問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児― 作:gjb
「つ、疲れた」
折り返しの場所まで直進してきた紫炎は流石に疲れを見せていた
「とりあえず馬上で休んどけ。果実は俺がとってくるよ」
十六夜がそう言うと、二人は騎手を交代する
紫炎は馬上で休み、十六夜は果実をとる為、樹に上る
しかし、十六夜は樹の上に上ると、遠くを見て止まっていた
「どうした?十六夜」
「・・・絶景だなと思ってな」
紫炎の言葉に十六夜が少し気の抜けた声で返す
紫炎はそれだけでその景色の素晴らしさがわかった気がした
「けど、今はゲームに集中な」
「分かってるよ」
十六夜はそういって果実をとって下りてくる
すると、他のルートから一体の騎馬が現れた
「貴方達が来ることは予想していましたが、まさかこんな方法で先を越されるとは」
フェイス・レスは呆れながらも蛇腹剣を引き抜き、果実を一瞬で奪い去る
そして、二チームは膠着状態になる
紫炎達の後ろは滝となっていてそこから飛び降りれば迂回ルートであるアラサノ樹海を通らなくて済む
しかし、その滝はかなりの高さな上、激流の為に上るのを諦めたほどである
何の策もなく飛び降りれば死ぬことになるし、策があっても飛び降りるには少しためらいがある
一方、フェイス・レスの後ろはアラサノ樹海で紫炎達が作った道を真っ直ぐ進めば普通に勝てる
しかし、戻ろうと後ろを振り向く時のすきを十六夜は見逃すはずがない
その膠着状態を崩したのは突然の地鳴りだった
紫炎と十六夜は何が原因か分からなかったが、フェイス・レスだけは気づいて眼下を見下ろしていた
「“枯れ木の流木”と揶揄されたあの男がこんな遊びのゲームに?」
うわ言のように彼女らしからぬ言葉を紡ぐ
その先にいる男は十六夜達も知っている男だった
「いやー、寝坊してもうた。折角白夜王にねじ込ませてもろうたのに悪いことしてもうたわ」
胡散臭い関西弁を喋る蛟劉が最後の参加者
しかし、彼は先日のような親しみはない
絶対の自信と覇気を持って津波と共にこちらに猛追してくる
「十六夜、任せて大丈夫か?」
「ああ。けど、あの仮面の騎士までは手が回らないぜ」
「分かってる。それじゃあ、無事を祈っててくれ」
紫炎はそう言うと、後方の滝に飛び込んだ
フェイス・レスもそれを見て滝に飛び込む
「あら?彼一人で彼女の相手させるん?君も行かんでええの?」
蛟劉が笑いながら問いかけると、十六夜も返す
「ハッ!テメー一人残しといたらすぐに果実とって速攻で戻っちまうだろうが」
「否定できひんな」
「だからうちがゴールするまで遊んでてもらうぜ!」
十六夜はそういって蛟劉に殴りにかかった
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紫炎とフェイス・レスは滝に飛び降りながら、剣を交えていた
紫炎はギリギリながらもフェイス・レスの斬撃を受け切っていた
そして両方の騎馬が水面に近づくと、二人はお互い剣で弾き、距離をとる
フェイスはギフトカードから二本の槍を出し、水面に当たる直前にそれを振り下ろし、完全に勢いを殺して着地する
紫炎は両手から一気に炎を出して落下速度を弱めて着地した
着地は殆ど同時だったが、スタートの時に馬術の差でフェイス・レスに先を越されてしまった
「くそっ!負けてたまるか!!」
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碓氷は飛鳥の言葉を聞いて、戸惑っていた
自分だけが思えればよかった
飛鳥がどう思ってても構わなあい
ただ遠くから、自分の心の中だけで思っている気持だと思っあていた
しかし、実際は飛鳥も同じ気持ちだという
「僕は・・・。俺は・・・」
ただ『自分も同じ気持ち』という事を飛鳥に伝えればいいだけなのに、その言葉が出てこない
「ご、ごめんなさいね。こんな聞き方じゃ断れないわよねえ」
飛鳥はそういって碓氷の手を離して距離をとろうとする
「ま、待ってください」
しかし、それを碓氷が手を取って止める
「すいません。自分の気持ちをただ伝えればいいだけのはずなのに、すぐに言えなくて。そのせいで貴女のこんな悲しそうな顔をさせてしまうなんて」
碓氷の言葉を聞いて飛鳥は驚く
確かに内心はフラれたと思い悲しい気持ちにはなったが、表情に出したつもりがなかったからだ
「許してもらえるならもう一度チャンスを貰ってもいいですか?」
「・・・ええ」
「僕も・・・俺もあなたの事が好きです、飛鳥さん」
碓氷が顔を赤くして、絞り出すようにそう言うと、飛鳥は目から涙をこぼす
「嬉しい」
碓氷はそんな飛鳥を見て少しだけ思うことがあった
(紫龍さんには悪いけど、東に残る理由が出来たからな)
そう思いながら碓氷が飛鳥を見ていると、パチパチと拍手のような音が聞こえた
「誰だ!」
その瞬間、碓氷は飛鳥を庇うようにして、周りを見渡す
しかし、声がするだけで周りには誰もいない
「お二人が恋人同士になったことですし、私の役目はこれまでですね」
その言葉が聞こえた瞬間、闇に包まれていた空間が光に包まれた
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紫炎達が滝から飛び降りたくらいの時、紫龍たちは呑気に酒を飲みながら観戦していた
「ほう。おんしの息子もなかなかやるな」
「でも、スタートが悪い。・・・ん?」
思い思いの感想を言ってると、紫龍が付けていた宝石が光る
「もうか」
「ん、何がだ?」
紫龍が呟いた言葉に疑問を持った白夜叉が聞くが、紫龍はそれを無視して宝石を放り上げる
すると、宝石が割れてそこから碓氷と飛鳥が出てきた
「きゃあ!」
「痛っ!」
飛べない二人は地面に落ちる
体制としては向かい合う形で碓氷が飛鳥の下敷きになっている
「ほら、飛鳥ちゃん。早くしないとゲームが終わっちゃうよ?碓氷、連れて行ってあげなさい」
「え?え?」
紫龍が出てきた二人にそう言うと、飛鳥は何が何だか分からず、周りを見渡す
すると、ゲームの映像がモニターに映っているのを見つけた
「今から急いで着替えに行けば間に合うよ?碓氷、案内してあげな」
紫龍の言葉を聞いた飛鳥が、碓氷の方を見る
碓氷は飛鳥の手を取って走り出した
「ほう。どうやったかは知らんが、宝石にあの二人を閉じ込めた理由はそう言う理由か」
二人の様子を見た白夜叉が紫龍にだけ聞こえるように囁く
「まあな。前言った通り、東から出てくからその前に手を打っておこうと思ってな」
紫龍のその言葉に女性店員が詰め寄った
「き、聞いてないですよ」
「え、だって言ったの白だけだし。それにお前は俺がいなくなっても別に何とも思わないだろ?」
紫龍が真顔でそう言うと、女性店員は顔を赤くする
「うるさい、このバカ男!!」
そして、紫龍を蹴飛ばす
「おい、おんしら。少しは静かにせい。今良い所なのだから」
白夜叉のこの言葉に女性店員は少し恥ずかしそうにしながらモニターに視線を戻した
紫龍は落ち方が悪かったのか、ピクリとも動かなかった
全然ネタがでてこない・・・