ネコの手も狩りたい【完結】   作:puc119

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MH4G時代の弓ちゃんと主人公のお話となります




第閑話~いつかの本音~

 

 

「えと、今回の相手はゴア・マガラでしたっけ?」

 

 クエストの準備のため、いつも通り肉と魚の煮込み料理を注文し、それを食べているところで弓ちゃんが聞いてきた。KO術が発動するからいつもこの料理だけど、良い加減飽きてきたなぁ。違う料理で攻撃力が上がりつつKO術の発動する料理があれば良かったのにね。

 いや、流石にそれはわがままか。

 

「うん、ゴアと言えばゴアだけどなりかけてる方だったはず」

 

 通称は渾沌に呻くゴア・マガラ。ゴア・マガラの特異個体。一応、シャガルになるための脱皮に失敗した個体とかそんな感じだったと思う。詳しくは俺も分からないけど、シャガルの出す成長阻害物質のせいで脱皮しきれなかったとかなんとか。

 モンハンには色々なモンスターがいるけれど、その中でも渾沌に呻くゴア・マガラは設定がかなり重いモンスターだと思っている。無茶な成長をしてしまったためか、寿命も短いと聞いている。

 

「なるほど、白黒の方でしたか」

 

 そう、そっちの方。またアイツが現れたんだってさ。

 寿命も短いから放っておいても良い気がするけれど、ギルド的に渾沌に呻くゴア・マガラは“存在してはならないもの”らしく討伐をお願いされた。

 

 そして、今回はソイツを俺と弓ちゃんの二人で討伐です。

 本当は相棒や彼女も加えた4人で戦いたいところだけど、残念ながら彼女たちは防衛作戦の方へ行ってます。なんだってこのドンドルマはモンスターにしょっちゅう襲われるのやら……

 この大老殿のギルド……まぁ、G級のギルドに所属しているハンターの数は多くない。けれどもそんなこととは関係なしにクエストが来るものだから、最近は4人でクエストへ行けないことが多くなってきている。本当に酷い時は4人全員が別々のクエストへ行く時もあるし……

 

 そんなわけで今回は弓ちゃんと二人です。

 気球を使わせてもらえるらしいし、ガーグァの引く馬車で行くよりは時間はかからないけれど、天空山はやはり遠い。開発中の飛行船が待ち遠しいですね。

 

「了解です。それじゃあサクッと倒してきましょうか」

 

 うん、そうだね。一度戦ったことのある相手だし、問題はない。それにアイツは隙も多く良心的なモンスター。3スタンを目標に頑張るとしましょうか。

 

「あっ、でも前回のテオ・テスカトル戦の時みたいなことはやめてくださいよ?」

 

 あ~……はい。気をつけます。

 いや、だってあの時はあと少しでスタンを取れそうだったんだもん。結局、間に合わずスーパーノヴァで蒸発したけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この大老殿へ来て、それなりの時間が経った。ちゃんとした装備を用意できていなかった序盤はかなり苦戦もした。けれども、それなりに順調に進めていると思うんだ。相棒のHRは300を超えているし、あの彼女や弓ちゃんのHRも200を超えている。俺はまだ200に届いてないけど……

 ま、まぁ、それは良いとして、現在は全員の装備も整っているしあのゴグマだって倒せるくらいだろう。古龍種を倒し、極限化個体だって何頭も倒してきた。ギルドからもかなり信頼されていると思う。

 

 そして、そんな俺たちのパーティーはそれなりに有名らしく、最近は街の中を歩いていると声をかけられることも多い。……主に女性陣が。

 

 い、いや、俺だってちびっことかおっさん達には人気があったりします! ただ、できることなら、女性の方たちからも声かけられたいと思ってみたりしないこともないんじゃないかなぁって……

 

「浮気ですね。帰ったら笛さんに報告します」

「いや、思うくらい許してよ」

 

 油断も隙もあったものじゃない。

 そして、男なら誰だって女の子にモテたいと思うはずだ。

 

「弓ちゃんだってカッコイイ男の人から声をかけられたら嬉しいでしょ?」

 

 あの相棒さんほどではないけど、弓ちゃんだってよく声をかけられているし、何か思うところくらいはあるだろう。

 

「いや、別にそうでもないですが……」

 

 あら、そうなのか。

 じゃあ、そこは人それぞれってことにしておこう。ホント、便利な言葉だよね。

 

 ただ、俺だって別に人気者となりたくてハンターをしているわけじゃない。モンスターと戦うのが面白いから続けているだけだ。そう考えると今の状況にはかなり満足しているし、周りからあまり注目はされたくない。自分のペースでハンターをやっていたいです。

 

 いや、まぁ、今の俺が言っても言い訳にしか聞こえないわけですが……

 

「それにしても……最初、先輩はあの人とくっつくのかと思っていました」

 

 ああ、うん。それはあの加工屋のおっちゃんにも言われた。

 因みに、先輩ってのは俺のことで、あの人ってのは相棒さんのことです。しっかし、弓ちゃんは相変わらずズバズバと言ってくる子なことで。

 

 ん~……どうなんだろうね? もしかしたらそんな未来もあったかもしれない。だって、この世界で一番長い付き合いなのはあの相棒なのだから。それに、相棒から嫌われているわけでもないだろうし。

 とは言え、やっぱり越えられない壁ってものがあるわけでして……

 

「別に笛さんと先輩がくっつくことが変だとは思いませんが」

 

 この弓ちゃんは俺と彼女がこの世界の人間ではないと言うことを知らない。正確に言うと、あの相棒にも教えてないけれど……目の前で消えたりしたんだ。流石に色々と察しているはず。

 いつかそのことも伝えないといけないよなぁ。

 

 この世界の人間ではない俺と彼女。

 今はこうしてまたこの世界へ戻って来てしまったけれど、戻って来られるとは思っていなかったし、そうなると俺とあの彼女が付き合うようになったのも、それほどおかしいことではないのかなって思う。ただ、そんなことは全く予想していなかったわけでして、あの時は驚いたなぁ。

 

 そんな雑談をしながらゆっくりと天空山を目指す。なんとも緊張感の抜けている気がするけれど、気張ったところでプレイングがよくなるわけでもない。心に少しの余裕を持っているくらいの方が全力を出せたりする。

 俺はそう思います。

 

 

 

 

 

「っしゃ! 行くか!」

「はい!」

 

 天空山へ着き、この臆病者の身体が少しでも動いてくれるよう、大きな声を出す。それにこれはもう習慣になってしまっているし、やらないとなんだか変な感じになっちゃうんです。

 そして、現在の装備だけど弓ちゃんはラギアX一式に武器はシャガルの弓であるTHEイノセンス。一方俺は……まぁ、複合装備です。この世界じゃ複合装備のハンターなんてほとんどいない。だからちょっとずるい気もしてしまうけれど、やっぱり自分の欲しいスキルはある。

 そんなわけで、銀レウスの防具を軸に組み、発動スキルは見切り、挑戦者、弱特、業物、回避性能、おまけに火属性攻撃強化と言った感じ。多分、もう少し火力を盛ることができると思うけれど、それはゴグマを倒してからで良いのかなって思っている。今はこのくらいで十分。あと、武器はセルレハンマーの生極叛逆槌カダルレギオンです。

 

 さてさて、それじゃあひと狩り行くとしようか。

 

 

 

 

 

「麻痺瓶入れます!」

「了解」

 

 地雷が本体とまで言われるようになってしまった白色のトカゲと違い、渾沌に呻くゴア・マガラはかなり良心的なモンスターだ。

 一発一発の攻撃はかなり派手で火力も高い。けれども、理不尽な当たり判定ではないし、回避性能があればかなり快適な狩りを行える。

 

「あと一発で麻痺りますよ!」

 

 ナイスです。

 そろそろ2回目のスタンも取りそうだから頭は諦め、尻尾を狙うことに。近接武器は俺だけだからスタンプも連打できる。自分の自由に戦えるのって気持ちが良いよね。どうしてもヘイトは弓ちゃんに取られてしまうけれど、まぁ、このくらいなら大丈夫。

 

 そして、弓ちゃんの攻撃が当たったところでゴアが麻痺。

 頭へ行こうかちょっと迷ったけれど、コイツなら頭くらい何時でも狙えるし良いかと思い、変わらず尻尾を狙うことに。

 

 麻痺が解けたところでハンマーを右腰へ担いで溜めながら近づき、ゴアの頭へカチ上げ。そこで本日2回目のスタンを奪った。

 

「ナイスです!」

 

 ありがとう。

 うむ、やっぱりハンマーは面白い。ただ、できればもう少し強化してくれたら嬉しいと思うのですが……次回作はどうなるのかねぇ。

 とは言え、弱体化されたところで担ぐのはどうせハンマーなんだ。そりゃあ強化されれば嬉しいけれど、俺がハンマーを使うのは強いからって言う理由じゃない。この武器が一番面白いと思っているから使っているんだ。

 

 そして、その面白さが色々な人へ伝われば良いと思っているんだが……難しいものですなぁ。

 

 

 

 

 

 戦い始めて10分くらいと言ったところ。

 3回目のスタンを取って直ぐ、渾沌に呻くゴア・マガラは動かなくなった。なんとか目標の3スタンを取ることはできたけれど、ギリギリだ。まだまだ練習が足りませんね。

 

「お疲れ様、弓ちゃん」

「はい、お疲れ様です」

 

 とりあえずこれでギルドからお願いされているクエストはもうないはず。つまり、次のクエストは久しぶりに4人で行くことができるのかな? そうだと嬉しいが。

 ただ他のメンバーが上手いせいで、4人だとあっさり過ぎるくらい直ぐにクエストが終わっちゃうんだよね……それは悪いことじゃないけれど、何と言うかやはり寂しい。あの相棒さんなんか、最初に出会ったときと比べると恐ろしいくらい成長しちゃったし。大老殿の中でも一番上手いハンターなんじゃないだろうか。

 因みに、その相棒さんが担いでいる虫棒は蛇帝笏ペダンマデュラです。超強いです。ただ、あの性格は相変わらずなもので、やはり自分に自信がないらしい。ホント、もう少し頑張ってほしいものなんだが。

 

 さて、それじゃ帰るとするか。

 

 

 

 

 ガーグァの引く馬車だと二日以上かかってしまう道のりが気球なら一日で済む。家でゆっくりと休む時間も確保できるようになったし、有り難いものですね。

 

「帰ったらどうします?」

「そうだなぁ。とりあえずあの相棒たちと合流しようか」

 

 今後の打ち合わせだってやっておきたいし、何か行きたいクエストがあるかもしれない。

 本当は俺も生産ハンマー最強である、ミラガルズイーラを作りたいけれど……それにはミラボレアスを倒さないといけない。しかし、残念ながらミラのクエストなんてあるわけがなく、当分はセルレハンマーを担ぐことにします。

 

「はい、分かりました」

 

 それじゃ、俺は一眠りするとしようかな。それほど疲れているわけでもないけれど、気球に揺られながら寝ると言うのも悪くないのだから。

 

 そうして目を瞑り少しばかりすると、丁度良い気球の揺れ具合と心地よい風のおかげか意識は徐々に沈み始めていった。うん、今なら気持ちよく寝られそうだ。

 

「先輩、先輩」

 

 そうだというのに、俺の身体を揺すってから弓ちゃんがそんな言葉をかけてきた。

 んもう、なんなのさ。

 

「どうしたの?」

 

 目を開けないまま、弓ちゃんへ言葉を落とす。

 

「いえ、特に何の用事もないです」

 

 ……いや、じゃあ何故声をかけたんだよ。せっかく気持ちよく寝られると思っていたのに。

 

 

 その後も俺が寝そうになる度に弓ちゃんから声をかけられ続けた。

 うん、まぁ、ようはアレだ。暇だったから俺で遊んでいるだけなんだろう。だってこの子笑ってるもん。それくらいで怒る性格でもないし、多分この弓ちゃんもそれを分かってやっているはず。君が楽しそうで俺も嬉しいよ……

 

 なんだか最近は本当に俺の立場が弱くなっている気がします。

 

「だってこのパーティーは先輩以外皆女性ですし、それも仕方無いかと」

 

 そうなんだよねぇ。3人できゃっきゃと楽しそうにしているときとかあって割と気不味い思いをしていたりします。ハーレムと言えば聞こえは良いけれど、そう言う性格ではないし、俺にはあの彼女がいますし……

 

「でも、このメンバーを選んだのって先輩じゃないんですか?」

 

 いや、そんなことはないぞ。

 最初は相棒が声をかけてきて、次はあの彼女だけど……ああ、うん、やっぱり彼女からパーティーへ入れてくれって言ってきた。そして、弓ちゃんもそうだったと聞いている。

 つまり、俺から誘ったことはなかったりします。

 

「あれ? そうだったのですか。てっきり私は先輩があの人や笛さんを誘い込んだのだと」

 

 どうしてそうなった。だいたい、俺にそんな勇気はありません。基本奥手だし、そもそも最初は全部ソロでクリアしてやろうと思っていた。

 

「そうだったのですか……でも、周りの人達からみると先輩はそう言う人だと見られているらしいですよ? 先輩が女性の方々から人気がないのもそのせいかと」

 

 えっ、ちょ、ちょっと、なにそれ。初めて聞いたぞ。

 てか、どうしてそんな噂になっているのさ。

 

「どうせ、先輩に嫉妬したどっかの誰かが広めたのでしょう。悪い噂なんてそんなものですよ」

 

 うわぁ……そうだったのか。誰かに恨まれるようなことをした覚えはないけれど、こう言う問題はまた別だからなぁ。

 ん~……じゃあ、もしかしてアレか? もしその噂がなくなれば、俺も女性陣たちみたく人気が出たりとか……あっ、それはなんだか嬉しいかも。人気者になって縛られるのは勘弁してもらいたいが、やっぱりキャーキャー言われたいって思う自分がいたりする。

 

「でも、そんなこと別に良いじゃないですか」

 

 えー、そうでもないよ? だって嫌われるのは嫌ですし、憧れられたりすると嬉しかったりするのだから。何より、女性の方々から声をかけてもらうのは夢だったりする。

 

 

「だって、先輩には笛さんがいますし」

 

 

 ……はい。そうですね。

 変なことを考えてすみませんでした。心より反省します。

 

 

「それに……あの人や闘技大会の受付嬢さん。そして――私もいます。それ以上は流石に贅沢では?」

 

 

 クスクスと人のことをバカにするように。しかし、心から楽しそうに弓使いの少女が言葉を落とした。

 

「……そうだね。それに俺だってちゃんと感謝しているよ」

 

 色々と言いたいこともあったけれど、今ばかりは素直な気持ちを言葉にしてみた。

 でもやっぱりそれは恥ずかしかったから、小さな小さな言葉で。

 

「うん? 今、何か言いましたか?」

「いんや、なんでもないよ」

 

 全く……このパーティーのメンバーは俺なんかにゃもったいない奴らばかりだ。

 いつもありがとう。頼りにしています。もしかしたらまた消えてしまうかもしれないけれど、それまでは一緒にいてくれると嬉しいかな。

 

 






主人公と弓ちゃんの関係ですが、お互いに本音を言い合える仲といったイメージを私は持っています

と、言うことで閑話でした
本編の方が落ち着いてきたたので、此処へ入れることに
これからも、閑話はちょこちょこ入ってきそうですね

では、次話でお会いしましょう

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