問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第七十二話

紫炎は同盟の話し合いの後、境界門の起動がもう終わっていたので一日だけ泊まることになった

 

そして、紫炎はだれに起こされるでもなく、朝早くに起きた

 

「おい、ジャック。さっさと行こうぜ」

 

「急ぐ気持ちは分かりますが、まだ起動まで少し時間がありますよ?」

 

紫炎の言葉にジャックが少し呆れ気味に言う

 

「何が起きるか分からんからな。早めに行く分には良いだろ」

 

「はあ、わかりました。それじゃあ行きましょうか」

 

紫炎に根負けしたジャックはしょうがないといった表情で境界門に向かった

 

―――――――――――――――

 

碓氷は南に向かうため、境界門に来ていた

 

「起動まであと二、三分か」

 

碓氷が時間を確認してそうつぶやく

 

「お、碓氷。お前も南に行くのか?」

 

「え!?紫炎?何で東に?」

 

「ああ、同盟を結びに北まで行っててな。その帰り」

 

紫炎がそう言うと、碓氷が納得する

 

「なるほど」

 

「ヤホホホ。お久しぶりです、碓氷君」

 

「あ、ジャックさん。おはようございます。という事は同盟相手って・・・」

 

「ええ、貴方の思ってるとおりですよ」

 

碓氷がジャックがいたことにより、ノーネームの同盟相手がウィル・オ・ウィスプだとわかる

 

「しかし、疲れた。流石に五分でここからコミュニティの往復はきつかった」

 

「え?確かノーネームの本拠って東のはしだったよな?」

 

「そうだが、どうした?」

 

「何でわざわざこの一番早い起動時間にしたんですか?お昼ごろにもう一度あるのに」

 

碓氷が不思議そうに聞くと、横からジャックが口を開いた

 

「早く耀さんに会いたいからですよ」

 

「あ、なるほど」

 

碓氷はそれもそうかといった表情をする

 

すると、紫炎が碓氷の肩に手をかけ、笑いながら問いかけた

 

「俺はそう言う理由だが、お前はどうなんだ?」

 

「え?そ、それはアンダーウッドの復興を早めに手伝おうと・・・」

 

「「嘘だね(ですね)」」

 

碓氷の言葉にジャックと紫炎が声を揃えて否定する

 

「何でそんな声を揃えて否定するんですか!本当ですって!!」

 

碓氷が声を荒げて否定するが、二人はそんなのを気にせずに続ける

 

「しかし、碓氷も飛鳥に早く会いたいんだな」

 

「ヤホホホ。そうですか、飛鳥さんの為ですか」

 

「だから・・・」

 

「わかってるんだから、はいて楽になっちまえよ」

 

紫炎のその言葉を聞いた碓氷はため息をついて、口を開いた

 

「わかりましたよ、言いますよ。飛鳥さんの事は好きです」

 

碓氷の言葉を聞いた二人はやっぱり、といった表情になる

 

「でも、絶対に飛鳥さんには言わないでくれよ」

 

「は、なんで?」

 

「当たり前だろ。俺が思っていても、飛鳥さんがどう思ってるのかわかんないし」

 

(その辺は問題ないんだよな)

 

紫炎がそんなことを思っていると、ジャックが口を開いた

 

「もうそろそろ境界門の起動の時間ですね」

 

境界門の起動が始まった

 

――――――――――――――――――――

 

「ふぅ。疲れた」

 

耀は訓練が終わり、自室でくつろいでいた

 

(紫炎早く帰ってこないかな?)

 

耀がそう思いながらベッドに寝転んでいると、部屋の扉が開いた

 

「ただいま、耀」

 

すると、そこに紫炎が立っていた

 

それを見た耀は紫炎に抱きついた

 

「おかえり、紫炎。早かったね」

 

「まずはお前の顔が見たかったからな」

 

紫炎がそう言うと、耀が顔が赤くなる

 

すると、耀はそれを隠すように紫炎に顔をうずめる

 

「そんなことより同盟の話どうなったの?」

 

「ジンに今から報告しに行くつもりだが、一緒に来るか?」

 

「行く!!」

 

紫炎の言葉を聞いて耀が顔をあげて答える

 

慣れなのか、顔の赤みが引くのが早くなった耀

 

「それじゃあ、行こうか」

 

そうして、紫炎と耀は俗に言う恋人つなぎをしながらジンのいる場所に歩き出した

 

―――――――――――――――――――

 

「ふう。疲れた」

 

飛鳥も訓練が終わり、自室で休んでいた

 

(それにしても私のギフト、せっかくみんなと対等に闘えるだけのものだと思ったのに・・・)

 

飛鳥がそう考えると、深くため息をつく

 

飛鳥のギフトは火花を発生させるだけのギフトを、鉄をも溶かす炎を発生させるギフトに底上げさせることができる

 

反面、それにギフトが耐えられずに数回の使用で壊れてしまうのだ

 

(訓練とはいえ無償で提供してもらうなんて少し気が引けるわ。今からでも言いに行こう)

 

飛鳥がそう思い扉を開けた

 

「・・・えっと、お久しぶりです、飛鳥さん」

 

「え、碓氷君!?」

 

すると、そこには今から部屋をノックしようとしていた碓氷が立っていた

 

「どこか行かれるんですか?」

 

「ええ、ちょっとね。それより今回も仕事?」

 

「いえ、今回は自分の意志で来ました」

 

飛鳥はそれを聞き、少し気になった

 

「それで何で私の部屋の前に?」

 

「それは、その・・・。これを渡しに来たんです」

 

碓氷はそういって紫龍に渡されたリボンを飛鳥に渡した

 

「え!?これって」

 

「貴女へのプレゼントです。つけてみてください」

 

飛鳥はそう言われて今までつけていたリボンを外し、手渡されたリボンをつけた

 

「どう、かしら?」

 

飛鳥がそう言うと、碓氷は顔を赤くしながら答えた

 

「ええ、似合ってますよ」

 

「ありがとう」

 

碓氷の言葉を聞いた飛鳥も顔を赤くした

 

「そう言えばどこか行くんでしたね。ついて行ってよろしいですか?」

 

「ええ、いいわよ」

 

そう言って二人は肩が触れ合わない程度の距離を保ちながらガロロのいる場所に歩き出した

 

―――――――――――――――

 

紫炎と耀は部屋から出た後、ジンの部屋に着いた

 

「ジン、報告に来たぜ」

 

紫炎が扉の前で声をかけると、ゆっくりと扉が開いた

 

すると、ジンだけ出てきた

 

「あ、耀さんも一緒でしたか。立ち話も何ですし、どうぞ」

 

二人はジンに言われて部屋に入る

 

「あれ?十六夜は今いないのか?」

 

「はい、読みたい本があるそうなので。それよりどうでしたか?」

 

ジンの言葉に紫炎は笑顔で答える

 

「おう、もちろん成功だぜ。そっちも大丈夫だったんだろ?」

 

紫炎の言った言葉にジンは少しだけ暗い表情になる

 

「実は六本傷の方なんですが、頭首交代が近いそうなのでそちらに話を通すように言われてしまったので・・・」

 

「そうか。ならその時はいい報告を待ってるぜ」

 

紫炎はそう言うと、ジンの頭を撫でる

 

「あの、紫炎さん。やめてもらえませんか?」

 

子ども扱いされてるようで嫌だったジンが言うと、紫炎はすぐに謝る

 

「悪い悪い。それじゃあ俺らは昼食を食べに行くわ。行こうぜ、耀」

 

「うん」

 

紫炎の言葉を聞いて耀は嬉しそうに紫炎の手に抱きつく

 

そうして二人は食堂に向かった


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