問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児― 作:gjb
紫炎は滝から飛び降りた後、フェイスの後ろを猛追していた
しかし、フェイスの蛇腹剣の攻撃の所為で中々近づくことができない
『さあ、ゲームもいよいよ終盤。現在はウィル・オ・ウィスプがトップ。しかし、ノーネームも良い位置につけています。これはどちらが勝ってもおかしくありません』
紫炎は黒ウサギの実況を聞き流していると、耀がやってきた
「紫炎!」
「耀か。っと、もうちょい余裕があればキスでもしてるんだが・・・」
紫炎が剣を防ぎながらそういうと、耀は頬を赤らめる
「もう。優勝出来なかったらお預けだよ?」
「何!?」
紫炎は耀の言葉を聞き、気合の入った顔になる
フェイス・レスはそれを気にせずに蛇腹剣で攻撃してくる
紫炎は今まで剣で受け切っていたが、今回は炎をムチ状にして蛇腹剣に巻きつける
「!?」
いきなり捕まれたせいで、急に止まってしまいそうになるフェイス・レス
しかし、手綱を握り、驚異の技術で何とかこらえる
「よし。耀、交代!」
「うん」
その隙に紫炎と耀が騎手を交代する
フェイスは蛇腹剣をギフトカードにしまい、走り出そうとする
「おっと、行かせるか」
紫炎がその瞬間、フェイスに切りかかる
出ばなをくじかれたフェイスを耀が抜き去る
フェイスも紫炎を槍で牽制しながら走り出す
「くっ、そ」
一旦離された紫炎だったが、もう一度フェイスに突撃する
フェイスはそれを見て、追い払うように槍を横に振るう
紫炎はそれを左手でそのまま受ける
その瞬間、紫炎は右手で炎を鎖状にしてフェイスの身体に巻きつける
「なっ!?」
そして、紫炎が槍で吹っ飛ばされると、鎖に繋がれたフェイスも引っ張られる
「まあ、今回は痛み分けってことで」
紫炎がニヤリと笑いながらそう言うと、二人は水に落ちた
そしてノーネームの優勝が決定した
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飛鳥はテントで水着に着替えて今からゲームに行こうとした時にノーネームの優勝の放送が聞こえてきた
「間に合わなかった」
心底残念そうな声で飛鳥が言う
今回のゲームは新しい自分のギフトの力を試すのと同時に、始めて肩を並べて戦えると思ったからだ
碓氷はそんな飛鳥を見て、頭を下げる
「すいません、飛鳥さん。うちのバカ師匠がご迷惑を・・・」
「良いわよ。碓氷君のせいじゃあ・・・」
飛鳥はそこまで言うと、言葉を区切って顔を赤くしてもう一度言葉を紡ぐ
「そ、それじゃあ悪いと思ってるなら、どこか人気の無い泳げる場所はないかしら?折角水着に着替えたから」
飛鳥の言葉を聞き、碓氷は少し考え込む
「・・・分かりました。少し離れたところにあるので」
碓氷はそういって飛鳥に自分のスーツを肩にかける
「ありがとうね、碓氷君」
「いえ、これくらいは当たり前です」
碓氷の言葉を聞いた飛鳥はは少しだけ不満そうな顔をする
「ねえ、碓氷君。なんで敬語なの?」
「癖ですけど・・・。どうしてですか?」
「だって、せっかくその・・・。気持ちを知ってもらえたのに他人行儀だから」
飛鳥が指を合わせながら恥ずかしそうにつぶやく
碓氷はそんな飛鳥を見て、嬉しく思う
「分かりました。それじゃあ行こうか、飛鳥」
「うん」
碓氷が手を出してそう言うと、飛鳥は嬉しそうに微笑んでその手を取った
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「それでは、優勝チームのコミュニティ“ノーネーム”の方々です」
黒ウサギの言葉の後、紫炎達は優勝を決めて壇上に上がった
紫炎は水に落ちた時に濡れた服は自分のギフトで乾かしていた
十六夜は黒ウサギからマイクをひったくり、喋りだした
「昨日、俺達ノーネームと二翼とのゴタゴタがあったのは知ってるな」
十六夜の言葉に紫龍が「知らないぞー」と呑気に言ったので、白夜叉が殴って静かにさせる
「そしてその後の会議の時に二翼の長、グリフィスとこのゲームの敗者が壇上で謝罪をするという口約束をしていた」
十六夜の言葉に周りがざわつく
「それは本当の事や。僕が証人や」
すると、舞台の袖から蛟魔王がグリフィスを連れて出てきた
グリフィスは苦い顔をしているが逃げ出す様子はない
「それじゃあ、今回の謝罪をしてもらおうか。関わった奴らにな」
十六夜がニヤリと笑いながら言うと、紫炎がいつの間にかリリとジンとサラを連れて来ていた
「この三人と、後は耀にだ」
紫炎はそこまで言うと、グリフィスに近づき、囁く
「グリーの事は白夜叉がいるからここでは勘弁しといてやる」
殺気を込めた紫炎の言葉にグリフィスは黙ってしまう
一方、リリとジンはいきなり連れてこられて困惑している
しかし、十六夜が経緯を簡単に説明し、グリフィスが謝罪をしてその場は収まった
そしてグリフィスは苦い顔をしながら去っていった
「それでは優勝したノーネーム、望みのギフトを言ってみよ」
白夜叉が機を見て問いかけてくる
すると、十六夜が真剣な顔をする
「サウザウンドアイズのグリフォン、グリーをノーネームに迎えたい」
白夜叉はその言葉を聞いて少し驚く
「まあ、本人の了承を得れば良いが・・・。本当にそれでいいのだな?」
「くどいぜ、白夜叉。あいつの翼は俺の手足の代わりになくなったんだ。その傷が癒えるまででもうちのコミュニティに引き取らせてほしい」
十六夜の言葉を聞き、白夜叉は納得する
「わかった。返事を聞き次第、主らに報告しよう」
白夜叉はそういって高らかに笑って去っていった
「まあ、これで万事解決か」
紫炎が深く息をついてけだるそうに言うと、審判の役目が終わった黒ウサギが怒ってきた
「何が万事解決ですか!飛鳥さんの事が全然解決してないのですよ!!」
「黙れダメウサギ。そんなもん攫った本人に聞けばいいだろ」
ダメウサギとはなんですか!!、という黒ウサギの言葉を無視して実況席の方に目を向ける
しかし、そこには誰もいなかった
「・・・いないな」
「いないね」
「いないよな」
三人が淡々と述べると黒ウサギが一拍置いて髪をピンク色にして怒り出す
「何でそんなに冷静なんですか、御三人方!!」
そんな黒ウサギを見て三人はため息をついて口を開いた
「分かったよ、探しに行けばいいんだろう?」
「俺は店にいるかもしれないから探してくる」
「私と紫炎は人気がない場所を重点的に探しに行く」
紫炎、十六夜、耀が順番にそう言うと、黒ウサギが疑惑の目を向ける
「そんな事言って、黒ウサギの目をごまかして遊ぶつもりじゃないでしょうね」
黒ウサギの言葉を聞いて、紫炎は耀を抱き寄せる
「「「さらば」」」
そして三人はそれぞれその場から去っていった
その場に取り残された黒ウサギは項垂れ、ジンとリリに慰められるのであった
アンケートは明日が締め切りです