というか遅れすぎてすいません。作品が多いってかなり疲れる
私は学習しました。たぶん。
「はぁっ!!」
ステイルは手から炎を出し、当麻に向け、投げる。
その炎は着弾すると急にその大きさを増し、当麻達を飲み込まんとする。
「インデックス!下がってろ!」
インデックスを後ろに突き飛ばし、目の前にある火炎に目を向ける。
ゆらゆらと大きくなっていくその炎はとても綺麗だった。炎がこんなに美しく思うのはこれが初めてだ。
「クソッ!」
しかしどれだけ綺麗だろうと自分の命を刈り取ろうとしていることには変わりがない。当麻は右手を炎に向ける。
バシュン!と音が鳴ると炎はまるで幻想だったかのように消える。
幻想殺しは一回、非科学的なものに触れると連鎖的に連なっている非科学的なものも消える。なので、炎の端っこでも、右手で触れると炎の芯まですべて消える。殺す。
炎が消えるとそこにはステイルがいなかった。代わりにあるのは後ろの気配
「ッ!?」
神回避といえる速度で前転する。ツンツンにとがっていた頭髪の端がチリチリと燃え、視界の端にはステイルの炎の刀が見える。
「ほう、今のを躱すとわな」
シッ!
ステイルは自分が出せるだけの速度出力をだし、体をかがめ、当麻に攻撃する。
頭部を狙った左からの斬撃。
当麻は僅かに下がり、ギリギリ回避する。
次は右からの振り下ろし。
これも体を捻り、回避する。
埒があかない。いや、このままだと負ける。
なら次だ。こんなこと、あの能力バカを相手にしたあとじゃ、なんとも思えない。
ステイルは振り下ろした炎の剣を振り上げると同時にバックする。
これも間一髪でよけるがステイルは振り上げた炎の剣を顔めがけて放り投げる。
「なっ!?」
当麻は咄嗟に右手を突き出し、炎の剣を消し殺す。
だが次だ。ステイルはまた視界から消える。そして後ろを向こうとした時、当麻の周りにはさっき消した炎と同じ2mくらいの炎が現れ、当麻を囲む。
「クソッ!どうなってんだ!」
炎を右手で消そうとする。半径2mくらいの範囲を囲まれている為、炎に近づいて消そうとすると、冷たい殺意を感じる。
本能的に後ろに右手を回す。すると炎の針が投げられて当麻の首を取ろうとしていた。
右手で炎の針を消す。
そして次、当麻は屈む。直感的に感じた冷徹な殺意を信じ、屈む。
頭上を炎の針が通り抜ける。もし屈まなければ右の肩をやられ、幻想殺しを振るうことができていなかったはずだ。
このままでは袋のネズミ。いつ殺されるか簡単に予測できる。
どこだ。どこにアイツはいる。どこから殺そうとしている。
囲む炎を見る。これを消そうと近づいた途端、殺されそうになる。
……そうか。わかったぞ
当麻は姿勢をかがめ、目の前の炎に向かって突進する。
そして背後に来るであろう炎の針。もうそろそろだろうか。
あと1秒。2歩目をだそうとする。
と見せかけて、足首を無理に使った反転してからのダッシュをする。
予想通り、炎の針は自分の頭を貫こうと自分の眉間をとらえていた。
当麻は右手を伸ばし、炎の針を消し、そしてそのまま走り、炎も消す。
炎を消すと、針を投げたであろうステイルが唖然としたまま立っており、ハッと我に返るころにはもう遅い。当麻は左手をステイルの顔面を捉え、拳で突く。
ステイルは一歩後ずさりする。
当麻のパンチ力は学園都市では何故か強い。パンチだけは。その威力は一発で相手を気絶させることも。
そのパンチを受けたステイルはよろめく。
そして次に本命の右手によるアッパーを繰り出す。
これで決着はついたものだ。いつもの彼なら。
「僕を舐めるな」
ステイルは左手で当麻の右手を殴り、軌道をずらす。
ステイルは地面をけり、2mほど後退する。
すると同時に当麻とステイルの間に、炎の巨人。イノケンティウスが拳を伸ばしている。
当麻はパンチの勢いのまま、イノケンティウスの腕の下を潜り抜け前転。そのままステイルに2回目の左パンチを送る。
だが当麻は拳がステイルの顔に当たる前に、直感的に拳を引き屈む。頭の真上にはイノケンティウスの拳がある。もしあのままやっていれば顔は物理的に真っ赤になっていただろう。
しかし炎の巨人の第二撃目。
「
インデックスが言葉を唱える。すると炎の巨人の拳は急に右を狙い、空振りする。
自立をしない、遠距離で操られている対象の行動を強制的に捻じ曲げる詠唱。
相手の対象への詠唱に割り込む呪文。基本的に魔力が無いインデックスでもその呪文は使える。
当麻は炎の巨人の空振りを空気で感じるとそのままステイルに突進する。
急な邪魔な詠唱をされたステイルは困惑し、インデックスを見る。その瞬間、視界は一瞬ブラックアウトする。
当麻の右手の拳が見事に刺さる。数m後ろに吹き飛ばされたステイルは、意識が途絶えようとするが振り切り、そのおぼつかない足で立つ。
しかし追撃は途絶えない。拳を間一髪で避ける。
囲んで倒す作戦がつぶれてしまった以上、この勝負の要はイノケンティウスだけだった。でも、策に策を重ねるのは基本だ。
炎の巨人はのそり、のそりと動く。当麻は振り返らず、ステイルの方だけを見て、そして捉える。
が、その近距離が当麻には仇となった。
急に現れた炎の剣は当麻の左手を貫通する。
横、横から飛んできた。
飛んできた左を見ると数枚のルーンが貼ってある。
チリチリと体を燃やすその炎の剣は、美しく、また熱かった。
「があああぁああ!!」
痛覚が一気に脳へ送られる。震える右手を必死に動かし、炎の剣へと震える。
炎の剣は、瞬く間に消し殺される。
しかし左手を貫いた跡は消えず、通ってくる風が、出てくる血液が、当麻の生命力を確実に削る。あまりの痛さにそのまま体を前に倒してしまう。
「ああぁぁ!!」
痛くて、痛くて、痛い。
今まで感じたことのない痛覚を当麻は堪能する。
「よく頑張ったよ」
ステイルは言う。
気づけば炎の巨人は当麻の近くにいた。こちらを見つめ、命を刈り取ろうとする。
その右手は当麻の体を狙い、ゆっくり、ゆっくりと振り下ろされる。
最後の抵抗。当麻は右手を上げ、イノケンティウスに触れる。消し殺す音がでる。しかし、イノケンティウスは平然とたたずむ。
ゆっくり、ゆっくりと当麻のからだにその腕は、拳は触れようとする。
『修行不足、だね』
突如として、イノケンティウスは消え去る。
ふっと消え、残された火の粉も風に吹かれ、消えてゆく。
そして当麻の体、右腕以外を水が、聖水が優しく包み込み、当麻の体を立ち上がらせる。
左手の傷はその水に癒され、傷を閉じる。
『今回は君の勝ちだよ♪でも、今回は君に負けてもらわなければいけないんだ』
水の「それ」はステイルに微笑む。すべて水でできており、身長は当麻より小さい、中学生くらいの子だ。
つばの大きいシルクハットのような帽子を被り、巫女のような裾が広い上着に中くらいのスカート。
ステイルは作戦開始前、妙な噂を聞いた
『噂のあの超人の師匠が現れて、その人に勝ったらしいよ』
『嘘!?あの超人ってlevel5すら凌駕するって言ってたわよ』
超人とはステイルを攻撃を一切せずに気絶させた、あの能力バカであろう。
あいつに勝てるやつがいないと思っていた。しかし、上には上がいた。
ステイルの第六感が囁く。
目の前の「それ」は間違いなく能力バカを破った人だと。
威圧力、それが「それ」にはあった。
負けてもらえないと困る、という運命を操る、その強さが「それ」にはあった。
じゃあね、と言って「それ」は泡となって消えてゆく。
あらゆる幻想を殺す野獣を置いて。
当麻は一瞬でステイルの懐まで詰める。右の拳がステイルの顔を捉え、振りかぶる。
ステイルの鼻に直撃したその拳は最後まで振り切られる。ステイルは3mほど飛び、その場に倒れる。
痛い。痛い痛い痛い痛い。
先ほど受けた左手とは威力が桁違いだった。鼻の骨が折れただろうか。
鼻を抑えながらステイルは立つ。策は本当に何もかも尽きてしまった。
だがこのまま負けるのも無様だ。ルーンを貼って、イノケンティウスを再び召喚し、インデックスを攫うことだけを考えよう。
そう思い、当麻を見た時だ。
彼の左手は燃えていた。
いや、正確には火を灯していた。
彼はスッと左手を横に振るとステイルの横と後方は炎でふさがれ、逃げ場を無くす。正面からは左手に炎を宿したままの彼が、意識が抜けたように力を感じないまま、こちらへ歩いてくる。
「試合終了。勝者、当麻」
いきなり響く声に驚き、ステイルは声のする方を向く。人避けの魔術に耐えられるものとは一体何なのか。目の前の彼は、その右手の力に。能力バカはその己の強さに。
いや。この声は聴いたことがある。
ステイルの周りの炎は無から作られた水によってすべて消される。
そして当麻の前にいきなり現れると鳩尾に当麻の拳をめり込ませる。当麻は口を開け、吐こうとする前に意識が途絶える。
そう、そいつはステイルを一瞬で倒した、能力バカ、笹垣操だった。
当麻は幻想殺し持ってるから能力使えるわけねーだルォ!?バーカバーカ!
これもこの作品と原作でのズレ、です。
だいたい能力バカのせい。
さて、話す機会が無かったので少々ネタバラシ。
当麻が炎に囲まれたシーン、実はある漫画をパクッてます。当麻は炎の針が飛んでくる方向を予測しました。それは常に背後、しかも後頭部を狙ってくるので、一か八かで賭け、成功した、ということですね。
次、ステイルの罠ですが特に何もないです。もとから仕掛けられてたとしか。
次、イノケンティウスが消えたシーンですが、水でできた「それ」、つまり諏訪子の分身がルーンをすべて濡らしてきました。
以上です。
では、次回、禁断の図書館が開かれるまで
Large library that has been forgotten