問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児― 作:gjb
翌日、紫炎と耀は二人仲良く食事をしていた
「今日の騎手、誰にする?」
耀はスプーンに料理を乗せて紫炎にあーんとしながら聞く
「飛鳥になるんじゃないか?一番身体能力ないし」
紫炎はそう言うと、あーんと言って食べる
すると、食堂のドアが勢いよく開いた
「ここにもいない。紫炎さん、耀さん、飛鳥さんみませんでしたか?」
「見てないぞ?どうしたんだ?」
「そ、それが昨日から飛鳥さんの様子がおかしかったので、今日は一緒に朝食を食べようと飛鳥さんの部屋に行ったら飛鳥さんがいなかったのです。そしてこんな手紙が置いてたんです!」
そういって黒ウサギが二人に渡した手紙には『飛鳥ちゃんをちょっとだけ預からしてもらう。明日までには部屋に戻すから安心しててくれ』と書かれていた
耀はこれを見て二翼がノーネームの妨害の為に飛鳥を連れ去ったと思い、走り出そうとするが、紫炎に止められてしまう
「紫炎、飛鳥を探しに行かなきゃ」
「そうですよ!何でそんなに冷静なんですか!?」
「落ち着け、二人とも。何でこんなことをしたのかは知らんが、誰がやったかは分かった」
紫炎がそう言うと、二人は驚きのあまり目を丸くする
「あのな、もう一度この手紙を見てみろ。飛鳥のことを『飛鳥ちゃん』って呼ぶ奴に心当たりはないか?」
紫炎が呆れながら言うと、二人もその人物に気づいた様だ
「それじゃあ、俺が理由を聞いてくるからお前らは少し落ち着いとけよ」
そういって、紫炎が食堂のドアを開けようとすると、先にドアが開いて十六夜が現れた
「おい、お前ら何してんだ?」
「十六夜か。これ見ろ」
紫炎はそういって十六夜に手紙を見せた
「ほう、おっさんが言ってたのはこの事か」
「知ってたのか?」
「ああ。昨日、おっさんが来て教えてくれた」
十六夜がそんな風に言うと、紫炎は頭を掻きむしる
「その時に止めろよ。今回のゲーム、飛鳥のギフトが重要になってくるのに」
紫炎がイラついてるのを見て十六夜が黒ウサギに聞こえない程度の声で囁いてきた
「お嬢様と碓氷をくっつける為って言われたんだぜ?そんな面白そうなのを止められるか?」
「確かに・・・」
十六夜の言葉を聞いて紫炎は納得の表情を浮かべる
「何の話してるの?」
「私たちにも教えてほしいのです」
すると、置いてけぼりの女性陣が二人に詰め寄る
十六夜と紫炎はそんな二人を見て、アイコンタクトをする
[どうする?]
[春日部はともかく、黒ウサギに言うとこじれる可能性があるな]
[耀には俺から話すから頼んだぞ]
[わかった。任せとけ]
時間にして数秒でこれだけの意思疎通を見せる二人
「耀、教えるからこっち来い」
「うん」
「黒ウサギは俺が教えるからな」
「はいなのです」
男二人は自分の担当する女子を呼ぶ
紫炎は耀を胸に抱き寄せて耳に口を近づける
「耀、飛鳥の事だがな・・・」
「ひゃう!な、何をするんですか!?」
紫炎が耀に言おうとすると、黒ウサギが叫ぶ
「何って耳に息を吹きかけただけだぜ?それにしても可愛い声だったな」
十六夜が悪びれもせず、いつもの調子で言うと、黒ウサギは髪をピンク色にして走り去っていった
「飛鳥は碓氷と仲直りするために紫龍が連れ去ったんだって」
「へえー、そうなんだ」
黒ウサギの叫び声に一瞬驚いた紫炎だったが、別段気にせずに耀に飛鳥の事を伝えた
「少しきつくなるが、これくらいのハンデがあった方が面白いじゃないか」
十六夜が黒ウサギが出て行ったことを確認し、二人に告げる
「それじゃあ騎手は誰になるの?」
「普通に考えたら耀か俺になるな」
「なら、紫炎お願い。私はどうしてもやらなきゃいけない事があるから」
紫炎の言葉に耀が真剣な声音で言う
「個人的な感情をゲームに持ち込むのは許さん」
「で、でも・・・」
紫炎の言葉に耀が食い下がろうとすると、紫炎は耀の頭を撫でてやる
「けど、二翼を倒すには自由に飛べるお前が一番適任だから頼むぜ」
「紫炎大好き!」
耀はそういって紫炎に抱きつく
「おいおい、ここに俺がいることを忘れてないか?」
その様子を見ていた十六夜が呆れた風に言う
「悪い、耀しか見えてなかった」
「ごめん、紫炎しか見えてなかった」
二人はバカップル丸出しの言葉を言って、互いに抱きしめあう
すると、十六夜が思い出したかのように話しかけてきた
「そういや、お前ら昨日の夕食の時、来なかったよな?」
十六夜の言葉を聞いた瞬間、二人は激しく動揺する
「ふ、二人っきりで食べたかったんだよ」
「う、うん。そうだよ」
そんな二人の様子を見た十六夜がため息をつく
「落ち着け、二人とも。お前らの部屋の前を通り過ぎたのは俺だけだから安心してろ」
「「なっ!!」」
十六夜の言葉に二人は顔を赤くする
「それじゃあ俺は飯食うからお前らはさっさと準備しとけ。くれぐれも昨夜みたいなことをするんじゃねえぞ」
「「するか!!」」
二人は十六夜の言葉に声を揃えて返すと、外に出て行った
「紫炎のへたれを取り消さないとな」
十六夜は呟いてから作られていた料理に口をつけた
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碓氷が目を覚ますと、真っ暗な空間で隣で飛鳥が寝ていた
「こ、これは一体・・・」
碓氷は困惑しながら昨夜の事を思い出す
すると、最後の記憶に紫龍の事がぼんやりと思い出された
(あのバカ師匠、一体何がしたいんだ。何で飛鳥さんと・・・)
碓氷はそう思うと、自分のスーツの上着を飛鳥に掛ける
「飛鳥さんが起きる前に脱出の糸口だけでも見つけないとな」
(もう会わない可能性があるとはいえ、これ以上嫌な記憶は残したくないからな)
碓氷は氷の槍を作り、地面に突き刺す
しかし、槍は地面に触れた瞬間、はじけ飛んだ
「なっ!あのバカ師匠、一体どこに連れてきたんだ」
実際ではありえない現象に碓氷は驚く
「質が駄目なら量で押し切ってやる」
碓氷はそういってギフトカードから大量の水を出し、龍の形に整える
そしてそれを地面にぶつけさせる
しかし、水の龍は地面にぶつかった瞬間、全て霧散した
「触れた部分だけじゃなく、龍を象ってた全ての水が霧散した?」
碓氷が悩んでいると、頭に何かが乗ってきた
「うすい!」
「メルン!?アナタもいたんですか」
メルンの登場により、少しだけ落ち着く碓氷
「さむい!」
霧散した水滴により気温が下がっているので、メルンが叫ぶと、碓氷の髪に包まる
「すいません。すぐに戻しますね」
碓氷はそう言うと、霧を集めて氷の彫像を作る
「すごい!」
それを見たメルンは嬉しそうに彫像に近づく
「うーん。あれ?ここはどこかしら?」
すると、飛鳥が起きる
「あ、飛鳥さん」
「え!?碓氷君!?」
二人がお互いの事を認識して固まる
すると、二人の手元に手紙が現れた
その内容を見て二人は顔を赤くした
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白夜叉が女性店員を着替えに連れて行ったので、紫龍は今一人でうろついていた
「一人だとつまらんな。碓氷が鈍感じゃなくて、飛鳥ちゃんの思いに答えてたらあいつをパシらせてたのにな」
紫龍がそんなことを呟いていると、少し離れた所から声が聞こえてきた
「ジョーカーさん、用事が終わったならもう帰りましょうよ」
「せっかく大きいゲームがあるんだ。ノーネームの面々の実力が見れるかもしれんぞ?」
紫龍はその会話が聞こえた瞬間、そちらの方に走り出した
しかし、そこには紫龍が思った人物はいなかった
(逃げられたか?いや、気のせいか)
紫龍が自己完結をすませると、白夜叉が意気揚々と帰ってきた
「おう、龍。此処にいたか。どうしたのだ?」
「いや、なんでもない。それより二人ともちゃんと着たのか?」
紫龍が言う二人とは女性店員と黒ウサギの事だ
「もちろんだ。反論など許すわけがなかろう」
「ほう、それは楽しみだ」
紫龍がそういうと、白夜叉は紫龍のつけている黒い宝石のついたペンダントに気が付いた
「それは何だ?誰かからのプレゼントか?」
白夜叉が紫龍を小突きながら言う
「こんなおっさんがもらえるわけないだろ。自分で作ったんだよ」
「ほう、おんしは宝石も作れるのか」
「材料さえあればつくれるぞ。お前の分も作ってやろうか?」
「では、頼もうかのう」
紫龍の言葉に白夜叉が答える
「それじゃあ、明日の朝に渡すから」
「うむ、楽しみにしとるぞ」
二人はそういって、自分の持ち場に戻った