幻想夢物語 〜少年の日々〜   作:わたっふ

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十一夢 告げられた事実

人は時々夢を見る。

靄がかかっているかの様な浅い夢、深く溶け込むかの様な深い夢。

だが、稀に人はそれらを通り越し、完全なる「夢の世界」へと足を踏み入れてしまうこともあるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

夏来) 「じ…じゃあ…この世界は…僕が創り上げた幻想の世界……なの?」

享奈から突然告げられた衝撃の事実に、夏来は震え声で質問を返す。

享奈が小さく頷くのを見た 次の瞬間、夏来は自分の意思とは無関係に、狂ったかの様に笑い出していた。

 

 

 

 

夏来) 「アハハ…アハハ八ノヽノヽノ \ / \/ \!!」

 

 

 

 

享奈) 「夏来君…」

夏来) 「フフフッ……じゃぁ…ニッ怪君たちと過ごしてきた日々は、現実の僕には何ら影響はないんだ……くふふ…」

夏来は涙を流したいのだろう……目の下がプルプルと震えている。

だが出来ない…涙を流せない……流す感情よりも先に、絶望に包まれた悲しき心が夏来を襲っているから。

…涙を流すだけでは収まらない訳なのだ…

夏来) 「………もう、いいや……現実の世界じゃ、ニッ怪君たちが居ないなんて…そんなの耐えられないよ……だったら!!一生この世界に居るよ!!! 死ぬまで!」

庭先へ駆けてゆき、享奈に背を向けて 手を空に向け突き出し、声を張り上げながら言う。

その瞳には光など無く、悲しみの念に囚われているかの様な目をして居た。

 

享奈) 「ダメだよ夏来君! 夏来君は帰らなきゃならないよ! そうじゃなきゃ…現実の世界に居る 皆んなを悲しませちゃうよ!」

 

夏来) 「ハハハッ……僕も出来ればそうしたいよ…でも!! 帰った所で何がある!? ニッ怪君たちが居ない世界で何をすればいい!? また虐められて……慰めてくれる人も居ない……家に帰っても……ひとりぼっち………そんな世の中でいいのかっ!!」

 

享奈) 「居るよっ!!!」

 

夏来) 「…!」

 

享奈) 「夏来君には…慰めてくれる…一緒に助け合って生きて行ける……そんな人が居るじゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

((ん? あ、夏来! 遅かったじゃねぇか))

 

 

 

 

 

((なにしてたんだよ……ったく…ほら、ラーメン食いに行こうぜっ!))

 

 

 

 

 

夏来) 「……炎条寺君……」

 

 

 

 

 

((私、東京に行くけどさ…また……ぅぅん……いつか会いにきて! 待ってるから))

 

 

 

 

 

((来てくれるって信じてたよ…夏来…… また…っ…これからもよろしくね…!))

 

 

 

 

 

夏来) 「ち……ちーちゃん…」

 

 

 

 

 

享奈) 「大切な友達を悲しませちゃダメだよ…」

その場に倒れこみ、泣き始める夏来に駆け寄り 頭を撫でる。

夏来の声は静まり返った森に騒めきを齎すように静かに響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

夏来) 「それで…どうしたら元の世界に戻れるの……?」

泣き疲れ、落ち着きを取り戻した夏来は縁側へと腰を下ろし、冷静に元の世界に帰る方法を考える。

 

夏来) 「それと…ニッ怪君たちは元の世界には存在しないの? 僕の妄想の人物??」

 

享奈) 「ニッ怪君と、ゆりかちゃんは私にはどうか分からないけど…ただ夏来君も知ってる通り、炎条寺君と千代ちゃんは現実の世界にちゃんと居るよ この世界の記憶は無いけどね」

 

享奈) 「それと…元の世界に戻るには……夏来君の願いを叶えなきゃならないの」

 

夏来) 「願い…? 僕…別に願いなんてないよ…」

 

享奈) 「そんなことないよ… そうじゃなきゃ この世界に紛れ込んだりしないしね」

 

夏来) 「そっ…か………探してみるよ! 早く帰らなきゃ…!」

 

 

 

 

 

 

夏来が神社に来てからどれ程の時間が過ぎたのだろう。

夜の暗みが一層濃くなり、辺りが闇に包まれていくと同時に、虫のさえずりが森の中からチラホラと聞こえてくる。

それは綺麗なハーモニーを奏でていて、2人の心が奪われそうになるほどだった。

 

 

夏来は帰り際に、享奈から暗いからと、手持ちランプを貰った。

木々に覆われて、暗闇とかし、足元が良く見えない階段などはこれで安全だ。

その効果を発揮しながら小階段を下り、広場に出る。

月の明かりに照らされている屋台の数々。

その中央には巨大な太鼓台が建っている。

凄いなと感心しながら、その場を後にしようとした その時、背後に何者かの気配を感じる。

ゆっくりと後ろを振り返る夏来。

と、そこにはニッ怪の姿があった。

夜中、冷たい風が頬に当たり、肌寒く感じて戸を閉めようと起きたら夏来が居なく、玄関に夏来の靴がないと分かり、行きそうな場所として ここへ来たのだった。

 

ニッ怪) 「夏来殿……余り夜間に出歩くでない……我らには夏来殿が必要なんじゃけん」

 

丁度良い……この際、はっきり分かった事を言ってやろう!

隠し通しても、いずれニッ怪君たちから告げられる事だ。

別に言ってしまっても構わんのだろう?

 

 

夏来) 「必要って……ここが 夢の世界 だから?」

 

ニッ怪) 「なっ!? 夏来殿……なぜそれを…」

 

夏来) 「享奈さんから全部聞いたよ、この世界は僕が見ている夢……つまり幻想に過ぎないって事…………僕の願いを叶えれば元の世界に戻れるって事…」

 

ニッ怪) 「………夏来殿が悲しむと思い、心に閉じ込めておいたのじゃが……もはや必要はないかの…」

 

夏来) 「ねぇ…………ニッ怪君たちは一体何者なの…? 教えて」

 

ニッ怪) 「………そうじゃな…話すとしよう……」

 

 

そう言うとニッ怪は、自分達が何のために居るのかを話し出した。

 

その内容は

 

自分たちは夏来の「願い」を叶える為に居ること。

だが、ニッ怪たちには その「願い」は何なのか さっぱり分からないらしい。

そして、無事に夏来が元の世界に戻れたら、ニッ怪たちはニッ怪たちの世界に戻って行ける。

そう、つまり ニッ怪たちは「夢の世界」の住民では無く、まったく違う別世界から、夏来を元の世界に戻す為だけに やって来ていたのだった。

ニッ怪も、仙座も、幻花も、炎条寺も、享奈も、皆んな。

 

さらに…

 

この世界で誰かが死んでしまっても、この世界を創った夏来が無事に元の世界に帰れることができたら、その者は自分の世界で生き返ることができる。

悟神が生き返れるかは、夏来が帰れるかで決まるのだ。

 

全てを知った夏来は、脳を整理する。

つまり夏来が帰れれば、それで何もかもが良い方向に進むのだ。

だが、元の世界に帰れる方法の「願い」が分からない内は、どうする事もできない。

 

夏来) 「ありがと…」

ニッ怪が夏来を傷つけてしまうからと、心の奥底にしまい込んでいた事を、包み隠さず全て話してくれた事に、夏来は感謝の気持ちを口にする。

ニッ怪) 「いいんじゃよ……我らも今まで黙っており……申し訳ない」

一方のニッ怪は 今更告げてしまった大切な事に、もっと早く告げていれば こんな事にならずに済んだと、後悔の念に押し潰されていた。

 

夏来) 「じゃ…帰ろっか」

 

ニッ怪) 「うむ……ぁ、夏来殿 この件は我から皆に伝えるおくぞい」

 

夏来) 「……ありがと」

 

こうして夏来とニッ怪は、少々気まずい空気のまま、家へと帰っていった………

 

 




今回のお話は文字数も少なく、会話文が多く入ってしまいました。
誠に申し訳ありません……お詫びと言っては何ですが、今日から一週間以内にもう1話完成させます!


炎条寺) 「マジですまん…」
悟神) 「そんな主に連撃神光貫!!」
わたっふ) 「何で居るんだよー!!」






ゾルバース) 「アホかぁ…此奴ら……」
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