「ぷらぐて? びぎなる? あーるでSCAT!!!!」
……
…………
……………………………発音が違うのか?
「ぷるぁくてぃー ヴィギーナルゥ あーるでィすかァッッとゥ!」
…………
……………………………………
………………………………………………………………………若本ver.でもダメか。
「杖のほうが不良品なんじゃね?」
まぁ二回目の挑戦で成功するとも思ってなかったが。
現在俺ことアイカ・スプリングフィールドはいつもの湖畔に来ている。
手の中には初心者用の杖。魔法学院から一時的に村に帰って来ていたアーニャがくれたものである。
もっとも魔法には、
「ぶっちゃけ興味ないんだけどなぁ」
兄であるネギは目を輝かせていたのだが。俺としてはむしろ杖に『周』を試していたほうが面白かったり。
というか杖よりむしろスコップが欲しかったり。
「あー。穴掘りてー」
『纏』『絶』『練』はほぼ完璧。まぁ発展の余地は多分にあるんだろうが、『纏』は寝ている間も維持できているし、『絶』や『練』でミスすることもないから、一応形になったと思っていいだろう。
ならば次は応用技だろう。『凝』『周』『堅』『硬』『隠』『流』『円』。やることはいっぱいあるものな。それに基礎を上げるのも大事だが、いつまでも同じことばかりじゃ飽きが来るし。
……というかそろそろ水見式やってみようか?
いや、まだ我慢だ。今は基礎を固めるべき。うん。系統が判明しちゃうと系統別修行に手を出したくなるのも当然で、必殺技を作りたくなるのも必然だ。
今はまだ我慢しよう。
ただでさえ厄介事が待ち受けているのだからね。
厄介事。言うまでもなく原作において発生した『悪魔襲来事件』である。
村を悪魔が襲い、村人を石化させていった事件。生存者はネギ、ネカネ、そして魔法学院にいて難を逃れたアーニャの三名のみ。
非常によろしくない。こいつぁ非常によろしくないよ。
生存者にアイカ・スプリングフィールドの名はないんだ。そりゃ原作には俺はいないから当然だけどさ。
あの事件は確かMMの元老院が仕組んだことだったか? 俺はジャンプ派だったからマガジンは立ち読みだったんだよなぁ。いまいちうろ覚えだが。
まぁ村を襲わせた理由はなんとなくわかる。
連合のお偉いさんとしては『災厄の魔女』が生きた証であるネギを消そうとしたか、それともネギを『悲劇の英雄』に相応しい境遇にしようとしたか。まぁそんなところだろう。
マズイよなぁ。俺は母親の金髪を受け継いだうえ、将来的に『災厄の魔女』に似ることが予想される女児。ネギよりも抹殺優先度は高いだろう。ネギを『悲劇の英雄』にするのにも俺の死は効果的だ。『双子の妹を悪魔の襲撃の際失った。しかし英雄の息子はそのことに絶望して立ち止まったりせず、自分と同じような悲しみを抱くものが出ないようにと、
マズイよねぇ。生き残れるかね?
悪魔がやってくる正確な日時は分からないが、確かネギが湖に溺れた後あたりのイベントだったはず。
まさか未完成もいいところな『念』で悪魔に対抗できるわけもなく。『絶』を使って森に潜んでればあるいは、ってところか。
正直運まかせなのはいただけないよなぁ。
うーん。
むーん。
うむむーんぬ。
…………………………………………ティーン!
「逃げちゃえばよくね? 今のうちに」
うん。そうだよ。何も襲撃のあるとわかっている村に留まってることなんてないじゃんか。
なんか村人を見捨てるみたいで後味悪いけど、俺にはどうしようもないしね。
つか彼らはネギが治してくれるでしょ。俺の場合は石化された上に砕かれちまいそうだもの。
それに実はあいつら好きでもなんでもないしね。
口を開けばナギナギナギ。原作ネギがナギ信者になったのも当然ですよ。洗脳空間と化してるもの。
まぁ問題と言えば今の俺の歳が二歳、数えで三歳ってところだけど。
……うん。なんとかなるだろ。
やばくなったら孤児の振りでもしよう。あながち外れちゃいないし、ここで死ぬよりはずっとマシだ。
「そうとなれば早速用意をしなくては」
家に向かって駆け出す。もう日も沈みかけている村を駆ける。
夜になったら抜け出そう。『絶』状態ならまず気づかれないだろうし。
財布は二歳児には与えられちゃあいないが、ネカネが生活費を置いてある場所は把握している。ネギと俺の二人分なのだから、半分貰って行っても別にいいだろう。
あとはカバンに服でも詰めて。
どこに向かおうか。やっぱ日本かなぁ。
んー。いや。いっそ魔法世界に乗り込もう。アリアドネーでも目指してみますか。
作りたい魔法薬もあるし。
年齢詐称薬があるんだから、あってもいいと思うんだよな。
性別詐称薬!
男になっちまえばMMとかの追手も撒けるだろうし、俺は俺で男に戻れる。赤松ワールドの美少女達とイチャイチャだって出来る。いいことづくめだもの。
よし、決定! 目標魔法世界学術都市アリアドネー。
漢になるため、いざ出陣!
んで、やっぱりあれは必要だよな。
うんうん。家出するからには、ね。
翌日、魔法使いたちの隠れ住む村がパニックに陥ることになる。
彼らの中心でアイカの残した書置きを手に呆然としているのはスタンと呼ばれる老魔法使い。
喧々諤々と騒ぐ村人たちの中、ただ一人スタンだけが、どこか寂しげな目のまま笑みを作っていた。
「ネカネやココロウァが何度も言っておったというのに。最後まで乱暴な物言いのままじゃて」
アイカの書置きには短くこう記されているだけ。
――世界を見てくる。そのうち帰って来るから、それまで長生きしろよ――
「まったく。あの
あれ? ネギ出てなくね? というか早速原作沿いから外れているような そんな第二話 いかがかしら?
アイカは水見式してませんが、ヒソヒソの性格診断からなんとなく系統はわかるかと
思い込んだら単純一途。いろいろ考えてるようで、実はあまり考えません
……こんなキャラで話が作れるのだろうか
早急にツッコミキャラを確保したいなぁなんて