「ほら、行きますわよ」
どうしようかと迷っている間にセシリアが私の手を引いて、障害者用のトイレへ私を連れ込んだ。
うう、結局断れなかった……。
これでもう、赤ちゃんプレイをすることが決定してしまった。これから私はセシリアに羞恥とかいう言葉よりももっとすごいことをされてしまう。下の世話をされるのはエッチなことをするよりも恥ずかしいし、抵抗がある。
でも、そんなことが分かっていながら本気で逃げれば逃げることができたはずなのに、こうして私がここにいるのは心の中でそういうのもいいかもと思っているからかもしれない。……思ってないことを願うけど。
「ねえ、本当にするの?」
「しますわよ」
セシリアの顔は本気だった。
「ただ下着を変えるってわけじゃないんだよ。ちゃんとそこを理解してる?」
「ええ、もちろんですわ。あなたのをきちんときれいにしますわよ」
「!?」
嫌がってくれるかと思って言ったのにセシリアがやる気だった!! ただ下着を脱がしてもらって新しいのを履かせてくれるだけかと思っていたけど、ま、まさか大切な部分を拭くところまでなんて!! 本当に紛れもない赤ちゃんプレイだ!!
「その、人のをするのって恥ずかしくない?」
「もちろん恥ずかしくはありませんわ。わたくしは拭いて着せるだけですもの。それにわたくしとあなたは恋人ですのよ。この程度は当たり前ですわ」
いや、絶対に当たり前じゃないよ。いくら恋人でもそこまでしないよ。それはもうただの変態だよ。
私もようやく覚悟を決めた。こういうこともいつかあるかもしれない。ただその時期が早まっただけ。
そう思って無理やり納得させた。
「わ、分かった! やって!」
「ぷっ、ふふふ」
え? な、なに?
セシリアが笑ったので戸惑いを隠せない。
「冗談ですわ。さすがにやりませんわよ」
え? じょ、冗談? な、何だ、冗談だったのか。
安心はしたようなのだが、その心のうちには残念という感情もあった。
「もう! そんな冗談はやめてよね! びっくりするじゃん!」
「それくらい気づくと思っていましたわ」
「もしかして基準を普通の子にしてる? だったらその基準にしたセシリアが悪いよ。女の子を好きになるような子が、普通なわけがないもん」
トイレの中で自信満々で胸を張って言った。
「
「ん? 何か言った?」
「何でもありませんわ。ただ下着を替えることに関しては手伝いさせてもらいますわ」
「え!? なんで!? 一人でできるよ!!」
確かに私の下着は自分のおしっこで濡れて脱ぎにくくなったりしている。だけど、それでも一人でできる。場所が場所ということで転ぶということもあるが、私は武術を習っていたのだ。バランスが悪かろうと転ぶことはない。
「それでもですわ。万が一がありますもの。あなたに怪我なんてしてほしくはありませんから、大人しく受け入れてくださいな」
「でも……」
「あなたは先ほど覚悟を決めたのではありません? ただ下着を変えるだけですわよ。最初よりも恥ずかしくないと思いますけど?」
「そ、そうだけど……」
大きな覚悟をしていただけに、そうではないと分かるとその覚悟が穴の開いた風船のように萎んでしまったのだ。
「……あまりやりたくはなかったのですけど、そこまで嫌というなら強硬手段にでますわ!」
「ふえっ!?」
覚悟が決まらない私に痺れを切らしたセシリアがいきなり私のスカートを捲り上げた。捲り上げられたスカートから覗くのは私の脚と股間部分に染みのある下着。
私は染みのある下着を見られて、羞恥でいっぱいになった。
「み、見ないで!!」
すぐさまスカートを押さえる。
「残念ですけど見ましたわよ。ほら! もう見ましたからわたくしが脱がしてもいいですわよね?」
「うう~」
「唸っても意味がないですわよ。ほら、今度は自分の手でスカートを上げてくださいな。詩織だってその下着のままというのは嫌でしょ?」
「……分かったよ」
私はスカートの端を掴んでゆっくりと持ち上げる。次第に露になる私の下半身。
「……こ、これで……いい?」
「……ええ、いいですわ」
私は羞恥で顔が赤い。セシリアもどういう理由か知らないが、顔が赤い。
セシリアはしゃがむと私に近づく。
その距離は近くて絶対にニオイが! ああ~! そ、そんなに近づかないで!! ニオイを嗅がれたくないよ!!
一歩後ろの下がってしまうが、すぐに距離を詰めてくる。
「詩織のおしっこのニオイがしますわね」
「……っ、に、におわないで!!」
「あら、わたくしはただ脱がすために近くにいるのであって、自分から嗅いだりなんてしていませんわ」
「……それって臭うって言いたいの?」
「さて、脱がしますわね」
誤魔化した! 臭うかどうかを誤魔化した! これって臭うって言っているようなものだよね!
女の子である私は自分が仕出かしたことの結果とはいえ、結構精神にダメージを受けた。
うう、もう、お嫁に行けない……。
その間にセシリアは私のパンツを脱がしにかかっていた。
私はもう逃げられない。黙って脱がされる。
セシリアはゆっくりと脱がしているため、何だかエッチなことをしているかのように感じた。
完全に脱がされると濡れた股間が外気によってさらに冷やされ、ある意味心地よいものがする。
「ん……」
思わず声が出る。
「こうして間近で見るのは初めてですわね」
「何を言っているの? 言っておくけど、エッチなことはしないよ」
初めては簪とだ。セシリアとはいちゃいちゃするが、それもキスと胸をどうこうする程度のスキンシップのみだ。それ以上は簪のあとになる。
「分かってますわ。わたくしだって雰囲気と場所を大切にしますもの。ただ……その、わたくしもあなたの体に興味がありますのよ。あなたは好きな人の体を見て、どうも思いませんの?」
「ううん、思うよ。今がこんな状況じゃなかったらさっきみたいなことをしてたかも」
セシリアはモデルにでもなれるほどのスタイルを持つ美人さんである。前世が男だったからこそ分かる、男たちにとっては高嶺の花とか離れた場所でつい見てしまう気になるあの子、だもんね。
そんなセシリアを見て欲情しないわけがない。
「やっぱりわたくしはあなたのことが好き、ですわね」
「いきなり、どうしたの?」
「ただわたくしが友人としてではなくて、そういう意味で好きって認識しただけですわ」
「……私も同じだよ」
しばらくそうしていてようやく戻る。
セシリアは私からパンツを完全に脱がした。今はノーパン状態というわけだ。
「詩織、ちょうどいいですわ。ついでに済ましては?」
「う、うん」
つまりセシリアの目の前でおしっこをしろということか。
た、確かに尿意を感じるけどさ! で、でも、恥ずかしすぎる! 他人の前でおしっこをするなんて! だ、だってここでするとなるとどうしても音が……!
音が聞かれるというのはとても恥ずかしい。
でも、尿意を一度意識してしまったためか、おしっこしたいってなっている。
私は素直にした。
セシリアは気を使ってこちらに背を向けてくれていた。……耳は塞いでないけど。
私は顔を赤くしながらしたのだが、な、なんか目覚めそうになった。こ、こういうのもまたするのも……。
「セシリア、終わったよ」
私の顔はまだ熱い。
「ちゃんと拭きましたの?」
「拭いたよ。ウェットティッシュを使って拭いた」
さすがに乾いたトイレットペーパーだけで済ますというのは無理だった。ちゃんと濡らして拭かないと違和感を感じる気がするのだ。なんかよくある、こうしないと落ち着かない! ってやつだ。
「そんなところまで言わなくていいですわ。ほら、新しい下着ですわよ」
セシリアが持っているパンツを受け取ろうとするが、セシリアが取らせてくれない。
もう一度取ろうとするがまた逃げる。
「もう! なんで逃げるの!?」
こっちはノーパンで変な感じがするので早く履きたいのに!! もしノーパンでいいなんて言われて帰るまでそうしていて、それが癖になってこれからさきノーパンで過ごすようになったらどうするのよ!! というか、ノーパンってちょっと気持ちいい?
「わたくしが履かせるからに決まっているからですわ!!」
「なにそれ! 脱ぐときはセシリアの言うとおりって思って脱がされたけど、履くときは別に苦労しないよ! だからやんなくていいよ!」
「ダメですわ! わたくしが履かせますわ!」
「なんでそんなに履かせたいの!! もういいじゃん!」
「先ほどと同じで危ないからですわ! 油断大敵、ですわ!」
「油断大敵って……。ただ履くだけでしょ! 油断も何もないよ!」
何かを履いたり着たりするのに油断大敵なんて言葉を聞いたのは初めてだ。
濡れたパンツを脱いだり慌てているとき以外は、転んだりなんてしたことがない。
「ああ、もう! わたくしがやりたいのですわ!」
このままでは話が進まないと感じたのか、ついにセシリアが本音を言った。
……変態な発言だ。
「もう! 最初からそう言えばいいじゃん!」
私は恥ずかしいと思いながらまた黙ってセシリアの望みを叶えることにした。
私はセシリアによって広げられたパンツに片足ずつ入れていく。
両足を入れるとセシリアはすっとパンツを上げた。
ふう、ノーパンの快感を覚えずに済んだ。
「これで満足した?」
「ええ、もちろんですわ!」
セシリアはなぜかうれしそうに言った。
こっちは新しい扉が開きそうになって危なかったのに。
「あなたとこのようなことができるのも、恋人になったからですわね」
何かいい雰囲気を出しているところだけど、それ間違いだよ。恋人になっても普通は下の世話という意味で恋人のパンツを脱がしたりしないよ。したのは私たちが
なんだか恋人ってこんなのだっけ? 世間の恋人とは違う気がする。
まあ、毎度思うけど私たちってそもそも普通じゃないしね。変態でいいのかもしれない。
私の着替えが終わったのでトイレから出る。このトイレが人気のない場所にあったおかげで誰にも見つかることはなかった。誰かに見られたら確実に変なことをしていたと思われる。……実際していたけど。
「さあ、もう時間もないし早く行こうか」
「ええ」
私から帰ろうと言ったが、そう言った私は本当はもっとデートをしたい、まだここにいたいと思っていた。
「また来ましょう?」
「……うん」
セシリアが隠していた私の心の内を読み取ってくれた。
「わたくしたちはもうちゃんとした恋人でしてよ。わたくしはあなたの前から消えませんわ。だからいつでもデートはできますわよ」
「そうだね。セシリアは私のだもんね」
近い将来にセシリアを私のものという証を付けるのだ、精神にも身体にも。
そうだね、うん、初デートがもう終わってしまうのは悲しいけど、デートは何度もあるのだ。初デートが大切なことだと分かっているが、時間は有限。終わってしまうものだ。だったら目を向けるのは次のデートだ。
よし! 今度のデートのことを考えよう! ただ連続でセシリアとデートというのは無理。簪がちょっと狂っちゃう。次は簪とのデートだ。
ああ、セシリアって本当にいい女だよ。私が無理やり恋人にしたのにそんな私を好きになってくれた。思わず私にはもったいないなんて思ってしまいそうだ。
すっかりと気分が晴れた私はセシリアと一緒についに新幹線へ向かった。
ちょっとセシリアといちゃいちゃしすぎたのでギリギリだった。
「ふう、危なかった~」
「そうですわね。危なかったですわ」
ちょっと走ったのでセシリアは息が荒い。
「大丈夫?」
「ええ、少し休めば大丈夫ですわ」
セシリアも代表候補生なので体力があるほうなのだが、ただ荷物を持ちながら私のペースで走ったので無理をさせてしまった。
むう、罪悪感が……。
私がセシリアに甘えたせいというのも大きいので。
「にしてもまた、人が少ないよね」
私たちの席の周りはやはりスカスカだった。というかこの車両自体が、か。
動いている気配はないから寝てるのかな? だとしたらまたここでいちゃいちゃしても……。
私の中でエッチな思いが溢れる。
「そうですわね」
セシリアはそのような気分ではないみたい。まだ息を整えているからかな?
私はもうそういう気分なのでセシリアを誘うってみようと決めていた。
セシリアも結構ノリノリなので受け入れてくれるに違いない。
あんまりこういうことばかりしていたら体が目的なんて思われてしまうという心配もあるが、今だけは許して欲しい。セシリアが私の恋人になってくれたから自分を抑えられないのだ。
だってセシリアが私のこと好きじゃないのかと思って、いつも気を使って過度なスキンシップをずっと自重していたから。その溜まった分を私は発散している、と言えばいいか。