問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児― 作:gjb
とりあえず後悔はない
「へくちっ」
「38度2分。風邪ですね」
可愛らしいくしゃみをする横で体温計の数字をよむ黒ウサギ
紫炎はおろおろとしているが、他のメンバーはその様子を呆れてみていた
「落ち着きなさい、紫炎君。ただの風邪よ」
「そうですよ。二、三日もすれば治りますよ」
飛鳥と碓氷がそういうが、紫炎はそれでもおろおろする
「鬱陶しい。そんなに心配ならずっと看病してろ」
「そうだな。今の精神状態で他のことをされてもお荷物だからな」
十六夜とレティシアは紫炎にそういってから部屋を出る
それを見て碓氷と飛鳥も出た
「それじゃあお任せしましたよ」
黒ウサギもそう一言告げて出て、部屋には紫炎と耀だけになった
「よ、耀、大丈夫か?」
「うん。ただの風邪だし。……へっくち」
紫炎の言葉に耀が答えた後、またもやかわいいくしゃみをする
「本当に大丈夫か?なんかしてほしいことはないか?」
「じゃあまず落ち着いて」
異常に心配する紫炎に耀も少し呆れながらそういう
紫炎はわかった、というと大きく深呼吸をする
そして少し落ち着いてから耀の横に座る
「すまん。慌ててた」
「ただの風邪なのになんでそんなに慌ててたの?」
耀がそう聞くと、紫炎は頭をかきながら告げる
「だってよ、こっち来てから俺らが病気になったのって耀がペストのギフトで黒死病になっただけだろ?もしかしたら未知のギフトのせいとか箱庭特有の病気とか思ってな」
「もう、心配し過ぎ。……へっくち」
紫炎の言葉を聞いて耀は少し嬉しそうに返す
「してほしいことがあったら何でも言ってくれよ」
紫炎が耀の手を握りながらそういうと、耀は嬉しそうに手を握り返す
「それじゃあ一緒に寝てくれる?」
「ああ、それくらいだったら」
耀の言葉を聞いて紫炎は布団に入る
そして耀は紫炎に抱きつく
「えへへ、お休み紫炎」
「ああ。お休み耀」
二人はそういってキスをしてから抱き合って眠りについた
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「一体何やってるのよ!」
二人が心地よく寝ていると、飛鳥の声が響いた
「おい、飛鳥。病人がいるのに大声出すなよ」
「すぅー、すぅー」
紫炎は首だけ動かして飛鳥に注意をする
耀はよほど疲れているのか目を覚まさずに紫炎に抱きついたまま寝ていた
「だったら普通に看病しなさいよ!なんで一緒の布団に入ってるのよ」
「耀が一緒に寝てくれって頼んできたんだよ。風邪ひくとなんか心細くなるからそれでだと思うぞ」
怒ってる飛鳥に紫炎は耀を撫でながら答える
「特に耀は父親が行方不明になってから一人---まあ三毛猫とかはいたが---こうやって心配して看病してくれて甘えさせてくれるやつなんていなかっただろうからな」
紫炎がそういうと、飛鳥は何も言えなくなった
紫炎の境遇も似たようなものだと知っているので飛鳥はため息をついた後、二人に背を向ける
「今碓氷君がおかゆを作ってくれてるから春日部さんが起きたら教えに来てくれる?持ってくるから」
飛鳥はそういって部屋から出て行った
「さてもう一眠りするか」
紫炎はそういって耀を一撫でしてからもう一眠りつくことにした
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次の日、耀は完治した
「ぶいっ」
「ま、ただの風邪だったしな」
得意げにVサインをする耀に十六夜がそういう
「でも本当に大丈夫か?ぶり返すかもしれないから今日は休んでもいいんじゃないか?」
「大丈夫。昨日の遅れの分も頑張る」
過保護な紫炎に耀は気合の表情を見せる
そうしてノーネームはいつも通りの日常に戻って行った