Tales of Lovelive!~みんなで叶えるRPG~ 作:@ぷくぅ
「せーふっ!」
全力疾走のまま、私は会議室へと飛び込んだ。うわ、もういっぱい来てる…。そりゃそうか、なんたって時間ギリギリなんだもん。
「あと5秒遅かったら懲罰だったわよ、ホノカ」
私が開け放った扉のすぐ横から、凛とした声がした。
「おはようございます!アヤセ騎士団長!!」
金糸を編んだような美しい髪のこの女性は、騎士団長のエリ・アヤセ。美しい金髪に澄み渡る青空のような碧眼、肌はさながらその青空に浮かぶ月みたいだ。その容姿から、国民からは『白い月の
「はいはい、元気がいいのはわかったから、早く席につきなさい」
少し訝しげな眼で私を見つめながら、でも、毎回必ず集合時間の数秒前に来るのはすごいわよね…。とつぶやいて、アヤセ騎士団長は会議室の扉を閉めた。指示に従い、空いている席へと着席する。隣に座っている人がちらりとこっちを見たので、軽く会釈しておいた。というのも、私と配属が違う師団にいる人の顔はほとんどわからないのだ。
騎士団は王国軍としては第2軍と呼ばれる位置にいる。一般兵士の第1軍、魔術師のみで構成される第3軍、祈祷や解呪等を専門に行う第4軍、そして魔物との接近戦に特化したこの第2軍だ。本来なら、そこからさらに4つの師団に分けられて、役割分担しているんだけど、最近は4師団合同で何かすることが多くなってきている。なので、私の正式な肩書は『オトノキ王国軍第2軍第1師団グリーンナイト』のホノカ・コウサカ、ということになる。
「他ごとを考えている方も見えるようだけど、早速会議を始めてもいいかしら?」
み、見られてた…。アクアマリンの瞳が、よそ見している私のことをじっと見つめていた。慌てて正面へ向き直る。
「…よろしいようなので始めさせていただきます。今回の緊急集会ですが――
会議が始まった。アヤセ騎士団長は何かと私のことを気にかけてくれている。私を、自分の直下である第1師団に配属したのもアヤセ騎士団長の計らいだそうだ。これはきっと、騎士団には私たち二人しか女性がいないことに起因しているんだろう。怒られることもたくさんあるけど、強くて、優しくて、何よりこの国のことが大好きでたまらない、アヤセ騎士団長はそんな人なのだ。私も、いつかは騎士団長みたいな……
「ホノカ!!」
「ひゃいっ!?」
「今日は本当に大事な集会なんだから、しっかり話を聞いていなさい!全く、会議の内容より気になることなんて、いったい何を考えていたのかしら?お店番のこと?それともお昼ご飯のことかしら?」
あわわわ、恥ずかしい!!違うもん、いつもは店番のこととか、お昼ご飯のこととか――たまに晩御飯の時もあるけど――新作のお菓子のこととか今度の休みは何して遊ぼうかなーとか考えてるけど、今回はそうじゃないもん!!そう思った私は、つい、言ってしまったのだ。
「ア、アヤセ騎士団長のことです……」
「なっ…/////」
あーやらかした、そう思ったときにはもう時すでに遅し。周囲からは、おぉ、っと感嘆の声が上がり、不意を突かれた有明の月は、一瞬で皆既月食を起こしたかのように真っ赤になってしまった。
「ふ、ふざけていないで、真剣に聞いていなさいっ!!」
捨て台詞のように注意を吐き捨てると、アヤセ騎士団長は手元の資料に目を落とす。
「つ、続けます……。先日の経過報告で、マンセ遺跡とショーヘ遺跡、この二つの遺跡に結界を張ることで、勢力を弱めることができるとの情報を入手しました」
マンセ遺跡とショーヘ遺跡。オトノキからさほど遠くないところにある、荒れ果てた遺跡群だ。昔は神殿があったとも言われているけど、今となっては魔物の巣窟。あそこは危険だ、魔物が多すぎる、しかしだからこそ情報は本当なんじゃないだろうかなど、騎士たちも口々につぶやく。
「静かに。そこで、我々騎士団は両遺跡を占拠すべく、第3軍、第4軍と特別編成を組み……叩きます」
アヤセ騎士団長の語気が強まる。ついに抗戦の糸口をつかんだんだ。当然力も入る。
「一か所ずつなどと悠長なことは言っていられません。それに、一か所ずつ占拠していこうとしても、相手も馬鹿ではありません、対策を練られてしまうでしょう。なので、第1軍を国内中心に緊急配備し、不測の事態に備えます。2から4軍は2部隊に編成しなおし、同日に襲撃を行います。第3、第4軍の編成についての詳細は、別の場所で行われているそれぞれの緊急集会で決定されるでしょう。私たち騎士団は第1、第4師団をマンセ遺跡のM、第2、第3師団をショーヘ遺跡のSとして再編成します。各編成、師団長の指示に従い行動してください。決行は明後日、命運を分けるといっても過言ではない作戦です。皆さん、心してかかりましょう」
はいっ、と騎士全員が返答する。さすがは騎士団長、士気の高め方もひときわ抜きんでている。入室時の会議室とは一変、室内の空気は緊張感が漂っていて、みんな気合が入っていることがよくわかる。よし、私もお国のためにがんばるぞ!なんて言ってみたりして……。下っ端の私は、周りに迷惑かけないようにできる限りのことをやるだけだ。特に今回は本当に大事な作戦、いつもみたいな失敗は許されない。なんてことを考えていたら、アヤセ騎士団長がこう続けた。
「ただしホノカ、あなたはこの作戦から外すよう女王様から言伝を賜っています。あなた、また何かしでかしたの?」
こ、心当たりありません!!