タイトル未定 ISの転生モノ   作:S字フック

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10 ミグラント

水曜日、3回目の朝のSHRが終わる。今日は織斑先生は来なかった。なので今いる山田先生に相談しなければ。

 

「山田先生、俺の専用機について相談があるんですけど」

「はい、何でしょうか?」

「今、第一候補に考えているミグラントの資料って詳しくISのデータが載ってないんですよ。なので会社に一度見学に行って見たいんですけど……」

「う~ん、多分見学に行っている時間は無いと思います」

「そうですか、じゃあ山田先生のミグラントに対するイメージを教えてくれませんか。」

「イメージですか…… 結構好印象ですね。あそこの会社の武器はどれも良い性能ってよく耳にしますし、この学園でも資料として購入しましたから」

「なら有る程度は安心できますか?」

「あの資料に載っていた概要がそのまま実現されれば安心ですね」

「そうですか、ありがとうございました」

 

念のため言っておくが資料は人目を避けるため早朝にあらかじめ教室に運んである。昨日のように魔法を使ったので楽だった。

 

 

山田先生との話の後クラスの反応は2つに分かれていた。

 

1つは俺の専用機を作る企業にミグラントが第一候補に上がっているという話題。ある人は他のクラスに広めようとし、ある人は先輩方連絡を取り、又ある人はなにやら深刻な口調で電話をしている。どうやら俺は経済的にも超重要な決断をしてしまったらしい。と言うかここで山田先生と大々的に相談してよかったのだろうか? 少し結論を急ぎすぎたようだ。

 

もう1つは転入生の話題。隣のクラスに中国から代表候補生の転入生が遅れてやってくるらしい、俺もこんな感じで噂されていたんだろうか。アニメで見たので正体は分かっている、凰鈴音と言う2人目の一夏の幼馴染だ。

 

「一夏ー」

「なんだ?」

「転入生の話聞いたかー?」

「えっ、なにそれ。聞いたこと無い」

「お前もうちょっと周りを見ろよ、半分ぐらいその話題だぜ」

「そうなのか?」

「そうなのだ。どんな奴が来るんだかね」

「俺に言われても……」

「お前、中国に知り合いとか居ちゃったりしない?」

「いるにはいるけど」

「マジ? 冗談で言ったのに」

 

大嘘である。

 

「マジだ。1年前に中国に帰っちゃったけどな、よく3人で一緒に遊んでたよ」

「3人ってことは2人がその中国に行っちゃった友達?」

「いや、1人は俺の地元で食堂やってる。もう1人が今話していた子だ」

「子ってことはもしかして女の子?」

「そうだぞ」

「男2人に女1人か…… 結構アグレッシブな性格の子?」

「大体そんな感じ」

「へぇ、その子が転入生だったりしてな」

 

そして実際そうだったりする。

 

「いやいや! どんな確率だよ!」

「冗談だ。しかし俺のことでもこんな感じに話していたのか?」

「ああ、俺含めみんなこんな感じだった」

「マジっすか、少し恥ずかしいな……」

「しかも1週間ずっとだぞ」

 

マジっすか・・・・・・

 

____

 

 

 

そして土曜日。専用機は金曜日まで俺の考えが変わる様な出来事は無く、第一候補のミグラントに決定した。

それを織斑先生に金曜日の放課後に伝えた所、土曜日にミグラントの日本支店に行くことが決定した。他を選んでいたら海外に行かされていたんだろうか? とにかく行ってみたかった所でもあるので期待は大きい。

 

考えているうちに車が来る、どうやらミグラントから迎えが来たようだ。学園からの護衛が2人付き、一緒の車に乗り込む。下っ端なのか車内では会話は無かった。

 

ミグラントの会社に着くと、若くひげの似合う1人の男に出会った。

 

「ようこそミグラントへ、わが社を選んでくれてありがとう。歓迎するよ佐藤君!」

「はじめまして、佐藤景斗です。あなたのお名前は?」

「私は一之瀬洋平、一之瀬と呼んでくれ。ミグラント日本支部の最高責任者のようなものだ」

「分かりました一之瀬さん。今日はいったい何をするんでしょうか?」

「以前、ISの検査を受けたことがあるだろう。今日はその発展系、専用機バーションを受けて貰おうとね」

「分かりました」

「それでは、付いてきてくれ。早速ISの場所まで案内しよう」

 

社内を移動している最中、ふと思った疑問を俺は口にした。

 

「一之瀬さん、ミグラントってどういう会社なんですか? 資料にも書いてなかったし調べる時間も無かったので」

「ああ、いいよ。少し長く話しちゃうことになるけどね。

 

まず、ミグラントってのは世界中の企業で作ったグループさ、ISの登場で売れ行きが伸び悩んでいた軍事企業や人材不足で悩んでいた企業、大なり小なり悩みを抱えていた奴らが集まって出来たのがこのミグラントだ。当初は只の仲がいい企業の集まりだったんだが、規模が大きくなってくると人材や情報、資材のやり取りが始まったんだ。つまりミグラントは国家間を超えた企業の連合さ、だから送った資料に国旗が描いてなかっただろう」

 

「なるほど、そういえば。ですがそんな組織がどうやって世界に認められたんですか?」

「それは企業秘密だ、時間が経ったら教える」

「そうですか、では話の続きをお願いします」

 

「えーっと、今の主な企業は北欧のアクアビットとレイレナード、欧州のインテリオルとBFFとアルドラ、西アジアのオーメル・サイエンスやローゼンタールにアルゼブラ、ロシアからもテクノクラート、アメリカからはGAとレイセオン社から独立したMSAC、そして日本の有澤重工。

これだけ集まると世界でもトップクラスの物が作れる。けれどもどこの支部も軍事系ばかり開発しているわけではない。生活必需品だったり有名会社の下請けだったり色々な分野で働いているのさ。勿論その時はミグラント名義じゃないがね」

 

「ミグラントって名前はどうして付いたんですか?」

 

「ミグラントって名前については創始者の一人が変わり者でさ、自分達が発端となった連合の規模の大きさに興奮して、定期的に他の国家の企業を移動して見て回っていたものだから渡り鳥のような奴だって言われちゃって、その渡り鳥ってのを英語にしてミグラント」

 

 

____

 

 

 

話が盛り上がり掛けていたとき、彼が扉の前で止まった。どうやら付いたらしい。

中に入るとそこそこの規模の研究室と奥にアリーナのようなものが見えた。

 

「さあ、試作品だが機体の披露をしようじゃないか、チーフ」

「かしこまりました」

 

そうして運ばれてきた一つのISは、各国の資料で見たようなスタイリッシュで優れたデザインのものではなく、塗装も無いく鈍色の金属光沢を放ち、どこか泥臭く、実用性だけを求めた機械のようなイメージを持ったIS。

 

「これがわが社で作り上げたISだ」

 

胸部の装甲は通常のものに加え、分厚い追加の装甲が左胸の心臓を覆う形で付けられている。

 

背面に上に推進力が向くように突き出した大型のブースターが2つ

 

腰には左右で対になる形でボックスブースターが付けられ

 

ふくらはぎの外側にも小さなブースターが付いているようで、左足には長方形の大きな盾が取り付いている。

 

それら全てが洗練されていない無骨な戦車を髣髴とさせ、宇宙空間で活動するマルチフォーム・スーツでもなく、競技用の飛行パワードスーツでもなく、紛れも無い「兵器」としてのISだった。

 

これに頭部を丸ごと覆うバイザー、間接と二の腕部分に装甲を加えてしまえば全身装甲だ。

 

「ISは新しく手を伸ばした分野だ。こればかりはミグラントの総力を挙げてやっている。今まではラファールで武器のテストを行っていたが、今回はミグラントで独自に機体を設計した」

 

「この機体の名前は?」

 

「"グングニル"だ。勝利と無事な帰還を約束しよう」

 

 

____

 

 

そして今、俺は初期化と最適化処理を受けている。ISが俺の特性を理解しようとするとの説明だ。これで一次移行が終わればグングニルは俺の専用機になる。

 

一次移行が開始する。装甲の細かい部分が俺の体にフィットするようになっただけだが、今までとは比べ物にならない位動きやすい。

 

「こちらチーフです。無事に一次移行が終了しましたので武装の確認をしましょうか。まずはあらかじめ量子変換してある基本武装を出してみてください」

「分かりました」

 

そうして出てきたのはライフルとハンドガン。

 

「ライフルのほうがランポード、総弾数と時間対火力が優れた代物です。そしてハンドガンがオックスアイと言います。衝撃で相手の動きを止めることを考えて作りました。ターゲットを出しますから試射をお願いします」

 

出てきた丸いターゲットにターゲットサイトを合わせ、右手のランポードの引き金を引く。威力もあり連射がきくので安定した火力を出せるだろう。

 

次はオックスアイ。連射は出来ないが弾速も速く衝撃も大きいので、当てさえすれば一方的に攻撃できるチャンスを生むことができる。

 

 

「チーフ、他の武器は無いんですか? バススロットも結構空いてますけど」

「勿論用意してあるさ、第二世代型だからIS学園に送ったときにこちらで追加しておこう」

「そういえば何で今更第二世代型なんです? 第三世代型は作ったりしてないんですか?」

「ウチらは第三世代型兵器なんて作らないんです。

 

第三世代型兵器の適者生存と企業間の開発競争に参加するつもりも無し。あれらが第三世代型兵器でいざこざをしている内に、こちらは機体の基本スペックの向上。基本武装の高性能化を狙わせてもらいます。ワンオフ・アビリティーと第三世代型兵器の融合は魅力的、だがあまりにも現実的じゃない、リスクが大きすぎてね。」

 

「そうですね、質問が軽率でした。すみません」

「別段構わないさ、君との意思疎通も大事だと思っているからね。

さて、データも取れたし一旦降りてくれ」

「了解です。そちらへ向かいます」

 

____

 

 

「動いてみたけど、いい機体ですね」

「そりゃそうさ、正直なところもうリリースする二、三歩手前のところまで完成している。勿論その時は全身装甲でね。あれは学園で使用するための仕様だからね」

「ランポードとオックスアイもそんな感じですか?」

「その通りだ、今出ている型の最新版だね。君はそれらの武器のテストを学園で行って貰うよ」

「そうなると俺はミグラントに所属するテストパイロットって感じですか?」

「一之瀬さんから聞かなかったのかい? 多少給料も出るみたいだし」

「そうなんですか!? 至れり尽くせりですね」

「いやいや、君のデータから新しいISが産まれればこっちのほうが儲かるから安いもんだよ」

「それでも、学生の身にはもったいないほどの待遇ですって」

 

終わりの無い謙遜合戦が始まろうとしていた所を遮るように、タイミングよく一之瀬さんが研究室に入ってくる。

 

「さあ、佐藤君。今日の君の作業は大方終わった。後はこちらの仕事だけだから安心していいよ」

「あれで終わりですか。随分早かったですね」

「データはISのおかげで異様に速く取れるのさ、もう形にするだけだからね

それよりも君に見せたい物がもう一つある、すぐ隣だ。君もきっと驚く」

「へぇ、何でしょうか」

 

扉の前で彼は立ち止まり、俺にこう告げる。

 

「君の専用機に使われているコアは好奇心がとても強くてね。女ではなく男の君とか、多少一般の物とずれた試作品なんかでもすんなり受け入れてくれるんだよ、だからテスト用にぴったりでね。

 

――ただ、その好奇心は留まること知らない。」

 

口調がどこか嬉しそうなものに変わっていく

 

「例えばこんなモノだって」

 

一之瀬さんの言葉が終わると同時に扉が開き、俺はその"あるもの"を見て驚愕した。

 

「とんでもない事を持っているんだな、あなた方は」

「プレゼントしよう、あのままじゃ物足りないだろう。実質これは君の機体でしかまともに使えないだろう」

 

 

それは、人の背丈を覆い隠すほどに巨大

 

それは、文字通り規格外

 

それは、イレギュラーな兵器

 

それは、精錬されておらず、雑然としたフォルムで――

 

 

――6つの巨大なチェーンソーを持つ、全てを焼き尽くす暴力だった。




機体はUCR-10がモチーフ

後、今回出てきた設定は多分、穴だらけな気がする
おかしい所を見つけたら報告お願いします。
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