問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第五十七話

紫炎と碓氷はクリスto紫龍を起こす

 

「さて、早速始めるか」

 

「その前になんで俺に『ギフトを使うな』って言ったんだ?」

 

「理由は色々ある。メンドクサイから言わないが」

 

紫龍がそういった瞬間、紫炎が殴る

 

「もういい。じゃあな」

 

「待て、バカ息子」

 

「誰が・・・」

 

紫炎が紫龍の言葉に振り向こうとすると、いきなり殴られる

 

「立て、今のお前の状態で俺に一撃でも当てれたら何処へでも行け」

 

「・・・上等!」

 

そういって炎を拳に纏わせて殴りかかる

 

しかし、軽くよける

 

「アホ。単調すぎる」

 

そういって紫炎を蹴飛ばす紫龍

 

「紫龍さん!なにするんですか!」

 

「おっさん!覚悟しろ!!」

 

「黙れ!お前ら!!」

 

二人が攻撃態勢を取ると、紫龍が声を荒げる

 

「あいつは自分の状態が何にもわかっちゃいない。そんな奴にはちょうどいいさ」

 

「それなら・・・」

 

「口で言って聞く奴じゃないしな」

 

そう言いながら紫龍は紫炎に近づき、紫炎のギフトカードを取り出し何かをしている

 

「何をしてるんですか?」

 

「う~ん。言ってもいいんだけど今は良いだろ。それと」

 

紫龍が紫炎の頭を持つと手の甲に何か紋章のようなものが浮かびあがる

 

「おっさん。紫炎になにしてんだ!」

 

「おっさん言うな。これでも結構傷ついてんだぞ。よし、終わった」

 

そう言いながら紫龍が紫炎から離れる

 

「さて、紫炎は誰かに任せてお前らは修行だ。こっち来い」

 

それを聞いた二人が紫龍に聞こえない程度で話をする

 

「おい、碓氷。本当にあのおっさん、信用できるのか?」

 

「今までなら即答できたんですが、あれを見ると流石に・・・」

 

「どうしたんだ。早く来い」

 

「しょうがない。行きますか」

 

「え!?マジで」

 

碓氷の言葉にクリスは嫌々ながら紫龍に挑んでいった

 

一時間後――――

 

「くっ・・・。紫龍の奴、本気で蹴りやがったな」

 

紫炎が腹と頭を抑えながら起き上る

 

「お!紫炎、起きたか。なら自分の部屋に戻って寝とけ」

 

「は!ふざけん・・・」

 

紫炎が拳を構え、炎を纏わせようとするが発炎しなかった

 

「ほら、ギフトも使えないんだしさっさと休め」

 

「てめえ、何しやがった」

 

「さあ?」

 

怒り気味で言った紫炎の言葉に紫龍がふざけた声で返す

 

「ふざけやがって・・・」

 

「し、紫龍さん。休憩はもういいです。早く続きを・・・」

 

「そうだぜ、いい加減当ててやる」

 

紫炎が紫龍に掴み掛ろうとすると、紫龍の後ろの方から碓氷とクリスの声が聞こえた

 

「もうちょい休んでろ。流石に強く殴り過ぎた」

 

「い、いえ、まだ一発も当てれてないんですから」

 

「そうだぜ、流石にこのままじゃ引き下がれないぜ」

 

そういいながら二人はフラつきながらも立ち上がる

 

「おい、どういう状況だ?」

 

「修行。お前が気絶してから、俺と二対一で戦ってたんだよ」

 

「そうか・・・。それより一発もくらってないのか?」

 

「ん?ああ、そうだ。だってこいつら攻撃が単調なんだよ」

 

そういって紫龍が二人の方に歩いて行った

 

「二人相手に無傷だと・・・」

 

「なかなかやるんだな、あのおっさん」

 

「ああ・・って、十六夜か。いつの間に」

 

いつの間にかいた十六夜に驚く紫炎

 

「ついさっきだ。それよりお前はどうしてたんだ?」

 

「そんなことはどうでもいいんだ。それより俺のギフトが使えなくなってるんだ」

 

「何?それはいつごろ戻るんだ?」

 

十六夜が真剣な表情で紫炎を見る

 

「・・・よくわからない。紫龍が何かしてるらしい」

 

「その通り」

 

「いつ戻るんだ?」

 

「明日、救援隊が出るころには戻してやるよ」

 

「今すぐ戻しやがれ」

 

「紫龍さんが突然現れるのはもう慣れっこなんですね」

 

碓氷のツッコミには誰にも反応せず、三人で話を進める

 

「戻すとお前、そのまま古城に向かうだろ?」

 

「・・・ああ」

 

「おいおい、いくら春日部が心配だからって足並みそろえなきゃいかんだろ」

 

「十六夜、お前にだけは言われたくないぞ」

 

紫炎が睨みながら言ってると紫龍が囁きかけてきた

 

「耀ちゃんが好きだからって焦り過ぎなんだよ」

 

「黙れ・・・」

 

紫龍の茶化すのを殺気交じりの目で返す

 

「余裕なくなり過ぎだろ」

 

「うるせー。さっさと・・・」

 

「えっと、常連さん。ちょっとよろしいですか?」

 

紫炎が紫龍の胸ぐらを掴み、詰め寄ってるとキャロロが壁からこちらを見ていた

 

「キャロロか。悪いが今はちょっと・・・」

 

「いえ、急ぎの用らしいので」

 

そういってキャロロは包帯を巻かれた三毛猫を抱いていた

 

「小僧、ちょっとええか?」

 

「三毛猫か。大丈夫だ、耀は必ず助けるからお前は休んどけ」

 

紫炎がそういってもう一度紫龍に向き直る

 

すると、キャロロは三毛猫を紫炎の顔の近くに持ってくる

 

「?なん・・・」

 

紫炎の言葉が全部言い切る前に三毛猫が紫炎の顔をひっかいた

 

「落ち着け、小僧。お嬢は大丈夫や。守られな生きていけんほど弱くはない」

 

その言葉を聞き、紫炎は紫龍から手を放した

 

「お、何話してたか分からんが、ようやくわか・・・」

 

紫龍の言葉を最後まで聞かず、殴り飛ばした

 

「ふー。ありがとな、三毛猫。おかげで頭が冷えたよ」

 

「それは何よりなんやけど・・・」

 

「大丈夫なんですか?あの人」

 

キャロロと三毛猫は吹き飛んだ紫龍の方を見て紫炎に尋ねた

 

「大丈夫だろ。それより十六夜、何でお前は此処にいるんだ?」

 

「ああ。お嬢様とペストを風呂に連れて行った後、ぶらついてたら音が聞こえてな。それで立ち寄ったんだよ」

 

「そうなのか。なら、俺は自室で休憩しとくわ」

 

そういって紫炎は自分の部屋へと戻って行った

 

「で、おっさんは何者だ?紫炎のギフトはどうやって封じてる?」

 

「十六夜君。君なら自分のギフトの事を喋るかい?」

 

それを聞き、十六夜が高らかに笑う

 

「ヤハハハ、違いねー」

 

「だろ」

 

そういって二人は大声で笑いあった

 

 


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