俺は多分モブが苦手だと思う
俺の運命が変わった月曜日から5日が経ち、待望の土曜日がやってきた。
5日間何をしていたか説明しよう。
1日目は学校に行こうとした時、家にIS学園の教員がやって来て転校についての説明をされるが、俺は転校について拒否する意思を伝えゴネた為話し合いは平行線を辿り、何とか撃退に成功する。1日目終了。
2、3日目は初っ端に交通路でIS学園の連中に拉致のような形で車に乗せられ、転校について学校と両親の承諾を得た事を伝えられた。すぐに両親に電話で確認し事実だと認識、心が折れる。自暴自棄になった俺は流れに流されかなり本格的な適正診断を受けた。2、3日目終了。
4日目はIS学園の制服やら教科書やらを受け取り、寮で生活するための荷物を纏めた。この時宿題ということで例の電話帳サイズの資料を3日間で出来るだけ読んでおくように言われた。反骨精神で見返してやりたいなんて思ってしまった俺はドアを出し、時の止まった空間でひたすら勉強していたのだった。4日目終了。
もちろんこの間、学校は行けなかった。俺の居ない間にどんどんコミュニティーが形成されてしまったことは考えるまでも無い。
今の状況の確認と補足をしてみよう。IS学園への転校は学校と両親、つまり俺以外の承諾を得て決定してしまった。最早人権など無い。検査の結果、適正は「B」であった。てっきり「S」でも出てしまうのではないのかと内心穏やかではなかったのだが、男は一律で「B」になるのではないかという仮説に納得する。IS学園で渡された教科書類は多国籍という事もありハイレベルで日本の一般的な学校の物とは変わっていた。なのであまり気は抜けそうに無い。ちなみに宿題の結果については全く未知の分野だったので一通り目を通した程度、付け焼刃程度にしかならなかった。
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休日はあけ、月曜日がやってきた。この日のIS学園は何時にも増して騒々しい。無論、それは教員も同じだ。
そしてここには珍しく、織斑一夏 、篠ノ之箒、セシリア・オルコットの3人が1つの机を囲んでいた。
「今日だな。」
「これは絶対に今日来るだろうな、一夏。」
「テレビで聞いたときからこの1週間は長かった……」
「あら、ずいぶんと楽しみにしていらっしゃいますね。一夏さん。」
「ああ、ここまで焦らされたんだ。楽しみにしないわけが無い。」
と、一夏が誤解されるようなことを口走り、更に騒々しさが増したところに教室の扉が開く。
「皆さーん、席に着いてくださーい。SHRを始めますよ。」
そこには副担任の山田真耶がいた。みんなは待ってましたと言わんばかりに各々の席に着く。
「たぶん皆さんももう知っているかもしれませんが、今日は転校生がやってきます。」
「山田先生! それ本当何ですよね!?」
「とうとうこの時がきた!」
「このクラスで良かったー!」
みんなが次々に自分の感情を言葉にし、それに対する受け答えの連鎖に次ぐ連鎖。もう山田先生では止められないほど五月蝿くなる。
それに見かねてかはいざ知らず、今し方やって来たのであろう担任の織斑千冬が教室に入って声を張り上げる。
「静かにしろ! 馬鹿者ども!」
正に鶴の一声、一瞬にして教室が静まり返る。
「ありがとうございます山田先生、ここからは私が変わります。」
先ほどまでの騒ぎで廊下に響く足音が2人分だったことに気づいた人はいない。だから廊下を見ていた人もいないしその転校生を見た人は誰もいなかった。
「転校生を連れてきた。あんまり騒ぐなよ。
それでは佐藤、入って来い。」
テレビで聞いた2人目の男性操縦者の苗字と一致する音の羅列がみんなの耳に入ってゆく。その事実がよりいっそうみんなの期待を高めた。それはもう織斑先生の警告をすぐに忘れてしまうほどに……
「はい、わかりました。」
教室の扉が開き、一人の男が入ってくる。
彼の容姿は一般的な成人男性の身長よりも一回り大きく、引き締まった体は白い制服をきちんと着こなし、髪は少しくせ毛なのかナチュラルなウェーブがかかっている。顔は特徴が無いと言うと聞こえは悪いが、バランスが良くベクトルは織斑一夏とは違うが十分に格好の良い男の部類であった。
もう少し踏み込んだ話をすると彼が両親から受け継いだ物は髪の毛の質と低い声だけだった。それ以外は極めて平均的であり、今現在、彼の特徴的な部分は7歳の頃から口に入れてきた物や、暮らしてきた生活習慣が作りあげてきたものだった。つまり完璧な超人までとは行かないもののコンプレックスの無い肉体を持っているのだ。
「転校生の佐藤景斗、男です。ISに関しては分からないことだらけですが、よろしくお願いします。」
1週間前、インターネット上に僅かな情報が流れ出た時は信じた人はいるものの、デマや悪戯の類と考えそれ程大きな騒ぎにはならなかった。その翌日から様々なメディアが男性操縦者の存在を報道、世界に一気に広がりIS学園でもその話題で持ちきりだった。フルネームや年齢まで知られておりIS学園への転校という情報も何処からか流れ出てしまっていた。ただし佐藤景斗本人が拒否したことは知られておらず、なぜこんなに時間が掛かったのかは"そういうものなんだろう"と思った人しかいなかった。彼のために出向いたIS学園の教員が生徒に答えることのできない質問攻めにあったことは当たり前の自体だったと言えよう。
要するに容姿の前情報は一切無く各自イメージだけで色々想像していた。そして目の前にいるのは紛れもない好青年。
その結果、特に可もなく不可もないテンプレどうりの挨拶だったがみんなの精神状態ではそんなことは気にならず、皆は思い思いに声を上げる。
「「「「「「キャアーーーーー!!」」」」」」
「イケメンキターーー!!」
「良い意味で期待を裏切ってくれた!」
「やった! IS学園サイコーー!!」
2人の先生は呆れながらこう話す。
「山田先生、正直騒がないわけが無いとは分かっていましたがこうまで予想どうりだと……」
「は、はぁ。そうですね、少し困りますよね。」
「少し所の話ではないな。 おい! 静かにしろ!」
みんなすぐに縮まっていくのが目に見えて分かる。多分ここまで何時もどうりなのだろう。
「佐藤は開いている後ろの席に座ってもらう」
「はい先生、わかりました」
ちなみに近くいる目だった人物はセシリア・オルコットのみだ。2席ほど離れている。
「近くの席になった、よろしく。」
これもまたテンプレどうりの挨拶をし、彼の始めての学園の生活が始まったのだった。
なんだろう、この煮え切らない気持ちは。
今まで1人称の文だけだったので3人称の文は初めてでうまく行ったか不安
修正するかもしれない、しないだろうけど。