転生?チート?勘弁してくれ……   作:2Pカラー

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19.いざトリスタニアへ

 ぐーてんもるげん。クーです。現在馬車に揺られとります。

 両用艦にてオルレアンに到着後、一泊してからトリステイン入りしたんですが、特に何も起こらず平和に国境を越えられました。

 まぁ両用艦が国境までやって来るなんて事態に警戒はしたんでしょうが、たとえ召集可能な全戦力を集めたとしてもウチには対抗できないのだから、兵隊集めて下手に刺激するのはマズイと考えたんでしょう。

 ラグドリアン湖を挟んだ向こう側、ガリアと接しているのはあのモンモランシ領だったそうで、モンモランシーの家と戦闘に入ったりしなかったことにホッとしたりも。実際の面識は無いとはいえ「原作知識」で知っている相手を不幸にするのはちょっと、ねぇ?

 ま、そんなわけで俺が何より愛する平穏な時間を過ごしているわけなんですが、

 

「めっちゃ暇」

 

 そうなんです。メチャクチャ暇なんですわ。

 馬車の外では東薔薇騎士団が過剰とも思える防備を敷いているんですが、馬車の中は当然のことながらスカスカ。まぁ王族用の馬車だからね、俺以外乗せるわけにもいかないんだけどさ。

 でも暇なんだよね。話相手もおらんし。馬車はやっぱり慣れないね。

 ガリア内を移動していた時? 馬に乗ってレッツパーリィしてましたが何か?

 まぁトリステインではしゃいで怪我でもすればガリアにとってもトリステインにとっても、そして俺にとっても大変よろしくない事態になりかねないので自重しますがね。

 ふぅ。しゃあない。トリスタニアに付くまでは寝て過ごすかね。

 おやすみ~

 

 

 

 

「――たまえ。起き――だ。―――――や」

 

 うっせえな。寝たばっかだぞ。

 

「起き――え。起きるのだ!」

 

 チッ。わぁったよ。起きりゃいいんだろ、起きりゃ、って……

 

「なんじゃこりゃあ!」

 

 いや、そりゃ叫ぶよ。

 だってよ。馬車の中で眠ったと思ったら、いつの間にかお花畑に居たんだぜ?

 これはアレか? 転生モノの導入部か? また死んだのか俺? 今度こそ腰の低い神さんが出てくるのか?

 そんな感じに大混乱していると、目の前にいたナイスミドルなおっさんが話しかけてきた。どうやらさっきの声もこのおっさんのものだったらしい。

 落ち着かせるように話しかけてくれるのはありがたいんだ。俺も少し冷静になれたしな。

 たださ、話しかけられた内容の方は大問題だったけどな。

 

「起きたかね。アーカード(・・・・・)

 

「………………は?」

 

「混乱するのも無理はないが、ここは君の夢の中だ。問題があったわけではないから安心するといい」

 

「いやいやいや」

 

「ん? ああ、まだ名乗っていなかったか。私は君の銃、ジャッカルの精「ちょっと待って!」……む?」

 

 ちょっと落ち着け? なんて言ったアイツ? いや、それよりもまず確認するべきことは。

 

「あのー、すんません。俺の髪の色って何色でしょうか?」

 

「む? 髪? 青だな。珍しい髪色だが染めているのかね?」

 

 セーフ! 服もクー・セタンタのものだし、貴族の証としてのマントも付いている。と、いうことは、知らない間に異世界憑依ストーリーが始まってたわけじゃない。つまりは、

 

「まことに申し上げにくいのですが、人違いです」

 

「な、なに?」

 

 おうおう愕然としてる。

 

「ジャッカルさんの言ったアーカードさんって吸血鬼の方っすよね? ヘルシング機関の」

 

「うむ。君がそうなのではないのかね?」

 

「全くの別人ですね。そもそも何故俺をアーカードさんだと思ったのかも分からないんですが」

 

 全然似ていないだろう。旦那と俺じゃ。

 あー、でもあの人見た目変えられるからなぁ。幼女から髭のオジ様まで自由自在っぽいし。だが、だとしても間違えるかなぁ?

 

「だいたい俺、銃持ってないですし。ここ地球ですらないですし」

 

「な、なんだと!?」

 

「というわけでお帰り下さい。きっとアーカードさんも待ってると思います」

 

 ウィリスが語尾に付く悪霊にうなされてる様な気がするが、気のせいだよね?

 ジャッカルさんも俺の言ったことを信じてくれたようで

 

「そうか。そうだな。確かに君からは私の本体(ジャッカル)の気配がしない。人違いというのは本当の様だ。意図していなかったこととはいえ夢の中まで押しかけてすまなかったな。あぁ、と」

 

「あ、俺の名はクーです」

 

「ふむ。クーよ。迷惑をかけた。いつか詫びも兼ねて君の力になれる時が来るとよいのだが」

 

 いえいえお気になさらず。ホント気にしないで。場違いな工芸品としてやって来たりしないでよ、マジで。

 

「では私は主人(アーカード)のもとへと戻ろう。ではな」

 

 はいはい。さよーならー。ノシ

 

 ……

 

 ………………

 

 …………………………………………?

 

「帰れん……」orz

 

「ええぇーー」

 

「というか君の夢から出られないんだが」

 

 知らんがな。というかまさか居座る気じゃ

 

「むう。これはつまり君の力になれという神の思し召しとやらでは」

 

 居座る気だーーー!!

 

「というわけで私は武器の精だから君の武器に乗り移って、む、何も持ってないではないか」

 

「いや、そんなこと言われましても。やっぱりアーカードさんの所に帰った方がいいんじゃ?」

 

「むぅ。仕方がない」

 

 お? 帰ってくれるのかな?

 

「クーが相棒と呼べる武器を手にするまでは、君の精神と共にいさせてもらおう」

 

「は? 精神と共に?」

 

「うむ。つまりは君の体内に間借りさせて貰うことになる。君が私の依り代に相応しい武器を手にすれば出ていく故、安心したまえ」

 

「いやいやいや、体内に間借りってなんスか!? なんでそんなに俺にこだわるんスか? てか何で背後をとってらっしゃる? ちょっと! ちょ、待てよ! おいおまっ? え? えぇ? ちょ、やめ!」

 

 アッーーーーーー!

 




最初にフラグを立てたのはHELLSINGよりお越しのジャッカルさんでした☆
予想できた方はいたのかな?
……
…………
………………何書いてんだ俺 orz


さて、次回はやっとトリスタニアに入れそうですね
どんな話になるかは分かりませんが
どうか見捨てないでくださいまし


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