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……………………( ゜д゜)ハッ!
うぉう。あまりのことに二カ月近く意識が飛んでた気がするぜ。
つか何の話だったっけか。
あーそうそう。確か俺にトリステインに行けとか言いやがったんだった。この髭共は。
ありえねぇだろ。なんでそういう話になるわけ? 貿易なんてのは文官の仕事だろうに。俺、一応国家の重鎮(笑)なんですけど?
タイミングもありえねえよ。なんで今? 俺ってマチルダさんと婚約して、そろそろゴールインかなぁとかそういう時期なわけだぜ? ジョゼフ兄の暴走でのガリアぶっ壊れフラグもアルビオン滅亡フラグもへし折って、やっとこさヤバ気なイベント潰し終えた所なんだぜ? 原作を途中までしか読んでなかったせいでロマリアが何しようとしてるのかは分からないけど、それでもとりあえずの平和はつかめた所なんだぜ?
そこまで頑張った俺に今からトリステインに行けと? ただでさえ腹黒ハーフエルフのせいでマチルダさんとイチャイチャできる時間が減ってるというのに、遠距離恋愛しろと?
ちょっとおふざけが過ぎるでしょうが! イザベラとシャルロットにあることないこと吹き込むぞコラ!
「落ち着けセタンタ」
「うん。それ無理」
あー、ナイフ持ちてぇ。情報操作で部屋から出られなくしたうえで自律進化の可能性を模索してぇ。
「そもそも何で俺なのさ。別に条約結んで来いってわけじゃないんでしょ? 専門の奴にやらせればいいじゃん」
「だから落ち着け。話には続きがあるのだ。交易の開発というのは表向きの理由にすぎん」
……うへぇ。それってつまり陰謀話ってこと?
のんびりさせてよぅ。まじでぇ。
「表向き、セタンタには交易のための使者としてトリステインに行ってもらう。表向きの裏としては今までガリアの中枢で尽力してきたセタンタにしばらくの休暇を与える、ということになっている」
「そしてガリアでも一握りの者にしか明かせない裏としての理由。それをこれから話すけど……」
シャルル兄が「心の準備はいいかい?」なんて聞いてくるけど正直首を縦に振りたくはありません。
というか帰りたい。おうちかえらせて。
まぁそんな切なる願いはこの二人には通じないんですけどね。あははー
「まず最も重要なことから。セタンタは虚無については憶えているよね?」
そら憶えてるさ。というか忘れられないっての。
……って、まさか?
「トリステインの虚無が目覚めたとか?」
だとしたらヤバい。シャルロットの年齢的に原作の時期はまだ先だろうとは思うが、この世界は俺が色々かき回している。バタフライエフェクトなんて素敵なサムシングがあったのかも。
もっともアルビオン滅亡フラグを潰している以上、ルイズがルビーを手に入れることも始祖の祈祷書をゲットする未来もなくなってるんだけど。神様ぱぅあー的修正力が働いてたらどうしよ。
しかしそこはなんとかセーフだったのか、ジョゼフ兄が首を振って示したのは否定。
「それはない。トリスタニアへ放っている間者の報告では、水のルビーは王女アンリエッタが、始祖由来の祈祷書は宝物庫で、それぞれ管理されている。アンリエッタは水のトライアングルとして有名だからな。虚無ではない」
ルビーと祈祷書。それが虚無覚醒に必要であることは既に実験済みだったりする。ガリアでは香炉だけどね。ジョゼフ兄がシャルル兄から指輪を借りて試し、実際今では俺以上に魔法が使えたりもしてるくらいだ。だって俺、コモンスペルも二つしか使えないし。
「虚無に目覚める者の可能性。一つは始祖の、すなわち三王家の血を受け継いでいること。一つは系統魔法を全く使えないということ。そして虚無に目覚めるまではコモンマジックですら失敗させるということだ」
それがガリアの認識。シェフィールドさんが召喚されて以来、リュティスのアカデミーで虚無に関する研究も進められてたりする。今までは伝説扱いだっただけに、わざわざ文献を漁ったりはしなかったそうだ。ロマリアならば虚無の判別方法なんかも確立されてるかもしれないけど、連中には簡単に関われはしない。下手につつけばジョゼフ兄が虚無だってことまで嗅ぎ付けられないしね。既に嗅ぎ付けてる可能性もあるけど。
というかこの話、俺にとっては結構怖い話でもあるんだよね。
なんたってオルレアンにはティファニアがいる。マチルダさんが引き取った貴族の庶子ということで。しかし魔法に関してはまるで成功させていないティファニアが。
ジョゼフ兄たちはティファニアにエルフの血が混じっていることを知っているから、系統ではなく先住ならば使えるのではと思っているらしいが、そのうちバレるのではないかと怖かったり。
ティファニアには虚無には関わらせたくないんだよねぇ。あんなんでも一応義妹(予定)だし。ロマリアに利用されたりしたらマチルダさんが泣くだろうし。べ、べつにテファが心配ってわけじゃないんだからね! 勘違いしないでよね!
……さて、話を戻そうか。
「つまりトリステイン王家の血を引いている人間で、かつ魔法が使えないのが見つかったってわけ?」
「ああ。セタンタもよく知るヴァリエール。その三女だ」
やっぱりルイズまで行き着いていたか。まぁこの兄ズなら調べることなんて容易そうだけど。というか『実は既に攫ってきてあるんだZE☆』なんて言われても驚かないと思う。まぁないとは思うけどさ。……ないよね?
「あー。つまりはその三女を?」
「別にどうこうしろなんて言わないよ。でも放置しておくには危険すぎるってことはセタンタもわかるよね? 僕も兄さんもそう結論付けたんだ」
「確かにトリステインはガリアの友好国ではある。先日のヴァリエールとモードの婚姻にもセタンタが噛んでいるし、そうそう関係が悪化することはないだろう。だが、トリステインは衰退しているとも言っていいほどの小国だ」
「ゲルマニアに削られ、クルデンホルフのような大公領が独立し、歴史と伝統に縋り付かなくてはプライドも維持できないほどの小国。そんな国が『虚無の再来』を手にしたらどうなるか」
まぁ碌なことにはならんよね。
かつての栄光を取り戻せー^^ わぁい^^ な展開は勘弁願いたい。ゲルマニアに向けて
「その三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールだけどね、来年からトリステインの魔法学院に入るらしいんだ」
「相手に虚無の可能性があるともなればたかが監視とて人員を選ぶ。しかし他国の魔法学院に職員としてガリアの人間を送り込むのは難しく、留学生とすると年齢的に練度の高い者は少ない。何より虚無は国家機密だ。虚無かもしれないから監視しろ、などとは言えんだろう?」
「兄さんが虚無であることも機密事項だしね。そんな状況でミス・ヴァリエールが虚無かもしれないなんて言って、向こうの信奉者にでもなられたらたまらないだろ?」
「というわけだ。来年からトリステインに行き、ヴァリエールと接触しろ。なんなら抱き込んでしまってもいいぞ?」
いや、それはホント勘弁してください。なんか親バカとか烈風とか動物マスターとかの影が怖いんで。
っていうかホントに行かなきゃダメっすかね? なんとかなんないもんなんすかね?
「ふむ。まだ納得できてないようだな。では次の理由だ」
まだあるんすか? もうやだー。
もうおうち帰らせてくれよ。マジで!
最近中二病が再発しました
おかげで戦闘シーンが書きたくて書きたくて
だもんでネギまの方ばかり構ってこっちを投稿できず申し訳ない
いや、展開に悩んでたってのもあるんですけどね
さてさて、兄ズの説得は続きます
トリステイン行き。まず第一の理由はやっぱルイズですかね
原作を知るクーとしても、そこそこ納得できる理由なんじゃないでしょうか
アンの頼みで戦争中のアルビオンにのりこめー!とか、対ガリア編でサイトの記憶を消された時の聖女ガンバルー!とか、下手な覚醒の仕方をしたら兵器扱いされて、しかもそのことに喜んじゃうような子になってしまいそうですし
まぁ本作ではヴァリエールの権力が原作よりもでかくなってますし、長女も次女も色々変わってますからルイズも別人か?って感じになってるかもしれませんが
次回は・・・えー、一月以内にはなんとか
嘘みたいだろ? 以前は毎日投稿してたんだぜ?