やってきたのは電子の世界   作:泥人形

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今書いてあるの全部続き思いつかなくて息抜きで書いた作品。
いやほんとどれもこれも3000くらいは書けるんだけど気に入らなくて消しちゃうのよね…


やってきたのは電子の世界

 ――デジタルモンスター、縮めてデジモン。

 俺がまだ、小学生だった時に流行っていた育成ゲームの名称だ。

 卵から孵化させ、生まれてきたデジモンを自分好みに成長させ、進化させていく。

 そんなどこにでもあるようで、当時は凄まじい程の人気を誇ったゲーム。

 

 当時小学生だった俺もまた例にもれずそのデジモンにドはまりした。

 その結果どの大会でも十位以内には入ったり仲間内からはデジモン博士と呼ばれたり効率厨と大人にすら恐れられたりとそれなりの功績…うん、功績を残して見せたりしたものだ。

 

 昔懐かしい過去からはや数年。

 小学生の貧弱な体はそれなりに普通の高校生の身体に。

 小学生の貧しい知識は一般人レベルにまで上がった。

 

 今日の夜ごはんなんだろうな、宿題めんどうくさいな、友達と喧嘩してしまったどうしよう

 そんな幼い悩みも

 

 今日の晩飯なんだろ、宿題だるっ、進路決まらん。働きたくはないけど大学いける気がしねぇ…

 こんな若干変わらないながらも悲しい現実に頭を悩ませるようになったころ。

 

 彼らはあの世界と共にやってきた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 デジモンnextorder/やってきたのは電子の世界

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはいつも通りの日常の中で起こったことだった。

 

 朝日を浴びて起床し今日は休みだったと二度寝して。

 そこで昔懐かしな夢を見た俺は当時の物が残ってないか少しばかり部屋内を捜索してみたのだ。

 

 そうして多少の苦労をしながらも俺は見つけてしまったのだ。

 デジタルモンスター、そのゲームのハード。即ちデジヴァイスを。

 

 当時を思い出し若干の興奮を見せながら俺はそれを起動した。

 その瞬間だった。

 

 手に収まる程度の機体であるそれの小さな画面から目を眩ます程の白い極光が溢れ出たのは。

 音もなく漏れ出る光は散らかっている部屋ごと包み込む。

 

 突如、地の感触を失った。

 疑問を持たせる間もなく次に襲ってくるのは不安になるほどの浮遊感。

 そして落下。

 風を切り空間を拓いていくように俺の身体は急激に下へ下へと落ちていった。

 

 

 

 ―ってほあああああああああ!!? 誰か助けてええええぇぇェェェェ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―知らない天井だ。

 うつ伏せで横たわっていたらしい、目を開いたら緑のラインが走った真っ黒な天井が見えた。

 むくりと起き上がると途端に身体に痛みが走る―ということもなく普通に起きれた。

 どうやら地面に叩き付けられたわけではないらしい。

 おかしいな、俺ってば部屋から落下したはずなんだけどな。

 

 まあ痛みがないのは良いことだ、ピョンピョン飛び跳ねたりクルクル回ってみて全身の調子を確かめてみる。

 うむ、どうやら怪我一つないようだ。何があったのかは分からんがまあ良し。

 

 ではまずこの謎空間の出口を探ろうではないか。

 このままずっとここにいるとか精神的にも肉体的にももたない。

 

 そう思い周りに目を凝らしてみるが出口らしきものなどどこにもない。

 それどころか天井も壁も床も同じ模様が引かれているだけで装飾も何もない。

 手掛かりが一つもないとか何この脱出ゲーム、マジくそゲー…

 

 そう思いつつも周りをグルリ見渡した後に比較的近い壁へ走り出した。

 そしてキック。

 ドン! と簡素な音が鳴り、足裏を通して軽い衝撃が伝わってくる。

 そしてそれと同時に蹴りを入れた場所がどこか機械的な音とともにぶれた(・・・)

 

 

 …ぶれた? 目にした現象を信じられずもう一度蹴りを入れる。

 するとやはり軽い衝撃音とともに電子音が響きそこはぶれた。

 いや、もっと詳しく言うならばそこを構成している物が一瞬バラけた、と言うべきだろうか。

 

 …なるほど意味不明。こんな現象地球上であり得るの?

 17年生きてきたけどこんなの見たことないんだが?

 

 ―何だ、俺は異世界にでも来ちまったってか?

 

 軽い冗談のように口にした言葉、しかしそれは案外的を射ているのではないだろうか。いや別に中二とかじゃなくて。

 実際、俺はさっきから未知の体験を立て続けに味わっているのだから。

 そう考えながらポケットに収まっているここに来た一番の原因であろう直方体の筐体――デジヴァイスを取り出し眺める。

 その画面は何も映さずただ灰の色を見せるのみ。もちろんボタンを押しても反応はゼロだ。

 

 ―ふむ、困ったな。

 

 嘆息を吐き呆…と何もないところを見つめる。

 その時だった。

 見ていた部屋の中央、そこが大きく歪み―いや、ぶれはじめた。

 それは丁度先程壁が起こしていた反応とほぼ同一のものでありながらも、しかし微妙な違いがあった。

 壁が起こしていたのが分解だとすればあれは構築。

 徐々に大きさを増すその現象はやがて何かを模り始めた。

 

 少しずつ何かが構成されていく光景を俺はじっと見つめることしかできなかった。

 訳も分からないまま、その光景に見惚れていたのだ。

 

 初めに質感を持ったのは二本の巨大な足だった。

 そしてその爪は全てが鋭く力強い。

 

 そこからせりあがっていくように体は創られていく。

 腰、腹、腕、肩、胸、首、頭。

 恐竜のような姿を形成したそれは徐々に命を感じさせ始めた。

 それは今度は頭から、波紋のように広がり体中に浸透していく。

 

 足先まで色を帯びたそいつはついにその大口を開けて空間を劈くような声を鳴らす。

 すると、今度はそいつの周りにどこからともなく現れた0と1の羅列が速さを増しながら回転していく。

 

 時間が経てば経つほど増えていき、早くなっていく青色の羅列を、しかし呆けたように見るしかできない。

 いきなりすぎる急展開に頭が追いついていかないのだ。

 ここまで立て続けに色々起こっている状況で超冷静になれるならそれはただのラノベ主人公様くらいである。

 

 やがて0と1は少しずつ数を減らしていき、最後には完全に霧散した。

 そして数字がはけたそこには身体の半分以上を機械化された先ほどの化け物が佇んでいた。

 全身をサイボーグと化したそいつは朱に染まった眼でこちらを見た後に何度か光を明滅させ、そして大きく咆哮を上げた。

 

 その咆哮は最早音ではなく衝撃ですらあった。

 体が軽くふらつき二、三歩と後退ささる。

 そしてその場に勢いよく崩れ落ちる、恐怖で足がすくんだのだ。

 しかし俺はそれに恐ろしさを感じながらも何故か既視感を感じていた。

 見たことはないはずであるその生き物のことをどうしてか良く知っている何かに思えたのだ。

 

 天に向かって吠えたそいつはもう一度俺を睨み鋭い牙をガチリと鳴らし三本の爪が取り付けられた鈍色のライトアームを高速で回転させる。

 そいつはそれをこちらに向けた後に勢いよくこちらに駆けだしてきた。

 ガシャリ、ガシャリと音を響かせながら向かってくるそいつはどんどん加速していく。

 その巨体では考えられないほどの速さに達した時には既にそいつは俺の目の前にたどり着いていて。

 大きく振りかぶられたライトアームはいともたやすく俺の身体を――

 

 

 ――ダブルタイフーン!!――

 

 

 ―貫かなかった。

 

 気づかないうちにギュっと握りしめていたデジヴァイスがまたもや光を放ち、次の瞬間二人分の声が聞こえたと思ったら目の前の化け物は少しだが何かに弾かれていたのだ。

 

 眩んだ目を凝らしながら前を見つめる。

 徐々に焦点が合っていくと同時に認識できたのは、二本の足で立つ、白と緑の色をもつ何かと茶と桃の色をもつ何かだった。

 

 その生物と思われる二体はどちらもとても良く似ていて色以外の違いは頭に生えている角の数くらいだ。

 それ以外は全てが同じだ。俺の腰にすら届かないほどの背丈、地に着くほど長い耳、短い両手足も、全て。

 

 その瞬間、またも謎の既視感が俺を襲った。

 俺の頭のどっかがこいつらをどっかで見たことがあると叫んでいるような錯覚すら覚える。

 思い出せそうで思い出せない。どことなく懐かしいような、そんな感覚すらあるのに出てこない。

 全く、さっきから何なんだ。

 

 

 「大丈夫ー?」

 「怪我はないー?」

 

 ―へ?

 

 モヤモヤする思考と格闘していたら謎生物×2から急に声をかけられた。

 思わず驚いて間抜けな声が出てしまった。

 

 ―取りあえず、お前ら誰だ、いや、何だ?

 

 

 「えええ!? 覚えてないのー?」

 「そんなぁ、酷いよ~」

 

 ―いやそんなこと言われもなぁ…って前! 前! やばい!

 

 「へ? ってうわああ!」

 「はわわわわわ!?」

 『プチツイスター!』

 

 弾かれ怯んでいた機械の化け物は小さな二体の生物にその強靭な爪を振り下ろしていた。

 しかし寸でのところで気づいた二体は素早くその場から離脱、全く同じタイミングで同じ言葉を放ち回転しながら化け物の顎へ攻撃を繰り出した。

 小柄だからと言って侮るなかれ、二体の攻撃は同時にクリーンヒットしその巨体を揺るがせた。

 確りと着地すると俺の元へやってき、その小さな口を交互に開く。

 

 「ボクの名前はテリアモンさー、本当に忘れちゃったのー?」

 「僕の名前はロップモンだよー、本当に忘れちゃったの―?」

 

 テリアモンにロップモン。

 その名前は凄く聞き覚えのあるもので、とても大切なもののような気がした。 

 しかしここまで来ても思い出せない。

 困ったな、と視線を下げれば手にあるデジヴァイスが視界に入った。 

 灰の画面は光をキラリと反射している―

 

 瞬間、全身に電撃が走り抜けたかのような感覚を味わった。

 すっかり色あせて精細さを失ってしまった記憶が勢いよく色を取り戻していく。

 ぞわりと鳥肌が立ち、思わず目を見開いた。

 

 ―彼らは“デジモン”だ。

 警戒するようにこちらを睨みつけている鈍色の化け物はマシーン型ウイルス属・究極体デジモン『ムゲンドラモン』

 目の前で不安げに瞳を揺らす白と緑の生物は獣型ワクチン属・成長期デジモン『テリアモン』

 同じように瞳を濡らす茶と桃の生物は獣型データ属・成長期デジモン『ロップモン』

 

 そしてこの小さな双子デジモンは当時の俺の相棒だ。

 何ですぐに思い出せなかったんだか、自分の記憶力の弱さに苦笑い。

 そこで唐突に、しかしようやく現状がかなりヤバいことに気づく。

 この二匹は”成長期”なのだ。

 対するムゲンドラモンは究極体。

 普通に考えて勝ち目がない。スペック差がでかすぎる。

 

 これはヤバいと勢いよく前を向いて映り込んできたのは――

 

 ダブルタイフーン!! ギャオオォォォ…

 

 相手に一歩も引かず、むしろ圧倒までしている二匹の姿だった。いやなんでやねん。

 成長期ってのはまだ進化二段目やろが、何で最後まで進化しきってるムゲンドラモンを圧倒してんだお前ら。

 軽く困惑していると二匹は綺麗にクリティカルを発生させ俺の隣に同時に着地する。

 

 「ふぅ、あいつ中々強いよー」

 「うん、とても厄介ー」

 

 言葉の割には余裕の表情を保つ二匹。

 間延びした声は緊張感すら消し去ってしまいそうだ。

 

 ―その割には圧倒しているように見えるが? 

 

 そう聞くと二匹は同時に顔を軽く顰める。

 

 「どれだけレベルが高くてステータスが高くてもー」

 「成長期故に強力な技がないからねー、決定打がないんだよー」

 

 なるほど、と得心する。

 ていうかレベルとかステータスとかいう概念あるのね、お前ら。

 

 「いっつも言ってたからねー」

 「レベル上がらない、ステータスしょぼい…ってー」

 

 …なるほど。

 だけどこのまま少しずつ攻撃していけば倒せるんだろ?

 

 「そう上手くいくなら良いんだけどねー」

 「相手さんもかなりのやり手だからねー」

 

 そう言い説明を始めた二匹。

 どうやらこのままやりあっていたらこっちの体力が先に尽きてしまうらしい。

 何それ詰みじゃん…。

 絶望の表情を晒したら二匹はだけど、と言葉をつづけた。

 

 「僕らは君のデジモンだからー」

 「うんうん、僕らにはまだ勝ち目はあるよー」

 

 ―どゆこと?

 

 「僕たちみたいにパートナー持ちのデジモンっていうのはー」

 「パートナーがいれば限界以上の力を出せる存在なのさー」

 

 ―つまり俺が一緒に戦えば勝てる、と

 

 『その通り―』

 

 ―そんじゃ指示出すから確り応えてくれよ、相棒たち

 

 期待を露わにしながらそう言う二匹にそう返すと嬉しさに顔を綻ばせて元気よく答えてくれた。

 

 『まっかせて!!』

 

 ―て言っても大したことできないから基本好き勝手に動いてね

 

 『頼りないなぁ…』

 

 苦笑を漏らしながらも信頼してくれているのか勢いよく飛び出して行く二匹。

 その背中を見ながら俺は気合を入れなおす。

 今の俺は二匹の命を預かる指揮官なのだ、冷静に敵と味方、そして場の状況を把握しなければ。

 そう考えつつも二匹の使える技を思い出していく。

 

 まずはテリアモン。

 一つ目はプチツイスター。自ら回転し小規模な竜巻を起こす得意技。

 次にスピードチャージ。支援系の技でスピードを10%アップさせる。

 三つめはヒール。これまた支援系で体力を回復させる技。

 そして最後にブレイジングファイア。高熱の熱気弾を吐き出す必殺技。

 

 そしてロップモン。

 こちらは必殺技以外はテリアモンと同じはずだ。

 そしてその必殺技はブレイジングアイス。冷気をビームのように吐き出す技。

 

 更にこの二匹の合体技としてダブルタイフーンがある。

 なるほど、確かに決定打になりうる技がない。だが上手く使えれば倒せる見込みはある。

 震える足に喝を入れて確りと前を見据えた。

 そこでは縦横無尽に動き回る二匹とそれに翻弄されつつも大きな隙は晒さない機械竜が。

 ならまずは隙を作るところから始めねば。

 

 互いにスピードチャージをかけまくることを指示すればすぐさま実行してくれる。

 合計で三回かけたところでストップをかける。速さを上げ過ぎて意識が体に追いつかない、なんてことになったら大変だから。

 ゲームのように何でも高くすれば良いってものでもないのだ。漫画とかでもパワーアップした主人公が速さに意識が追いつかない!? とかやってるの良くあるし。

 

 130%にまで跳ね上がった速さで相手の攻撃を余裕で回避する二匹。

 そろそろ攻めに転じてもいいころだ。

 動き回っている二匹の位置が入れ替わったところでその指示を出す。

 

 二匹同時にプチツイスター。しかし同じところにではなくテリアモンは右腕を、ロップモンは左腕を弾くように。

 上手く弾いた二匹はその反動でムゲンドラモンの目の前へ。

 二匹の距離がゼロになる瞬間互いの手を取り合いダブルタイフーン。

 勢いよく回転する大きな竜巻はやつの身体を正確に穿った。

 

 衝撃に数歩後ずさるムゲンドラモン。流石に硬い。

 しかしそんなことは関係ないのだ。

 出来た隙は全力で漬け込む。

 

 未だ回転している二匹に命じ、テリアモンをロップモンに投げ飛ばさせる。

 勢いよく飛んでいくテリアモンにはやつの顔の真ん前でブレイジングファイアを発動させる。

 ダメージは少ないだろうがこれで視界を封じることができた。

 そのお陰でロップモンがテリアモンのところに追いついた。

 

 炎が消えると同時にブレイジングアイス。

 小さな口から吐き出される極寒の冷気は一瞬でやつの顔を凍らせた。

 しかしそんなことはお構いなしと言わんばかりに鉄に包まれた剛腕を振るう。

 横なぎに払われた腕を上手く回避した二匹を少しだけ後退させる。

 そして切れかかっていたスピードチャージをかけなおす。 

 

 強化された脚力で駆けまわる。

 ムゲンドラモンの放つ強力無比な一撃を難なく躱していく。

 一発でも当たれば確実に行動不能となるそれを避けていく様をみるのは些か緊張が走る。 

 

 飛び上がり、片方を台として更に高い位置から振り下ろすようにプチツイスター。

 先に地に降り立った方は上に気を取られているやつの膝裏へ突進する。

 膝を崩した相手に向けて渾身のブレイジングアイス。

 頭を一気に覆った氷は一瞬機械竜の動きを止めた。

 そこへまたもプチツイスター、からのダブルタイフーン。

 

 派手な衝突音と共にその巨体は勢いよく吹き飛んでいった。

 ガシャァン! と大きく火花を散らしながら苦痛に顔を歪めるやつは憎々し気に眼から放たれる赤い光を明滅させる。

 だが今更そんなものに怯むわけがない。

 

 素早く懐に踏み込みかちあげるようにプチツイスター。

 だがやつも負けじと体を大きく回し二匹を振り払う。

 クルクルと縦に回転しながら着地する二匹、その顔は多少のダメージに歪んでいる。

 

 ヒールを互いにかけさせた後に二手に分かれ大きく迂回しながら背後に回らせる。

 当然簡単に思惑通りにさせてくれる訳がなくムゲンドラモンは尻尾を振り回す。

 軽く跳ねながらそれを回避させる。

 テリアモンにはその瞬間ブレイジングファイアを、ロップモンはそのまま背後へ回ってもらう。

 

 テリアモンを標的にしたやつは右腕を振り絞り勢いよく放つ。

 高速で回転する三本の爪は簡単にテリアモンを行動不能に持っていくだろう。

 しかしそれは当たることがはない。

 ロップモンのプチツイスターが隙だらけの頭に放たれクリティカルを発動させたから。

 態勢の崩れたやつのライトアームはテリアモンのすぐそばを通り抜けただけで終わる。

 

 その右腕を掴み上っていくテリアモン。

 一気に眼前までたどり着いたテリアモンは何の躊躇もなくその眼にブレイジングファイアを撃ち放った。

 ゼロ距離と言っても良い程極至近距離で放たれたそれは鉄を通しやつの眼を直接焼き焦がす。

 機械竜は苦悶の叫びをあげながら大きく後退していき、そしてロップモンの一撃をもう一度頭に喰らう。

 

 立て続けに放たれた攻撃に叫びを上げながらやつは倒れ込んだ。

 その瞬間ロップモンにブレイジングアイスを発動させる。

 吐き出された冷気は左腕の肘の部分を念入りに凍り尽くした。

 

 ―これで右目と左腕は封じた

 

 そう呟き思わずにやける。

 だが努めて油断はしないように。

 相手を射抜くように見つめる。

 

 瞬間、ムゲンドラモンが大きく叫び幾つもの雷撃があちこちに落ちた。

 二匹とも避け損ねて腕に軽い火傷を負ってしまった。

 あんなこともできんのかよ、と舌打ちしながらもすぐさまヒールをかけ合わせる。

 

 これは使えると判断したのかまたも雷雲を呼び寄せるムゲンドラモン。

 しかしあの雷は雲のあるところからしか落ちないのが確認できたので二撃目からは指示さえ上手く出せれば避けるのが容易だった。

 

 そして油断したやつの脚へダブルタイフーン。

 勢いよく回転していく二匹は取り付けられた機械を削り傷を入れていく。

 雷雲が頭上にあるのに気づき回避を促し、落ちた雷の衝撃に隠れスピードチャージをかけなおさせる。

 

 煙りが晴れるのと同時にテリアモンは飛翔しロップモンは姿勢を低くし素早く駆ける。

 すぐに雷雲がテリアモンに狙いをつけるが地上から放たれた一条の冷気に貫かれ凍らされる。

 そして先ほどのお返しと言わんばかりの力強さでブレイジングファイア。

 連射されたそれは全てが凍らされていた左腕へ直撃していく。

 熱の塊は氷を溶かすだけではなくその勢いで肘から下を叩き折った。

 

 凄まじい程の悲鳴が鳴り響き激昂したやつは尾を大きく振るい二匹を跳ねのけた後に後ろに大きく跳ねた。

 衝撃に距離を離された二匹は上手く受け身をとりすぐに立ち上がる。

 そこで俺は素早く回避の指示をだす。

 何故ならムゲンドラモンが背中に取り付けた二門の大砲をこちらに向けていたから。

 その砲身には俺でも危険すぎると分かるほどに大きな力が集まっていた。

 

 自分自身もその場から離れながら彼らにもなるべく遠くへ行くように叫ぶ。

 そしてそれと同時に放たれる無慈悲な一撃。

 二条の光は範囲を広げ空間を蹂躙していき、遂には俺たちを呑み込んだ―

 

 

 

 

 痛みが体に走り気を失うことすら許されない。

 ズキズキじくじくと体が痛みに悲鳴を上げていた。

 霞んだ視界に映るのは左腕を失ったムゲンドラモンが勝利の雄たけびを上げている様子だった。

 少し離れたところには倒れ伏す二匹のデジモン。

 

 勝てなかったか、どこか分かっていたような結末にため息を吐く。

 まあ、当然だ。そもそも成長期で究極体に勝てという方が無理な話なのだから。

 誰に言うわけでもないのに、言い訳のを頭の中で並べ立てていく。

 

 理性では分かっていた。この結末を受け止めていた、認めていた。

 でも、感情の方はそれを許すことが出来なかった。

 いきなり変なところに連れてこられ、急に変なのに襲われて、それでdeadendだ?

 ふざけろ、俺の人生こんな訳の分からないまま終わってたまるか、と。

 

 慣れていない痛みに軋む腕に力を込めて立ち上がる。

 脚がガクガクして今にも倒れそうだ。

 だけど精一杯力を込めて、大きく息を吸い、叫ぶ。

 

 「おらぁあああああ! 立てよ二匹ともぉ! まだ終わらせないぞぉおおお!!!」

 

 懇願にも近いその声に二匹はピクリと反応を示した。

 そして床に手を突きそのまま膝に片手を付きながらも立ち上がる。

 

 「そう、だねー」

 「まだ、まだだねー」

 

 ニヤリと笑うと同じように笑い返してくる二匹。

 その眼には闘志の色が籠っていた。

 そんじゃま、行きますか。

 

 スピードチャージをかけまくる。

 現界超えてる状態なのだ、今はやつのところに少しでも早く行けた方が良い。

 そう思い互いに十回以上かける。

 大丈夫だろうか、とこちらを見るがタイミングはこちらではかると伝える。

 なら安心だとやつを睨みつける二匹。

 傷だらけになった体に力を込めて二匹は一気に飛び出した。

 

 先程よりも異常なほどに早い二匹を眼で追いかける。

 やつのところまで後どれくらいだ、あの速さなら後どれくらいで着く。

 必死に頭を巡らせ考える。

 二匹がやつまで推測5mのところまではいった。

 そこで自分の身体二つ分互いに詰めさせる。

 

 俺の指示に完璧に答えた二匹の間俺自身の身体一つ分入るくらいになった。

 そのまま疾駆しやがてムゲンドラモンまで推測2mにまで。

 そこで跳躍し手を取り合いダブルタイフーン。

 

 凄まじい程の速さで行われたそれにやつはしっかりと反応してきた。

 雷は彼らの周りを穿ち続き引き絞られたライトアームが勢いよく放たれた。

 放たれた右腕は彼らと衝突し、しかし貫くことはなく逆に弾かれ砕け散った。

 

 グゥォオオオオオオオオ!!

 

 苦悶に満ちた悲鳴を漏らしやつは数歩下がる。

 空中で手を離し同時に床に足を付ける二匹。

 瞬間駆けだす。

 数歩程度の空間を一瞬で喰らい尽くし彼らはやつの眼前へ。

 エネルギーを溜めることに集中しようとしていたやつはすぐに反応することができずに。

 放たれた赤の塊と青の光線に貫かれ、破壊されつくされ光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




実は初めての8000文字超えだったりする。
感想お待ちしております

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