装刃機兵の秘焔魂〜ブレイズソウル〜   作:勘張 明倫

1 / 3
10年前の惨劇

西暦2759年

 

新首都内のビル街、

 

 

いつもは青く、太陽の光が降り注ぐような空がその日は赤く染まり黒い黒煙が立ち込めていた。

ガラスが割られ地面やビルの壁に空いた複数の穴、

周りに倒れている血まみれの死体たち、

遠くで聞こえる怒号と銃声、

 

すべてが現実離れで・・・7歳だった俺は今の状況をほぼ理解できていなかった。

 

・・・なにより、

今自分の眼の前に映る光景を理解したくはなかった。

転がる装甲車とその下敷きになった母さん、その近くの壁には糸切れた人形のように血塗れの自分の兄、

そして千切れて骨が見える腕を隠しながら、もう片方の腕・・・機械の腕で俺を抱く父親。

 

それを理解したくない7歳の子供は父親に目もくれず泣き続ける。

 

 

?「痛い・・・痛いよ・・・

父さん、かあさん、兄ちゃん。

左腕が・・・痛いよぉ・・・」

 

?「・・・すまん、

すまない!!

俺が・・・病に侵されたばかりにこんな事に‼︎

俺がもっと強ければ・・・」

 

子供の腕もだらんとたれ下がり骨折していた。

父親はそれに気づいて手の位置を腹部にずらす。

 

そして父親は泣き続ける子供を地面に座らせ、

ポケットから深い青色の宝石を子供の右手に握らせた。

 

?「・・・蒼、

一度しか言わないからよく聞くんだ。

この宝石が・・・これからお前の助けになるはずだ。

 

お前はきっとこの宝石から力をもらう。

だが、力に振り回される事だけは絶対に避けるんだ。

蒼は賢い子だから、出来るよね?」

 

?「父・・・さん・・・?」

 

子供は理解が追いつかずに首を傾げたその時、

 

 

?「おい!

こっちにもまだ生き残りがいるぞ!」

?「なんだと!?

よーし、なら粛清してやらなきゃぁ!」

 

この惨劇を作った男たちの声が聞こえて子供は震え始める。

父親はそれを聞き、子供に宝石をポケットにしまわせて機械の腕で頭を撫でた。

 

?「蒼、お前は賢い子だ。

賢いから、いまからあそこの瓦礫の中に隠れるんだ。

絶対にでちゃいけないからな、約束できる?」

 

皐「・・・うん、

約束する。

父さんの言うこと聞くから、だから!」

 

?「・・・いい子だ。

こんなにいい子を授かれて、父親冥利につきるよ。」

 

皐月と呼ばれた少年の父親はそう言うと蒼をつかみ、

瓦礫の近くまで放り投げた。

 

蒼はすぐに瓦礫に隠れ、外の様子を覗き始めた。

 

狭い瓦礫の中で小さい体が震える。

口を紡ぎ歯のなる音を必死に抑える。

 

そして隠れてしばらく、

 

 

?「みぃつけたぁ!

機兵の分際でしぶてぇやろうだ!」

 

?「・・・よくも、よくも私の妻を・・・子供達をぉぉ!!」

 

男の声が聞こえた瞬間父親が最後の力を振り絞り残された肩に手を当てる。

 

?「装刃、『迅雷の腕剣〈ボルテック・ブレイド〉』。

ドライブソウル!」

 

父親の残された腕が直後に光り出し姿を変え、

腕が巨大なブレイドに変わる。

 

?「私の・・・愛する者たちの嘆きを

この剣「うるさいよおっさん。」にぐふぁっ!?」

 

そしてそれを振り上げた直後、

父親の向いている方から黒く細い剣が伸び体を貫いた。

子供は出そうな声を必死に手で押さえるが、父親の吐血した瞬間子供は涙をこぼす、

 

そして黒い剣の持ち主と思われる少年が剣を縮めながら父親に近づく。

?「最初はすごい力を生み出した人だって聞いてたから楽しみだったんだけどなぁ、

所詮あんたもそこらへんのゴミと同じってことなんだね〜。」

 

?「ゴフッ・・・

き、君達は・・・なぜ、私達を襲う!!

我々は・・・同じ機兵だった筈だ・・・」

 

?「同じ機兵だから襲われないとでも本気で思ってたの?

 

アッハハハハハハ!!

あんた科学者なのにそんなこともわかってないんだぁ!」

 

彼の持つ刀身は長さをを縮めついに持ち主の少年は貫いた彼の一歩先に来た。

そして剣を引き抜いてすぐさま斜めに斬りつけ、鮮血を噴き出させる。

 

?「がぁっ!?」

 

あまりの衝撃に父親はその場にうつ伏せに倒れこむ。

少年は倒れた父親の顔の前にしゃがみ込み髪を乱雑に掴んで持ち上げる。

 

?「あんたらみたいな雑魚の機兵と俺たちをまとめないでくれる?

俺たちはあんたら機兵の中でも優等種なんだよ。

本来人に評価されるべき側面、それがあんたらみたいな悪い標本が生きてるせいで未だに装刃と機兵の悪いイメージを固定させてるんだよ。

 

俺たち優等種な機兵だけ生きてりゃい、

あんたら雑魚機兵は・・・俺らにとっちゃ・・・こいつを取っちまうことができる一般人とかわらねぇんだ。」

 

剣の少年の声ともに剣が肩に突き立てられた、

父親の悲鳴がこだまする中肩から黄色い宝石が赤い血をまとい転がり落ちると少年はすぐにそれを拾った。

 

?「ふーん、取られないように体に埋め込んでたんだ。

手術は辛いはずなのにマゾヒストなんだね。

 

けど、これは俺がいただくから。」

 

剣の少年は宝石をポケットに入れて後ろに引き連れている兵達を呼ぶ。

兵達はそれを合図に父親に銃を向ける、

しかしそんな事を構わず父親は手を伸ばす。

 

?「か、返せ・・・

その装刃石は・・・あいつと・・・妻と家族の思い出の結晶・・なんだ・・・

返せ・・・」

 

?「・・・家族の思い出の結晶ねぇ、

なんの意味もないよそんなの。

こうやって大切な場所はすぐに奪われるもんなんだからさ。

 

あんたら雑魚は搾取されるだけ、

恨むならあんた自身を恨みな、何も守れない無力な自分をな。

 

・・・あんたら、好きなだけ弾をお見舞いしてやれ。

僕は帰るから。」

 

少年の声はそれを最後に聞こえなくなった。

そしてそれ機に今度に鳴り響いた音は

 

 

 

 

バババババババババババババババババババッッッ!!!!!

 

 

 

 

 

「おらぁ!

死にやがれ化け物がぁ!!」

「ザマァねぇなぁ!

こんなことで死ぬのかバケモノォ!!」

 

 

 

 

 

 

はち切れんばかりの怒号と銃声、

それは少年の耳どころか心をも抉り少年はその場ですぐに気を失った・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・こちら、特隊No.07。

テロを起こしたとされる者達の制圧完了。

ったく、酷いなこりゃ。

街は完全に壊滅だ・・・生存者の反応も・・・ない。』

 

『こちら特隊No.12、

こちらも酷い有様だ。

どれもこれもミンチのような死体しか・・・おい、大丈夫か!?

 

・・・くそ、隊員2名がショックにより嘔吐。

休憩のためしばし停止する。』

 

 

事件が鎮圧された後、

特殊部隊のメンバーが惨状の舞台となった街に捜索を開始した。

 

街の一角に止められた装甲車の中で指揮官の女が通信を聞いて装甲車の壁を殴る。

 

?「くそっ!

私たち対装刃機兵用特殊部隊がいてこのザマか!

・・・ここにも、平和に暮らしてた人達がいたはずなのに!

私達はまた!」

 

?「崎部隊長、我らの部隊をそう責めないで頂きたい。

我等の無力ではなくこの街には装刃機兵が少なすぎたのです。

本来バレるはずのない極秘研究施設。

隠匿性のために警備などは敷いていなかったのですがそれが仇に」

 

崎「他人事で語っている場合か!!」

 

崎部隊長が怒りを意見した隊員にぶつけたその時、

 

 

『こ、こちら特隊No.3!

生存者発見!

生存者を発見しました!

7歳くらいの子供です!』

 

崎「!!

特隊No.3!

他に生存者は!」

 

『は、はい!

周囲に幾つかの亡骸はありますが他の生存者は発見できません!

・・・隊長!』

 

崎「・・・そうか、ご苦労。

その子は救助して連れて来い。

 

・・・これだけ広い区画で生存者は暫定1人か。

しかし・・・テロリストの連中、いったい何がしたかったんだ。

ここまで大それたことができるのは普通の人間には不可能だ。

 

だとすると・・・また奴らが」

 

?「隊長、

他の区画でも被害にあっている箇所があると報告が」

崎「はぁ、

近い部隊は?」

?「特隊No.12と15です。」

崎「ならそいつらをむかわせろ。

私はこの区画唯一の生存者を保護する。」

 

 

崎隊長はそう支持するとすぐに装甲車の中に入り状況確認に専念した。

 

 

 

 

 

一区壊事件、

2759年に起きたこのテロ事件は国内最大級の最悪の事件とされこう呼ばれ、

該当区内に住んでいた301人が死亡するという最悪の大惨事となってしまった。

 

国はこの事態を重く受け止め対装刃機兵用の特殊部隊の増強を目標に様々な対策を続けてきた。

 

 

そしてその事件で唯一生き残った少年は後にニュースやワイドショーで

『天運の少年』と呼ばれることになり、

人々の注目を集めた。

 

しかし少年の精神状態が回復せず少年は国立の病院にて少年時代を過ごすことになった。

 

 

 

事件はいつまでも人に語られ続け、

そしてそれから10年の時が過ぎていった・・・・・

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。