ネコの手も狩りたい【完結】   作:puc119

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第38話~非日常の非日常~

 

 

 あの白ネコとふたりきりになり、最初は気不味いと思っていたけど……なんか思ってたのと違う。

 あの白ネコは自分からあまり喋らない性格。そうだと言うのに、何故か今日はやたらと話しかけてくる。しかも、すごく答えにくいことばかりを。いや、ホント何があった。

 話しかけてくれることは良いんだ。俺だって白ネコと仲良くなっておきたいわけですし。それは良いんだけど……今までと全然違うから正直戸惑いが大きい。君、こんな性格じゃなかったよね?

 

「わかった。じゃあ、一緒にがんばろ」

 

 しかも、ですね。その、何と言うか……ああ、いや。やっぱりなんでもないです……多分、この白ネコのギャップに驚いてとかそう言うことだと思う。そうであってくれ。もう既に罪悪感でいっぱいなんだ。

 

「うニャ。よろしくお願いするニャ」

 

 とりあえず今は目の前のクエストに集中しないといけない。失敗することはないと思うけど、気を引き締めておいて損はないはず。

 きっとご主人だって今頑張ってくれているはず。それに負けないよう俺も頑張るとしよう。

 

 それじゃ、サクッと倒してきましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからも、白ネコさんとの会話は続いた。そのどれもが答え難いようなものばかりで、俺は疲れました。どうしてクエスト前にこんな疲れにゃならんのだ。

 まぁ、多少は打ち解けてきたって感じがしないでもないし、これはこれで良いのかな? 相手が何を考えているのか相変わらず分からないけど。

 

 そして、ようやっと目的地である古代林へ到着。

 ゴアの初期位置はエリア6と、広く地形も平でかなり戦いやすいエリア。どっかの地底火山とか旧砂漠とか言うマップとは大違いだ。段差はまだ良いとしても坂になっているのは本当に遠慮してもらいたい。

 

 

「っしゃ! 行くニャ!」

 

 支給品ボックスから受け取る物もないし、古代林に着いてから直ぐに出発。

 そして、いつものように大きな声をひとつ。これをやらないと始まらないのだ。

 

「おー」

 

 いつもならご主人の後を俺と白ネコが並んでついて行くけれど、今回はそのご主人がいない。だから、今日はふたりで並んでふたりが先頭。

 相変わらず、君のことはよく分からないけど、今日も頼りにしています。

 

 

 そして、エリア6へ到着。

 真っ黒な身体に大きな翼。MH4看板モンスター。ゴア・マガラが其処にいた。相変わらず怖い見た目なことで。

 

「今回は寝ても無視して攻撃して大丈夫ニャ!」

「うん、わかった」

 

 そんな声をかけてから、ほぼふたり同時にブーメランをゴアに向かって投げつけた。クエストスタートです。

 

 

 

 

 その設定もあってか、同じ骨格のシャガルと比べ、ゴアの動きはかなり鈍い。風圧の怯みも前作と比べゆるくなったから、回避不可能のジャンプブレスはなくなったし、気をつけるのはほぼノーモーションから繰り出される突進くらい。他の攻撃は予備動作も分かりやすいし、理不尽な当たり判定もない。

 そして何より、ネコとの相性がかなり良いんです。

 

 まぁ、つまりですね。

 

「……これは0分針いけるかも」

 

 正直、今回はかなり余裕な相手です。

 0分針はちょっと厳しいかもしれないけれど、決して狙えないわけじゃない。スキルが揃っているネコはそれくらい強いんです。まぁ、装備以外はほぼ揃っているのだから、下位相当の村クエで苦労することの方がおかしいわけですが。

 

「……脚引きずった」

「うニャ。もう少しニャ」

 

 ネコの一番のデメリットはその火力の無さだと思っている。ブメネコのMPS自体はそれほど低くないけれど、計算値通りの火力なんてまず出せない。だって、相手動くし。

 とは言え、俺がご主人の装備でハンマーを担ぐよりは絶対に火力を出せていると思う。

 

 ただ、やっぱりハンマー使いたいよなぁ……

 

 足を引きずったゴアは隣のエリア5へ移動。あともう少しです。エリチェンされちゃったし、流石に0分針は無理かな。

 

「サポゲ貯まったから罠置けるけど、捕獲する?」

 

 エリア5へ向かっていると、白ネコがそんなことを聞いてきた。

 んと、捕獲だと確か触覚が報酬でくるんだっけかな。ただ、報酬枠が2枠になっちゃうこともあるんだよなぁ……

 そうなると、特に狙っている素材があるわけでもないから倒した方が良い気がする。俺の防具を作るためにも今は素材の質よりも量が欲しいわけですし。

 

「いや、今回は倒そうと思うニャ」

「わかった」

 

 てか、この白ネコはよく罠を置けるまでサポゲ貯められたよね。俺なんてサポゲが貯まっても直ぐ使っちゃうから、罠分まで貯めるなんてまずできないんです。こう言うところで性格が出る。ただ、この性格って奴がなかなか変わらないから困ったものなんですよ。

 

 さて、それじゃ、あと少しだけ頑張ってみるとしようか。

 

 

 

 

 どうやら、エリア6の時点でかなりダメージを与えていたらしく、エリア5へ入ってからは本当に少し攻撃するだけでゴアを倒すことができた。

 

「ふぅ……お疲れ様ニャ」

「お疲れ様」

 

 防具のためにも、有り難く素材の剥ぎ取り。きっと長い間お世話になるだろうし、この素材は大事に使わせてもらおう。正直、ホロロ防具って好きじゃなかったから新しい防具が楽しみだ。

 武器は……どうしよう。睡眠武器も睡眠武器で便利なんだよなぁ。

 

「それじゃ、帰るニャ」

 

 ご主人が帰ってくるまでまだ時間はあるはずだし、もしかしたら、もうひとつくらい何かのクエストへ行けるかもしれない。まぁ、帰りの飛行船で白ネコと相談しながら決めるとしよう。今回は俺が行きたいクエストへ行ったのだし、次は白ネコの番。

 そして、あのご主人も無事クエストをクリアできていれば良いけど。ご主人なら大丈夫だとは思っている。でも、やっぱり心配してしまうんです。どうかどうか、無事成功してくれることを俺は願っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うニャ? 天候が悪い?」

 

 クエストをクリアし、ベルナ村へ戻るため飛行船に乗り込むと、飛行船を操縦するネコから――天候が悪いためいつもと違うルートで帰ると言われた。

 

「そうなんだニャ。だから申し訳ないけど、いつもよりベルナ村へ帰るまで時間がかかると思うニャ」

 

 そう言って、相手は頭を下げた。いや、別に君が悪いわけじゃないんだから、そんな気にしなくても良いのに。

 天候が悪くなると言えばアマツを思い出すけど、今の俺じゃ流石にアマツは倒せません。

 

「どれくらいかかるの?」

「古代林をぐるっと回るからいつもの倍くらいかかると思うニャ」

 

 ああ、それくらいで済むんだ。それくらいなら何の問題もないです。馬車なんかと比べて、飛行船の乗り心地はなかなかのもの。それに別に焦ったって仕方が無いんだ。たまにはゆっくりのんびり行こうか。

 

「了解ニャ。それじゃ、安全運転でお願いするニャ」

 

 

 

 

「ご主人が帰ってくるまでまだ時間があるから、何かクエストへ行こうと思っているけど、君は何か行きたいクエストあるかニャ?」

 

 天候が悪いせいか、いつもよりも吹く風が強く感じる飛行船の上。

 ただ、こう言ういつもと違う時ってなんだかわくわくするよね。どうせそんなことないだろうけど、何か特別なことが起きるんじゃないかって期待しちゃうせいで。

 

 今は落ち着いてきたけれど、飛行船に乗って暫くは非日常的な光景が何処か嬉しくてずっとそわそわしていた。ひとりで何を興奮しているんだか……白ネコはどう思っているんだろうね?

 

「ん~……特にない、かな」

 

 あら、そうなのか。しかし、そうなると困ってしまう。俺もこれで新しい防具を作れるから、行きたいクエストなんてないし。

 はてさて、どうしたものかなぁ。

 

 ああ、ご主人のために今後使いそうな素材を集めておくのはアリかもしれない。そうなると……レウス素材あたりだろうか。

 ただ、ネコだから閃光玉はなし。それはちょっとキツい気がする。いや、この白ネコもいるし、倒せるとは思うけどさ。

 ふむ……それじゃあ、次はレウスでも倒しに行こうかな。今作のレウス防具はやたらと優秀だし、素材はいくらあっても良いはず。

 

 そして、そのことを白ネコに伝えようとした時だった。

 青色のレーザーのようなものが俺たちの乗っていた飛行船を貫いたのは。

 

 飛竜なんかに襲われても大丈夫なように、この飛行船はかなり丈夫に作られているはず。レウスのブレスなら数発程度喰らっても大丈夫と聞いているし。

 しかし、そんな飛行船を青色のレーザーは見事に貫いてくれた。

 

 そんなもの喰らってしまえば――

 

「……下へ参りまーす」

 

 まぁ、そうなるわな。

 てか、かなりヤバい状況なのに、随分余裕そうだね君……

 

「つ、墜落するニャ!」

 

 叫び声のような飛行船を操縦するネコの言葉が聞こえた。

 ああ、やっぱりダメですか。落ちますか。

 

 下を見ると大きな大きな穴が見える。現在の場所は普段、俺たちが訪れない古代林の奥深く。

 青色のビームに古代林深奥ねぇ……こりゃあまた面倒なことになったものですよ。

 

 落ちているのがわかるくらいの速度で進む飛行船。

 その先にはまるで俺たちを飲み込むんじゃないかって思えるような大穴。

 

「……竜ノ墓場だ」

 

 俺と同じように下を覗き込んでいた白ネコがぽそりと声を落とした。

 やっぱりそうでしたか。う~ん、非日常的なことに少しだけ憧れていたけれど、流石にこれはなぁ……

 

「うニャー……本当にごめんニャ……これは流石に無理ニャ……」

 

 操縦士のネコの落ち込みようが半端ない。まだ死ぬって決まったわけでもないのにね。

 ただ、俺たちが向かっているこの穴の先にアイツがいることは確かだろう。いつもと違ってギルドからの支援はないし、もし本体の方が出てきたら流石に勝てる気がしない。

 考えれば考えるほどちょいとマズい状況。だって今回のクエストの失敗は死に直接繋がっているのだから。

 

「これは……厳しいかな?」

「普通に考えたら無理だと思うニャ。ただ……逃げることなんてできないし、やるだけやってみるニャ」

 

 今の俺たちにはそれくらいしかできやしない。

 

 ラスボスだかなんだか知らないが、それでも、精一杯抗わせてもらおうか。諦めるのはもう少しだけ後にして、今はやれることを全力でやる。

 やり残していることが沢山あるんだ。こんなところで止まってやれるほど素直な性格はしていない。

 

 もしかしたら、これが最後のクエストになるかもしれない。

 でも、やっぱりそれは嫌なわけですよ。こんなところで終われない。だから、まぁ……

 

「がんばろ」

「……ああ、そうだな」

 

 ちょいと頑張ってみるとしよう。

 

 

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