タイトル未定 ISの転生モノ   作:S字フック

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多少ドラマチックにすると書きやすいね


21 再戦

「景斗、続きをしようぜ」

「ライフは満タン?」

「おうよ、ばっちり」

 

 そうか、と呟いた後に構えた武装はアラキデとショットガン。どちらも新装備だ。

 

「まだ新しいのがあるの?」

「これで最後。ためし撃ちはお前が回復中にやっていたからな」

「じゃあ――」

「いただきっ!」

 

 その言葉と共にショットガンを放ち、後ろにブースターを吹かし、離脱。一夏は初めて受けたショットガンの面での攻撃。しかも至近距離から受けた攻撃を避けられず、硬直し大きくシールドエネルギーを削られる。

 

「いつもヨーイドンで始まると思うな!」

「てめぇ!」

「さっさと近づいてこい! 相性は最悪だぜ!」

 

 白式で一気に景斗に近づく、最高速度ならグングニルより白式の方が上だ。景斗は距離を詰められる前にミサイルを放つ。

 

「――! UVFじゃ無い、それなら!」

 

 セシリアとの初戦の如く、降り注ぐミサイルを次から次へと両断し、どんどん速度を上げ、距離を詰める一夏。そして零落白夜が発動する。彼のコンディションはすでに最高潮だ。

 

「チッ」

 

 思わず舌打ちを景斗はした。

 

(なんでミサイルを目視で識別してんだよ、なんでもう零落白夜が発動してんだよ)

 

 青く光る刀身と未だに加速をし続ける白い機体。一夏の勢いは増すばかりであった。

 

 まずい――このままだと切られる。そう即座に判断し、景斗は足止めにショットガンを放つ。が散り散りになった多数の弾丸は雪片弐型によって弾かれ、大して足止めの効果は得られない。

 

 アラキデを構える。パルスマシンガンと言ったとおり至近距離では絶大な効力を発揮することはためし撃ちで確認していた。一夏は射程内にいる。景斗は力いっぱいトリガーを引き絞る。

 

 刹那、一夏がイグニッション・ブーストを起動。アラキデから弾が発射されたのと同タイミングだった。つまりアラキデの弾幕に一夏が突っ込む。

 

「「喰らえぇえええ!!」」

 

 叫び、お互いの攻撃がぶつかりあう。その勝敗は正しく武器の特性を把握していなかった景斗の敗北となり、零落白夜の1撃を受けることになった。

 

「はぁ!?」

 

 おかしい、何で止まらないのか。そう景斗は困惑する。

 

 放たれる弾はスターライトmkⅢのように衝撃があり、マシンガンの名の如く制圧に向いてる武装だと景斗は勘違いしていた。

 

 現実はそうでなく全く実体を持っていない純粋なエネルギーの塊。よって与える衝撃は皆無であり、試し撃ちでは正しくアラキデの特性を把握するとことができなかったことになる。

 

(なんだよ、なんでだよ、コイツの使い勝手はさっき確認したのに!)

 

 目論見が外れ、シールドエネルギーを半分以上削られ、焦る景斗。一夏も大きくシールドエネルギーを削られているはずなのだがこちらはもう後が無い。一撃を食らえるか食らえないかの差はあまりにも大きい。

 

「どうした! 呆気ないな景斗!」

「くそっ、調子乗んな!」

「後一回で俺の勝ちだろーが」

 

 勝負の流れは確実に一夏側に存在している。追い詰められている景斗は自棄になるすんでの所で留まっていた。全てを投げ出したくなる気持ちを抑え、勝負を続ける。

 

(練習だから負けていい? いや、練習だからこそ勝たなければ、本番はもっと辛い)

 

 気持ちを切り替え、今の勝負に集中する。しかし、すればするほど勢いに飲まれそうになり、勝ちのビジョンが遠くなっていった。

 

「らちが開かねえな」

 

 至近距離でしか効果を発揮しないアラキデを量子変換する。

 

「今更武器を変えたって、まだ俺の方が有利だ!」

「ああクソ…… 一夏、今言った事後悔させてやる!」

 

 展開するのは使い慣れたランポード――ではなく、オックスアイ。

 

「攻撃力下げてどうすんだ」

「こればっかりは、ままならない」

 

 ラビットスイッチをこれほどまで望んだときは無かった。この戦闘では量子変換に時間が掛かりすぎる。咄嗟の対応ができない。

 

(出てきたのはオックスアイか……)

 

 一夏の脳裏に過ぎったのは両手にオックスアイを装備した景斗の姿。総合的なダメージではたいしたことはないが、場合によってはこちらの攻撃を一方的に封じることができる。一夏はすでに体験済みであった。

 

(守りを固めたのか)

 

 ただしあまりにも火力が低く、反撃は対して脅威にはならなかった。そこにショットガンが加わったようだが攻撃のチャンスが多いことには変わりない。

 

 零落白夜の1撃で景斗はゲームエンド。シールドエネルギーの差は圧倒的だった。

 

「さっさと来いよ! 寄って斬らないと勝てないぞ」

「挑発がずいぶんとお粗末だな!」

「じゃあ黙って的になれ!」

 

 予測を交えたオックスアイの一発を撃ち込み、続けざまにミサイルを発射する。しかし、オックスアイ軽々しく避けられ、放ったミサイルは順序よく切り落とされていた。そこに畳み掛けるようにオックスアイ・ショットガンのダブルトリガー。

 

「狙いがバレバレだ!」

 

 ミサイルの軌道から外れ、数多もの弾丸をもかわし、距離を縮めようとする一夏。たとえそれが罠だったとしても、景斗の思惑だったとしても。反撃の威力は高くなくて、確実に負けても痛く無い賭けであった。

 

「おおぉぉぉ!!」

 

 その賭けに一夏は乗ってしまった。彼はオックスアイとショットガンが連射できないことは知っている。攻撃の手札を全て切ってしまったが、景斗は明らかに何かを仕掛けてくることを予測しての行動であった。

 

「喰らえっ!」

 

 その一撃を景斗は紙一重でかわし、距離を離していった。

 

「あっぶな。ギリギリだ」

「はぁ?」

 

 拍子抜け、一夏の感情はその一言に尽きる。

 

「何変な声出してんだ」

 

 先ほどの再現とばかりにミサイル・オックスアイの連撃が放たれ、かわした所にオックスアイ・ショットガン。そして一夏が斬り込む。このやり取りを再び景斗は繰り返した。

 

「景斗、どうした! 同じことの繰り返しじゃないか!」

「ギリギリなんだよ。だから、できることはこれだけだ!」

 

 3度目となるミサイル・オックスアイの連撃。立て続けにオックスアイ、数瞬遅れてショットガンが放たれる。当たり前のようにかわされ、ブーストを吹かして一夏が斬り込む。

 

 白式のハイパーセンサーが捉えたものはアリーナに落ちる銀色の塊。一夏がそれに気づき、それによって何がどうなるかに気がついた時には既に手遅れ。IS特有の量子変換時に生ずる粒子を身の周りに漂わせる景斗がそこにいた。

 

「まずい!」

 

____

 

 

 景斗が事前に仕掛けたポイントは、近接武装による全力の受けの体制・その体制から放たれる一方的な遠距離攻撃・『寄って斬らないと勝てない』という挑発・武器の無謀な連射による大きな隙。

 

 それに加えて、一夏の行動の誘導・零落白夜の1撃を避け、完全に見切ること・それを一夏に感づかれないこと。これは一夏に頼る部分が大多数を占めていた。

 

 どれも一夏が少しでも警戒をしたら破綻するものであって、極度に分の悪い賭け。

 

 だがそれが成功した場合、圧倒的短時間での勝利を掴むことが可能になる。それがあるだけで景斗には十分だった。

 

____

 

 

 落ちる銀色の塊、緑色の粒子。

 

 それは景斗が投げ捨てたオックスアイで。そして取り出す武装もまた、オックスアイ。

 

「まずい!」

「もう遅いっ!」

 

 雪片弐型を大きく振りかぶる一夏。完全に見切られた零落白夜の1撃は、グングニルの装甲を撫でるように振り下ろされる。回避運動は僅かに体をずらしただけであった。

 

 お互いの距離は大きく手を伸ばせば届くほど近い。景斗は一夏の鳩尾に手を持って行き、そしてオックスアイがその手に形成される。

 

 発砲音。間近で放たれたオックスアイは一夏の体に深く突き刺さり、その身を硬直させた。肉薄した状態での硬直は致命的である。

 

「地面に転がりな!」

 

 一夏を地面に向かって蹴り飛ばす。姿勢制御もままならず、重力に従いながらアリーナに大きなクレーターを作りあげた。

 

「ぐああぁぁ!」

「まだまだ続くぜ」

 

 一夏の真横から景斗の声が聞こえた。イグニッション・ブーストで急速に一夏を追いかけたからである。

 

「――! いつの間に!」

「すまんが抑え込む技も関節技も知らないんだ。手荒だけど簡便な」

 

 一夏の腕を踏みつけ脚部のアンカーを起動させる。咄嗟の拘束には上出来、もう一夏は雪片弐型で攻撃は不可能であった。

 

 オックスアイを量子変換し取り出すはカラサワ。一夏の眉間に突きつけ、チャージを開始する。

 

「王手だ。いや、チェックメイトって言ったほうがカッコイイ?」

「……そうだな」

 

 彼が言った冗談に返した言葉は肯定の意思を含んでいた。それは『まいりました』と何ら変わりはない。

 

____

 

 

「どうよ、ニューヨークリロードってヤツ?」

「武器を投げ捨てるなんてありかよ……」

「二度とやりたくないけどな」

 

 リロードの時間を無くすために銃ごと交換する方法がニューヨークリロード。オックスアイの欠点である連射速度を補うために咄嗟に行ったやり方であった。

 

 それで得られる効果は片方の手の連射速度を一度だけ補えるだけ。実用性はほとんど無い。

 

「なんだよーまだシールドエネルギーはいっぱい残っているのにー」

「リミット・ダウンまで追い込んだほうが良かったのか?」

「それこそ止めてくれ」

 

 相手のシールドエネルギーを0にすることが勝利の条件であったが、今回は相手の無力化を行った。一方的に嬲れる状況を作り出し、相手に負けを認めさせる。

 

「シールドエネルギーを0にすることだけが勝利の条件じゃ無いってことだ」

「俺が一番身にしみて分かってるよ。盲点だった……」

「勉強して、よくよく考えてみたら、こうなりました」

 

 スポーツなんだからそろそろISで柔道とかプロレスとかアリだと思います。超平和だね。

 

「なあ、さっきの話、まだ終わってないだろ?」

「あー、勝負のお話ね」

「なんて言おうとしてたんだ?」

 

 景斗は黙り込んだ。そして大きなため息の後にこう続けた。

 

「……言ったほうがいい?」

「そりゃね」

「これってさ、結構本格的な模擬戦だろ? お前は一回コンティニューしたけど」

「……容赦ないな」

「聞きたいって言ったのはお前だろ。話を続けるぞ。

 もう実力は測れたんじゃない?」

「…………はぁぁああ……」

 

 ため息。二人の運気はどんどん逃げていくのだった。




シャルと同室は好きですか?

シャルの扱いと新作のプロットを考えるのに時間を使いすぎた。反省。
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