普通な僕と異常な君   作:しにかけ/あかいひと

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その5-バッド・バッド・ボーイズwith 『K』

 

「はぁい元部サン、今日部活休みだって」

 

「残念だよなー、バレー部にコート取られるとか」

 

放課後、1-3に速攻で向かい元部サンを二人がかりで出待ちする。

 

「……その連絡、聞いてないんだけど」

 

「僕らもさっき聞いたばかりだからね」

 

「元部には、俺らから伝えるって先輩に言ったんだよ」

 

「…………そう」

 

なお、嘘ではないが隠し事はある。試合が近いらしいバレー部に体育館のコートを譲ったのは本当、但し練習しないとは言っておらず、外でランニングとかはしているらしい。でも生憎の雨なので、今日だけは希望者だけの練習なので、このまま帰っても問題ないのだ。

 

「てなわけで、タイミングもいいし、同じ部活の一年同士で仲を深めようかなーって思うんだけど、元部サンも来るよね? 絶対来るよね、よしありがとう。じゃあこのまま僕の家に行こうぜやっほい!」

 

「……え、いや、俺帰ろうかと」

 

「まぁまぁ固いこと言わずに! 校則違反だけど、こういうのも必要だって、な?」

 

そう言って肩をポンポンする佐藤クン。対する元部サンは凄く嫌そうだった。実際、嫌なんだろう…………でも、ここで躓くと困る、この後の作戦がパァだ。

 

「…そっか、ごめんね。これから長い付き合いになるから、仲良くなりたかったんだけど、そっか…………邪魔してごめんね元部サン」

 

「あー…………ごめん。無理矢理は良くないか。じゃあ、この話はなかったことにすっか」

 

『1-3教室前』で、まだ他の生徒もいる前で、目立つように、悲しそうな顔を見せる。するとほら、元々悪目立ちしていた元部サンに向けられる視線が…………!

 

「うっ…………」

 

ついでに元部サンの良心にもダメージ。

 

(ふふふ…………あまりよろしくないことだけど、手段は選んでられない…………きっちり、泡ふかすためにこれは必要なダメージ…………確か、コテラレダメージ?)

 

『コテラルダメージだよ!』ってツッコミが入った気がしたがスルー、その場から撤退(するふり)をしようとして…………

 

「ろ、6時ぐらいまでなら…………」

 

「「(だいたい計画通り…………!)」」

 

言質は取った、その事に僕らは悪い笑みが止まらなかった…………見せないようにはしたよ?

 

 

◆◆◆

 

 

「悪い子って…………ああ、そういうこと」

 

「佐藤クン察し良すぎじゃね?」

 

「アナログニンゲンだからな!」

 

説明をしようとしたら、佐藤クンが察して何度も頷いてた件。いや、本当にこの察しの良さが超能力者(エスパー)レベルなんですが…………。

 

「よーはあれだろ? 元部を何かしらの形で拘束して親をこっちの舞台に引きずり出そうってんだろ?」

 

「マジで当たってやがるし…………」

 

「でも、直接元部の家に乗り込まないのはなんでだ?」

 

「そら、それだと意味がないからだよ、向こうのホームグラウンドだと」

 

「んんー?」

 

流石にそこまでは分からんか。

 

「向こうのペースに、元部サンがのまれたらダメなんだよ。元部サンに『間違ってるのは自分』という判断をさせてはいけないんだ。それじゃあなにも変わらない」

 

「元部に、なのか? んなもん俺かお前か、それこそ堤に突き付けさせたら終いじゃ…………あー、そうか。家の問題だから、俺らが口出ししたところでどうにもならんのか」

 

そういうことです、と強く頷く。

 

「せめて、信頼はできずとも部活仲間がいる、自分の家じゃない有利な場所で、少しでも強く親に対抗できる場所を整える。そのために、無理矢理元部サンを僕の家に呼ぶ、そして佐藤クンにもそれを手伝って欲しいんだ」

 

「いいぞ」

 

「いいんだ? 言っとくけど、元部サンの親には睨まれるし、学校に報告されたら先生からも白い目で見られるよ?」

 

正直、昨日の光のことが無ければここまでのことはしなかった。だって他人にそこまでのことをする義理なんてないし、もっと時間をかけて解決する方法だってあるはず。バカだから思い付かないけど。

でも佐藤クンは違う、そこまでする必要がない。たかが部活仲間の家庭問題に首を突っ込もうだなんて…………。

 

「いや、理由ならあるけど。俺、お前らに助けられたし」

 

「…………う、嘘かもよ?」

 

「そんな嘘を吐くヤツには見えないし、もしそうだとしても俺の見る目がなかっただけの話だろ?」

 

「むぅ…………」

 

そうやって快活に笑われると…………照れるなぁ。

 

「あと、親にいっつも言われてるからな、『ルールを守って誰かを見捨てるぐらいなら、ルールなんて破れ!』って。見て見ぬふりとか気持ち悪いしな」

 

「そーですか…………」

 

いやぁ、うん。じゃあ、お言葉に甘えようかね。

 

「決行は部活終わり、そのまま僕の家になんとか連れていって元部サンの家に電話をかけて僕の家に来させる」

 

「よっしゃ!」

 

 

◆◆◆

 

 

…………まーさか、部活休んでも良くなるとは思わなかったんだけどねぇ。誘いやすくなって良かったと思うべきか?

 

「というわけでただいまー」

 

「おじゃましまーす!」

 

「……お邪魔します」

 

「お? お帰り健太ー☆ あーちゃんはまだ保育園、りゅーちゃんは友達と遊びに行ったよー。っと、いらっしゃい二人とも、ゆっくりしてってねー」

 

玄関を開くと、家の二階の方から声が聞こえてくる。とりあえず、持ち直したようで安心した。

 

「……景山の、お姉さん? いやでも声に聞き覚えが…………」

 

「うちのクラスの堤だよ、ほらこいつと夫婦で既に有名な」

 

「夫婦ちゃうし…………」

 

「ああ、あの…………」

 

そして納得されるまでが一連の流れである…………。

 

「そういえば、今日堤さんは見なかったけど…………サボり?」

 

「体調不良。まあほぼサボりみたいなものだけど…………あ、何故うちの家にいるかは突っ込むな、頼むから」

 

そう言いながらリビングに案内し、荷物を和室に置くように言ってから手洗いうがいをし、キッチンに入って冷蔵庫からサイダーと、棚からクッキーの詰まった瓶を取り出す。

 

「お客様用のコップはーっと…………これか」

 

コップを3つ出して、ダイニングのテーブルに並べ、さっき出したサイダーを注いで真ん中に蓋の開けたでっかいクッキー瓶をドン! と置いた。

 

「今オヤツこれしかないからこれで我慢して」

 

「手作りかよ…………誰の?」

 

「光の」

 

「堤の? お前ら本当にそれで付き合ってないの?」

 

「付き合ってないよー、家ぐるみで仲のいい親友同士ってだけー」

 

ドタバタと音を立てながら、上から声を投げてくる光。着替えてんのかな…………パジャマのままだったとは考えにくいし、余程変な格好に着替えてたのかもしらん。

 

「……リア充爆発しろ」

 

「元部サン!? なんでそんな親の敵みたいな顔して僕を睨むの!?」

 

「幼馴染、美少女、料理女子、ほぼ一緒に生活、超自然体、5ファウルでベンチ行き…………ッ!」

 

「おい景山、元部が思ってた以上に愉快なんだけど」

 

「僕に言われても…………」

 

今にも目から血涙流しそうな勢いの元部サンを見て、超困惑。こんなに愉快な反応するとは思わなかった。

 

「まあ、アレが彼女とかねーし。姉か妹にすきすきー!ってやるようなもんだし。ないない」

 

「しっつれいなー。私みたいな美少女を捕まえてそんな事言うの健太ぐらいよー?」

 

そう言って階段から降りてきた光は…………何故かうちの中学の制服を来ていた。オイ、何故それに着替えたし。

 

「あと、自分で言うかよ腐れ親友。メンタルは戻ったのかい?」

 

「お陰さまでね腐れ相棒、もう大丈夫だよ」

 

「謎の信頼感も追加…………ディスクオリファイディング・ファウルで退場…………!」

 

「いやぁ、ここまで来るとガチでそういう仲じゃないだろ」

 

そうなんだよなぁ…………お陰で生まれてこの方彼女なんていたこともない、勘違いされて。…………いや、小学生で彼女持ちとか逆に進みすぎてる筈だし、これからこれから。せめて高校生の辺りで一人くらい…………!

 

「それはそうと、会うのは初めてだね。初めまして元部クン。聞かされたと思うけど、1-2の堤光よ。よろしくね☆」

 

「……1-3、元部洋祐。よろしく」

 

そう言って二人は握手を交わして…………あ、元部サン照れてる。落ちたな()

 

「それでそれで、これは何の集まりなのかな? かな?」

 

「一年男バスしんぼくかい…………って言ったらいいのかな。とりあえず女子のお前はお呼びじゃねぇ。しっしっ!」

 

「ひどーい、男女差別だー!」

 

「ん? いいんじゃないのか景山。どうせ景山と堤ってセットみたいなものじゃんか」

 

「男ばかりだと、むさい」

 

「よっし、多数決で私も参加ね☆」

 

…………ひっじょーに、裏切られた気分だ、いろんな何かから。

 

まあ、そんなこんなで、我が家でちょっとしたオヤツぱーちーが始まるのだった。制服のまま友達呼ぶとか、今絶賛僕悪い子だなぁ…………!

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