ちっす。クーです。五歳になりました。
なんだか久しぶりな気分がしますねー。なんたって二年ぶりですし。
この二年は随分ゆっくり出来ました。気分的な意味ですが。
やっぱアレっすね。一枚絵のCGイベントどころか立ち絵イベントすら起こらないフェイズは平和そのものですよ。
そらね、イザベラとシャルロットに引っ張り回されたり、ジョゼフ兄が家に来たり、シャルル兄に見定められるような目をむけられたり、ジョゼフ兄が家に来たり、パパ上から杖との契約を強制させられそうになったり、ジョゼフ兄が家に来たり、ちょろちょろとイベントモドキはあったわけですけど(つかジョゼフ来すぎじゃね? イザベラを構ってやれよ)、新事実や新キャラが出てこないだけでかなり楽なんですわ。
え? 杖との契約渋ってるのかって?
まぁ「ブリミルの生まれ変わりなんじゃね?」疑惑をぶっ潰すためにも魔法の練習風景は、そして俺が魔法の才なんて持ってないってことは見せつけるつもりなんですけどね。
どうせなら効果的に行きたいじゃないですか?
俺はドットで頭打ちになることは分かってるんですけど、周りは当然そんなこと知らないわけですよ。
コモンスペルを覚えて~、ドットメイジになって~、と段階を踏んでたら「俺=無能」の図式が見えてくるまで何年かかるか分からないっしょ?
原作では結構活躍するギーシュだって魔法学院二年生時でドットメイジ。しかしそれでも「青銅」の二つ名をもつ結構な実力者ポジションだったはず。
確実にギーシュより才能の無い俺じゃ、自分の才能限界にいつ到達できるか分からず、「ドットが限界である」という事実が発覚するより早くジョゼフの王位即位、それに連なるゴタゴタが発生しかねない。
ならマトモに魔法訓練をする姿を見せても非効率的じゃないだろうか。
その考えにたどり着いた瞬間にね、ティンと来たのよ。
隣に比較対象がいれば万事解決じゃね? ってね。
幸いなことにグラントロワにはかの最年少スクウェアの娘、将来的にスクウェアに目覚めることが確定している天才美幼女シャルロットちゃんがいるわけでして。
比較対象が天才なら、俺はきっとゴミを目にするような目で見てもらえるはずだ。
おそらく「期待させやがって」とか「これが光の御子か?」とか「ジョゼフの悪夢再び」とか「無能二号ww」とか。きっとさまざまな侮蔑の目が向けられてくるだろうね。
俺は特殊な趣味でもないし、ソッチに目覚めるつもりもないけど今回ばかりはバッチコイっすわ。
父上には折角年の近い親類がいるのだから、シャルロットが魔法を学べるようになるまで待ってから共に学びたい、と言って納得させた。切磋琢磨だとか手と手を取り合ってだとか、口の回るのに任せていろいろソレっぽいことを言っていたら結構あっさり承諾してくれましたよ。
俺が杖との契約をさせられそうになったのが大体三歳くらいだからシャルロットもそろそろ魔法を習い始めるんでしょうね。
え? イザベラ?
ジョゼフが魔法自体にあまりいい印象を持ってないせいか、特に魔法の勉強を強制させられていたりはしないらしい。
なので「俺たちと一緒に勉強しようぜ」と既に勧誘済みだったり。
ま、イザベラは俺と同じで才能無い組だろうから比較対象にはならないだろうけど、俺という
なんだかんだで情が移ってるのかもね。この子らには笑っていてもらいたいと思うくらいには。
ろ、ろろろロリコンちゃうわ!
そして、ついに初めての魔法訓練。やけに多いギャラリーに囲まれての初授業です。
まぁね。母上やシャルル兄の奥方なんかはいいさ。我が子が初めて魔法を使うんだ。魔法至上主義のハルケギニアなら今日は特別な意味のある日になるのだろう。
でもよ、父上&兄上ズよ。アンタらは仕事しろ。
ほら、ぞろぞろと近衛隊まで付いて来てるじゃねぇか。彼らにも職務がある以上、王族の傍を離れるわけにもいかないのだろうし。
ま、そんなことを思ってるのは俺だけの様で、普段キチッとしている宰相なんかも何も諫言を言わないあたり、王族にもこういう家族サービス(というか息抜きというか)は必要なのかもね。
さて、気を取り直してっと。
いろいろと思うことはあったけど、魔法ってのには結構興味があったんだよね。
特にフライとレビテーション。
トライアングルだのスクウェアだのの攻撃魔法なんかにゃ微塵も興味は無いんだけど、やっぱ空飛べるってのは楽しそうじゃん?
どっちもコモンスペル(?)だし使えても目立たない。というか使えない方が目立つだろう。なんせ原作当初でルイズ以外の全員が使えた魔法だ。難易度的にはベリーイージーなはず。
個人的な興味を満たすという意味でも、将来的に「ゼロ疑惑」の発生を抑えるためにもここら辺は抑えとかないとね。
というわけで横に並ぶ二人の姪と共に真面目な顔して家庭教師の授業を聞いてたんだわ。
で、初めて習ったのはコモンスペル・ライト。
「いいですか? スペルを唱える際には成功する自分自身を強くイメージするのです。体の内側で消費される精神力を感じ取り、それをもっと強く引き出そうとしてみてください」
先生の言葉に頷いてライト・明かりを灯す魔法を唱える。
こんなとこまで魔法に頼るから科学が発達しないんだよと思いつつ、豆電球をイメージして杖を振る。
ピコン! パリイを閃く俺をイメージ!
……うん。なんもおこらへんね。
ま、全然落ち込んでなんかないけどね。むしろ計算通りってゆ~か~。
なんて内心くらいは虚勢を張っていると、
「おお! 素晴らしいですぞ、シャルロット様! まさか一度目で成功させるとは!」
なんてオッサンが大はしゃぎしてる。ギャラリーの大人連中も普通にはしゃいでる(ジョゼフは……うん。察してくれ)。
シャルロットは褒められてうれしい半分照れくさいの半分といった感じでおどおどしているが。
「すごいな、シャルロット」
一応俺からも褒めておいた。さて、共に一度目は失敗したイザベラにもフォローをしておくか。
「よし。俺たちも頑張って成功させるか、イザベラ」
そんなしょぼくれんなよと思う。シャルロットは文字通り特別なんだから。
俺は間違っても先に行くなんてことはないだろうから安心しろよ。下には下がいるってことを教えてやるから。
ハハハ。
なんて気楽に考えていた時期が俺にもありました。
忘れていたわけじゃないんです。俺もまた、特別な存在だったということを。
シャルロットが一発で成功させたコモンスペル・ライト。
大体に十数分後くらいだろうか。シャルロットや周囲のアドバイスを受け、見事イザベラが成功させる。
うんうん。きゃっきゃきゃっきゃしちゃって。愛い奴らじゃのう。
なんてのほほんとイザ×シャルを眺めていた俺だが、魔法訓練のほうは結構真面目に取り組んでたのよ?
ただね。さすがは神さん印の落ちこぼれにしてもらっただけあってね。
めっちゃ時間はかかったけどね。
何分かかったと思う? え? 甘い? 何時間の間違いだろって?
HAHAHA! 甘すぎるぜ!
正解は、
九日間だよおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
一週間以上もひたすら「ライトライトライトォォォォォ!」と叫び続けましたよ。
イザベラとシャルロットがフライを覚えてフワフワキャッキャしている間もずっと、叫んでましたよ。
当然のようにギャラリーはどんどん減ってくわけだったんだけどね。なんかねぇ。ジョゼフだけはずっと見ていてくれたのさ。ジョゼフ兄がすっごい優しい目をして俺の肩を叩いてくれるんスよ。
もうねぇ。思わずコロッと惚れちまうところだったよ。
八日目辺りにはもうね、俺は魔法を学びに来ているのか、「ライト」と呟きに来てるのか分からなくなりかけてたからね。
イメージするのが重要だって言われたから、常に最強の自分をイメージしてみたり、
「I am the born of my sword.(我が骨子は捩じれピカる)」
とか呟いてみたりしてスペルが違うと怒られたりもしたね。
そんなこんなでライトが成功したときは思わず泣きそうになったよ。
魔法の才なんて自分から拒否したし、魔法関係では落ちこぼれだと目されるというイメージ戦略は「魔法を失敗しまくる姿」を見せることで大成功したはずなのに。
そんなことよりなによりも、魔法が使えたというそのこと自体を俺は喜んでたんですわ。
ライトが成功した瞬間、体から精神力とやらが出て行くのを感じたその瞬間、世界が変わったようにすら思えたもの。
なんかね、キラキラとね、妖精さんみたいなのが笑いかけてくれたように感じたんだよね。
……ん?
…………妖精さん?
………………まさか、アレが精霊か?
…………………………勘弁、して、く、れ
クーが妖精さんが見えちゃう危ない人になりました
と、それに関しての説明なんかは次回以降に回すとしまして
ここらあたりでクーの改造は大体終了です
「コミュ力」「名前」というチートっぽくない「力」を貰ったはずなのに、立派なチートになりかけてますね
予期せず手に入った「力」に振り回されるのか。それとも好き放題やろうとふっ切れるのか
私ですら分かりません(ぉぃ
……うん。風呂敷広げすぎたかも
※追記 フライやレビテーションが風の系統魔法だとのご指摘をいただきました
訂正するのも面ど……ゲフンゲフン。話の大筋は変わらないので見逃して下さい
イザベラがアッサリ出来ている辺り引っかかるかもしれませんが、シャルロットと一緒に勉強したことで成長率が大きかったということで。ええ。愛の力ですな