問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児― 作:gjb
耀をおぶっていた紫炎はアンダーウッドに着くと、十六夜に見つかった
「紫炎じゃないか。・・・なんで春日部が寝ててお前がおぶってるんだ?」
「いいじゃないか、別に。それで、耀の個室はどこだ?主賓室の個室、耀だけなかったろ?」
十六夜がそれを聞くと、今までそのことを忘れていたらしい
「そういえばそうだったな」
「はぁ~、しょうがない。それなら黒ウサギか飛鳥の部屋に・・・」
「紫炎君に・・・、春日部さんは何でおんぶさられてるのかしら」
「飛鳥か。そのことは聞くな」
二人で話していると、飛鳥がやってきた
「言いたくないなら別にいいけど。巨龍の突撃とかで部屋が減っちゃったから二人で一部屋になったみたいよ」
「そうなのか。それじゃあ部屋割りは・・・」
「黒ウサギとお嬢様、俺と御チビ、そして紫炎と春日部のペアでいいだろう」
十六夜が紫炎と耀に向かってニヤニヤとする
「ちょっと待て!それは問題があるだろ!!」
「どう分けても一組は男女ペアになるんだからしょうがないじゃない」
「それもそうだが・・・」
もっともな意見を出され、黙ってしまう紫炎
「荷物はもう部屋に置いてあるから」
「やっぱその部屋割りで決定なのか?」
「「もちろん」」
声を揃えて言う二人に紫炎はしょうがないといった表情を浮かべる
「部屋は俺が使ってた部屋でいいのか?」
「いや、その隣だ」
「なんでだ?」
「ベットがツインベットだからだ」
「はあ!?」
十六夜の言葉に紫炎は顔を赤く染める
「ちなみに十六夜君たちの部屋はベット一つにもう一人は雑魚寝なんだから良かったじゃない」
「良くねえよ!そっちの方がいいわ。飛鳥、部屋を変わってくれ」
「嫌よ。ちなみに私たちの部屋はシングルが二つよ」
「それじゃあ・・・」
「御チビがもう寝てるから無理だ」
それを聞いた瞬間、愕然とする紫炎
すると、紫炎の声が大きかったのか耀が目を覚ます
「ん・・・。紫炎?」
「悪い、起こしたか?」
「ううん。運んでくれてありがとう」
耀がそう言うと紫炎にさらにくっ付く
「大分進展してるな」
「ええ。私たちの気遣いが無駄にはなら無さそうね」
「気遣い?」
先ほど寝ていた耀は首を傾げる
「それは紫炎に聞きな」
「それじゃあお休み、春日部さん」
「うん。お休み、飛鳥、十六夜」
二人は軽いノリでその場を離れて行ったが、紫炎には二人の顔が悪魔の笑みを浮かべていたのを見逃さなかった
「あいつら・・・」
「どうしたの?それに気遣いって・・・」
「いや、それは・・・」
とりあえず紫炎は部屋が同じという事だけを話した
それを聞き、耀の顔は今まで見たことないくらいに真っ赤になる
「とりあえず部屋まで運ぶよ。荷物はもう持ってかれてるらしいからな」
それを聞いた耀は言葉を出さず、首を縦に振るだけだある
部屋に着くまでの間、紫炎は耀に話しかけるが全然言葉を発しなかった
「着いたぞ。それじゃあ俺は荷物を持って外に・・・」
「別にいい。一緒の部屋で・・・」
「へ?」
耀の呟いた言葉に紫炎と耀は顔を真っ赤にする
「ほら入ろう」
そういった耀は紫炎から下りて扉を開く
するとダブルベッドが視界に入った瞬間、耀が固まる
「ほらな。俺は寝るときに外で寝るから」
「と、とりあえずお風呂に行ってくる。だから部屋で待ってて」
そういって耀は着替えだけ持って風呂場へと走り去った
「部屋で、って。へ?」
置いてかれたのと耀のさっきの言葉に頭がフリーズする紫炎
部屋の前で突っ立ってると聞き覚えのある声により現実に戻る
「ヤホホホ。そんなところで立ってどうしたんですか?」
「は!ジャックさん。いえ、何でもありません」
「何でもないことないでしょう。部屋に何かあるのでしょう」
「ダ、ダメだ。見るな」
紫炎は見せないように努力するが、抵抗むなしく中のベッドと二つのカバンを見られてしまう
「おやおや。一つはあなたのだとしてもう一つは・・・。ヤホホホ、なるほど」
「な、なんだよ。何がなるほどだよ!」
「いえいえ。それではごゆっくり」
「ちょっと待て!なんか誤解してるだろ!!」
紫炎の叫びはジャックに届かなかった
ジャックが見えなくなると紫炎は言い訳をするかのように独り言を呟きだした
「ジャックの奴、何勘違いしてんだよ。耀の奴はまだ十四だぜ。やましいことなんて・・・」
紫炎の言葉が止まったかと思うと、いきなり壁に頭を打ち付けだす
「落ち着け、俺。耀がああ言ったのは俺を信用してるからだ。その信用を裏切るわけには・・・」
「紫炎さん、何やってるんですか!?」
「ジンか。何でもないよ」
「いえ、そんなわけないでしょ!?頭から血がでてるんですよ!?」
「大丈夫だ。ギフトですぐに血は止まる」
そういって紫炎は頭に火をつける
「そうですか、って火の勢い強くありませんか!?」
「え、そうか?熱さ感じないから全然分からないんだよ」
紫炎がそういって頭の火を消す
やはり火力が強かったのか、髪が少し焦げてた
「どうしたんですか?何からしくないんですが・・・」
「そうか?自分では全然感じないが・・・、そうなのかもな」
「僕はもう寝ますけど、気を付けてくださいね」
「おう、お休み」
ジンが見えなくなると紫炎は落ち着きを取り戻した
「ふー。少し血を流したおかげか落ち着いてきた」
「何が?」
「耀!?なんで浴衣?」
「なんとなく?」
「何故に疑問形!?」
いつものように耀にツッコミを入れていると、耀がいきなり笑い出した
「どうしたんだ?いきなり笑い出して」
「ううん。大したことじゃないの。やっぱりこうやって紫炎と二人っきりでいられると幸せだな、って思ったの」
「今この状況でそれを言うのは卑怯だぞ」
そういって紫炎は耀を抱き寄せる
耀も引き寄せられても慌てずに嬉しそうにする
「紫炎。・・・大好き」
「ああ、俺もだ」
「それじゃあ寝ようっか」
「そうだな」
紫炎がそう言うと、耀から離れて荷物を持って廊下に出ようとする
すると、耀に服を掴まれてかと思うとベッドに引き倒される
「何処に行くの?」
「いや、一緒のベッドで寝るって色々まずいだろ」
「紫炎なら大丈夫でしょ?」
それを聞き、紫炎は複雑な表情をする
信頼されているのか、へたれだと思われているのかが分からない
「わかったよ、外に出ないから放してくれ」
「分かった」
耀に放してもらった後、紫炎はベッドの端に移動する
「お休み」
「うん、お休み」
そう言った耀は紫炎にくっ付く
「あの・・・耀さん?」
「何?」
「離れてくれると嬉しんですけど・・・」
「いや。二日も離れてたんだから今日くらいは甘えさせて」
そう言った耀は紫炎を強く抱きしめる
流石に何か違和感を感じた紫炎が耀に尋ねる
「古城でなんかあったのか?」
「・・・ちょっとね」
「そうか」
紫炎はそれ以上は何も聞かずに耀の方へとむきなおり、そっと抱き寄せる
「・・・聞かないの?」
「言いたく無さそうだからな。無理には聞かないさ」
そういって紫炎は耀の頭を優しく撫でる
「ありがとう」
耀はそういうと寝息を立て始めた
「・・・寝たか。それじゃあベッドから・・・」
出ようとすると、耀が寝る前から掴んでいたのか紫炎の服を放していない
「・・・嬉しいんだけど、流石に不味いよな」
「ん・・・。紫炎」
耀が寝言を言った瞬間、手を握る力が強くなる
「はあ、これじゃあ外に行けないじゃないか」
紫炎はそう言うと微笑みながら耀の頭を撫でた
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飛鳥は紫炎達と別れてからレティシアが寝ている部屋に来ていた
起きた時、一人だと不安になるかもしれないということだからだ
飛鳥がレティシアの金髪を羨ましそうに触ってる
「綺麗な髪。私もちょっとは自信があったんだけど、これを触っちゃうとな」
すると、ノック音が聞こえてきた
「すいません。よろしいでしょうか?」
「あら、碓氷君。いいわよ」
「失礼します」
碓氷が扉を開けると、寝ているレティシアが見えたので静かに扉を閉めた
「それでどうしたのかしら?碓氷君」
「いえ、今から東に帰るので挨拶をと思いまして」
それを聞き、飛鳥は少しさびしそうな顔をする
「それはまた、急な話ね」
「一応、私たちは今回の収穫祭を視察に来ただけですからね。それがこんなことになってしまって」
飛鳥はそれを聞き、残念そうな表情をする
「それってつまり・・・」
「魔王のゲームにも勝利できるほどの実力がある、そういう報告ができますよ」
ほぼノーネームの実力ですけどね、と笑いながら付け足す碓氷
それを聞き、飛鳥の表情を明るくする
「ということは・・・」
「ええ、五桁昇格はほぼ確実でしょう」
飛鳥はほっと胸を撫で下ろした
「それと、飛鳥さん」
「あら、何かしら?」
「巨龍に立ち向かう姿、かっこよかったですよ」
「なっ・・・」
最後に碓氷が言い残した言葉に飛鳥は顔を真っ赤にする
「飛鳥さん。今日はもう大丈夫ですよ・・・ってどうしたんですか?顔が真っ赤ですよ?」
すると、あわただしく入ってきた黒ウサギが飛鳥の顔が真っ赤になっているのに気づく
「な、何でもないわよ。それより早く寝に行きましょう」
「え?は、はい・・・」
飛鳥が無理やり黒ウサギを連れ出すことで話を切り上げることに成功した
――――――――――――――――
上空の古城にいたガロロ達は二翼の活躍により、無事に地上に着いた
「まさかコウメイの娘がきてたとは・・・」
「耀ちゃんの事か?」
「ああ・・・ってなんだこの狼は!?」
自室でくつろいでたはずなのにいつの間にか狼がいたので驚く
ちなみにこの狼は紫炎を助けた狼と同じである
「おっと、この姿だったのを忘れてた。ほら、俺だよ。紫龍だよ」
ガロロはそれを聞き、信じられないといった表情をする
「紫龍なのか?どうしたんだよその姿は」
「腕と足を切り落とされてからな。“サタン”の力で全身を炎に変えて、形を整えたらこうなった」
「あれじゃないか?憤怒を表す動物は狼だからな」
そう言いながらガロロは酒を取り出した
「おお。酒じゃないか」
「久々に呑もうじゃないか」
「一緒に呑むのって何年ぶりだ?」
「五、六年前だろ。あの時はコウメイもドラコもいたよな」
すると、二人の表情が寂しさを醸し出す
「この話は終わりだ。呑もうか」
「呑まないでください!帰りますよ、紫龍さん!!」
登場と共にツッコミをいれる碓氷
「そいつが息子か?」
「いや。古城に赤髪の奴が行ったと思うんだが・・・」
「ああ、あいつか。今、思えばちょっと似てるな」
そういって酒を一口飲むガロロ
それを見て紫龍は碓氷に目を向ける
「ダメです。紫炎に見つからないうちに東に帰るって言い出したのは紫龍さんの方でしょう」
「自分で言い出したんじゃしょうがないよな。ほら持ってけ」
ガロロは紫龍に酒瓶を投げ渡した
「サンキューな。それと悪いんだが、紫炎の奴を鍛えなおしてやってくれ」
「別にいいが・・・。あんたの息子ならそれなりにやるんじゃないか?」
「大罪の悪魔の事は教えただろ?それの扱い方を教えてやってほしいんだ」
「それならお前が教えてやったらどうだ?」
それを聞き、紫龍はガロロに噛みつく
「こんななりだからお前に頼んでんだろうが!」
「そんなに急ぐことでもないだろ?今扱ってるわけじゃ・・・」
「腕切り落とされた時に二匹逃げたんだよ。多分、一匹紫炎に取りついてる」
それを聞き、ガロロの表情が青ざめて行った
「確か単体でも五桁の最上位だったよな?そんなのが取りついたってことは・・・」
「だから頼んでるんだよ。今は何故か大人しいが、何時本性表すか分かったもんじゃない」
「わかったよ。それでお前の息子はどこまで知ってるんだ?」
ため息をつきながらガロロは紫龍を見る
「何にも知らない。よろしくな」
「何にも知らないってことはその悪魔の・・・」
「おっと、そこまでだ。碓氷にもそこまでは話してないんだ」
すると、碓氷が紫龍とガロロに詰め寄る
「悪魔の、なんですか?」
「さあ?何のことでしょう?」
「・・・はあ。いつかは話して下さいね」
「物わかりが良いね。それじゃあ帰るか」
そういって紫龍は碓氷を連れて部屋を出て行こうとする
「紫龍!ちょっと待て」
「ガロロ、なんだ?」
「お前さんの息子にどこまで話せばいい?」
それを聞き、紫龍は微妙な表情をする
「『待っててくれ』って言っといてくれ」
そう言い残して二人はアンダーウッドを後にした