問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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バレンタイン⑥

ランキング発表が終わり、黒ウサギは軽く伸びをする

 

「お疲れ様だな、黒ウサギ」

 

「え!?十六夜さん。どうしてここに!?」

 

いきなり声をかけられ驚く黒ウサギ

 

「なに、その衣装は俺の発案だからな。出来れば生で見たかったんだ」

 

「そうなんですか。って何ですって!」

 

十六夜の言葉に再度驚く黒ウサギ

 

こんな恥ずかしい恰好をさせられたのだから当然だろう

 

「ヤハハハ。まあ、受け取れ」

 

十六夜はそう言うと、少し大きめのプレゼント用に包装された箱だった

 

「え、これは?」

 

「ん?紫炎の発案で女性陣にプレゼントを渡そうってなってな」

 

その言葉を聞いて黒ウサギには疑問が浮かぶ

 

「耀さんは赤羽さんから貰うとして飛鳥さんはどうするんですか?他にもレティシア様たちだって」

 

「まあ、メイド組は置いといてお嬢様は碓氷からだな。にしてもそんなに俺からのプレゼントが嫌か?」

 

あまりうれしそうじゃない黒ウサギを見て十六夜が聞く

 

「い、いえ。十六夜さんからプレゼントなんて珍しいと思いまして」

 

十六夜の言葉に黒ウサギは慌ててこたえる

 

「あ、開けてもよろしいでしょうか」

 

「おう。そのために渡したんだからな」

 

耳と顔を赤くしながら黒ウサギが聞くと、十六夜はいつも通り答える

 

黒ウサギが何が入っているかワクワクしながら開けると・・・

 

「・・・ハリセン?」

 

十六夜個人からのプレゼントという事であまり期待はしていなかったが、少し浮かれていた黒ウサギ

 

どんなプレゼントでも喜ぼうと思ったが、このプレゼントは予想の斜め上を通り越していた

 

「今まで散々叩かれてるから、もうボロボロだろ。これからもどんどんボケるから必要だろ?」

 

「そうですね。って自分が悪いって自覚してるなら少しは自重してください、このお馬鹿様!」

 

十六夜の言葉に黒ウサギはベシベシと何回か新しいハリセンで叩く

 

その顔はどこか嬉しそうだった

 

――――――――――――――

 

放送が終わった後、紫龍は誰にも気づかれないように外に出た

 

(まさか一位になるとは・・・。これ以上目立ちたくないんだよな)

 

「おい、紫龍」

 

紫龍がどこか一人で飲もうと思っていると、後ろから声をかけられる

 

「レティシアか。どした?」

 

紫龍が後ろを振り向いて声をかける

 

そこには大人バージョンのレティシアが立っていた

 

「・・・今日、何の日かわかってるんだろ?」

 

「ああ。さっきまで白に付き合ってたからな」

 

レティシアが問いかけると、紫龍が興味なさげに応える

 

「それで、だな・・・」

 

レティシアがもじもじしながらチョコの入った箱を紫龍に渡す

 

「今年もか。毎年義理チョコありがとな」

 

紫龍が笑いかけながら言うと、レティシアは少し不満げな顔をする

 

「義理じゃない。本命だといつも言っているだろ」

 

「はあー。お前は可愛いんだからこんなおっさんじゃなくていい男を探せよ」

 

紫龍がそう言うと、レティシアは紫龍に抱きついた

 

「お前もいい男の内に入る。少なくとも私の中では一番いい男だ」

 

レティシアが顔を赤くしながら言うが、紫龍は表情を変えずにレティシアを剥がす

 

「そこまで言ってくれるのは嬉しいが、俺にはもったいないよ」

 

紫龍はそう言うと、その場から歩き出した

 

「紫龍!」

 

しかし、レティシアに袖を掴まれたのでそちらを向くと、レティシアにキスをされる

 

「私は、本気だ。少しは私の事も見てくれ」

 

レティシアはそう言うと、目に涙をためてその場から走り去った

 

取り残された紫龍はとりあえずチョコを一口食べる

 

「甘ぇ」

 

 


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