問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第九十話

ゲームが終わって、夕食の時間

 

問題児四人と黒ウサギと碓氷が紫龍に呼び出せれて、食堂にやって来ていた

 

「さて、みんな揃ったみたいだし、話でもしようか」

 

紫龍はそう言いながらみんなの前に現れた

 

「し、紫龍さん!?一体どこから」

 

「黙れダメウサギ。話が進まん」

 

紫炎がそう言うと、黒ウサギがハリセンを取り出す

 

「余程お説教がされたいそうですね。お昼もにげられましたし、夜通しで、って耀さん!?なんで耳を、きゃあ!!」

 

紫炎を怒ろうとしていた黒ウサギの耳を耀が掴み、外に放り出す

 

そしてその後、紫炎の腕に抱きつく

 

「話の続きを言うと、飛鳥ちゃんをさらったのは俺だ」

 

紫龍はさっきの事をなかったかのように話を進める

 

「それは知ってる。それより何で俺らをここに集めたんだ?」

 

紫炎はいら立ち気にそう言うが、耀に抱きつかれていない方の腕で耀の頭を撫でている

 

「集めた理由は今回の件のお詫びってところかな」

 

紫龍はそういって事前に作っておいた料理を出した

 

「これだけ?」

 

常人には結構な量の料理が出せれたが、耀は残念そうにつぶやく

 

「まあ、食べながら新しく作ってあげるよ。それともう一つ重要なことがあるけどそれは飯を食い終わってから・・・」

 

「「先に話せ。気になるだろうが」」

 

紫炎と十六夜が声を揃えて紫龍にツッコむ

 

「・・・まあ、勿体つける事じゃないからいうけど、収穫祭が終わったら東から出て行くから」

 

紫龍が何でもないようにいうと、 飛鳥がいきなり立ち上がる

 

「そ、それは、碓氷君もついて行くの?」

 

飛鳥が残念そうにそういうと、碓氷が口を開いた

 

「紫龍さん、俺は東に・・・」

 

「いや?碓氷は今回の件の罪滅ぼしとして俺の代わりにノーネームに行ってもらおうと思っている」

 

碓氷の言葉を遮って紫龍はいつも通りの口調で言う

 

すると、飛鳥はホッと胸を撫で下ろす

 

「話は以上だ。まずは飯でも・・・」

 

紫龍はそういって料理の方に目を向けると、唖然とする

 

すでに皿は空っぽだったからだ

 

碓氷と飛鳥も今気づいたようで、驚いていた

 

「紫炎、十六夜君。一体何が起きたんだ?」

 

耀はすでに紫炎の肩に頭を預けて寝ている為、紫龍は二人に尋ねる

 

すると、二人は耀に視線を向ける

 

「もしかして短時間に一人で?」

 

紫龍が恐る恐る聞くと、紫炎は首を縦に振る

 

「それじゃあ俺は耀を部屋に戻しとくから」

 

紫炎はそういって耀をおぶり、その場を後にした

 

「しょうがない、作り直すか」

 

紫龍は少し残念そうに調理場の方に向かう

 

「僕も手伝いましょうか?」

 

「別にいい。ノーネームの皆に俺のイメージを変えるためにするから」

 

碓氷の言葉を紫龍は本音たっぷりで返す

 

「あの人、料理出来るの?」

 

飛鳥が心配そうに碓氷に耳打ちする

 

「出来ますよ。僕の料理の師匠でもありますから」

 

碓氷が普通の口調で返すと、飛鳥と十六夜は驚く

 

「そりゃあラッキーだぜ。そんな奴の料理も食えて、碓氷もうちに来て、さらにお嬢様にも恋人が出来たんだからコミュニティとしては万々歳だぜ」

 

「「なっ!?」」

 

十六夜の言葉に二人は顔を赤くする

 

「ん?間違ったことは言ってないと思うが?」

 

「それはその・・・間違いではないけど」

 

飛鳥は恥ずかしそうに顔を逸らしながら返す

 

碓氷も頬を掻いて曖昧に笑うだけなのを見て十六夜がため息をつく

 

「付き合って一日目で期待は薄かったが、ここまで進展しないもんか?」

 

「両方とも奥手だからね。あと、碓氷がとてつもなく鈍感だからくっつけるのにも大変だったんだよ」

 

十六夜の言葉に料理を持って出てきた紫龍が続ける

 

「紫龍さん。奥手なのは認めますが鈍感って言うのは訂正を求めます」

 

碓氷が紫龍を指さし力強く宣言する

 

「いや、鈍感」

 

「ああ、超鈍感」

 

しかし、紫龍と十六夜は即座に全否定する

 

「お前さ、前にいたコミュニティのユラちゃんって覚えてる?」

 

「?覚えてますけど」

 

いきなりの話題転換に頭がついていかない碓氷

 

「あの子お前の事が好きだったんだぞ」

 

「え!?そうなんですか!?」

 

紫龍の言葉に本気で驚く碓氷に紫龍はため息をつく

 

「あの子、プレゼントとか渡して大分わかりやすかったぞ?」

 

紫龍の言葉に碓氷はただただ驚いていたが、飛鳥は一つ聞きたいことがあった

 

「あの、他にはどうだったんですか?」

 

「そうだな。行ったコミュニティに一人は好意を持たれてたな」

 

紫龍の言葉に飛鳥だけでなく碓氷も驚く

 

「まあ、過ぎた話はそれくらいにして食べてくれ。力作だぞ」

 

無理矢理話を切り替えて紫龍が食事を促す

 

「それじゃあ、いただきます」

 

飛鳥はそういって一口口をつける

 

「おいしい」

 

「そりゃあ良かった」

 

飛鳥が素直に感想を述べると、紫龍は嬉しそうにそう言う

 

「紫龍さんは指導と料理の腕“だけ”はかなりのものですから」

 

碓氷がそういって料理に手を伸ばそうとすると、紫龍に手をはたきおとされる

 

「これはノーネムの皆へのお詫びだ。お前は自分で作れ。俺の分も一緒に」

 

紫龍の言葉に碓氷はため息をつきながらも渋々従う

 

「おっさん。そいつはノーネームによこすんじゃなかったのか?」

 

「明日からだよ、十六夜君。そしておっさんって言うのはやめてほしいな。地味に傷つく」

 

十六夜の言葉に紫龍がそう返すと、黒ウサギが戻ってきた

 

「皆さん!耀さんと赤羽さんはどこに行きましたか!?」

 

すぐに周りを確認し、二人がいないことに気が付いた黒ウサギはすぐにそう尋ねる

 

「俺ならここにいるよ」

 

「変態は黙ってください!!」

 

同じ苗字の紫龍がふざけて返事をしたのを黒ウサギは一蹴すると、紫龍は項垂れる

 

「お二人はどこなんですか!!」

 

「二人なら・・・ムグッ」

 

「二人なら出て右に曲がった突き当りの部屋にいるぜ」

 

黒ウサギが殺気を込めて聞くと、碓氷が喋ろうとしたので、飛鳥が口を押え十六夜が代わりに答えた

 

黒ウサギはそれを聞いた瞬間、部屋を飛び出して行った

 

「素直に教えたら面白くないだろ?碓氷」

 

「いや、面白さとか関係ないでしょ」

 

黒ウサギがいなくなったのを確認して十六夜が碓氷に言うと、碓氷はそんな十六夜を見てため息をつく

 

「それより十六夜君、さっき言ったのは・・・」

 

「うにゃあああああ。や、やめてください、この駄神様!!」

 

飛鳥が何処の場所なのか聞こうとすると、そんな叫び声とその後に爆音が響いた

 

「なるほど」

 

飛鳥はそれで納得したので食事に戻った

 

「碓氷、腹減った」

 

紫龍は飯を作るのをやめ、そう言うので碓氷はそちらに神経を移すことにした


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