転生?チート?勘弁してくれ……   作:2Pカラー

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07.グラントロワで

 

 はろー。クーです。三歳になりました。

 それでもって、まぁとりあえずいつものセリフを言わせてもらおうか。

 勘弁してくれ。いや、結構マジで。

 

 うん。なんのことか全く分からないと思う。

 安心してくれ。俺も全く分かってないから。

 とりあえず落ち着こうぜ、俺。

 そう深呼吸だ。

 まずはCQCの基本を思い出して、っと。

 

「なにしてるの?」

 

 うん。目の前で銃とナイフをもったつもりのCQCごっこなんて見せられたらそんな反応するよね。

 うん。そうなんだ。

 今、俺の目の前に二人の幼女がいるわけなんだ。

 状況を簡単に説明するぜ。

 

 ①父に「グラントロワ行こうぜっb」と誘われる

 

 ②「よく来たな弟よ」とジョゼフ&シャルルに歓迎される

 

 ③「仲良くしろよ」と幼女たちと同じ部屋に放りこまれる

 

 うん。わけがわからん。せめて紹介位してくれよ。

 まぁわざわざ紹介されるまでもないんだけど。

 こういう時、血筋に現れる高貴(失笑)な髪の色ってのは便利だね。

 幼女は二人とも真っ青な髪色をしてた。つまりはこの二人がイザベラとシャルロットというわけか。

 うーん。ペドい、もとい幼い。

 イザベラ二歳。シャルロット一歳といったところか?

 まだ生まれてないだろうと思ってたのに。すでにシャルロットが生まれているということは俺にとってはバッドニュースなんだよな。

 なんたって現状俺にとって一番危険なイベントは、ジョゼフが王に即位する前後で発生するゴタゴタだ。

 そして俺にはソレがいつ起きるのか、正確な時間が分からない。

 あえて分かっていることを挙げるならば、国王が病気であること、タバサ=シャルロットがそれなりのメイジの実力を備える頃(『ゴタゴタ』で心を壊された母親のために、無茶な仕事をさせられ始めたそうだから、『ゴタゴタ』時にシャルロットがドットメイジなんてことはないだろう)といったことくらい。

 つまりほとんど分かって無いに等しい。

 ただ、シャルロットが「未だ生まれていない」ならば俺にとってその時期は完全に安全といえたのだが。

 目の前でイザベラの影からこちらを見ている青髪幼女。可愛いけど今は会いたくなかったなぁ。

 

「おねーちゃん」

 

 なんて言ってイザベラにぎゅっとしがみつくシャルロットちゃん。いや、俺の目つきが怖いのは知ってるけどそこまで怯えんでも。

 

「あなたはだれですか?」

 

 とはイザベラ嬢の言葉。さすがに幼女時代からツンデレ口調じゃないらしい。ま、アレはシャルロットへのメイジの才能の劣等感から来てたものだったから、生まれつきってわけじゃないんだろうけど。

 

 にしても、どうしようか。

 いくら神さん印の「コミュ力」があるとはいえ、相手は幼女。「前世」でも接触したことのない生命体だ。(むしろ子供もいなかった俺が「前世」で幼女とのコミュニケーションに慣れていたりしたら逆に大問題だろうが)

 俺も幼児とはいえどうしていいかわからない。

 ホント、勘弁してくれといいたいが、

 …………ティンと来た!

 

「ふははははは!」

 

 びくぅと幼女ズの背筋が伸びる。

 俺はそれを無視して未だ全容の掴めない「コミュ力」を発動。「アイコンタクト」によるコミュニケーションをイザベラに送る。

 

「我こそはスーパードラゴン・クー・セタンタ! 大人しく後ろのお姫様を差し出せ! 勇者イーヴァルディよ!」

 

 そう。皆大好きイーヴァルディの勇者ごっこだ。まぁ「コミュ力」の制御実験の兼ね合いもあったんだけど。

 イザベラは俺の「アイコンタクト」を理解したのか、おどおどしているシャルロットをギュッと抱きしめると、舌足らずな口調で俺に合わせてくれた。

 

「なにおー。ひめさまはわたさないぞー」

 

「ふはは! さぁ来いソードマスター・イーヴァルディ! 俺は実は一回刺されただけで死ぬぞぉぉ!」

 

 じりじりと笑いながら二人に近づくと、イザベラがポカポカと叩いて来る。ウム。萌える。ではなくて

 

「グアァァ! このザ・アニキと呼ばれたいなぁとか思っていた俺が……こんなチビどもに……バ、バカなあああああ」

 

「チビっていうなー!」

 

 なんて言いながらイザベラは馬乗りになってポカポカ叩いて来る。ついでにシャルロットまで。

 だんだんとシャルロットも笑い声をあげるようになり、俺は髪を引っ張られるは足蹴にされるは馬にされるは。もう俺への怯えなんてなくなっていたが、無防備にしがみついて来るのは止めなさい。俺の雄が励起状態に入っていたら新しい世界に目覚めちまってる所だぜ。フゥー。

 ま、しかし、やんちゃなのはいいことだ。陰謀だらけの王族なんてモノに生まれてしまったんだから強くあらねばね。

 うん。出来れば俺の死亡フラグまで叩き折ってくれるような強さを手に入れてもらいたいもんだよ。ホント。

 

 

 

 その時かな。

 姪にまで助けを求めてる俺は最低なのかなぁとも思ってさ。

 少しだけ、本当に少しだけなんだけどさ。

 俺が生き残るためじゃなく、俺たちみんなが笑って過ごせるよう頑張ってみようかなぁなんてことも、思い始めていたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんて格好よく締めてみたりして

 


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