MH4G時代のお話となります
新キャラが出ますが、このお話以外で出番はあるのやら……
「皆ってさ、兄弟とかいるの?」
久しぶりに4人全員揃ってのクエストを終えての帰り道、相棒さんがそんなことを聞いてきた。
「俺は兄がいるよ」
そんな相棒さんの質問に、素直に答えてしまいちょっと後悔。だって、俺と彼女はこの世界の人間でないわけで、家族の話などをしてしまうと、何処からボロが出るのか分かったものじゃない。
いや、まぁ、相棒も弓ちゃんも俺たちが普通と違うことは分かっていると思うけど。
「あっ、そうだったんだ。んじゃあ、ふたり兄弟ってこと?」
「うん」
兄とは歳が離れすぎているせいで、お互い距離をあけてしまっている気もするけれど、仲は悪くないと思う。
「……私は妹がいる」
そうぽつり答えたのは笛の彼女だった。
彼女の妹さんと何度か会ったことがあるけれど、うん、姉妹なんだなぁって感じ。姉妹揃ってとにかくマイペースなんだ。ただ、この彼女に比べるとよく喋る方かなぁと思う。あと、見ていて二人の仲は良さそうだった。
「あっ、私は兄弟いないです」
そんな弓ちゃんの声。うん、なんとなくそんな気はしていた。ただ、弓ちゃんはしっかり者だし弟とかいるのかなぁとは思っていたりも。
はてさて、それにしてもそんな話をしだした相棒さんはどうしたんだろうね。
「んじゃあ、君はどうなの? あと、どうしてそんな話を?」
「えと、私も妹がいるよ。それで、どうしてこの話をしたかってことだけど……んと、久しぶりに全員揃ったからちょっと聞きたくなったんだ」
そう言った相棒の顔はなんとも複雑そうだった。何を考えているのやら……
とは言え、相棒が言っていたように、4人全員が揃って狩りへ行くのは久しぶりのこと。前回全員が揃ったのはダラ・アマデュラ亜種のクエストだったかな。大老殿ももっとハンターの数を増やしてくれれば良いのだけど……難しいんだろうなぁ。一応、大老殿って上位のさらに上、G級クエストへ挑むハンターが集まる場所ですし。
今回のクエストは銀レウスの討伐。場所は塔の頂。このメンバーならそれほど苦戦はしないだろうな。なんて最初は思っていたけど、結果は文句なしで0分針。想像以上にこのパーティは強いです。
「当分またこの4人が揃うことってなさそうですもんね」
だよなぁ。
因みにだけど、別れてクエストへ行く時、俺と笛の彼女が一緒に組むことは少なかったりします。今のところ俺と弓ちゃん、相棒と彼女で組むパターンが一番多いかな。
別に俺と彼女でパーティーを組んでも良いのだけど、ふたりの使っている武器が武器だけにどうしても火力が足りない。いくらスタンを取ったところで畳み掛けられないんです。次回作ではハンマーの火力が上がっていることをひたすらに願っている。まぁ、そもそも元の世界へ帰れるのかも分からないんだけどさ。
「……今日は楽しかった」
「うん……そうだね」
何処となく湿っぽい雰囲気。どうしてこうなった。別にパーティー自体がバラバラになるわけではないのだし、そんな心配するようなことじゃないと思うんだけど……
ただ、俺だって変わっちゃったなぁ。なんて考えてしまったりもしている。この大老殿へ来た時から、俺たちのパーティーはそれなりに有名ではあったけれど、それでもいつも4人揃ってクエストへ行けていた。
でも、いつからだろうか。パーティーが別れてクエストへ行くことが多くなっていった。それまでも装備に必要な素材の関係でパーティーが別れることもあった。けれども、そうではなくギルドからお願いされ別れてクエストへ行くことに。最初は特例だとか、別れるのは今だけだろうとか、そんな気持ち。
それが今じゃ、4人揃ってクエストへ行くのなんて、大連続クエストやウカム、アカムなどのクエストくらいだ。今回みたいに、それほど強くないモンスター単体クエストで4人が揃うことなんてほとんどない。
別にそのことへ文句があるわけではないし、俺たちにそれだけ期待してもらい、俺たちがその期待に応えないといけないことも分かっている。
ただ、何と言うか……もう昔みたいにはなれないんだなって思うと、どうしても込み上げてくる何かがあったりしてしまう。
こんなことになるなんて全く思ってなかったんだけどなぁ。
「よしっ、とりあえず帰ったら打ち上げしよう! 打ち上げ!」
「はい、そうですね」
相棒さんと弓ちゃんの元気な声。いつも通りの感じに戻ってくれたかな。
う~ん、それにしてもこれから先、俺たちはどうなることなのやら。未来なんて誰にも分からないけれど、どうしても考えずにはいられない。
ただ、願わくは皆で笑っていられるような未来になりますように。
俺はそれだけを願っています。
なんてことを考え出してしまったせいで、相棒さんが皆の家族のことを聞いたことなんてすっかり忘れてしまっていた。
そして、ちょっとだけ遠い未来で、どうして相棒があんなことを聞いたのかが分かる。
前置きが長くなってしまったけれど、今回は相棒の妹さんとのお話です。
―――――――――
「あっ、やっと起きてくれた」
目が覚めると何故か相棒さんがいた。意味が分からない。
えと、一応此処って俺の家なんですけど……
「あー……おはよう」
「うん、おはよう!」
今日はクエストへ行く予定もなく久しぶりに訪れたフリーの日。先日まで鬼のようにクエストへ行っていたこともあり、溜まった疲れをとろうと思っていたんだけど……さて、この相棒さんは何の用事があって俺の家にいるんでしょうか。
一応、3日ほどの休暇だからほとんどのクエストを手伝えると思う。ただ、できれば遺跡平原だとか近い場所だと嬉しいです。ホント、疲れが溜まっているんです。
「んで、どうしたの?」
「あー……えと、そのですね。ちょっと君に頼みと言うか、お願いと言うかがあったりして……」
どうにも歯切が悪い相棒さん。よっぽどの事じゃない限りこの相棒の頼みだったら普通に聞きますよ?
「うん、それで?」
「んと……ちょっと説明しにくいから一緒に来てもらっていい?」
ん~……なんだと言うのだろうか。深刻な問題ってわけではなさそうだけど、どうして良いのかが分からないって感じなのかな。
まぁ、相棒の頼みならしゃーない。俺に何ができるか分からないけど、できる限り頑張ってみるとしよう。
何がなんだか良く分からないまま、相棒さんの後に続いて向かったのは大老殿だった。ん~……やっぱり一緒にクエストへ行って欲しいとかそう言うことなのかな。
なんて考えながら、大老殿へ入って直ぐのことだった。
「貴方がお姉ちゃんのパーティーにいるハンターね!」
防具はガルルガX、武器はジンオウガの大剣であるガオウ・ガルバルクを担いだ少女が近づいて来てそんなことを言われた。
この大剣少女さんは、どちら様ですか? それにお姉ちゃんってのは……俺には今の状況が全然分からないんですが。
「え、えと、初めて会ったと思うから言うと――私の妹です」
なんとも申し訳なさそうに相棒さんがそう言った。そんな相棒さんの言葉を受け誇らしげに胸を張る大剣少女改め妹さん。
そう言えば、いつかのクエストの帰り道で相棒も妹がいるとかなんとか言っていたような気がする。そんなことすっかり忘れていたが。
なるほど、妹さんでしたか。そう言われて改めて見てみると、確かに相棒と似ている気がする。多分、歳は弓ちゃんと同じくらいだろう。
「うん、初めましてだね。君のお姉さんとパーティーを組んでいる者だよ。よろしく」
てか、姉妹揃ってG級ハンターってのはすごいな。まぁ、この相棒の妹さんなのだし、きっとこの子も滅茶苦茶上手いんだろうなぁ。
とりあえず、そんな妹さんに挨拶をしつつ握手――をしようとし、右手を出したが何故かその手はパシリと叩かれた。
そして――
「貴方に勝負を挑むっ!」
なんて言われてしまった。
いや、どういうことだよ……何がなんだか分からないから、相棒の方へ顔を向けると、本当に申し訳なさそうな顔をしながら、俺にだけ聞こえるような小さな小さな声で『ごめんね』なんて言葉を落とした。
「あー……色々と聞きたいことがあるんだけど、どうしてまた勝負なんて?」
だいたい、勝負ってなんだよ。何を勝負するんだよ。どっちが先に卵の運搬ができるかとかそう言う勝負だろうか。
「私が貴方より優秀なハンターだって証明したいの!」
……うん? 言ってる意味は分かるけど、意味が分からんぞ。だって、その証明をしてどうなると言うのだろうか。
「安心してくれ。君の方が優秀なハンターだよ」
「そういうことじゃない!」
そう言うことじゃないのか……
むぅ、なんだかこの子とは相性が悪いな。そもそも何をしたいのかがさっぱり分からない。
「だから! 私が勝負に勝って優秀なハンターって証明したら、貴方の代わりに私がお姉ちゃんのパーティーに入るってことっ!」
……すごいことを言われた。
「いや、俺たちのパーティーへ入りたいのなら歓迎するよ?」
5人パーティーとなってしまうけれど、相棒の妹さんだと言うのなら他のメンバーだって歓迎するだろう。ただ、もしそうだと言うのなら、ギルドに話をしておかないとだ。この妹さんだって装備を見る限り優秀なハンターなんだろうし。
「それじゃ、貴方がいるから意味ないの! 貴方の悪い噂はいっぱい聞いてる。そんな人と一緒のパーティーはいやだもん」
心が折れそうだ。なんで此処まで言われないといけないのだ。そんな悪いことしてないのに……してないよね?
――どうせ、先輩に嫉妬したどっかの誰かが広めたのでしょう。悪い噂なんてそんなものですよ。
いつかの弓ちゃんの言葉を思い出す。
はぁ、多分この妹さんが聞いた噂ってソレだよなぁ……誰だよそんな噂を流してくれた奴は。いや、そりゃあ俺だってかなり恵まれた環境にいると思っているけど、そう言うのは勘弁してほしい。
それから、なんとか妹さんを説得しようとしてみたけど、まぁ、俺の話を聞いてくれません。この子だって悪気があるわけじゃなくて、ただ俺と言う悪い奴から相棒を守ろうとしているのが分かるだけに強く言いにくいし……
そんなことで結局、その勝負を受け入れることに。ホント、流されやすい性格だ。
そして気になる勝負の内容だけど、G級ソロ用クエストでより早い時間でクエストをクリアした方の勝ちと言う内容。クエストは明日決めるんだってさ。
つまりTA勝負ってこと。ハンマーで大剣相手に勝てる気がしない。大変なことになりました。
「ホンっト、ごめんね! 何度も何度も君はそんな人じゃないって言ったんだけど、あの子全然聞いてくれなくて……」
もう何度言われたのかも分からない言葉を相棒が落とした。
あの子、相棒の言葉も聞いてくれないのか……確信犯ってのは流石に言い過ぎだけど、今回はそれに近いものがある。なんとも難しいものだ。
う~ん、どうしたものか。クエストの内容にもよるけれど、やっぱり勝てる気はしない。闘技大会ソロクックとかなら勝てると思うけど、普通のクエストはなぁ……
「まぁ、しゃーない。自信はないけど、できるだけ頑張ってみるよ。あんまり気にしないでくれ」
このパーティーを抜けるつもりなど微塵もない。とは言え、これはどうしたものか。
「それじゃあ、私は旧砂漠夜のディアブロスにするけど、貴方はどのクエストにするの?」
日を改め、次の日。
おお、ディアと戦うのか。すごいな……俺の武器が武器ってこともあって、ディアはちょっと遠慮したい。
さてさて、俺はどのクエストを選ぼうか。本当なら――アルセルタスで。と言いたいところだけど、流石にそれは認められないだろう。
だから、レイアにしようかなと思っていた。アイツなら慣れているし、そこそこのタイムを出せる。しかし、妹さんが選んだのはディア。そのせいで、ディアより難易度の低いレイアは選び辛い。金レイアって選択もあるけど、アイツ強いんだよなぁ……
「ふふん、別に私の不戦勝でもいいんだよ!」
「ああ、はいはい。ちゃんと勝負するから待ってくれ」
だいたい、TAでハンマーが大剣にどうやったら勝てるんだよ。良い勝負ができるのは蟹くらいだぞ。
一応、俺も大剣用の装備はあるけど、そもそもこの世界じゃ闘技大会以外で大剣って使ったことがないんだよなぁ。
こんなことならヘビィ装備でも組んでおくべきだった。今更文句を言ったところで仕様が無いが。
ん~……大剣、か。
普通に考えて俺が妹さんにTAで勝てるとは思わない。それならもう、開き直ってしまった方が良いのかな。
それができるかは分からない。けれども、もし上手くいけば……
「ん、決めた」
「言っておくけど、あんまり弱いモンスターはダメだからね!」
大丈夫。一般的にディアよりは強いとされているモンスターなはずだから。
「遺跡平原の激昂ラージャンにするよ」
それなら文句はないだろう。
「はっ? え? ラ、ラージャン? あ、うん。それなら別にいいけど……」
俺の言葉が予想外だったのか、妹さんは酷く驚いた顔をした。
まぁ、ゲーム中で最も狩られたモンスターとは言え、アイツが強いことには変わらない。そんなものを選べばそりゃあ驚かれるだろう。もし普通に挑戦した場合、15分針くらいになりそうだし。
「そ、それじゃあ、私はもう出発するけど、もう決定だからね! やっぱりラージャンはなしとかはダメだからね!」
「分かってるって。そんじゃ俺は君が帰って来たら出発するよ。大丈夫だとは思うけど、気をつけてな」
俺がそう言うと、妹さんはむぅっと顔を顰め――言われなくともっ! なんて言いながら足早にクエストへ出発していった。
此処から、旧砂漠まではあまり遠くない。明日の朝にはクエストから戻って来ているだろうし、あんまりのんびりしている時間はないのが残念なところ。
あの妹さんの実力は分からないが、20分針とかでクリアしてくれないだろうか。それなら楽な気持ちで挑戦できる。
「ちょ、ちょっと! なんでラージャンなんて選んだのさ。もっと違うモンスターだってあったじゃん! あの子から話を聞いて君なら大丈夫だろうって思っていたのに、これじゃあ……」
妹さんが出発して直ぐ、相棒が怒ったようにそんな言葉を落とした。
いや、とは言え、他に選択肢ってあまりないと思うよ? 古龍系は論外だし、グラビとかやってられないし。あと、TAならハンマーを使う俺より君や弓ちゃんのが良いタイムを出せると思う。まぁ、今回は大剣を使わせてもらうけど。
「ほら、勢いってあるじゃん」
「何やってるのさ……もし君が負けても絶対、このパーティーから抜けさせないけど、やっぱり私は君に勝ってほしいよ……」
今にも泣きそうな相棒さん。
何ともこそばゆいです。でも……ありがとう。
「大丈夫、俺だって負けるつもりはないから」
なんて相棒が少しでも安心できるよう、言葉を落としてみたけれど、その顔は晴れてくれやしなかった。う~ん、難しいものだ。
「あっ、いた。なんだか面白……じゃなくて、大変なことになっているみたいですね。色々な方が先輩の噂をしていましたよ」
そんなことを言いながら、とことこと弓ちゃんが近づいて来た。多分、クエストから帰ってきたところだろう。あの彼女と一緒にクエストに行ったはずだったけど……ああ、ドスプーギーのとこにいるわ。あの彼女も相変わらずだ。
「聞いてよ弓ちゃん! この彼、よりによってラージャンのクエストを選んだんだよ!」
むぅ、相棒さんのラージャンに対する気持ちがすごい。多分、
「……バカですか?」
いや、弓ちゃんも弓ちゃんでそんなストレートに言わなくても……
俺だって勝算が全くないわけじゃないんだ。上手くいけば、サクッと倒せるかもしれないわけですし。
なんか、どんどん自信がなくなってきたけど……相棒に勢いって言ったのは案外本音だったりします。
「どうしてラージャンを……いくら先輩でもラージャンを討伐するのは時間がかかると思うのですが」
「あー……今回はさ、ハンマーじゃなく大剣を使おうと思うんだ」
「余計にダメじゃないですか。何考えてんですか」
……味方がいない。俺の周りは敵だらけだ。
「ま、まぁ、言っちゃったもんはしゃーないって。それよりさ。あの妹さんってやっぱり結構上手いの?」
このまま続けてもふたりに虐められるだけだったため、話題を変えてみた。いや、ふたりとも俺を思って言ってくれているのはわかっていますよ?
「……うん、すごく上手いよ。だってあの子はパーティーじゃなくてひとりの力で大老殿まで来たんだもん」
これはもうダメかもしれませんね。
どうしよう。土下座すれば許してもらえたりしないだろうか。あの感じじゃ俺が言っても聞いてくれないだろうが。
……まぁ、なるようになるか。
その後も、相棒さんと弓ちゃんから色々な言葉を浴びせられた。全く関係ない愚痴のようなものも混ざっていた気もするけれど、これでふたりのストレスを解消できたのならそれで良いとしておこうか。俺のメンタルはボロボロだけど……
「大剣使うの?」
相棒と弓ちゃんから逃げるように帰ろうとした時、ようやっと彼女が声をかけてきた。ドスプーギーとたくさん遊べたおかげか、いつもより機嫌が良さそうに見える。
「流石にハンマーじゃ厳しいからね。それに一応、大剣装備もあるし」
「そっか。貴方なら大丈夫だと思うけど頑張って」
「うん、ありがとう。できるだけ頑張ってみるよ」
多分だけど、彼女は俺がやろうとしていることに気づいていたのだろう。だから、他のふたりとはまた違った言葉をかけてくれた。
ホント、成功してくれれば良いけど、どんなものやら……
1話にしたかったですが、1万字を超えてしまったため2話に分けることに
相棒さんの妹さんが出てきちゃいましたね
せっかく出てきたのですし、これからも出してあげたいところですが、出番あるのかなぁ……
次話はこの続きとなりそうです
では、次話でお会いしましょう