恋姫☦伝説   作:貧弱戦士

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一話 真名

どうもみなさん、おはようございます。本名、田中 太郎くんです!いやいや、拍手どうも。

時刻はまだ10時を回ったころ。自分はたいていはこの時間まで、瞑想の鍛錬をしております。いやはや、さすがはこの小説の主人公ですよ。もっと自分褒めてほしいですわ、ははははは!!

 

 

 

「起きろ社会不適合者」

 

「おいまて、ちゃんと言葉の意味を知ってて言ってるんだよな」

 

 

 

突然、この自分が寝ている部屋に少女がドン! と現れた。言葉のナイフを乱舞しながらだ。なにこいつ、いくら幼馴染だからって、こんな言葉をかけちゃダメでしょうが。もっとこう、幼馴染なら「こら太郎! 起きなさい! 起きないとチューしちゃうゾ」という、五七五のようなセリフを吐いてほしいもんですわ。

 

さて、この世界は三国時代というのは、こないだ皆さんにお話ししましたよね? 

かくいうこのS級ランクの女の子はなんとあの『関羽』さんなんです。お髭が素敵な殿方かと思いきや、性別が違うので一部の変態に高価で売れそうな綺麗な黒髪をしている。

長いから邪魔なのか、それをサイドでポニっている。

 

 

 

「そろそろ武たちと遊ぶ時間だ。はやく起きないと―――」

 

 

 

おっ、まさかチューという展開がきたのか? それとも、まだコイツにはバレてないけど、布団の下でスタンばっているジュニアを鎮めようとしているのか? どっちが転んでもありがたいが、自分的には後者がいいかな。

 

関羽は寝台の近くまで足を運び、自分の耳元に顔を近づける。まだ12歳ながらも、彼女の美貌が大変美しい。口が悪くなければ、告白して振られるところだった。振られるのかよ、ちきしょう。

 

 

 

「お、おい関羽。まだ自分たちは12歳という若い精力を持て余しているが、さすがにこんな昼からとか、自分もまだ恥ずかしいから………で、できれば部屋を暗くし「大通りに住んでいる○○で、昨日抜いたことを、村中に言いふらす」さてと、今日も世界が俺を待っている」

 

 

 

何故こいつがそのことを知っているんだ!? おかしい、昨日の夜は母さんに『絶対部屋に入らないで!』と忠告したのに……!?

そんな頭をかき乱す自分を見て、関羽はまたこないだと同じように笑みを浮かべる。完全に、苛めっ子の目つきにだ。

 

 

 

「なぜだ? という顔つきしているな凱。私には秘密は通用しないということだ。だから、これからも変に隠し事あるなら吐いた方が身のためだぞ」

 

「うぬぬ、ちぃと胸が他の同期と比べて大きいからって、そんな胸を張らなくても……!」

 

「ば、ばか!!? 私が気にしていること、何故お前が……!?」

 

「うっさい12歳(仮)! そんなことより、なんでお前が昨日の夜、ここで事を制覇したことを知っているって聞きたいんだよ!」

 

「無価値なことを、こうも大きくいうお前も大概だが……。なら私からの助言だ、有りがたく聞くがいい」

 

 

 

関羽は寝台に乗り出し、窓から顔を出す。陽気な日差しを浴びたいのかわからないが、それも一枚の絵になる。

………ん? 窓? あれ、そういえば―――

 

 

 

「今度から夜も窓を閉めるんだな笑」

 

 

 

テメェ、聞いてやがった!? 通りでこいつが俺のことを見てニヤニヤすると思っていたが、どうやら俺を見るのと同時に窓にも向けていたようだ。

今は日差しが熱い夏の時期。夜の蒸し暑さと、己のモンモンさに耐えられなく夜風を感じようと窓を全開にしたら、プライベートも全開だってわけか面白くない!

 

それから何回も関羽のやつに嫌味と撤回もとい謝罪を要求したら、こう答える。

『むしろ謝罪を要求したいのは私のほうだ。お前のせいで昨日は、一睡も睡眠をとっていないのだからな』

と言いながら、欠伸をするフリをしだす。嘘つけ、この年齢詐欺が! どうみても、お前は寝不足という顔でもないし、髪の毛も綺麗に整っている! そしてなおかつ、昼まで自分を放置したのも、決定的証拠。

どう自分を苛めるのか、ずっと考えたに違いない。

忌々しい、あぁ忌々しい餓鬼ですね。こんな餓鬼がいるから、社会はつねに最高を塗り替えるとともに、最低さえも塗り替えてしまう。

………まぁ、ここは過去だ。もとい、歴史の世界。今は遠き未来の世界を考えても、意味もない。

俺がだんだんと覇気がなくなってくると、関羽はどことなくつまんなそうな顔ぶりをしだす。同時に、ドアからギギギと、床と擦れながら密かに開かれるのが聞こえる。

 

 

 

「あら、愛紗ちゃん。勇人起こしてくれたの?」

 

「……はい、おば様。折角、青い空と温かい光が差し込んでいる今日に、外を出ないなどまさに愚の骨頂です」

 

 

 

目線が自分に向けてるぞ、つかなにそれ? そういう言い方だと、自分はもう愚の骨頂という存在なの? ここまで侮辱されたのも初めてだが、文句を言えばまた関羽の機嫌を損ねてしまう。

 

 

 

「おいバ関羽。表出ろ、ぶち犯してやる」

 

 

 

しかし、自分もまだ子供だ。つか、大人の時でもこう言われたら、マジで妄想の中でぶち犯してやるわ。大人を舐めるなよと、言葉に含むように言いながらも、関羽は何故か笑みをまた浮かべた。

母はそんな自分の言い方が気に食わなかったのか、怒気を全身に纏わせながら迫ってくる。

自分に。

 

 

 

「こら勇人!! 女の子にそんな言い方しちゃいけないでしょ! ちゃんと友達として、優しく接しなさい!」

 

「え………」

 

「おい、女の子と言われて私のことを二度見するな。表に出ろ、ぶち殺してやる」

 

 

 

関羽がまたも凍てつく眼差しと同時に、自分の胸倉すらも掴んでくる。

こいつ、ついに自分を殺す気なのか!? いやいや、まさかあの関羽様がそんなことするとは思えないですよ。だって歴史では、義を重んじる聖人君子として、神格化されている人物ですよ?

そんな人から、殺すとか………いやいや、まさかまさかまさか! 

信じるよ自分は! だって、関羽だもん! 女の子だもん!

 

 

 

「愛紗ちゃん、ごめんなさいね。勇人、こうは言っているけど、本心では愛紗ちゃんのこと大好きなんだから」

 

「おば様…………」

 

 

 

力強く捕まれていたが、それがだんだんと緩み突き放した。どこかしか顔が赤いが、これは多分………もう少しでイライラが一定値を超えれば、変身すると思う。

母はまたも俺の目の前に移動し、目線を合わせるように屈む。

 

 

 

「勇人、まずは関羽じゃなくて愛紗ちゃんって呼びなさい。もう8年の付き合いなのよ。愛紗ちゃんも、勇人に真名を預けているんだし、失礼よ」

 

 

 

すみません、預けられた覚えもありません。むしろ、あっちは自分の真名すら呼んでくれません。したがって、お互い気を遣わず、名を呼べばいいのではないでしょうか?

……おっと、ここでもう一つ皆さんに教えることがありましたよ。どうやらこの世界はどこかしか訴えられると思ったのか、この大陸にはある風習がある。

姓名や字という、三国志どくとくの名前がある他には、この世界特有のがある。それは『真名』だ。

真の名とかいて、真名。それは、自分という存在を、世界に証明したりとか、あとは特別な思いを込められた名とか、そういう妄想で多分大丈夫でしょう。

この関羽にも、もちろん真名はあります。愛紗という、まるで可憐な女の子につけられる名前……。それが、彼女の命と同等の存在です。

ちなみに、自分の真名『勇人』は誰にも許可を出してないのに、村の全員から呼ばれています。つか、行商人のおっさんとかにも呼ばれて、どうやら自分の真名は命と同じようにカスの存在らしい。

 

なめとんのか

 

去年に真名という大切さを父と母に教えられて、ここまで大事だとは思えませんでした。

文化も違えば、価値観も違う。

 

というか、早くいってほしかった。真名はどうやら自分でも決められるらしいので、もっとカッコいい真名が欲しかった。

そう心の中で嘆いていると、関羽は自分の首根っこを掴み、外に出ようとする。

 

 

 

「行くぞ凱! お前との雑談のせいで、今日の予定が狂ってしまうじゃないか! おば様、凱を連れていきますね。夕方ごろには、ちゃんと家に戻らせますから」

 

「あら、じゃあその時一緒に来なさいな。丁度さっき猪の肉が手に入ったから、夜にご馳走用意するわよ」

 

「はいっ、ありがとうございます。それでは遠慮なく……ほら! もたもたするな!」

 

 

 

母さん、朝からいないと思ったらモンスターハントしていたわけね。

……ん? こいつが夜にくるなら、もしやと思うが兄貴もうちにお邪魔するってことか? 

ウソだろ!? 自分、あの人苦手なんだよ! いい人オーラ全開、イケメン装備のあの野郎は!

だが、そんなことを悲痛に叫ぶ前に、関羽は自分をさらに力強く引っ張り上手く声が発せない。

くそぅ、絶対阻止してやる……!  あのバ関羽の兄、関帝に野郎を絶対うちに上がらせるものか!

自分たちの戦いは、今始まったばかりだ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりだね、勇人くん」

 

 

 

旅は終わった、頑張ったがやっぱ無理だった。

 

じゃあ、また今度

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