救援隊の編成に向かうが・・・」
呆れた目で紫龍が飛んでいった方向を見ながら告げるサラ
「いやなに、この状況が三年前にそっくりだな、って思ったというのを伝えようと思ってな」
「!?」
「それと“ジョーカー”がいたから俺はそっちに専念するから」
それを聞き、サラが悲痛の顔を見せる
「そうか。・・・確か朔良殿の」
「それもあるが、三年前奴の部下五十二人を倒したのにあいつを逃しちまってるからそれの清算」
そう言って自嘲気味に笑う紫龍
「代わりと言ってはなんですが、私が地上組に残ります」
「確かに碓氷なら巨人くらいなんともないだろう」
無責任に紫龍が返す
「すいません。お話は終わりましたか?」
「おお、フェイちゃん。終わったけど、どっちに用がある?」
フェイス・レスの質問に紫龍がサラと自分を指しながら答える
それを聞き、少しだけサラの方を見たフェイス・レス
「・・・碓氷殿、貴方の能力がどんなものか見せてもらってもよろしいか?」
「ええ。出来れば水場があればがよろしいのですが・・・」
「うん。それなら私に付いて来てくれ」
視線に気づいた二人が席を外すと、フェイス・レスが口を開く
「さきほどの話、聞こえてきました」
「あ、そうなの」
頬を掻きながら恥ずかしそうにしゃべる紫龍
「やはり、まだ朔良さんの事を・・・」
「まあな。八年じゃ短すぎるよ。今は表情に出さないように他の女の子に声をかけてるんだよ」
そう言って大笑いする紫龍
「変わりませんね。・・・あの頃から」
「おいおい、あの時から大分老け込んでるはずだぜ?それにギフトもなぁ・・・」
「そういう意味ではありませんよ。・・・ところで息子さんにはどこまでお話したんですか?」
それを聞き、紫龍は顔を笑っているが、どこか後ろめたそうだった
「何にも話してないよ。この八年間の事も、八年前の真実も、あの頃のこともな」
「・・・話すつもりは?」
「ない。特にあの頃の事は絶対に話すつもりはない」
それを聞き、フェイス・レスが紫龍に話しかける
「どうしてでしょうか?」
「そうなると朔良の事も話さなきゃならんだろう?恥ずかしすぎるんだよ」
顔を赤くしながら言う紫龍を見てフェイス・レスが大きくため息をつく
「本当に変わってませんね」
そう言って出て行った
「しかし、ジョーカー相手だと使わなきゃいかんかな?」
紫龍がギフトカードから出したカプセルを持って呟いた
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キャロロに案内され、ノーネーム一同は主賓室に着いた後、救出の為の作戦を練っていた
「上空にある城に行くには俺以外は連盟の協力が必要になるんだが、ここはグリーに頼むのが良いと思う」
「そうですね。彼は耀さんを友人として扱ってるので協力してくれるはずです」
それを聞き、十六夜は腕を組んで少し、思案してから口を開いた
「それならそっちの方は任せる。なら待機組と攻略組の編成なんだが、巨人族との戦いが予想される待機組には御チビとペストを中心にして、攻略組は俺と・・・」
「私も行くわ」
十六夜の言葉を途中で遮り、飛鳥が声を出した
「十六夜君。貴方が大一番の勝負で私を危険から遠ざけて采配してるのは私なりに気づいているわ」
その言葉に十六夜は何も言わない
「でも、今回はすでに春日部さんとレティシアが敵に捕らわれてる。多少無茶してでも敵地に乗り込まなければ、助けれるものも助けられないかもしれない」
そう言った飛鳥の眼は決意に満ち溢れていた
「無理だ。お前は待機組の方だ」
紫炎が飛鳥にストップをかける
「どうしてよ!」
「まず、グリー以外に背に乗せてくれる幻獣なんているはずないからな。だから、自分で飛べる俺以外の一人って言ったら十六夜になる」
怒りで声を荒げていた飛鳥だったが紫炎の止める理由が案外筋の通ったものだったので黙り込んでしまう
「もし仮にだが、のせてくれる幻獣がいたとしてもお前じゃあ足手まといにしかならん」
流石に直接足手まといと言われて怒ったのか、飛鳥が声を荒げて反論する
「そんなことないわ!私は黒死斑の魔王を・・・」
「あんなの偶然と相性の産物でしかない。それこそまともに戦ったら勝負なんて成り立たないさ」
今まで黙っていた十六夜が見かねて口を開く
飛鳥が言い返そうと十六夜の方を向いたが真剣な表情をみて、言葉を失う
「けど、ペストと戦えるだけの実力があるなら話は別だ」
そう言ってニヤリと笑う十六夜
「まあ、ジンとペストの急造コンビの相手にはちょうどいいだろう」
どうせ勝てないだろう、と言った様子で言う紫炎を見て飛鳥が腰に手を当てて言い返す
「いいわ。紫炎君と十六夜君が間違ってたことを証明してあげるわ」
「ああ。せいぜい頑張ってくれ」
「じゃあ、今日はもう遅いし明日で良いな?」
「ええ、いいわよ」
そう言って解散となった
ジンは自分の意思とは無関係日程が決まって行くのを見て、唖然としつつも拳を握り気合を入れるのだった