神は人間を好んでいるのか、それは神のみぞ知る。
人間の我らには知らなければ良い物も沢山あるだろう。
能力者…その言葉を何度耳にしたことか。
この二人以外にもニッ怪からの情報によれば、まだまだ能力者は居ると言う。
幻花) 「享奈の主さん? 的な人も能力者ってことは…さっきの人達と敵対することになるわよね…じゃあさ、私たちと手を組まない? そうすれば怖いものなしよ!」
幻花の言っている事は確かに良いアイデアかもしれない…が、享奈は断った。
享奈の主が誰とも手を組まない系男子らしい。
2組が力を合わせれば勝てるだろうという考えは無しにしたほうがよさそうだった。
享奈) 「…決戦の日は近いんでしょ?さっきの人達との」
そう、いつ仕掛けてくるかわからない。早めに先手を打たねばならない。
だが、勘付かれては無理がある。相手の隙を狙うしか方法はなさそうだ。
さらに、機動隊らが能力者だった場合、戦いの爪痕が残るかもしれない。
場所も考えなくてはならない。
絶対にこの村の人達に危害を加えてはならない!
夏来) 「神社手前の広い敷地なら戦えるはず…!」
そこは来週の月曜日、闇籠神社の敷地で行われる祭りの会場として使われる場所だ。
まだ屋台などは準備されてなく、決戦の舞台としてはなかなか良い場所となっていた。
しかし、それまでに機動隊らが襲いに来てくれるか、はたまたこちらが機動隊らの場所を特定できるか、それが鍵になる。
炎条寺) 「ついに本格的になって来たな この小説も」
そう、これで全てが決まる。夏来たちが勝てば平和が、ゾルバースたちが勝てば機動隊の平和が約束される。
この戦いは負けられない!
HA☆HA☆HA 見ろぉ!こいつらが海賊(夏来側)と海軍(機動隊)的な立ち位置のようだぁ! HA〜HAHA!
かくして、決戦の日に備えて叔父らの家に帰った夏来たちは、居間で作戦会議を始める。
享奈はというと、こちらに来る途中まで一緒だったが、主様のとこに帰るね!と言い残し帰ってしまった。
ニッ怪) 「それで…どうすれば良いのじゃ」
その問いに夏来は、2人の能力を確かめると切り出した。
ここでサラッと振り返ろう。
ニッ怪の能力は「生命を操る能力」
他の生物の生体エネルギーを奪ったり、逆に与えて強化させることも可能。
つまり、セ○の応用バージョンと言う訳ね!
ですが、生命を操る訳なので、相手の命そのものを奪う事が出来るんじゃないの? と言う質問が画面の向こう側から少々聞こえて来ましたが…この能力は「生き物から生きるに必要な生命を全て奪う事は出来ない、奪った生体エネルギーは自身に使う事は出来ず、与えることしかできない。又、与える量も元の力の50%まで」と言う、まぁまぁ…使いづらいなと感じてしまう能力である。
能力は進化する事が出来るが、ニッ怪はまだ進化1段階目なので弱い分類に入ることになるだろう。
さらに、能力には「覚醒」と言うものもあり、覚醒した進化段階時点の能力の効果を何倍にも膨れあがらせる事が出来るとのこと。
界○拳みたいな。
次に仙座の能力は「俳句を操る能力」
俳句、すなわち 575 で言った事が実際に起きてしまう能力。
さらに、俳句と言えば、季語を入れなくてはならないが、入れなくても良いように作者が書いている。
難しいし…
これだけ見れば、これこそチート級の強さを持っているなと感じてしまう。
実際に読者の皆様も仙座の余裕っぷりな言葉を目にしたと思われる。
だが、この能力もニッ怪同様、欠点がある。
それが、「半径5メートル以内でしか能力の効果を発揮出来ない」
と言うものだった。
つまり、仙座が敵に接近、又は相手が仙座に接近しなければただの人間と変わらないと言う事だ。
半径5メートルなので難しいわけでは無いが…長距離からの攻撃は防御するのも一苦労だろう。
が、仙座にはテレポートも可能なので、そこは高評価になる点だろう。
さらに、仙座の能力は進化3段階目になっていた。
九州の方で人を助けていた時に2段階目に進化をし、夏来たちとの生活の中で3段階目に進化を遂げた。
1段階目ではテレポートは出来なく、能力発動範囲は半径5メートルではなく、半径2メートルだった。
しかし、今ではテレポートは勿論、俳句とは別に「花札」をも操る能力を手に入れていた。
炎条寺) 「こう考えてみるとニッ怪の能力で相手の生体エネルギーを限界まで奪って、相手が動けなくなったとこを仙座が接近し、能力で潰す って言ったとこだな」
案外、早く作戦が出来て尺余りを心配した夏来たちは、どうにか他の案は無いのか、必死に考えたが思いつかなかった。
もう直ぐ6時だ…
川にいた時間が長かったのか…享奈たちとのやり取りが長かったのか…
叔母) 「ただいま〜」
6時の鐘とともに玄関から叔母がビニール袋を持って入ってくる。
なんだろうかと思いながら見ていると、叔母がこちらに向かってくる。
ビニール袋をテーブルに置き、中から何かのパックを人数分取り出した。
焼きそばだった。
話によれば、たこ焼きの準備をしていると、隣の焼きそば屋を務めている人から貰ったらしい。
夏来たちの事を話してたからだろうか…
どちらにしても良い結果だ。
仙座) 「イヒーヒヒw 焼きそばぁ!」
先ほどまでの緊張感が途切れる。
ニッ怪) 「こ、これは…初めてみるの…麺かい…?匂いがとても良いの」
炎条寺) 「ぉお!焼きそばじゃん!」
幻花) 「あぁ……やきそばぁ…」
夏来) 「わぁ…やったぁ…!」
それぞれの反応に叔母は微笑む。
みんなは御礼をし、焼きそばを食べ始める。
食べ始めたのを確認し、叔母は叔父と夕飯を食べる為、別室に行く。
ここは子供達だけで楽しませてあげたいと言う叔母の想いからだろう。
炎条寺) 「そういやぁ…モグモグ…享奈の主ってやつは…大丈夫なのかよ…モグモグ」
幻花) 「口の中のもの飲み込んでから話しな…もぅ…」
享奈らも機動隊に狙われているのは確かだろう。
享奈は能力者では無い可能性はあるが、100%とは言えない。
そんな事を考えながら時間は過ぎて行った。
夕飯を終えた夏来たちは別室にいる叔母に「ごちそうさまでした」と言い、部屋に戻る。
壁にかけられた時計を見ると午後6時半をまわっていた。
ニッ怪) 「はぁ…月が綺麗じゃ…」
仙座) 「だねぇ〜♪」
ニッ怪、仙座、幻花らが部屋を直ぐ出た先の縁側に座り、夏来と炎条寺は部屋の中でトランプで遊んでいた。
夏来) 「くっ…どれだ…どれがババなんだぁ…」
炎条寺) 「ふっ…貴様、見ているな!」
幻花) 「あんたら…こんなピリピリした状況で良くもまぁ…」
2人の何気ないやり取りに幻花が口を挟む。
確かにこんな状況下、明日襲われるかもしれないのに呑気にトランプなんかしていると思うと馬鹿らしい。
炎条寺) 「今を楽しむ!それの何が悪いんだ!」
幻花は溜息をつき、それ以上言わなかった。
夏来と炎条寺のババ抜きは直ぐに決着が着いた。
夏来の勝利。
炎条寺) 「も、もう一回だ…勝つまでやる……テメェは俺に…本気を出させた 後悔するがいいっ!!」
そう言うと、炎条寺はカードを集めてシャッフルをし始めた。
夏来) 「はは…あ、ちーちゃん達も一緒にやろうよ! ババ抜き」
断る理由はない為、暇から脱出する為、幻花らは誘いを受け、部屋に戻る。
その頃ー
闇籠神社の敷地内ではしゃぐ1人の少女、享奈。
そう 享奈と、享奈の主は闇籠神社に住んでいる。
享奈) 「それでね〜? あいつら、やっぱり能力者だったよ 早く仕留めないとね!」
誰もいない空間に喋りかける享奈。
???) 「ぁぁ…わかっている…」
声が辺りに反響し、享奈の耳に入ってくる。
???) 「奴らは…人間の能力者は排除せねばならんからな…」
暗く、重たい声に享奈はニコリと笑う。
???) 「さぁ…始めるぞ」
享奈) 「りょーかい!」
ババ抜きやらスマホやら、歯磨きも忘れずに!と、楽しいひと時を満喫した夏来たちは順番に御風呂に入り、部屋に戻ってくる。
そして同時に戻ってきた人から お布団の上にダイブし、寝て行く。
よほど精神を使ったようだ。
直ぐにグッスリと眠ってしまった。
最後に部屋へ足を踏み入れた夏来はその光景に笑う。
だが、そろそろ自分も寝倒れそうになることに気づき、意識が薄れて行く中、トイレへ向かい 用をたす。
再度戻ってきた夏来は日記を付けようと、バッグから取り出す。
ちょうど月明かりがいい感じなのを見計らって夏来は縁側に座り、書き始める。
___________________________________
7月 29日
今日から長野の叔父さん、叔母さんの家に泊まります!
今年は2人も追加したから叔父さんたちもビックリしてました。
8月1日は祭りがあるので楽しみ!
だけど、ニッ怪君たちを狙ってる人達がい──
__________________________________
突然、ドスッという重たい音の後に意識が無くなった夏来。
その手からシャーペンが転がり落ち、廊下にその音が響く。
軽くお姫様抱っこのような形で誰かが夏来を持ち上げると、そのまま夜の空へと飛んで行く感覚に襲われた………
次の日ー
朝7時に起きた皆んなは、夏来が居ない事に気付いた。
初めは、もう先に朝食を取っているのかと思い、居間へと向かったが姿はなく、色んな場所を見て回ったがやはり居なかった。
別室で朝食を作って居た叔母に夏来が何処にいるか聞いたが、知らないと言う。
次に外を散歩している、と思ったが玄関の鍵は開いておらず、夏来の靴もちゃんとあった。
炎条寺) 「ど…どうなってんだよ…」
ニッ怪) 「何者かに襲われたと言う可能性は考えられないかの…」
襲われたとなると、やはり機動隊の奴らが夏来をさらったと考えるのが妥当だろう。
だが…なぜ夏来を…
叔母) 「ご飯できたよ〜、顔洗って食べなさい〜」
いずれにせよ、今日が決着を付ける時だと言うのは間違い無さそうだ。
顔を洗い、朝食を食べ、着替えをし、戦闘の準備は整った。
幻花) 「機動隊…夏来を人質に取るなんて…!」
仙座) 「やろー!ぶっころしてやらー!」
それぞれの決意が固まったのを確認し、仙座の肩に手を置く。
テレポートで夏来の場所へ移動するためだ。
仙座がOKサインを出すと、4人の体が光に包まれ、その場から消えるー……
ーーたどり着いた場所はーー
「闇籠神社」
幻花) 「え、ここは…」
周りを木で囲まれて居て、そのせいか少し暗く肌寒い。
そんなことは気にせず、夏来を探すニッ怪たち。
すると神社の本殿の扉がゆっくりと横へスライドし、中から人が出てくる。
炎条寺) 「お…お前は!」
享奈) 「御機嫌よう、みなさん」
黒服の巫女姿の享奈だった。
前に会った時とは何か違う。
享奈から出てくる不吉なオーラが感じられた。
享奈は地面に降り、ゆっくりとこちらへ向かってくる。
ニッ怪) 「夏来殿を何処へ!! お主、機動隊の一味であるか!」
享奈) 「仲間じゃないわよ 奴らも全員、抹殺対象だし 夏来なら本殿の中で寝て…」
享奈が言い終わる前に仙座が殴りにかかる。
見事顔面に当たったがケロっとしていた。
享奈) 「あらあら…人が言い終わるまで待てないのかなぁ!」
次の瞬間、仙座の腕を掴み、地面へと叩きつける。
とても夏来たちより若い女子の力ではなかった。
叩きつけられた衝撃で仙座は肺を強く打ち、呼吸が苦しく荒くなる。
享奈) 「次は貴方がこうなるの、ニッ怪 滝」
人差し指でニッ怪に指をさし、歪んだ微笑みを浮べた。
ニッ怪) 「なぜこのような!」
享奈) 「……私はねぇ…私らはねぇ! 人間のくせに能力に目覚めて調子に乗ってる奴が大っ嫌いなの! さらにそれを許すお前ら人間の甘さ! 愚かっ!惨めっ!怠惰!! 人間のくせに…人間のくせにぃぃぃい!!!」
享奈の歪んだ心か、はたまた怨みの念か、 享奈の背中からは黒いモヤが出ていて、目が赤黒くなっていた。
その光景に呆然と立ち尽くしていると、享奈に気づかれないように背後から仙座が胸を抑えながら立ち上がり、勢いよく体当たりし、前に押し倒した。
ニッ怪に気を取られていた享奈は突然の事にパニックに陥った。
叫びまくり、暴れまくるが、ここぞと言わんばかりにニッ怪が能力を発動。
享奈は徐々に抵抗する力を奪われてゆく。
ほぼ動かなくなったのを見て仙座が享奈から離れ、一呼吸。
ニッ怪も冷や汗を拭いた。
炎条寺) 「おい…!ニッ怪たち、人間の能力者が何をした…!」
炎条寺は動かなくなった享奈の胸ぐらを掴み上げ、怒りの目で問いかける。
享奈) 「人間は…能力を持った人間は…その力を利用し…私の主、悟神様の心を踏みにじった!! 信じていたのに!裏切られた!親しくしてきたのに!悟神様の受けた屈辱、痛み…苦しみ、悲しみ!お前達も味わうがいい!!ハハ…ハハハ!」
炎条寺は胸ぐらを掴んでいた手を勢いよく離し、3人に享奈の主を探してこんな事は止めようと伝えようと切り出した。
その際に本殿にて眠っている夏来を救出に向かった。
本殿に入ると中央に夏来が横たわっていた。
夏来に駆け寄る4人。
享奈も言っていた様にただ眠っているだけの様だった。
ニッ怪) 「夏来殿、夏来殿、」
夏来の体を揺さぶり起こそうとする。
起きそうにないので、ニッ怪は最終手段をとる。
───────────────
「なつ……の……な……どの」
だれ…だれかの声が聞こえる。
ニッ怪君…?
「「な…き!な…き!お願……おき…!」」
こっちは…誰の声…?
わかんないけど…なんだか…懐か…
次の瞬間、頭に痛みが走った。
───────────────
夏来) 「はっ!」
突然、頭を叩かれる衝撃に意識を取り戻した夏来が飛び起きる。
炎条寺) 「よぉ夏来、気分はどうだ」
夏来は状況がうまく掴めていなかった。
さっきまで叔父さんの家で日記を書いていたのに…
ここは神社…? なんでこんなとこに…?
ニッ怪) 「詳しい話は察しておくれ それより今は享奈殿の主殿を探さねば」
そう言うと、ニッ怪たちは神社を散策し始める。
そのあとを夏来は一応付いて行った。
享奈を見つけて騒ぐ夏来だったが、先ほどの話をニッ怪から聞き、納得したような表情を見せた。
それからしばらくの間、辺りを探し回ったが、それらしき人物を見つけるに至らなかった。
享奈) 「はは…人間は……滅ぶべきだぁ…」
神社の鳥居の前まで来た夏来達は、相変わらず地面に横たわりながら悪態をついて来る享奈を見つける。
炎条寺) 「享奈、悟神だっけ? が現れたらメールでも送れ! これ俺のメアドだから」
幻花) 「なんで今もってんのよ」
享奈に向けて投げられた紙をキャッチした享奈は、それをビリビリに破く。
炎条寺) 「ぁあ!て、テメェ!可愛い顔してるからって何でも許されると思ってんじゃねぇぞ!!」
今にも殴りかかりそうな炎条寺をニッ怪と夏来が必死に止める。
享奈) 「その必要はない…っ もう来てるからね…!」
享奈が仰向けになり、天に向かって手を伸ばす。
すると、それまで晴れていた空が段々と雲行きが怪しくなって来る。
カラスが鳴き、草木が騒ぎ始めた。
夏来) 「な、なな!なに!?」
次の瞬間、夏来たちは目撃する。
空に掛かった雲が割れ、光の柱が闇籠神社を照らす。
そして、その光が一点に集中し、人の形になって行くのを。
悟神) 「愚かな人間の能力者よ…裁きの時だ…」