転生?チート?勘弁してくれ……   作:2Pカラー

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53.vs.ティファニア

 

 おひさー。クーです。気づいたら十四歳になってました。

 思えばマチルダさん(+α)が我がオルレアンに来てから二年半。色々なことがありました。

 マチルダさんとの色々は……まぁ俺だけの秘密にしておきたい色々だったりしますが。にゅふふ

 俺の周囲だけでなく世界情勢なんかも色々と動きました。

 やっぱ一番でかいのはアルビオンのモード大公家が養子に迎え入れたスクウェア、ケヴィン・オブ・モードとトリステイン公爵家の長女、エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール嬢の婚約発表ですかね。(規模的には俺とマチルダさんの婚約発表でのガリアの盛り上がりの方が大きかったけど)

 始祖の血を引く三王家のうち二王家、アルビオンとトリステインの王家の血縁者同士がくっつくとなれば、そらもう大騒ぎでしたよ。まぁケヴィン君がモード大公の実子でない以上アルビオン王家の血はヴァリエール公爵家に混じることはないんですが。まぁ政治的には問題ないし、むしろジェームズ一世の許可も取りやすくなったしね。

 俺も会ったことがあります。ケヴィン君。まぁアルビオンとトリステインがくっつくというのにガリアが傍観するというのもあれでしたし、ウェールズにも呼ばれましたしね。

 ケヴィン君はなかなかの好青年でしたよ。どことなく気の弱そうな感じもしましたが、学者タイプのメイジだそうですし、エレオノールさんとも話は合うんじゃないですかね。まぁ祖国の王家からも応援されている以上、エレオノールさんのツンドラに耐えられなくなって逃亡ということも無いでしょう。

 ウェールズが次は私の番だ、なんて呟いてたことは、まぁ割愛ということで。

 

 ガリア国内のことだったら印象に強く残っているのはジョゼットちゃんのことですかね。

 ジョゼットちゃんがジョゼフ兄のところで世話になり始めてしばらくして、このままシャルル兄にジョゼットちゃんのことを秘密にしておくのもアレだろうという話になりまして。

 で、俺とジョゼフ兄の立会いの下、会わせることになりました。

 ……うん。

 出会いがしらに腹パンはどうかと思うんだ。

 これで許してやるよ、お父様ぁ!! なんて言ってたけど、なんだかシェフィールドさんの影響が心配です。マジで。

 今ではイザベラやシャルロットとも普通に会えているらしい。さすがにシャルル兄の娘と公表することは出来てないけど、『双子を認めたりなんかしないぜ』慣習が無くなればそれも改善されるでしょう。ジョゼフ兄とシャルル兄が色々動いている以上、時間の問題だとは思う。

 

 

 さて、こんな所かね。

 そろそろ現実逃避に過去を振り返るのも限界ですか。

 チッ。仕方ない。と俺はティファニアへと向き直り、

 

「で、なんだって?」

 

「ですから、魔法を教えてください」

 

 ……こんなこと言い出すんだもんなぁ。

 

「魔法ならちゃんと家庭教師をつけているだろう。それで不満ならレティシアにでも教えてもらえ」

 

「私はクーさんに教えてもらいたいんです」

 

 ふん。上目遣いはマチルダさんのいる俺には通用しないぜ。

 それに、意図が見え見えなんだよ!

 どうせ俺が魔法を苦手としていることを誰かに聞いてるうだろう。それでマチルダさんの前で赤っ恥をかかせようという魂胆なんだ、このロリ巨乳は。

 

「……義兄さんと呼べば考えてやらんことも無い」

 

「……マチルダ姉さんに言いつけますよ」

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ、って感じの擬音が聞こえてくるぜ。

 ムニっと俺がティファニアの頬をつねれば、

 グニっとティファニアが俺の頬を引っ張ってくる。

 ……こ、このガキ

 

「俺の魔法なら何度も見せてるだろうが! お前のフェイスチェンジだって俺がやってんだぞ!」

 

「それは水の精霊様にお願いしてるだけじゃないですか! いいから教えてくださいよ! 中庭でマチルダ姉さんも待ってくれているんですから!」

 

「やっぱそれが狙いか! こんのガキ!」

 

「ガ、ガキってなによ! クーだってガキじゃない!」

 

 くそう。周りの家臣たちも止めやしねぇ。それどころか生暖かい眼で見てきやがるし。

 この二年で『みんなの妹、ティファニアちゃん』のポジションを作り上げやがったからなぁ。

 まぁさすがに外からの客が来ているような状況では自重しているが。

 

「……先月リュティスに行ったときにシェフィールドに預けちまえばよかった」

 

「そしてマチルダ姉さんもリュティスで生活するんですね。わかります」

 

 ぐぬぬ。ないとは言い切れないのがつらいぜ。

 

「いいから、行きますよ! ほら、マチルダ姉さんが待ってるんですから!」

 

「イデ! イテテ! おい引っ張るな! とりあえず離せ」

 

「離したら逃げるんでしょ! バッソさんから聞いてますよ。クーさんは魔法の勉強になるといつも逃げ出してたって」

 

「あ、あの野郎。この前酒場の姉ちゃんに見とれてたってレティシアにチクってやる」

 

 なんだか城内で黒い気が膨れ上がったような気もするが気にすまい。

 つかマジで痛いんで一旦離そう? ね? いい子だから。

 

「って、もう中庭出てるじゃねえか! お願い、ティファニアちゃん! 今日の夕飯にニンジンが出たらあげるから! だから離して!」

 

「いりません! ふふ。マチルダ姉さんにガッカリされればいいんだわ」

 

「黒い! この子黒いよ!」

 

「黒くありません! 私は美白だってマチルダ姉さんもお風呂で褒めてくれました!」

 

 ……いいなぁ、一緒にお風呂。ってそうじゃなくて!

 

「お待たせ! マチルダ姉さん!」

 

「ぎゃあああああああ!!」

 

 

 結局、見せつけてやりましたよ。

 俺の渾身の『ライト』を。

 ハハッ。無様にぶっ倒れたけどね。

 

 だが、この程度じゃ俺とマチルダさんの愛は壊れたりしないんだよ!

 ティファニアには、マチルダさんの膝枕で介抱されている俺を悔しげに見ているのがお似合いさ。ウケケケケ!

 


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