精神もTSしました   作:謎の旅人

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第63話 私に偽者などない

 ついにセシリアと本当に恋人になったので、私はセシリアに何度も何度もキスをした。舌を入れずの口と口を合わせるだけのキスだ。

 セシリアは私のしつこいキスを嫌がることも無く、私を自身の膝の上に乗せ私の腰に腕を回すなどと積極的だった。

 結局、キスに夢中になった私たちは観覧車の時間をキスで費やした。

 ただ私もセシリアもそれだけでは互いに満足できなかったので、もう一回乗ることにした。

 並んでいる間は指を絡めて手と繋ぐだけで我慢した。本当はセシリアのおっぱいを突いたりして悪戯したかったのだが、私もセシリアも他人に好きな相手の乱れた姿を見せたくはない。

 そうして我慢して再びゴンドラへ入った。

 すでに日は落ちて、空には僅かに茜色の空の名残があるだけで真っ暗である。ゴンドラについている電灯は雰囲気作りのためか、そこまで明るくはない。

 ゴンドラが上がり始めてしばらく経ってから私はセシリアに向き合う形で膝に座った。

 

「んっ」

 

 言葉を交わさずに始まるのは互いに求めていたキス。

 先ほどしたときはただの口を付けるだけの軽いキスだった。

 だが、さらにその先を知る私とキスという行為が齎す効果を知り、その先に興味があるセシリアがこの程度で我慢できるはずがない。

 最初のキスで治まりかけた興奮を再び起こす。

 互いの興奮が高まると同時に私たちはキスを止めた。合図はなかった。

 

「詩織……。わたくし初めてですの。どうすればいいのか分かりませんわ。エスコートをしてくれません?」

「もちろんよ。私に任せて」

 

 私は自分が優位に立てるようにセシリアをこの体勢から押し倒した。

 セシリアの腰に跨るようになった私は両手をそれぞれのおっぱいに置いた。

 

「ぁん」

 

 セシリアがおっぱいを触られたためか、色気のある声を出した。

 声を出した本人は顔を真っ赤にしていた。どうやら体が勝手に反応して出た声のようだ。

 

「む、胸まで触りますの?」

 

 これ以上自分の淫らな声を聞かれたくはないのか、潤んだ瞳で問いかけた。

 

「もちろんよ。私はセシリアに気持ちよくなってもらいたいもの」

「言っておきますけどわたくしはここで最後までしませんわよ」

「もちろん。するときはこんな狭く固いイスの上ではなくて、広くて柔らかなベッドの上よ。ここでするのはこうしてここを触って、さっきとは違うキスをするだけよ」

 

 話をしている間に私の手も動いていた。

 私のテクニックは簪とのいちゃいちゃで上がっていて、力加減や揉み方などをいろいろ知ることができた。前世? あのときの経験はすでに知識だ。あまり役に立たない。

 セシリアは決して演技ではなく、本当に気持ちよさそうにしていた。

 そういうところはどうしても気にする。前世が男だった私としてはやはり自分のテクニックで偽りなく気持ちよくなってほしい。演技だったなんてことがあれば私、死んじゃうかな。

 けど、私はセシリアが演技ではないことを見抜いた。なんとなくだがそれが分かった。愛の力?

 

「んあっ! し、詩織!?」

 

 服越しが我慢できなかったので、おっぱいが完全に見えるように服を捲った。

 セシリアが直そうとするが、私がそれをさせない。

 しばらく攻防を続けた末に勝ったのは私だった。

 

「もう、好きにしてくださいまし……。抵抗もしませんわ」

 

 聞くだけならなんだか無理やり襲っているように聞こえる。まあ、今のセシリアの顔を見ればそうではないと分かるが。

 

「ええ、もちろんよ」

 

 セシリアの服を捲りあげたのだが、すぐさま生のおっぱいが見られるというわけではない。見えるのはブラジャーに覆われたおっぱいだった。

 このままというのも結構いいのだが、今は時間がないしこれからはそんな機会はいくらでもあるので、そのブラもはずした。

 現れたのは私と同じくらいの大きさの白いおっぱい。

 

「きれいね」

 

 思わず声に出してしまう。

 

「……うるさいですわ」

 

 セシリアは顔を真っ赤にする。

 

「本当のことよ。前にも見たけど本当にきれい。ねえ、セシリアってモデルみたいなこと、したことある?」

「……一応ありますわ。ISの代表候補生ということもありましたからね」

「そう」

 

 それを聞くとどうしても嫉妬してしまう。もちろんそれはセシリアのこの体を、大事な部分は隠しているとはいえ、セシリアの体を私以外の者が見たからだ。

 セシリアがモデルをしていたのは私と出会う前だとはもちろん分かっているが、だからといって簡単に納得できるようなものではない。

 

「セシリア、今度はもうそういうのはしないでよね。あなたには私という恋人がいるんだから」

 

 私の言葉に一瞬きょとんとするセシリアだが、なぜ私がそう言ったのかを理解したのか、私の頭を抱き寄せて自分の胸に押し付けた。

 今はセシリアの胸が露になっているので、変態的な行動になっているが、服を着ていたならば安心という意味と誰もが捉えることができただろう。

 あうっ、か、顔にセシリアのが~!

 

「大丈夫ですわ。わたくしもあなたを好きになってから誰にも見せたくはないと思いましたもの。今思えば水着とはいえ、なんであのようなことをと思いますわね。あんな雑誌を買うのは見知らぬ異性がほとんどというのに」

 

 セシリアは過去の自分に対して怒っていた。そして恥じていた。

 

「分かってくれたならばいいわ」

 

 私の顔はセシリアのおっぱいに挟まれたままなので、ここから攻めることにした。

 本当はキスしたり揉んだりするだけで満足する予定だったが今はこのような状態。ちょっとくらい先に進んでも別にいいだろう。

 だから私は舌でペロッとセシリアの肌を這わせ、そしてその頂にある突起部分を――

 

 

 観覧車から降りた私たちは近くにあったベンチに座る。道から逸れたところにあるベンチだったので周りはほとんど誰もいなかった。

 互いの顔はゴンドラでした行為のせいで赤く、息もまだ整えられずに荒い。

 

「はあ、はあ、ちょっとやりすぎたわね」

「もう! 本当にやりすぎですわ!」

 

 セシリアは僅かに乱れた服を整えていた。一応観覧車の中で互いに整えたのだが、私よりもセシリアの服の乱れが激しく、また、整え始めたのがゴンドラが地上に着くギリギリだったせいで整え切れなかった。

 うん、これは私のせいだ。まさかあんな場所でしちゃうなんて……。

 

「でも、その割にはあなただって『もっと!』とか言っていたじゃない。やりすぎたのは私だけど仕掛けたのはあなたよ」

「うっ、そう言われるとそうですけど……。詩織だって……」

「まあ、これ以上は止めましょう。ただ私たちが恥ずかしくなるだけよ」

 

 私は空を見上げる。そこに映るのは完全に真っ暗になった空。

 今日は本当にいい日だった。セシリアの好意を上げるためにと思ってこのデートをした。けれどセシリアが私のことを好きだと言って本当の恋人になることができた。

 私の人生初のデートは本当に忘れられないものとなった。

 この記憶を人生の最後まで持ちたい。もしくは映像として残したかった。

 

「ねえ、詩織」

「なに?」

「わたくし、あなたに教えてほしいことがありますの」

「それは?」

「本当のあなた、ですわ」

「…………」

 

 いきなり何を言い出すのだろうか、この子は。

 いや、確かに私にはたくさん秘密はあるよ。うん、ある。

 でも、そんなのはみんな同じだろう。誰だって誰にも言えない秘密の一つや二つはある。もちろん恋人相手でも。

 にしても、本当の私って何? 私は私なのだけど……。

 

「どうしてそうなったのかしら?」

 

 本当の私というのも分からない状態だ。セシリアがこんなことを言う原因、または経緯を聞いてからでも遅くはないだろう。というか、聞かないと分かんない。

 

「わたくしと更識さんが二人きりになったときのこと覚えてます? わたくしと更識さんが初めて会った日ですわ」

「ええ、覚えているわ」

 

 あの時は本当になんでと思った。セシリアと簪は睨みあった直後のことだったから。もしかして簪はセシリアに嫌がらせをするのかと思わず思ってしまうほど。

 

「あのとき更識さんが言いましたの、詩織は本当はあなたのこと好きではない、と」

「え?」

 

 セシリアのあのときの話の一部を聞いて、頭が真っ白になる。理解し頭が回復するまで時間がかかった。

 すると湧き上がる簪への怒り。もちろん簪の愛が下がったりはしない。大好きのままだ。

 簪には罰を与えないとね。勝手に私の好意を捏造したんだから。

 

「そのときに言われたのは詩織が自分には本当の姿を見せてくれるが、わたくしには見せていないということでしたわ。そして、その姿を見せることは詩織が愛している証拠だと。だからわたくしは詩織に遊ばれるための存在と言っていましたわ」

「……それ、信じたのかしら?」

「もちろん信じてませんでしたわ。いえ、正直に申しますと言われた当初はもしかしたらとは考えましたわ。けど、あなたと過ごしていたらそんなことはないと理解しましたわ」

 

 セシリアにそう言ってもらえるとうれしくなる。

 にしても本当に簪にはどんな罰を与えようか。そう言った理由は私を取られたくはないという理由というのは分かる。でも、勝手に私のセシリアへの気持ちを勝手に変えたことは許せない。泣いて謝ってくるくらいのことはしようか。

 

「わたくしはあなたのことを愛していますわ。ただそれでも不安がありますの。だからその不安を払拭するために教えてくださいませ」

「ええ、分かったわ。教えるわ」

 

 この時点で簪がセシリアに言った、『本当の私』というのが生徒会長モードではないときだと気づいた。

 

「……というとやっぱりわたくしに隠していたと?」

「ごめんなさい。でも、それは本当の私とかじゃないのよ。今の私も本当の私よ」

 

 ごめん、今は生徒会長モードじゃないのに口調だけ変えているからちょっと微妙かも。まあ、気にしない。

 

「よく分からないと思うからそれを教えるわ」

 

 うう、なんだか恥ずかしいな。今回はただ口調を変えるだけなんだけど、その、自分でも子どもっぽいって自覚しているから。生徒会長モードと真反対なのだ。

 

「多分変わったことは簡単に分かるわ。どこが変わるのかというと極端に言うと口調ね」

「口調ですの?」

「本当はまだあるのだけど、分かりやすいのが口調なのよ。多分セシリアなら口調以外のもすぐに分かるわ。じゃあ、変えるわ」

 

 一旦深呼吸をして息を整える。

 

「今変えたんだけど口調だからたった一言二言じゃ分からないよね。だからしばらく話をしよう」

 

 しばらくセシリアと話をする。話題は実はお姉ちゃんを恋人にしたということだ。

 セシリアからどうしてそうなったといわれたが、うん、本当に不思議だね。

 

「はあ……まさか先生を恋人にするなんて……」

 

 私の口調とかよりもお姉ちゃんを恋人にしたほうが印象が強いようだ。

 

「この話、他の人に言ったらダメだよ」

「分かっていますわ。詩織が不幸になることはしたくありませんもの」

「ありがとう」

 

 な、なに、この子! 私の不幸にしたくないとかいい子過ぎる!

 私のセシリアへの好感度がまた上がった。

 

「にしても、あなたのその口調。なんだか合っていますわね。先ほどの口調はなんだかずれていたと感じるようになりましたわ」

「そう?」

 

 私は生徒会長モードになった。

 

「あれ? 詩織?」

 

 やっぱりセシリアは違和感を抱いたようだ。

 セシリアも簪と同じように二つの私を分かるみたい。これも愛の力だね。

 

「やっぱりセシリアも分かるようね」

「ん? 合ってる?」

 

 先ほどは口調と雰囲気が合わなかったのにいきなり合いだして困惑しているようだ。

 

「言っておくけど演技などではないわ。見ての通り口調と雰囲気が変わっただけよ」

「だけって……。あなた結構変わっていますわよ。もしあなたが双子の姉と言われてもうっかり信じてしまいますわ」

「そこまで?」

「ええ、そこまでですわ。にしてもさっきまで合わなかったのになぜ?」

 

 さて! 空も完全に真っ暗になった。どこにも夕焼けの名残はない。

 私は生徒会長モードを解き、立ち上がると背伸びをする。

 

「セシリア、そろそろ出よっか。まだ時間はあるけどこんな暗さじゃ無理だし」

「ん、そうですわね」

 

 そういうことで私たちは出口に向かうこととなった。もちろん荷物は回収して。

 出口まで歩く私はセシリアの腕に抱きついている。私の顔はきっとデレデレになっているに違いない。

 

「詩織、あなた結構甘えん坊ですのね」

「そう?」

「そうですわ。あのときの詩織はむしろかっこいいと思わせるものでしたわ」

「今の私は嫌い?」

 

 私の心に不安が湧き上がる。

 セシリアが私のこと嫌いになってしまうのではと。

 だってセシリアが接してきた私というのは生徒会長モードの私である。簪のように生徒会長モードではない私を知って本当の恋人になったわけではない。

 セシリアが愛したのは生徒会長モードの私だ。この私ではない。同じ私だけど違う私。

 セシリアは双子と言ったのでその可能性がある。

 不安にならないはずがない。

 でも、

 

「まさか! 嫌いになるはずがありませんわ! むしろこんなに可愛い詩織を知ることができてもっとあなたのことが好きになりましたわ!」

 

 そう言われる私は顔を真っ赤にして照れるのを隠すしかできなかった。

 やっぱりセシリアのこと大好きだ。

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