タイトル未定 ISの転生モノ   作:S字フック

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あまり深く考えずに書いた
読まなくても物語に支障はない


30 寄り道

 一般的に男女の友情は長続きしないといわれている。感情の一部に性欲が関わった瞬間に、友情から恋愛感情にシフトしてしまうからだ。成り立つのは生殖機能を失った老人の男女のみ。

 

 そして、ここに二人、若い男と女がいた。お互い恋愛感情は抱いていないが、まったく下心が無いわけではないようだ。

 

「……分からないことには挑戦しないで、私に聞いて」

「はい……分かりました……」

 

 景斗はテストの結果、大して手伝えないことが判明した。

 

 知識がついているのは確かな事実だが、それは専用機持ちとしては当然の知識であって特筆すべき事項ではなかった。

 

 もしも彼が整備課だったのなら、その知識と経験を元に上へ上へと進める未来があったのかもしれないが、整備課なら専用機持ちの経験は積めずただの地味な生徒になっていたことは違いない。

 

 彼が企業で成長した点はその程度のものだ。

 

 格上との戦闘経験で、戦闘そのものの場数を多く踏み、移動(ほぼ回避動作)の技術を学んだ。

 

 押付けられた仕事では武器の扱い方とレポートの書き方を学んだ。この経験を積んだ事によって、タイピングが早くなったと実感した。

 

 預金通帳の金額は増えていくばかりだ。支出は無いようなものなので、貰った分がそのまま入ってることが少し恐ろしかった。

 

(嘘です。やっぱり嬉しい)

 

 親からの連絡で扶養控除を受けることができなくなったと聞いた、話では払う税金が増えたらしい。バイトの年収が103万円を突破するとなるようだがそんなものは一ヶ月で超えていた。親には言っていない。

 

 というか自分もバイト扱いなのか正社員扱いなのかすら知らない。誰かに聞く勇気がないので特殊すぎると愚痴をこぼすしかない。

 

 

 IS学園に入学するに当たって家庭が負担する費用は低くない。入学金や授業料に制服代、施設費など数えきないほど項目があるが中流家庭に払えない額ではない。

 

 しかし、男性操縦者といった例外には適応されず、一夏の場合は千冬先生が裏で無理を通したなどの噂がある。そのため宙ぶらりんな状況でも専用機を与えられ、いつの間にか倉持技研繋がっていたことから中々に信憑性のある噂であった。

 

 景斗の場合はそうではなく、二人目以降のために作られた特待生制度が適応される形となった。入学金、授業料、施設費、光熱費、食費、維持費、諸費などの全額が支給されるという内容だ。

 

 噛み砕いた言い方をすればIS学園在籍中には一切お金を払う必要性は無いと。両親に売られたと感じてもおかしくないが、景斗は特に感じていない。合計金額見て納得し、むしろもっと早く言ってくれればよかったのにと両親を恨んだ。

 

 仕返しに扶養義務を外してあげた。

 

 

 一夏を倉持技研に取られ男性操縦者の研究がそこに一任されるかと思われた少し前、そこに希望の光となって現れたのが景斗であり、今現在特別なデータが取れないことで先行きを不安にさせている存在も景斗である。

 

 彼は一夏とは違って全ての企業や国家に公平な獲得のチャンスが与えられた。皆こぞって手を上げたが学園上層部の判断によって彼自身が選ぶという選抜方法にされてしまった。特例中の特例だが彼自身が特例なのでどうでもいいことだ。

 

 そんなこんななんやかんだで現在の企業を選んだ彼だが、明確に所属している組織があるという一夏と違った点がある。国家の所属は日本ではなくアメリカ(機体がGAっぽいって理由)であり、一夏が抱えているような問題もアメリカ様々、全て解消済み。国際IS委員会も手が出せない状況にある。

 

 

 入学して間もない頃にIS学園の入試の一つ受けることになった。学力を判定するもので、成績や学校生活に直接影響するものではないと山田先生から説明があった。

 

 彼が在学していた男子校は成績が大してよくない高校。推薦入試の一つにレベルが比較的高い大学があったので、それ目当てに入学した景斗であったが、成績の低い男子校のレッテルは学園のほぼ全員が知っており、そのレッテルは彼自身のものになっていた、

 

 居残りの形で行われたテストであったが、成績に関係ないと聞いた彼は時間まで寝てしまおうと山田先生が見ている前で机に伏せる。だが、不幸にもこの時の彼の体調は優れていたため、全く眠気は無かった。

 

 開始から10分程度で退屈を感じ、暇つぶしにとテストを解き始める、ここで科目が数学だったことを知る。鉛筆を動かすだけの序盤は無視し、後ろの難問から開始。所詮は中学レベルの問題、2回目の中学生活と大学入試突破の経験を持つ彼にはどうという事はなかった。

 

 さすがに2回目の見直しをする時間は無く、50点満点中48点となる。かなり高いレベルの問題であったが、数学より算数が難しかった(電卓使いたかったの意訳)と彼は感じていた。

 

 それ以外のテストはしっかり寝不足の状態で挑み、全て赤点となる。唾液を使っての回答は認められないことを彼は改めて知った。

 

____

 

 

 どんどん話がそれていったので本題に戻そうと思う。閑話休題では済まされない程度にはそれていた。

 

 進行状況を確認する。

 

 システム面は手付かず、動くのもままならない状況。既存のOSがあるとはいえ、パーツとの相性の問題も考えなければならない。

 

 IS本体はそれなりに進行していた。カスタマイズが進みすぎて機体バランス総崩れのように思われたが、ほぼ完成状態にあった。

 

 当面はシステム面の構築が主な仕事だ。

 

「むぅ……」

 

 隣で人力TASのような操作をしている簪を見て、彼はため息をつく。

 

 多数の資料を片手に、ちまちまとキーボードを叩く。ミスをしないように、とにかく慎重を心がけていた。休まず進むウサギと亀ではこうも惨めな光景が生まれると、周囲は悟った。

 

 何故簪が手伝わせることを許したのかといえば、いてもいなくても変わらないほどヘボいから。正直な話戦力になるどころかミスで進行を送られてしまうのではないかというほどヘボい。

 

 なので、約束として無理をしない、挑戦をしない、ミスをしない、負担をかけない、諦めろ、を志すように言われてしまった。

 

 バックアップは取ってあり、その上0から作り上げていく作業なのでそこまで慎重にならなくてもいいが、景斗の実力を考えれば慎重になりすぎるぐらいが丁度いいと簪は判断した。

 

「どこが、分からないの?」

「とりあえずやってみる前に一回頭の中で考えてるだけ、大丈夫」

 

 ホウレンソウの義務は負担になるからと形式上は排除された。だけど何故か簪が景斗に大して世話を焼いている場面が見られた。

 

 幾つもの本を手に取り、同様の内容がのっているページを開き見比べる。そしてゆっくりISを操作し、長考する。

 

 分かっている人が見ればイライラする光景。次へ進む方法が分かっているのに何故躓いているのかが分からない、だから声をかけてあげたくなる。

 

「ほら、そこの数値補正をプラス50して」

「う、うん」

 

 簪は自分の操作を続けながら景斗に指示を送る。

 

(これ俺必要ないんじゃ)

 

 そのとおりである。

 

 今している作業は、入力された命令を正しくISが出力できるようにするもの。これをしなければISは動かず、新規に機体を開発する上で最も大きい作業である。

 

 雛形はできているとはいえ、定型を除いた部分や全く新しい部分にかなりの時間を費やさなければならない。それを多人数のチームではなく1で行おうとしていたのだから、彼女は恐ろしい。

 

 夏休みも使い倒して、年明けごろにようやく完成が見込めると簪はいった。動かせるようになるのは11月ごろ、気が遠くなる。

 

 

 次の日、景斗に気をかける余裕があることに気がついた彼女はさらに仕事の濃度を増やした。

 

 景斗は彼女の音声入力装置として活躍し始め、仕事効率が上昇した。

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