問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第六十四話

紫炎と耀が古城から戻ると昼食はペストが作っていたのでそれを食べた

 

「ペストって料理出来たんだな」

 

「うん、意外」

 

「これで俺の料理する機会が減るな」

 

紫炎が心底嬉しそうに言うと、耀は少し不安そうな顔をする

 

「・・・やっぱり、料理ってできたほうが良いのかな」

 

「そりゃあ、出来て困ることはないだろうが・・・。いきなりどうした?」

 

「だって紫炎、料理する機会が減って嬉しそうだから。その、うまく言えないんだけど、将来的に・・・」

 

紫炎は耀のその言葉を聞き、吹き出してしまった

 

「な、何がおかしいの!?」

 

「違う、違う。そんな心配しなくてもいいってことだよ」

 

「ど、どういう・・・」

 

すると突然紫炎が耀の頭を引き寄せて小さな声で囁いた

 

「だって・・――――――――――」

 

紫炎が囁いた瞬間、耀の顔が真っ赤になりあまりの驚きにショートしたようだ

 

言葉を発した紫炎自身も顔を真っ赤にし、照れくさそうに頭をかく

 

「ほら、耀。食べようぜ」

 

紫炎がそういうと、耀は喋らずに首を縦にコクリと振る

 

しかし、食べるスピードは相変わらずだった

 

(やっぱ、よく食べるな)

 

紫炎はそう思いながら自分の食事に移ろうとすると、突然耀が口を開いた

 

「その、さっきの言葉、信じていいの?」

 

「ああ、当たり前だ」

 

「・・・それじゃあずっと待ってるね」

 

そういって耀は微笑みながらこっちを見つめた

 

それを見て紫炎はさらに顔を真っ赤にした

 

(やばいな。可愛い)

 

紫炎はそう思いながら先ほど自分の言った言葉を思い出す

 

『だって・・将来もずっと一緒にいるだろ?その、夫婦として』

 

(だ~、思い出すと恥ずかしすぎる。・・・けど耀の奴)

 

そこで紫炎は一回思考をとぎらせ、耀の方を見ると、もう食べ終わっておりこちらの方を見ていた

 

「あ、悪い。すぐに食べるわ」

 

「あ、ううん。別にゆっくりでいい」

 

「?そうか?」

 

そう言われて紫炎はもう一度食事に戻るが、また視線を感じる

 

(はあ、しょうがない)

 

「耀、ちょっといいか?」

 

「何、紫炎?」

 

「ちょっと量が多かったみたいだわ。少し食べてくれるか?」

 

「いいの?」

 

耀がそれを聞き、目を輝かせる

 

「別にいいよ。ほら、あーん」

 

「・・・あーん」

 

紫炎が差し出した瞬間、一瞬だけ耀は止まったがそのままパクリと食べる

 

「もう一口、あーん」

 

「あーん」

 

それを残っていた食事の三分の一まですると紫炎は残りを自分で食べようとすると、スプーンを耀に取られる

 

「どうした?耀」

 

「はい、あーん」

 

先ほどの紫炎と同じようにスプーンを向ける耀

 

「あーん」

 

「えへへ。あーん」

 

「あーん」

 

料理がなくなるまで二人は食べさせ続けた

 

「何か入りづらい」

 

「そんなことより仲良いな。・・・なあクリス」

 

「やらないぞ、アーシャ」

 

「わ、わかってるよ。そんな事」

 

「ヤホホホ」

 

食堂の前でアーシャとクリスのこんな言い合いがあったのはまた別の話

 

――――――――――――――――――――――

 

「あのー、紫龍さん?コレはどういう状況ですか?」

 

今現在紫龍と白夜叉は酒を頭から浴びたようにびしょびしょだった

 

「ちょっと昔話してたらエキサイトしすぎた」

 

「そのとばっちりだ」

 

「酒の席でふざけるな!このバカ師匠!!」

 

碓氷が珍しく怒り、紫龍の頭をグーで殴る

 

しかし、白夜叉はそんなことはなったかのように話を進める

 

「して、碓氷よ。少し頼みたいことがあるおだが、良いか?」

 

「・・・頼みごとの内容によります」

 

「そう警戒せずともよい。今回のゲームで活躍したノーネームに功績を授与したいと思ってな。うちの店員にも行かせるが、年の近いお主もついでに行ってほしいのだ」

 

碓氷はそれを聞き、不思議に思うことを白夜叉に聞く

 

「別にいいですが、魔王のゲームなのですから功績と言っても魔王・レティシアの隷属なんじゃないですか?」

 

「それはもっともな意見なのだが少し問題があってな。まずは全階層支配者について・・・」

 

「全階層支配者のことなら南にいる時にフェイス・レスさんから聞きました」

 

それを聞き、白夜叉は少々驚いた表情をしたが、すぐに元の表情に戻った

 

「それなら話が早い。魔王であり全階層支配者でもあるレティシアの隷属は“蛇遣い座”の主権も手に入れることになる。流石にそれは七ケタの、さらにノーネームが手に入れていいものではないからな」

 

「なるほどわかりました。それで授与する功績は何でしょう?」

 

「それを聞いてくるのがお主らの仕事だ。頑張って来い」

 

白夜叉はそういって奥の部屋に行った

 

流石に呑み過ぎていたのか、頭を押さえていた

 

「それで、紫龍さんはどうするんですか?」

 

「・・・気づいてたか。もちろん行かない。最低でも二週間は安静にしとかないと、人間の姿を維持するのがきつくなる」

 

紫龍もそう言って白夜叉と違う扉を開けて部屋に戻って行った

 

「それじゃあ僕も明日の事を聞いて、早めに寝ましょう」

 

碓氷はそうつぶやくと、女性店員がいるであろう場所へと歩き出した

 

―――――――――――――――――――

 

その日の夜、紫炎と耀はまた同じ部屋で寝ることになった

 

「なあ、耀。やっぱり俺、外で寝ていいか?」

 

「私と一緒じゃやなの?」

 

涙目+上目遣いで紫炎を見る耀

 

異性、それも自分の彼女にそんなことをされて断れるやつなんて一人もいないだろう

 

「グッ・・・。わかった、一緒に寝るよ」

 

紫炎はそう言うと、前日と同じようにベッドの端に移動する

 

しかし、耀も同じようにくっついてきた

 

「はあ。しょうがない」

 

紫炎はそういって耀の方を向くと、耀に抱き着いた

 

「紫炎、お休み」

 

耀はそう言うと、紫炎の胸にさらにくっ付いた

 

「ああ、お休み」

 

紫炎がそう返すと昨日とは違ってそのまま寝た

 

――――――――――――――――――――――

 

「おい、黒ウサギ。交代するからもう寝とけ」

 

十六夜がレティシアの部屋に入り、黒ウサギと交代しようとする

 

「す~、す~」

 

しかし、黒ウサギはレティシアのベッドの傍で寝息を立てていた

 

「ったく、こんな薄着でこんなとこで寝てたら風邪を引くぞ」

 

すると、元から自分で羽織るつもりだったのか布団を黒ウサギにかけてやる

 

そうして十六夜は黒ウサギの隣で本を読み始めた

 

「う・・ん。あれ?」

 

少しして黒ウサギが目を覚ますと寝る前と違う感触に少しだけ戸惑った

 

「起きたか。後は俺が見とくからお前はもう部屋に戻ってろ」

 

「え、十六夜さん!?あの、もしかしてこの布団・・・」

 

「ああ、そうだが」

 

「あ、ありがとうございます」

 

黒ウサギはウサ耳をパタパタと揺らしながら十六夜に向かって礼を言う

 

「いいってことよ。俺も可愛い寝顔を見れたことだし」

 

「ひゃう・・・」

 

十六夜がいつも通り、キザなセリフを言うと、黒ウサギの顔は真っ赤になる

 

「お休み、黒ウサギ」

 

「お、お休みなさいなのです~!!」

 

そういって黒ウサギは逃げるように部屋から走り去った

 

「いつも通り弄りがいがあるな」

 

十六夜はそういってもう一度本に視線を落した

 

―――――――――――――――――――――

 

「・・・夢の中だよな?こんな現実味のない風景見たことないし」

 

紫炎は今、抽象画に描かれている様な風景の真ん中にいる

 

「理解が早くて助かる。そうだよ、ここはお前の見てる夢だ」

 

いきなり声が聞こえたので、そちらの方を向くと、短い白髪の二十歳くらいの男が立っていた

 

「何者だ!!」

 

「分かりやすく説明するならこれかな」

 

そういって男は右手の甲を見せると、紫炎の左目にあった紋章と同じものがあった

 

「・・・それで何の用だ?」

 

「何、力試しをさせてもらいたくてな。其れによってはいくらか力を貸してやるよ」

 

「その言葉、忘れんなよ!」

 

そういって紫炎は腕に炎を纏わせる

 

「それじゃあ・・・俺に一撃与えれたらお前の勝ちでいいよ」

 

それを聞き、紫炎は少しキレかける

 

「なめてんのか?」

 

「一応、これはゲームだ。お前にも勝てる見込みがないとつまらないだろ」

 

紫炎はそれを聞いた瞬間、キレて殴りかかる

 

「なっ・・・」

 

しかし、男の目の前で何かに阻まれるかのように止まってしまう

 

「そんな攻撃じゃだめだな。せめてこれくらいじゃないとな」

 

男がそういうと、目の前から抵抗がなくなると紫炎に回し蹴りを食らわせる

 

「ちっ。丸腰相手に使いたくなかったが・・・」

 

紫炎はそういってギフトカードから剣を・・・

 

「あれ!?出ない」

 

「当たり前だ。此処は夢の世界。つまりはお前の精神の一部だ。外部のギフトであるギフトカードは使えん」

 

「そうか。やっぱり、炎で倒すしかないか」

 

紫炎はそういうと、手に炎を灯すと、オレンジ色だった炎が青色に変わった

 

「ほう。空気を取り込んで温度を上げたか」

 

「はっ。一撃で決めてやる」

 

「やれるならやってみろ」

 

男がそういうと、何か薄い断面のようなものが見えた気がした

 

(集中しろ。今の炎圧のまま一箇所に・・・)

 

すると、炎が一気に収束し始め、火球が出来上がる

 

「一つ質問だ。てめーを燃やしつくしても力は貸してくれるのか?」

 

男はそれを聞くと、大きく笑う

 

「ああ、出来ればな」

 

「じゃあ、行くぞ」

 

紫炎はそういって火球を高速で男に向かって打ち出す

 

その火球も薄い何かに阻まれるが、炎はその阻んでるものも燃やしている

 

「ほう。良い炎だ」

 

「はっ!随分余裕だな。このまま突き破ってやる」

 

紫炎がそういうと、火球はさらに燃え続ける

 

その瞬間、火球が阻んでいた壁のようなものを突き破る

 

「ふっ」

 

しかし、男は普通に手でその火球を払いのける

 

「なっ!」

 

流石に紫炎は驚くが、男は払った手を見ながら残念そうにつぶやく

 

「一発当たっちまったな。お前の勝ちだ」

 

「は!?防がれてるのに、俺の勝ちだって!?納得できるか!!」

 

「いいじゃないか。お前の勝ちなんだから」

 

男の気の抜けた返しに紫炎はある男を思い出し、いら立ちが頂点にまで達し、その男をぶん殴る

 

「その態度やめろ!腹立つ」

 

「出来るだけ努力するよ」

 

男がそういうと、だんだんと姿が薄くなっていく

 

「おい、どうしたんだ!?」

 

「言っただろ?ここは夢の世界だって。お前がもうそろそろ起きるんだろうよ」

 

「ちょっと待て。お前に色々聞きたいことが・・・」

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待て!!」

 

「!?」

 

紫炎が大声を出して飛び起きると、横でもう起きていた耀が驚いていた

 

「はぁ、はぁ。悪い、耀。驚かしちまったか?」

 

「う、うん。ちょっとだけ。ところで、うなされてたみたいだけど、どうしたの?」

 

「少しな」

 

紫炎が罰の悪そうに言うと、耀はきょとん、とした表情になる

 

「それより、レティシアの付き添い、いつだっけ?」

 

紫炎のその言葉を言った瞬間、扉が吹っ飛んだ

 

「おい、紫炎、春日部。お楽しみ中悪いが交代だ」

 

「ノック位しろ、十六夜。それとお楽しみ中ってなんだよ。俺は今さっき起きたとこだ」

 

紫炎は寝起きなのと十六夜が非常識な入り方をしたため、大分機嫌が悪い

 

それに気づいた耀があわてて声を出した

 

「そ、それより、紫炎。先に朝ごはん食べに行こう。お腹減っちゃって」

 

「・・・わかった。それと、十六夜。悪かったな」

 

いきなり紫炎が謝り、流石の十六夜も驚いていた

 

「・・・ったく。飯食ったら早く来いよ」

 

そう言った十六夜は部屋から出てレティシアのいるであろう部屋へと戻って行った

 

「それじゃあ行くか」

 

「うん」

 

紫炎と耀は手を繋いで食堂へと向かった

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