転生?チート?勘弁してくれ……   作:2Pカラー

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14.告白/独白/慟哭

 

 本音を語れ。そうジョゼフ兄に言われた後、しばらくの間シャルル兄は口を開かなかった。

 そこにあるのは逡巡か、それとも葛藤か。

 俺やジョゼフ兄が実は「本心」を語っていないという可能性も十二分に在り得る。にも拘わらず自分は本音を語るのか。笑みを消したシャルル兄からは容易にその葛藤が読みとれた。

 そしてそれは、シャルル兄の心が揺れていることを示している。

 片や王位よりも平穏が欲しいのだとワラう弟。片や自分に勝ちたいという唯それだけの理由で王位を狙ってみるかと嗤う兄。

 最も王位の継承を嘱望された次兄が、対話の主導権を常に握られ続けたシャルル兄がやっと口を開いた。

 

「兄さん。……僕は」

 

 その一言はジョゼフ兄にも明確に理解させる。「兄上」ではなく「兄さん」と呼び、「私」ではなく「僕」という言葉に、シャルルが本音を語るのだと理解していた。

 

「僕は、兄さんが次の王に相応しいことを知っているんだ」

 

 ジョゼフ兄は無言を通す。言葉の意味を噛みしめるように、シャルル兄の本音を聞き逃すまいとするように。

 

「兄さんは僕が次の王にって言ってくれたけど、僕はそうは思っていなかった。僕が兄さんに勝てることなんて、魔法の腕くらいしかないとも思ってる」

 

「お前は皆に認められているじゃないか。誰もがお前を愛している」

 

「そうなるように努力したから、ね。そもそも誰からも嫌われないっていうのは美徳なんかじゃないんだよ。清廉であれば利によって出世してきた貴族には疎まれるし、賄賂のような穢れを容認すれば王家への忠誠心の強い貴族に眉をひそめられる。誰からも認められるという事実が、僕が貴族たちの顔色をうかがって立ちまわってきたことを証明してる」

 

 清濁併せのむ器量も必要なことだとは思う、が、今は口を挟まない。

 これはシャルル兄の告白なのだ。ジョゼフ兄にもシャルル兄にも必要な、俺の立ち入るべきではない対話なのだから。

 

「そう。僕は貴族の顔色をうかがってきた。僕は、王様になりたかったからね」

 

「……そう、か」

 

「僕が最年少スクウェアになれたのだって王様になりたかったからさ。魔法以外では兄さんに勝てないことを知っていたから、唯一勝てる魔法の腕を磨き続けた。魔法の腕さえあれば、きっと皆は僕の方が王様に相応しいと認めてくれる、そう思っていたからね。だからセタンタの「貴族は魔法でしか人を計れない」っていう言葉を聞いた時は焦ったよ」

 

「図星を突かれたか?」

 

「それもあるね。でもそれ以上に貴族の耳にその言葉が入るのが怖かった。魔法以外の面で僕と兄さんを比べられたら、絶対に勝てないと分かっているんだから」

 

 なるほど。最初感じた威圧感は焦りから漏れたものだったのか。

 

「僕はね、兄さん。僕は欲深い男なんだ。ダメな奴なんだ。兄さんが魔法を使えないってことで馬鹿にされていることを知っても、僕は何もしようとは思わなかった。政務に携わろうとしない兄さんのことを悪く言う貴族がいても、僕はそれを咎めたりなんかしなかった。全て、僕が王様になりたいってだけの理由で、兄さんが苦しんでいるのを見ないふりをしていたんだ」

 

 告白は懺悔に変わる。今まで隠し通してきた本心を漏らしたことで、決壊したのだろう。全てを吐き出したいという感情に従っているのだろう。

 

「僕が次の王様になると思っていたって兄さんが言ってくれた時、とても嬉しかったんだ。でも、兄さんが王位に興味が湧いたって言った時には、とても暗い感情が湧き出してきたんだ。兄さんにこんな感情を向けてしまうこんな自分が嫌いなんだ」

 

「…………シャルル」

 

「セタンタの話を聞いていた時もそうさ。セタンタはガリアに混乱を起こしたくないと言っていたのに、僕はセタンタが王位争いに加わらないことに安心していたんだ。国の未来よりも自分が王様になれるかどうかの方が大事に思っていたんだ!」

 

 それは独白。たまりにたまった感情は、欲望の一言で表すには複雑すぎた。嫉妬、羨望、自己嫌悪。心情を読み取れる俺にはキツイくらいの感情のうねりがシャルル兄から発せられる。

 

「兄さん。セタンタ。僕はこんな男なんだ。魔法という「分かりやすい優秀さ」をはぎ取れば、こんなに醜い男なんだよ」

 

「シャルル。もう十分だ」

 

「何がさ! 僕は今まで騙して来たんだ! 兄さんが魔法の失敗をする姿を見て、僕は優越感に浸っていたんだ! セタンタが魔法の勉強から逃げていると聞いて、王位を争う相手が自分から堕落して行ってくれたと笑っていたんだ!」

 

「シャルル!」

 

「僕は王様になんて相応しくない。分かっているのさ、そんなことは。でも、僕は王様になりたいんだ。そう思う自分が大嫌いなのに」

 

 シャルル兄の顔が歪む。ジョゼフ兄がシャルル兄の肩に手を置いた瞬間、シャルル兄の眼からは涙が零れおちていた。

 

「もういい、シャルル。俺だって綺麗な人間じゃない。お前に嫉妬して、疎んでいた。お前の苦しみも、悩みも、本心すら見ようとはしなかった。お前だけが醜いだなんてそんな考えは止めろ」

 

 ジョゼフ兄がシャルル兄を抱き寄せるようにして引っ張り肩を組む。

 途端、嗚咽が漏れだした。

 

 二人の男は肩を寄せ合う。

 

 久しくなかった本音での語り合いを終え

 

 心にため込んだモノを吐き出して

 

 疎遠であった心の距離が縮まったことを示すように、ただ肩を寄せ合った

 

 その姿は

 

 俺の知らない二人の少年時代を幻視させるほど

 

 純粋で、尊く見えた

 




もう無理! 自分が何書いてるのかも分かりません!
こんなん書きたくて対話篇始めた筈じゃなかったのに
頭ががががががががととと溶けるるるるるるるるる
うぼぁー


なんとか収拾ついたでしょうか?
矛盾点ばかり残ってる様な気もしますが、気にしません
だって10話書いてた時なに考えてたかとか全然覚えてないんですもん
だからアンタラも気にすんなよな!

……心優しい感想、お待ちしてます
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