問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第八十九話

飛鳥と碓氷は少し離れた湖に来ていた

 

飛鳥はそこで泳いでいたが、碓氷は湖の外で座っていた

 

「ねえ、碓氷君。泳がないの?」

 

「飛鳥さんは水着だけど、僕ははスーツですから。・・・うわっぷ」

 

飛鳥はそれを聞いて、不満そうな顔をして碓氷に水をかけた

 

「ど、どうしたんですか?」

 

「敬語。二人っきりの時くらいはなくしてって言ったでしょ?」

 

「ごめん、飛鳥。癖が抜けるまではちょくちょく出るかも」

 

碓氷が謝ると、飛鳥は碓氷の隣に座る

 

「まあ、これから慣れていけばいいもんね」

 

飛鳥が碓氷の肩に頭を乗せながら言うと、碓氷は飛鳥の頭を撫でてあげる

 

「ひゅー、ひゅー」

 

すると、何処からか現れた紫龍が棒読みでそう言う

 

その瞬間、二人は離れる

 

「どうした?俺の事なんて気にせずに続きをどうぞ」

 

「「うるさい」」

 

紫龍の言葉が終わった瞬間、二人は紫龍を湖に蹴飛ばした

 

「酷いじゃないか」

 

「うるさい。用もないのにいきなり現れるからだ」

 

碓氷がそういって湖の水を槍状に変えて紫龍につきつける

 

「用ならあるよ。昨日話した件だ」

 

紫龍がそう言った瞬間、碓氷は動揺する

 

「紫龍さん、そのことは・・・」

 

「まあ、今日の夜にでも話す事にして、それまで楽しんどけ」

 

紫龍はそういってその場から消えた

 

「この事だけ言いに来たのか?」

 

紫龍が消えて、碓氷がうわ言のように呟く

 

すると、飛鳥が碓氷の後ろに立つ

 

「えい!」

 

「うわっ!」

 

そしていきなり飛びついて湖にダイブする

 

「ちょ、何を」

 

「ほら、スーツも濡れちゃったし、一緒に泳ぎましょう」

 

飛鳥が碓氷の手を握ってそう言うと、湖の方に引っ張った

 

「ま、待った。上着ぐらいは脱がさせて」

 

碓氷の言葉に飛鳥は渋々手を離す

 

碓氷は湖から出てスーツの上着の水分を飛ばして、しわにならないようにたたむ

 

「ごめん。スーツって水吸うと重くなるから」

 

碓氷がそういうと、飛鳥がまた手を握ってくる

 

「さ、泳ぎましょ」

 

微笑んだ飛鳥に見とれながら、碓氷は頷き湖に入った

 

―――――――――――――――――

 

紫炎と耀はレースが行われていた川の上流に来ていた

 

「水着に着替えたんだから泳ぎたかったんだ。付き合ってもらってありがとうね、紫炎」

 

微笑みながら耀がそう言うと、紫炎は思いっきり耀を抱きしめる

 

「やっぱ可愛いな」

 

耀はそれを受け入れる

 

「このままずっと抱きしめておきたいけど、何のためにここに来たか分からなくなるよな」

 

紫炎がそういって離れようとすると、耀が抱き寄せる

 

そしてそのまま川にダイブする

 

「・・・耀。こういうことするなら一言言え。危ないから」

 

紫炎が耀の頬を引っ張りながら言う

 

「驚かそうと思ってやってるから言ったら意味がない」

 

耀がそう言うと、紫炎の頬にキスをする

 

「ったく。そんな事されたらもっと抱きしめたくなるじゃないか」

 

紫炎がそういって耀を抱きしめ、キスし返す

 

「もうこれ以上は駄目」

 

耀はそういって紫炎を引きはがす

 

「どうしてだ?」

 

紫炎が耀に尋ねると、耀は顔を赤くしながら答える

 

「だって、これ以上されると我慢が出来なくなるから」

 

「耀!」

 

「だからダメ。今は泳ぎたい」

 

紫炎が我慢できずにもう一度抱きしめようとすると、耀は紫炎の頭を叩いて止める

 

「悪い。それじゃあこうならいいか?」

 

紫炎はそういって恋人つなぎをする

 

「うん。じゃあ、泳ごうか」

 

耀がそう言うと、二人は手を繋ぎながら器用に泳いだ

 

―――――――――――――――――――

 

「はあー、泳いだ泳いだ」

 

「うん、疲れた」

 

紫炎と耀は二時間ほど泳いだ後、着替えに戻っていた

 

「ふ、ふ、ふ。待ってたのですよ、お二人様」

 

すると、テントの前に黒いオーラを纏った黒ウサギが立っていた

 

「さあ、覚悟はよろしいでしょうか?」

 

黒ウサギがハリセンを持って一歩踏み出すと、紫炎が手で制す

 

「待て、黒ウサギ。せめて耀は着替えさせてやってくれ」

 

「まあ、それぐらいは待ちましょう。しかし、それまでは赤羽さんを説教しておきます」

 

黒ウサギがそう言うと、耀が更衣室の方に入って行った

 

「そもそも赤羽さんを含めた皆さんは落ち着きが足りません。それに・・・」

 

紫炎は黒ウサギの説教を黙って聞いた

 

五分ほどたつと、耀が着替え終わったのか、カーテンを少し開けてこっちを見ている

 

「・・・っていう事もありました。そもそも皆さんにはコミュニティの主力としての自覚が・・・」

 

紫炎は黒ウサギの説教がまだまだ続くと思ったので、黒ウサギの目の前に自分そっくりの炎を作り、耀のところまで見えないように移動する

 

「・・・耀」

 

「えっ!?紫炎?」

 

紫炎が耀に小声で言うと、耀がびっくりする

 

一瞬大声を出しそうになった耀だったが、今の状況を考えて小声で返す

 

「面倒臭いし、もう戻るか」

 

「うん。お腹も減ってきたし」

 

耀がそういうと、紫炎が傲慢のギフトを使い、その場を後にした

 

ちなみに黒ウサギが紫炎を偽物だと気づいたのは一通り愚痴が言い終わった三十分後の事だった

 

 

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