ネコの手も狩りたい【完結】   作:puc119

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第22話~思ってたのと違う~

 

 

 実際に得られたものは何もなかったけれど、あの二人と会うことができたし、ナルガだって倒すことができた。それだけでも十分価値のある遠征だったんじゃないかなって思うんだ。

 ユクモ村からベルナ村へと向かう飛行船の上で、そんなことを思った。

 

 さてさて、これでようやっとまたご主人のクエストを進めることができる。ご主人の装備は完成しているはずだし、俺も新しい装備となった。これだけの装備があれば、村の下位クエストくらい一気に進めそうだ。

 前回、ホロロを討伐したし、次は……なんだったかな? 確か、まだ四天王ではなかったはず。その前にナルガとかレイアとかと戦ったような気がするし。

 ふむ、もしかしたら、またナルガと戦うことになるかもしれないな。まぁ、今度は流石に上位や二つ名ナルガじゃないわけですし問題ない。通常ナルガは戦っていて面白いモンスター。うむ、戦うのが楽しみだ。

 前回、ボコボコにされた分、次は頑張らせてもらおうか。

 

 

 そんな感じで、少しだけ遠い未来へ、大きな期待と少しの不安。そんなものを抱えつつ、色々と考えつつ飛行船で揺られること暫く。漸くベルナ村へ帰って来た。

 ユクモ村とは違い、草の匂いが風に乗ってふわりと届いてくる。なんとものんびりしたような雰囲気だけど、この雰囲気も嫌いじゃあない。

 

「あっ、お帰りネコさん……だよね? 装備が変わっちゃってるけど。それで、あのハンターさんたちとのクエストはどうだった?」

 

 飛行船から降りて直ぐ、ご主人がとてとてと此方へ向かって走ってきてから、そんな言葉を落とした。そのご主人の姿は、俺がユクモ村へ行く前のものとは違い、ザザミ装備となっている。ベルダー一式じゃなくなってしまったことは残念だけど……うん、ザザミ一式も良いよね。すごく似合っていると思う。

 

「そうだニャ。強い相手だったけど、あのハンターさんたちが上手かったからなんとか……えっ?」

 

 ご主人へユクモ村でのことを報告しようとしたとき、あることに気づいた。

 その、ですね……ご主人の隣になんか知らないけど、ネコがいたんですよ。それもレイア一式と、かなり良い装備のネコが。

 

「え、えと、あの……ご主人?」

「うん? どしたの?」

 

 いや、その……

 

「そ、その隣にいるアイルーは誰ニャ?」

 

 えっ? なにこれ。どう言う状況? もしかして、アレ? 俺じゃダメだった? 捨てられちゃう? 俺、捨てられちゃう? それとも、これからはひたすら交易へ回されるとかですか?

 

「あっ、えとね。ネコ嬢さんから紹介してもらったアイルーさんだよ」

 

 お、おぅ。なるほど、それは分かった。それは分かったけど……えと、これから俺はどうなるのかな? 村クエならオトモを2匹まで連れて行けるけど、集会所とかとなると……

 

「ほら、白ネコさんもネコさんに挨拶して」

「……よ、よろしく、にゃ」

「あっ、うん。よろしくニャ」

 

 そう言ってから件の白ネコと肉球を合わせたけれど、俺の内心はかなり荒れています。だって、一番恐れていたことが起こり始めているのだから。

 こりゃあ、もしかしたら本当に相棒さんたちの所へ行くことになるかもしれないな。

 

 しっかし、この白ネコが装備しているのってレイア装備だよね、もしかして、俺がユクモ村へ行っている間にレイアを倒したのだろうか。んで、その時この白ネコも一緒に……い、いや、流石に大丈夫だろ。流石に俺より上手いってことは……ない、よね? この白ネコさんただのアイルーだよね? テオのスーパーノヴァにも突っ込んで行き、全力で笑いを取りにいってくれるただのネコだよね?

 

「なんか、二人とも硬いけど……緊張してるの?」

 

 そりゃあ、緊張しますとも。だって、少ないオトモ枠がかかっているのだから。お願いだから、頼むからベンチ行きだけは勘弁してもらいたい。

 

「き、気のせいだと思うニャ」

「いや、ネコさん吃ってるじゃん」

 

 それだけ慌ててるんです。

 俺はそんな様子だと言うのに、白ネコはと言うと、なんとも余裕そうな表情。てか、何を考えているのか分からない。

 それに、よくよく考えると本物のアイルーと一緒って色々とマズくないですか? だって、本物のアイルーからすれば、どう考えたって俺は異常に見えるはず。このご主人は今までアイルーと接する機会が少なかったから問題なかった。けれども、今回は本物のアイルーなんだ。ご主人は誤魔化せてもこのアイルーを誤魔化せる気がしない。

 

 この状況……かなりヤバいぞ。

 

「まぁ、とりあえずご飯にしよっか。その後、何かのクエストへ行こうと思うけど、ネコさんは行けそう?」

 

 正直に言えば、昨日の疲れは完全に抜けていない。けれども、今はとにかくご主人にアピールをしないとだ。休んでいる場合じゃないだろう。

 まぁ、装備だってしっかりしているんだ。村クエくらいならどうとでもなると思う。たぶん、きっと。

 

「ボクは大丈夫ニャ」

「白ネコさんは?」

「……大丈夫にゃ」

 

 う~ん、しかし、この白ネコはどうしたものか……今までを見る限り、話したがりな性格ではないっぽいけど、その分何を考えているのかわからん。心の中では俺に対しての敵意でいっぱいかもしれない。

 はぁ、どうしてこう狩り以外のことで悩まないといけないのやら。もういっそ本当のことを話して……いやいやそれはダメだ。絶対にご主人へ迷惑がかかる。多分、いつかボロの出る日は来るだろうけれど、それまではなんとか頑張ろう。

 

「それで、何のクエストへ行くのニャ?」

「んとね、確かナルガクルガって言うモンスターだったはずだよ。場所は……渓流だったかな」

 

 ああ、やっぱりナルガか。しかも場所は渓流と。それならあのままユクモ村にいても良かったかもしれない。まぁ、そんなことを言っても仕方の無いことだけど。

 とは言え、ナルガは有り難い。動きは少し違うが、俺は二つ名ナルガと戦ったばかり。それなら少しはまともな動きもできるだろう。

 

 んで、気になるのはこの白ネコだ。ゲームの中のオトモは残念な奴らばかりだったけれど、この世界のオトモはどんなものなのやら。ちょっと意地汚いが、下手だったら嬉しいなぁと考えてしまうのも仕方無いことだと思うんだ。

 そんなことも実際クエストへ行ってみれば分かる。不安は大きいけれど、俺もご主人のため今は精一杯頑張るだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 飯を食べた後、直ぐに渓流へ向けて出発。

 ご主人がナルガと戦うのは初めてらしいけれど、渓流へ来るのは2回目。それなら少しは気持ちも楽かな?

 一方、白ネコだけどクエストへ行く途中も俺と会話をすることはなかった。俺も俺でどんな会話をすれば良いのかわからないから、話しかけることもしない。これからも長い付き合いとなるかもしれないのだから、仲良くなっておきたいところだけど……やっぱり、ほら難しいんです。

 嫌っているわけじゃない。でも、意識はしてしまう。う~ん、いつか慣れる日が来ると良いのだけど……ギスギスした雰囲気は勘弁願いたいです。まぁ、それも俺の頑張り次第か。

 

「よっし、到着! それじゃ、サクッと倒してこよっか!」

「うニャ!」

「にゃー」

 

 支給品ボックスからアイテムを受け取り、ご主人がいつもの声を出してから出発。

 ご主人の防御力もかなり上がっているし、多分ナルガは大丈夫だと思う。とは言え、このご主人も良く分からないからなぁ。ホロロ戦みたく変に苦戦してしまうこともあるかもしれない。その時は俺が頑張らないと。

 

「ナルガクルガはエリア6にいるニャ」

「うん、了解。ありがとう」

 

 それにしても、まさか二日連続で渓流へ来るとはなぁ。人生なかなかどうして分からないものです。

 

 

 ひとりと二匹でエリア6へ向かうと、直ぐにその姿を確認することができた。昨日と違ってその色は黒く、また身体もそれほど大きくは見えない。

 うむ、普通のナルガクルガだ。これでまた二つ名とかだったら迷わずリタイアです。いや、まぁ、流石にそれはないと思うけど。

 

「あっ、思ってたより可愛い見た目なんだね」

 

 あ~……う、うん、そうだね。可愛らしい方では……あるのかなぁ。元ネタには猫も含まれているだろうし、可愛いと言うのも分からなくはない。とはいえ、MHP2Gで俺はコイツに何度もボコボコにされた記憶があってその印象が強い。ただ、最初は苦戦するけれど、戦いを重ねていくうちに簡単に倒せるようになるナルガは、本当に良いモンスターだと思う。こう言うモンスターがもっと増えれば良いけど……どっかのブラキとかは勘弁願いたい。

 さてさて、そんなことよりも今は狩りに集中しないと。普通に戦えば勝てる相手ではあるけれど、油断できるような相手でもないのだから。

 

 俺たちに背を向けているナルガへブーメランを一発。

 それで、俺たちへ気づき、振り向いてからナルガが咆哮。そして、ソレをフレーム回避。何故か二つ名は上手くできないけど、コイツなら咆哮のフレーム回避だってできます。

 

 フレーム回避も無事決まり、ブーメランを当てつつ白ネコを確認。ちょっとだけ自慢するような感じで。

 そしてその白ネコだけど、咆哮で怯むことなく、普通にブーメランを投げてました。しかも、頭へ的確に。

 

 ステップやガードをしているようにも見えなかったし……な、なるほど防音の術持ちか。う、うむ、なかなかやるじゃないですか。

 良いなぁ、防音の術……

 

 あの二つ名ナルガと違い、通常種は尻尾攻撃から真空波を出さない。だから二つ名のときと違い、尻尾振りの当たらない位置で立ち回るように。

 そして、飛びかかり攻撃を躱したところで、ナルガが回転攻撃をした。流石に回転攻撃を避けられるほど遠くの位置にはいないため、ソレをフレーム回避。

 ふふん、昨日アレだけ戦ったおかげで攻撃なんて喰らう気がしない。んで、白ネコさんは……ああ、普通に攻撃してるわ。俺と同じように回転攻撃フレーム回避成功してたわ。

 

 ……いや、このネコ、上手くね?

 

 

 

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