転生?チート?勘弁してくれ……   作:2Pカラー

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35.退かぬ!媚びぬ!省みぬ!!

「は? え? はぁ!? なんで!?」

 

 おぉ、敬語も忘れて驚いちゃってまぁ。

 ……ま、確かにいきなりすぎたか。マチルダさんの素っぽい所が見れたのは良かったけどね。

 

「なんで、と言われてもね。なんでだろうね」

 

 肩を竦めておどけて見せる。とりあえず落ち着かせないと。

 と、マチルダさんがメダパニから回復する前に、状況を整理しておこうか。

 

 俺がアルビオンに来た理由。それは何度も繰り返したように、モード大公投獄から連なるアルビオン内乱の可能性を摘むため。そしてモード大公の投獄を発生させないために、最も効果的だと考えていたのがティファニア母娘を救うことだったんだ。

 しかしここで一つ間違えちゃいけないのが、『ティファニア母娘を救う=二人をガリアに連れ帰る』ではないということだ。

 そりゃ俺としても原作におけるバストレヴォリューションには実は興味深々だったし、可能ならばテファにはオルレアンに来て貰いたかった。まぁ個人的感情を置いておくにしても、アルビオンの虚無は目の届く範囲に置いておきたかった。それが最善だと思っていたしね。

 だって原作でのモード大公はミスを連発していたからね。

 エルフを愛人にするのは別にいいさ。そこに関しては何とも言わない。

 だが、エルフをエルフとして扱っていたのがまず駄目だ。ハルケギニアにはフェイスチェンジという魔法があるんだから人間に化かさせておけばよかったんだ。耳をちょっと隠すくらい出来るだろうに。特に先住魔法の使い手であるエルフならば。

 それでもって平民の愛人を持っているとでもいう情報を、公然の秘密としてある程度広めておけば尚良かっただろう。大公が愛人を持つ、それも平民の、とくればテファ母が人目を忍んでいても不思議には思われなかっただろうに。

 さらにはジェームズ一世にエルフを愛人に取っていることがバレたときの対応もダメダメだ。ティファニアという始祖の血を継いだハーフエルフの存在を知れば、さすがにジェームズ一世も即時処刑せよなんてことは言わなかったはず。精々が追放命令だろう。王家側としても騒動を大きくしてスキャンダルが知れ渡るなんてことは回避したかったはずなんだから。

 なら追放したことにしてしまえばよかったのだ。王命を守り愛人と娘を追放した王弟。無用な詮索などしにくいことだろうし、それでも疑われると言うのならそれこそ魔法の出番だろう。先住魔法で編在くらい作れるだろう。なにせエルフは人間メイジの十人分の能力があるそうなのだから。まぁ魔法が無理だったとしても、大公家のコネクションを使えば有用なマジックアイテムを手に入れることだってできただろう。えーっと、原作で出て来てた精巧な人間そっくりのゴーレムを作るアレはなんて名前だっけね? まぁとにかく簡単には見破れない偽物を作り、追放される姿を見せる。バレるかもと不安ならば、追放され移動している『偽物』を盗賊に変装させた家臣にでも襲わせ、消息不明にしてしまえばいい。

 ま、つまりはだ。色々と抜け道があるのにどれも考えられなかった、もしくは採用しなかった大公に任せるよりも、安全を考えるのならエルフ母娘をガリアに連れてっちまうのが一番だと思ってたんだな。『コミュ力』全開でも説得できなければ、いっそ攫ってしまうかなんて考えてたし。

 

 そしてマチルダさんはエルフ母娘をアルビオンから引き離せなかった時の保険として考えていたんだ。

 ただ、保険が効いて来るときってのはつまりモード大公が大ポカやらかした後で、内乱の可能性が膨れ上がった後なわけだから、俺の目的の一つは完全に潰れた後になるわけだ。『アルビオンに内乱を起こさせない』『アルビオンの虚無を他所に奪われない』両方やらなくちゃならないってのが平和主義者のつらいところだな。

 そう。『内乱を起こさせない』策があるなら俺はそっちを選ぶ。そして選んだわけだ。

 それがマチルダ・オブ・サウスゴータ。彼女を手に入れること。

 理由は何でもいい。サウスゴーダというモード大公家の直臣が、俺というガリアの公爵家の人間と繋がりを持てば、それはすなわちモード大公家が他国に後ろ盾を持つことにもなる。

 大国ガリアと懇意にしている人間を、アルビオンの家臣だからと理由も明かさず処断することは出来ないだろう。だからと言ってエルフを愛人にしていたなどという強力な外交カードになる弱みをガリアに明かせるはずもない。

 すなわち、マチルダさんをガリアに招くことが出来れば、一気にアルビオンの内乱の可能性は減るのだ。

 さらに現状でもテファのことを知ってるっぽいマチルダさんになら、万が一の時もテファは頼りやすいんじゃないだろうかとも思う。

 あら不思議。マチルダさんを味方につければ一気に色々なことが解決するね。もうこれは、吶喊するっきゃないでしょう。

 

 ま、あえて不安要素があるとすれば、マチルダさんを俺が手に入れるには結婚くらいしか理由が作れなさそうなことなんだけど。

 二つの月を見上げながら、マチルダさんの返答次第でどう状況が動くかも考える。

 と、ようやくあわあわしていたマチルダさんが我を取り戻したようで、二、三度深呼吸を繰り返すと、

 

「もしかして、からかってらっしゃるんですか?」

 

「いやいや。私は本気さ。本気で貴方が欲しい」

 

 うん。マジで欲しいのよ?

 立場的にも是非とも迎え入れたいポジションの人間だし、原作ではかなり有能だったことも知っているしね。なんせ箱入り娘状態から数年で知名度MAXの盗賊にまで上り詰めるような人だぜ? まともな仕事に就いていたとしても名前を残していただろうさ。

 それになによりレアな知的美人だしね。是非とも俺の部下の誰かと(・・・・・・・・)結婚して貰いたいよ。

 

「で、ですがオルレアン公と私とでは身分の差が……」

 

 ……あれ? なんで俺と(・・)結婚する話に?

 俺、ちゃんと言ったよね? 『私の部下と結婚してくれないか?』って。

 あれ? あれあれあれ? ちょっと待って! 言ったっしょ!?

 コ、『コミュ力』発動! 俺のログには何があるよ!?

 巻き戻し! 巻き戻してちょっと! 確認して!

 え-と……

 

Repeat

  『なぁミス・マチルダ。結婚してくれないか?』

 

  『なぁミス・マチルダ。(・・・・・)結婚してくれないか?』

 

  『なぁミス・マチルダ。(私の部下と)結婚してくれないか?』

 

 ………………

 

 ………………………………

 

 …………………………………………………………

 

 部下と(・・・)の部分が無い!? 大事なセリフが抜けとるガネ!!! やっちまった!!!!

 

 ちらっと見れば目をウルウルさせているマチルダさんが。

 ……今さら勘違いだとは言いだせにぃ。

 

 さて、ここで質問だ。

 諸君は果たしてビアンカ派かね? それともフローラ派かな?

 俺はね、断然フローラ派なんだよ。

 あぁ、待ってくれ。別に逆玉だとかお嬢様萌えだとかじゃないんだ。……まぁそれもあるけど。

 ゴホン。俺がフローラを選ぶ最大の理由というのはだね、先にフローラに求婚しているから、ただそれだけの単純な理由からなんだよ。

 ……だってさ!! 結婚イベントはアレ、そもそもの始まりからしておかしいじゃんか!!!

 主人公 (盾欲しす)

 ルドマン「家宝は娘の旦那にやる」

 主人公 (おk)「フローラさん、結婚して下さい」

 だぜ?

 ここでビアンカを選ぶってのはだ。フローラに対して『求婚したのは盾が欲しかったから。ホントは好きでも何でもなかったし』と言うようなものじゃないか。

 俺には無理だね。たとえ不純な動機で近づいたのだとしても、その『動機』は明かせない。明かすことでフローラを悲しませることなんてできない。秘密は墓の下まで持っていかねば! それが漢って生き様じゃろがい!!

 つまり何が言いたいのかというと、だ。女を悲しませるイベントなんて、俺の人生に要らねぇってことさ(キリッ

 

 

「身分なんて関係ねぇな。来いよ、何処までもクレバーに抱きしめてやるぜ」

 

 

 ガイアが俺にもっと輝けと囁いている!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ実は冷や汗ダラダラなんですけどね

 




突然のプロポーズ(?)にクーが踏み切ったその理由とは
そんな35話 テンパリ風

ちなみに作者はビアンカでもフローラでもなくガンドフ派です
小説版、あれは良いものだ


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