問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第八十六話

白夜叉から開催の宣言がなされた途端、フェイスレスが仕掛けた

 

彼女は蛇蝎の魔剣を引き抜いて範囲内にいる参加者の水着を切り裂いて行った

 

「「「きゃ、きゃあああああ」」」

 

切り裂かれた者たちは悲鳴を上げる

 

紫炎は炎で作った剣で何とか防ぐ

 

その所為で一瞬出遅れ、フェイス・レスに先を越されてしまう

 

「やべ」

 

「バカ野郎、出遅れすぎだ」

 

十六夜は紫炎に怒りながら同じく出遅れた数組を水中に蹴り落とした

 

「悪い」

 

紫炎が謝りながら馬を走らせる

 

「しかし、あの仮面の奴、結構面白い奴じゃねえか」

 

「そんな事言ってる場合じゃねえだろ。急ぐぞ」

 

走りながらおちゃらけている十六夜を紫炎は凄いと思いながらも怒る

 

「喋ってる余裕があるならちゃんと手綱を操る」

 

十六夜の方を向いていた紫炎に水中から飛び出してきた幻獣が襲い掛かってたのを耀が蹴り倒す

 

「悪い。けど、一番余裕見せてたのは十六夜だぜ?」

 

「騎手が落ちったらその場で失格になるんだから気を抜くんじゃねえよ」

 

「二人とも余裕見せすぎ」

 

三人は口喧嘩をしながら他の参加者を脱落させていった

 

―――――――――――――――――

 

映像で問題児たちの事を見ていたメイド組とリリは苦笑していた

 

「み、皆さん凄いですね」

 

「無茶苦茶ともいうけどね」

 

リリが精いっぱいフォローするが、ペストがバッサリと切り落とす

 

「君たちの同士は相変わらずだな」

 

すると、サラが四人に話しかけてきた

 

「サ、サラ様!?確か貴賓室の方にいたのでは!?」

 

「深い理由はない。ただ『議長』としてではなく『個人』として祭りを楽しもうと思ってな」

 

リリの言葉にサラが優しく答える

 

レティシアはサラに顔が見られないように麦わら帽子を深く被る

 

「すまないが氷菓子とジュースを一個ずつもらってもいいか?」

 

「あ、はい。どうぞ」

 

そしてサラは代金を支払う

 

「それでは。私はそこまで気にしていないからな」

 

サラはそういって去っていった

 

「知り合いなのか?」

 

「ちょっとな。昔、サラマンドラと親交があった時に相談に乗ってもらったことがあるんだ」

 

白雪の言葉にレティシアが少し恥ずかしそうに返す

 

するとサラが買って行ったのを見かけた人たちがたくさん来た

 

「おっと、話は終わりだ。仕事に戻ろう」

 

そうして四人は仕事に戻った

 

―――――――――――――――――――――――

 

『さあ、残り五チームになりトップはウィル・オ・ウィスプ。二位はノーネーム。そして三位から五位は二翼の選手たちです。いよいよアラサノ樹海の分岐路に入ります。此処からはどの経路を選ぶかで勝負が決まりますので直感を信じてください』

 

黒ウサギの実況を聞き、紫炎が耀の方を見る

 

耀はその視線の意味を察して飛び立っていった

 

「二翼か?」

 

十六夜もその意味を察したようだ

 

「ああ。あいつらは最短経路を知ってるだろうからな。それを抜きにしてもむかつくからな

 

「ヤハハハ、確かにな」

 

紫炎の言葉に十六夜は高らかに笑う

 

「けど、一位になるにはフェイス・レスを抜かなきゃならんから、こっちも最短経路で行くぞ」

 

紫炎がニヤリと笑いながら言うと、十六夜も何をするかわかったようだ

 

「OK。じゃ、行くか」

 

「ああ」

 

二人はそう言うと、まず騎手を交代する

 

そして紫炎は騎馬の前に立つと、騎馬に鎖を巻きつける

 

「行くぞ!」

 

そういって紫炎は前の木々を焼き払いながら、騎馬を引っ張って真っ直ぐ進んでいった

 

―――――――――――――――――――――――――

 

『えっと・・・』

 

会場から卑怯だ、という言葉に黒ウサギは困惑していた

 

確かにやり方としては常軌を逸していると思うが、契約書類に書いてある禁止事項には何一つ抵触していないのだ

 

黒ウサギは助けを求めて白夜叉の方を見る

 

「皆の言うことはもっともだ。だが、彼らは何一つルールは違反しておらん」

 

白夜叉がそう宣言すると、不満を漏らしていた者たちは納得はしていないが一応引き下がった

 

「ボス。彼らは確かにルールは違反していませんが、あの樹海を焼くなど・・・」

 

「大丈夫だ。後始末は全て龍がやってくれる」

 

白夜叉はそういってボコボコにされた紫龍を指す

 

「それならば、まあ・・・」

 

女性店員は少し言い淀む

 

紫龍が本当にあの焼けた樹海を直せるか分からないからだ

 

「心配するでない。あやつなら一日もあれば大丈夫だ。それよりゲームの観戦を楽しもうぞ」

 

女性店員の不安をかき消すように白夜叉は高らかに笑い、モニターに視線を戻した

 

―――――――――――――――――――――――――

 

突然出てきた手紙にはこう書いてあった

 

『碓氷。お前が飛鳥ちゃんと何があったかは知らん。けど、何も言わずに去るのは、ただ逃げてるだけだ。ちゃんと飛鳥ちゃんの事が好きっていうお前自身の本当の気持ちを自覚して、取るべき行動をとりな。飛鳥ちゃんを悲しませないように

                                        紫龍より』

 

碓氷はこの手紙を見て顔を赤くする

 

「ねえ、碓氷君」

 

すると飛鳥が同じように顔を赤くして碓氷に問いかけてきた

 

「ど、どうしました?」

 

「昨日、途中でいなくなったじゃない?だから聞いてほしいの、私の気持ちを」

 

飛鳥はそう言うと、碓氷の両手を握る

 

「私は碓氷君の事が好き。だからあの時に一緒にいてくれるだけでいいって言ったの」

 

飛鳥の言葉に碓氷はショートしかける

 

「これは私の気持ち。碓氷君、貴方の気持ち聞かせてほしいの」

 

そういって飛鳥は真剣な眼差しで碓氷を見つめる

 

「ぼ、僕は・・・。俺は・・・」

 

 


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