ネコの手も狩りたい【完結】   作:puc119

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第26話~終わりにハイタッチ~

 

 

「うニャ? 闘技大会?」

「うん、ネコさんたちの実力なら良い結果を出せそうだし、どう?」

 

 先日、緊急クエストであるイャンガルルガの討伐も完了し、さて今日はどのクエストへ行くのかな? なんて思っていたら、ご主人から予想外の提案をされた。

 

 う~ん、闘技大会ねぇ。出場することは問題ないし、ちょっと出てみたいと思うところもあるけれど、闘技大会へ出場しても旨味が少ない。クロオビチケットだったり肉は手に入るけれど、そんなに必要なものでもないしなぁ。

 そして、ネコさん「たち」ってことは、俺とあの白ネコで出場しろってことなのだと思う。そうなると正直、どうにも気が進まない。だって、闘技大会ってことは実力がはっきりと見えてしまうわけでして、もしそれでこの白ネコが俺よりも上手いと分かってしまったらかなり凹む。世の中知らない方が良いことだってあるのだ。

 

「白ネコさんも出てみない?」

「あ~……う~ん、じゃあ出るにゃ」

 

 マジか。

 断る理由もないから白ネコがそう言うのなら俺も出るけど……

 

「よし、それじゃあ手続きしてこよっか」

 

 む、むぅ、話がどんどん進んでしまう。

 ネコ専用の闘技大会ってどんな内容だったかなぁ。ペアならそれほど苦労せず、Sランクを取ることができた気がするけれど、この世界ではどんなものやら。

 

 そんなわけで、今回は俺と白ネコが挑戦する闘技大会のお話らしいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 闘技大会は、闘技場で行われる。そして、その闘技場だけど、どうやらバルバレにある闘技場らしい。確かにゲームでもMHXとMH4の闘技場は同じだったもんね。あの闘技場は慣れているし良いのだけど、移動しないといけないからちょっと面倒だ。

 んで、今回俺と白ネコが出場する闘技大会は「ドスマッカォ討伐」と、ドスマッカォ一頭の討伐です。ドスジャギィやドスランポスなんかと同じ鳥竜種だけど、動きが独特で正直得意ではない相手。できることならSランクを狙いたいところだけど、どうなることやら……

 

「それじゃあ、ネコさんたち頑張ってね! 私は応援席で見ているから」

「ご主人の恥にならないよう頑張るニャ!」

 

 現在の場所は闘技場の控え室。今となっては随分昔のことになってしまうけれど、俺の物語の始まりは此処からだったなぁ。

 それからもう数年もの時間が経ってしまった。俺も少しは成長することができたのだろうか。

 

 ご主人とも別れ、まだ闘技大会が始まるまで時間はあるけれど、少しずつ少しずつ緊張感は高まってきた。大きく伸びをしてみたり、壁にある歴代の記録なんかを眺め、どうにか緊張感を紛らわす。

 懐かしい感じやら緊張やらで、なんとも言えない気分だけど、悪い感じはしない。

 

 そして、壁にある歴代の記録を眺めていた時、とある記録に目が止まった。この記録は……

 

 

「見たらわかると思うけどー、その記録はねー。あのハンターさんの記録なんだー」

 

 

 おお……びっくりした。き、急に声をかけないでください。

 慌てて後ろから声をかけてきた人物を確認。

 

 ……ああ、そっか。此処はバルバレの闘技場なんだもんな。そりゃあ彼女だっているはずだ。

 

「ソロでSランクを出した唯一の記録。流石にペアの記録には勝てなかったけれど、それでも飛び抜けていたから、こうやって飾ってあるんだよー」

 

 なんて言った彼女――バルバレの闘技大会受付嬢は何処か誇らしげにも見えた。

 イャンクックの討伐。タイムは4分10秒。ソロSランク。俺にひとつ前へ進ませる勇気を与えてくれた記録。あの物語の始まり。

 

「……そのハンターさんは今、何処にいるのにゃ?」

 

 そして、闘技場の受付嬢に対し、あの白ネコがそんな質問をした。

 えと……君の直ぐ隣にいますよ。ちょっと姿が変わっちゃってるけど、君の隣にちゃんといますよ? まぁ、そんなこと言えるわけがない。

 

「……私たちもねー。わかんないんだー。待っている人は沢山いるのにねー。ホント……自分勝手」

 

 こ、心が痛む。

 これから闘技大会が始まると言うのに、俺のメンタルは既にボロボロだ。いや、まぁ、全部俺のせいなんだけどさ。でもさ、今はこんな身体なわけですし、仕方無いと思うんだ。

 それもただの言い訳なのかねぇ……

 

「それじゃあ、君たちは頑張ってねー。ネコの強さを見せつけてやれー」

 

 おう、俺たちの名前が刻まれるよう、できる限り頑張ってみるよ。

 

 歴代の記録の中に今回、俺たちが挑戦する内容の記録は見当たらなかった。それだけ闘技大会に参加するネコの数が少ないってことだろう。他のネコの実力も知っておきたかったんだが、まぁ、仕方無い。

 それに、俺たちのあとにもうひと組、挑戦するネコがいるみたいだし、他のネコの実力は其方で確認するとしよう。

 

 さて、さてさて。そろそろ始まる時間だ。

 この白ネコの実力なら問題ない気もするが、一応作戦くらいは立てておいた方が良いのかな。

 

「君はどんなスタイルを選んだのニャ?」

「えと……コレクトにしたにゃ」

 

 あら、俺と同じなのね。まぁ、この白ネコもブメネコなのだし、そりゃあそうか。

 因みに、コレクトはブメ3種持ちです。多分、このスタイルが一番安定して良いタイムを出せると思う。

 んで、どうやって戦うかだけど……この闘技大会のことをよく覚えてないんだよなぁ。ゲームはあの彼女と一緒にやったわけですが、作戦も何も立てずにあっさりSランクを取れたと思う。ソロSには挑戦していなかったし、パターンの構築なんて全く出来ていない。こんな調子で大丈夫かなぁ。あまり酷い内容だとご主人に申し訳ない。

 

 そして、闘技大会の始まる時間が来た。

 

「目標は?」

 

 あの白ネコにそんな質問。

 

「もちろんSランク」

 

 了解。随分と高い目標に感じてしまうけれど、この白ネコの言葉なら信用できる。

 目指す目標は同じで、心はひとつ。ペアでの闘技大会はあまり慣れていない。だから、今回は頼りにしているよ。

 

 久しぶりの闘技大会。全力でいかせてもらおうか。

 

「っしゃ! 行くニャ!」

「うにゃ」

 

 そんな大きな声を出してから、闘技場の中へ。

 そして、準備エリアを一気に駆け抜け、大きな歓声の聞こえるドスマッカォの待つエリアへ二人で走り込んだ。

 

 

 エリアの中へ入ると、歓声はさらに大きく聞こえ、飲み込まれそうになる。ただ、やはりこれは悪い気分じゃない。

 

「最初ボクが乗るニャ!」

「わかったにゃ」

 

 別に乗らなくても良い気もするけれど、最初はとにかくサポゲを貯めたい。必要なジャンプ攻撃は確か2回。それで貫通ブーメランの術が必要なサポゲを貯めることができれば、後はもう倒すだけ。

 

 俺たちに気づき、近づいて来たドスマッカォへ段差を利用してとりあえずジャンプ攻撃を1回。

 攻撃が当たってから直ぐに納刀し、もう一度段差の上へ。そして、未だ発見時の威嚇をしているドスマッカォへもう一度ジャンプ攻撃。その攻撃が当たったところで乗り。

 

「ぐぅれいと」

 

 そんな白ネコの声が聞こえた。まず失敗はしないと思うけれど、サポート頼みますよ。

 ドスマッカォの背中に乗り、その背中をサクサクとナイフで斬りつける。斬りつけるスピードがハンターの時よりも早くできないけれど、乗りゲージの貯まる速度も遅かったりするのだろうか。

 

 とは言え、乗りは何の問題もなく成功。その瞬間、五月蝿かった歓声が更に大きくなった。

 

「尻尾をやるから、頭頼んだニャ!」

「了解にゃ」

 

 貫通ブーメランの術が使えるようになるまでは、どうしても近接攻撃が中心となってしまう。そして、SAの少ないネコ2匹で同じ部位を狙うのはちょっと難しい。だから、最初は役割分担が大切なんです。

 

 乗りダウンからの威嚇が終わったところで、サポゲも貯まってくれた。直ぐに、貫通ブーメランの術を発動。そして、あの白ネコも俺とほぼ同じタイミングで同じ術を発動させるのが見えた。

 ……やっぱりコイツ、上手いよなぁ。新米でないのは確かだろうし、何と言うか狩りに慣れている感じがすごく伝わってくる。

 

 さてさて、集中集中。サポゲも貯まり準備は完了。もう乗るつもりもないし、此処から一気に畳み掛けるとしようか。

 

 

 

 

 その後、ドスマッカォが怒り状態となってから直ぐに、一回目のスタン。スタンが解けたあと、なおも怒り状態が続くドスマッカォに少し苦戦をしてしまったけれど、尻尾怯みによる大ダウンを白ネコが奪い、さらにドスマッカォは疲労状態に。そこでラッシュをかけ、2回目のスタン。

 

 そして、そのスタンが解けるくらいのところで、ドスマッカォが吹き飛び、動かなくなった。

 タイムを確認。時計には2分43秒と表示されていた。完璧と言うわけじゃないし、もっとタイムは縮められると思う。それでも5分切り。文句なしでSランク。

 

 頭が割れそうなほどの歓声が闘技場に響く中、白ネコに向かって手を挙げる。そんな俺の行動に白ネコが気づいてから手を挙げ、お互いの手の平をぶつけた。残念ながらこんな身体のせいで、良い音は響かなかったけれど、そんな白ネコとのハイタッチはなかなかに気分が良かった。

 

「お疲れ様ニャ」

「うん、お疲れ様にゃ」

 

 相変わらず何を考えているのか分かり難い奴だし、取っ付き難いところもある。それでも、今回のことで少しはコイツとの距離も縮まってくれたんじゃないかなって思う。

 

 お疲れ様でした。

 

 

 

 ただ、少しだけ遠い未来でこの闘技大会に出たことをちょっとだけ後悔してしまったりします。

 それはよくよく考えずとも分かること。普通のネコがそんなに上手いわけないのだから。詳しく教えてくれなかったから、どの時点で気づいたのか分からないけれど、どうやらこの闘技大会に出場したくらいから彼女は薄々気づき始めていたらしい。

 俺も俺でこの白ネコさん、な~んか怪しいなぁ。とは思っていたけれど、まさか彼女だとは思いませんでした。いや、だってネコになってるなんて想像できんよ。

 

 そして、あまり目立ちたくはないなんて言っておきながら、あんな結果を出してしまったものだから、ちょっとずつちょっとずつ今のようなゆっくりとした生活から離れていくことになります。すまんなご主人。

 

 でも、それはまだまだ先のお話。

 未来は誰にもわからない。だからこそ面白いのかなって思ってみたりします。

 

 

 






第2章スタート的なイメージです
全部で何章構成かは分かりませんが……

次話は皆で闘技大会の見学とかかな?

では、次話でお会いしましょう
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