Tales of Lovelive!~みんなで叶えるRPG~   作:@ぷくぅ

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僕たちはここから

「えぇ!?染料が取れなくて販売できない!?」

 

 私達が隣町についたのは、もうじきお昼時にさしかかろうかという頃だった。

 

「えぇ…大変申し上げにくいのですが、ここ数ヶ月、染料がほとんど採取できなくて……。我々もどうにかしようと自警団を派遣したりしているのですが、どうにも太刀打ちできず、王国にも救援を依頼したのですが……」

 

 店主が申し訳無さそうな顔で頭を垂れている。

 オトノキの衣料品の内、9割近くを占めているのが、この街、『オンデン』からの品物だ。最先端のファッションを生み出している街で、服飾関係ではこの街の右に出るものはない。

 

「そんな……せっかくここまで来たのに……」

 

 この街の周辺は、洋服の原料になる素材がたくさんとれる。それが発展の大きな大きな要因になっていた。特に、バンブーロードを抜けた先にあるアストリング渓谷には、染色に使われているほぼすべての植物が分布していて、渓谷から取れる原料はオトノキ中の街や村に出荷されている。

 

「ちょっと待ってください。今、自警団を派遣したり、とおっしゃいましたか?」

 

 その場にヘタヘタと座り込んでしまった私を他所に、ウミちゃんが店主に聞き返した。

 

「はい…実は、数カ月前から、バンブーロードに魔物が住み着いてしまいまして……」

 

 店主の話を要約すると、こうだ。

 

 数カ月前、アストリング渓谷へと続く道であるバンブーロードに魔物が住み着いた。このままでは染料が採れなくなってしまうため、自警団を組んで魔物討伐に向かうが返り討ちにあってしまった。アストリング渓谷に行くには、バンブーロードを通る以外道はないため、染料の供給が間に合わず、途方に暮れているということだった。

 

「じゃあ、その魔物がいなくなれば、洋服を売ってくれるってこと?」

 

「そうですね……もし、魔物がいなくなり、染料を確保できるようになれば、明日にでもお売りすることはできますが……」

 

 そんなこと、ありえない。とでも言うような顔つきの店主。まあ、自警団でどうにもできないんだから、そう考えるのも無理は無いかもなぁ。

 

「だってさ、ウミちゃん」

 

「私に振るまでもないでしょう…店主さん、その魔物について詳しく聞かせてもらえませんか?」

 

 こうして、私たちは魔物退治のお手伝いをすることになったのだ。

 

 

 

 

「この辺りでしょうか…ホノカ、何か気配を感じますか?」

 

「うーん…これと言って特に何も感じないけど……」

 

 バンブーロード。その名の通り竹が鬱蒼と茂っている街道だ。上空は竹が覆いかぶさり、ほとんど陽の光も入らない。夜になれば周囲は全く見えなくなってしまうだろう。

 

「そうですね……ですが、気をつけてください、ものすごい速さで飛び出してくるとのことですので。死人は出ていないそうですが、大怪我をした方が何人もいるそうですから」

 

「何回も言わなくてもわかってるよ~」

 

 あのあと、私たちは店主に、オトノキの騎士と兵士であることを伝えると、店主は是が非でも協力していただきたいと、かなり詳しい情報を教えてくれた。

 魔物は、『ものすごい速さで竹やぶから飛び出してくる』、『鋭い刃物で切りつけられたかのような怪我をさせられる』、『一匹ではなく複数、それもかなりの数がいる』などの特徴があるそうだ。

 

「…魔物たちも警戒しているのでしょうか。ここ数年で魔物の生態系も随分変わってきています。集団行動を好み、襲撃の狡猾さも増してきていると、お父様がおっしゃっていました。ホノカ、分断されないよう、もう少し近づきましょう」

 

 ウミちゃんが構えていた弓を下げ、私の方へと歩み寄った時だった。目にも留まらぬ速さで、私とウミちゃんの間を、何かが通り抜けていく。

 

「…っ!!」

 

 とっさに後ろに飛び退いて躱す。しかし、それを皮切りに、その何かは竹やぶの中から蜂の巣をつついたように飛び出してきた。

 

「しまっ…!!」

 

 見事に分断されてしまった私達めがけて横殴りの雨かと思うくらい振り注ぐ暗褐色の何か。私は落ち着いて飛び出してくる方に向き直る。

 

「散沙雨!」

 

 その、何か、が飛び出してくる方向へ向けて、多数の突きの連打を合わせる。キン、と甲高い音とともに、何か硬い金属質な物を弾き飛ばしたような感触を受けた。

 

「ウミちゃん!物質系!多分鉱物!」

 

「わかりました!」

 

 そこから得た情報を、すぐさまウミちゃんに伝える。サイドステップを刻みながら攻撃を躱すウミちゃんは、私の言葉を受け取ると、その場に弓を放り投げ、懐から扇子を取り出した。

 

「曼珠沙華!」

 

 扇子を大きく広げ、その場で二回転。すると、その回転にあわせて扇子から炎がほとばしった。舞術『曼珠沙華』だ。ウミちゃんを追従していた暗褐色のモンスターは、その炎に絡め取られ、ぼとぼとと地へ落ちていく。

 

「さっすが~」

 

「よそ見をしない!」

 

 茶化す私とそれを一喝するウミちゃん。不意を突かれたのか、魔物の攻撃の手は止んでいた。しばらくあたりを警戒しながら、私とウミちゃんはお互いの距離を詰める。

 

「追撃はないようですね……」

 

 背中合わせになる形で、私達二人は周囲を見渡した。魔物は別の場所へと移動したのだろうか、先ほど魔物が飛び出してきたあたりからは、気配は消えていた。

 

「みたいだね。それにしても、びっくりしたー。私達が距離を詰めようとした瞬間だったもんね。なかなか賢い魔物だ」

 

 攻撃の気配が感じられないことを確認して、私は戦闘態勢を解いた。ウミちゃんは扇子を構えたまま、さっき放り投げた弓を回収すると、弓を右背面へ、扇子を懐へと仕舞った。

 

「……そういうわけではなさそうです。見てください、ホノカ」

 

「んー?」

 

 ウミちゃんが指差す先には黒焦げになった先ほどの魔物が。曼珠沙華で迎撃された内の数匹だ。

 

「えっと、リビングソード、かな。暗めの色だったし。ふふん、私の感覚もなかなかのものだね」

 

 剣の形をしたこの魔物は、リビングソードと呼ばれている。その形状を活かした、突き攻撃や、切りつけ攻撃を主としている魔物で、これといって特に注意を払うほどでもない、下級の魔物だ。

 

「そういうことではなくてですね…」

 

 迎撃の際に得た情報がほぼほぼ正しかったことを誇らしげにする私を尻目に、ウミちゃんはため息を付きながら話を続けた。

 

「リビングソードは、もともと遺跡や洞窟に生息する魔物です。薄暗い竹林とはいえ、この辺りに現れるとは到底思えません。それに、風化してしまった武器の亡霊のような存在ですから、この様に集団で襲うことを前提とした戦い方ができるほど知能のある魔物ではありません」

 

 ウミちゃんは自分が焼き落としたリビングソードを1本拾い上げ、じっくり観察する。

 

「……捨て身のような攻撃パターンや、不測の事態に対応してくる点から考えると、別の何者かが使役しているように思います。外見に目立った変化はないようですから、呪術で操られているのかもしれません」

 

 不死系の魔物は洗脳呪術に対する耐性が低いですからね、加えて物質系となればなおのこと、です。との考察を頂戴いたしました。手にしたリビングソードは残っていた力を使い果たしたのか、ウミちゃんの考察が終わるのとほぼ同時に、空気と同化するかのように消えていった。

 

「なかなか賢い娘だ。しかし、それが命取りとなることもある」

 

 不意に、背後から低く、くぐもった声がした。

 

「誰!?」

 

 気配が全く感じ取れなかった。振り返ると、そこには紫色の鎧を身にまとった人物が、道を塞ぐように立っていた。数えきれないほどのリビングソードとともに。

 

「お前たちは少し知りすぎた。ここで死んでもらおう」

 

 何やら穏やかじゃない展開。紫の鎧が右手を上げると、リビングソードたちが一斉に私達の方を向いた。どうやら次の合図で投擲されるみたいだ。

 

「ホノカ、2秒で構いません。足止めをお願いします」

 

「…わかった」

 

 ウミちゃんが矢筒からとった1本をつがえながら言った。私が返事し終わるかどうか、というタイミングで、リビングソードが一斉に飛び込んでくる。

 

「魔神剣!!」

 

 初撃は『魔神剣』による剣圧。剣を振ると同時に地上を這う衝撃波を放ち、離れた敵を攻撃する技だ。これを時間差で2発ほど放つ。先に飛び込んできた数本の軌道を逸し、その隙に、矢をつがえているウミちゃんの前まで躍り出た。

 

「散沙雨!!」

 

 残りは先程と同様、無数の突きによる迎撃。剣先の向きを変えられたリビングソードは、勢いを殺しきれず、何本も地面に突き刺さった。

 

「いててて……。流石に全部は捌き切れないか」

 

 とは言うものの、ウミちゃんを守りながら全部避けきるのは難しい。リビングソードの鋭い切っ先が、軽装備だった脚部を斬りつけていた。

 

「ちょこざいな」

 

 紫の鎧が再び右手を上げる。弾き飛ばされたであろうリビングソードが続々と集まってきて、最初と同じような陣形を作り上げる。

 

「次で決めてやる」

 

「虚封!」

 

 鎧が憎らしげにつぶやいた時だった。一瞬できてしまった隙を見逃すほど、ウミちゃんは甘くない。放たれた矢が、鎧めがけて一直線に飛んで行く。が、堅牢な鎧に弾き飛ばされてしまった。

 

「馬鹿な。この鎧に矢が通るとでも……!?」

 

 次の瞬間、勢い良く鎧が引き寄せられる。そう、これが『虚封』。矢を受けた対象を引き寄せる特技だ。

 

「いざ…っ!」

 

 虚封が直撃する頃には、ウミちゃんはすでに次の体制に移っていた。弓から刀に持ち替え、引き寄せられる鎧に抜刀を合わせる。

 

「鎌鼬!!」

 

 一閃。紫色の鎧が両断される。抜刀術『鎌鼬』だ。

 

「私の居合に、切れないものはありません」

 

 地に伏せる青年は、砕け散った鎧の破片に埋もれている。あたりを漂っていたリビングソードの群れはというと、まるで電池が切れたかのようにその場に墜落していた。

 

「やはり、リビングソードは操られていたようですね…」

 

 散らばるリビングソードを眺めながらウミちゃんがつぶやく。その一方で私は、砕け散った鎧が気になっていた。

 

「ねぇ、ウミちゃん。この鎧、もしかしてリビングアーマーじゃない?」

 

 紫色の鎧、リビングソードと非常に良く似た色をした鎧だ。自らの意志で動き回る不死の鎧と呼ばれる、凶悪な魔物。

 

「本当ですね…。リビングソードを使役していたのはこの鎧だったのでしょう。ですが、どうしてこんなところに…?ひとまず、街へ戻りましょう。後でじっくり事情を聞かなくては」

 

 残っている鎧の破片を引剥し、ノビてしまっている青年を木に縛り付けた私たちは、オンデンの方向へと戻っていくのであった。





フェイスチャット:強さの秘訣


ホノカ「それにしても、ウミちゃんって器用だよね」

ウミ「急にどうしたんですか?」

ホノカ「いやさ、弓の名手で、舞術が使えて、剣技もピカ一でしょ?そんなたくさんの種類の武器、よく使いこなせるなって」

ウミ「そうですね…武器以外にも、柔術や合気道も使えますね。気功は試してみましたけど、私には向いていなかったみたいです」

ホノカ「私は剣技すらままならないっていうのに……」

ウミ「日頃の鍛錬あってのものですよ。それに、この程度の事ができなければ、兵士長の娘は務まりませんしね」

ホノカ「すごいなぁ。私もいろんな武器使いこなしてみたい!」

ウミ「おや、珍しくやる気ですね。それでは、明日から私と一緒に稽古をしましょう。お父様にもお願いしてみます」

ホノカ「あー、えーっと、うーん……」

ウミ「どうかしましたか?」

ホノカ「そ、そのー…あっ!そう、お店!お店のお手伝いがあるからなかなか時間取れないかもなーって……」

ウミ「ホノカのお母様なら、喜んで送り出していただけると思いますが」

ホノカ「う、うーん。と、とりあえず、相談してみるから!今度また機会があったらお願いするよ!」

ウミ「はぁ……ですがホノカ、芸は身を助ける、と言う言葉を忘れてはいけませんよ。あとから後悔しても知りませんからね」

ホノカ「あ、あははー……肝に銘じておきます……」
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