前作を入れても、初めて名前のあるキャラが出ます
「ん~……討伐完了っ!」
ご主人が上位ハンターとなり、これでもう5回目のクエスト。
これでご主人も上位クエストに少しは慣れてくれたかな? まぁ、上位クエストと言ってもクマさんとしか戦ってないわけだけど。
「お疲れ様ニャ!」
「お疲れ様」
多分、これで素材は足りたから防具を作ることはできるはず。んで、次は武器を強化することになりそうだ。
新しい武器かぁ。何が良いんだろうね? ご主人が今使っている武器はライゼクスのハンマーであるエムロードビート。それを強化することができれば一番だけど、上位のライゼクスと戦えるようになるのはまだまだ先のお話。
そうなると、オブシドハンマーを作っていくのが良さそうだ。見た目はカッコイイし、性能もそれなり。オブシドハンマーを作っておけば、上位クエストクリアくらいはできると思う。
「ご主人ご主人。素材は足りそうかニャ?」
「うん。多分、大丈夫だと思うよ。ふふ、これで私も上位防具だね!」
そっか、それは良かった。
「ネコさんたちも新しい装備作る? 端材も出ると思うし、アオアシラの装備なら作れると思うけど」
ん~……どうだろう。アシラネコの性能が分からないから何とも言えない。確か、武器は棍棒だったから打撃なはず。けれども、近接専用だとしたら今の武器の方が強いし……
「……私たちはこのままの装備の方が良いと思う。アシラ装備の方が弱いから」
あら、そうだったのか。んじゃあ、やっぱり近接武器ってことなのかな?
それにしても、この白ネコはよくそんなことまで知ってるよね。ネコに関する知識は俺よりあるのかもしれない。
まぁ、この白ネコはホンモノのネコだと思うし、当たり前と言えば当たり前のことだけど。
「あっ、そうなんだ。じゃあ、私が新しい防具を作るだけになっちゃうね」
「ボクたちは装備を作ってもらったばかりだから問題ないニャ」
今後、二つ名モンスターと戦うことができれば、二つ名装備。それができなければ……装備はどうしようか。流石に、この下位武器のままってのは厳しい。
ああ、火力は捨てて状態異常武器にするってのはアリかも。麻痺武器とか便利だ。
「うん、わかった。よし、それじゃ帰ろっか」
まだ上位クエストは始まったばかりなんだ。止まることはしないけれど、のんびりいくとしよう。
ゲーム通りなら、上位最初の緊急クエストはあのガノトトスの狩猟。ハンマーとの相性が最悪な相手だし、かなり苦労することになるはず。多分、そこが最初の難所。ガノトトスをすっ飛ばし、次へ進むことができれば良いんだけどなぁ。
「それでは、これからユクモ村へ行きます!」
渓流から龍歴院へ戻り、ご主人の防具作成依頼も完了。
今日は打ち上げしてそれで終わりかなと思っていたら、随分と嬉しそうにご主人がそんなことを言った。そう言えば、防具作りが終わったらユクモ村へ行きたいとか言ってたね。俺はすっかり忘れていたけれど、ご主人の嬉しそうな表情を見るに、ずっと楽しみにしていたんだろう。
「あっ、ホントに行くんだ」
ぽそりと俺まで届いた白ネコの言葉。
うん、どうやらそうらしいね。確かに足湯はあるけど……ユクモ村ってそんな面白い場所だっただろうか? ゲームをやっていた時も、懐かしいなぁ。くらいにしか思わなかった。雰囲気とかを含めて一番好きな場所ではあるけど。
「了解ニャ」
とは言え、ユクモ村へ行くことに不満はない。俺はオトモですし、ご主人が行くというのならそれについていくだけだ。
その後、早速ユクモ村へ向けて出発。
そう言えば、相棒や弓ちゃんは温泉に入ったとか言ってたっけ。ゲームの中では足湯しかなかったけれど、もしかしたら大きな温泉へ入ることもできるのだろうか。
まぁ、ネコなら足湯でも全身入ることができるから、別に俺は大きな温泉へ行かなくても良いけど。
ユクモ村へ向かう飛行船の上で、ご主人は終始気分が良さそうだった。観光とか好きなのかな? まぁ、このご主人は我らの団にいたわけだし、きっと色々な場所を訪れているはず。その時のことを思い出しているのかな、なんて思った。
このモンハンの世界にはそれなりの時間いるけれど、観光みたいなことをするのは俺も初めて。やったとしても採取ツアーくらいだったと思う。だから、たまにはこういうのも良いのかなって思ってしまう。
モンスターと戦うのも面白いけれど、他の楽しみ方があってもきっと問題はないはず。
「おおー、すごい! なんだか変な匂いがする!」
そして、ユクモ村へ到着。これで俺は2回目です。
相変わらずの硫黄臭に、坂道に建てられた純和風の建物はなかなかに映えてくれる。
うん、やっぱりこの村の景色は好きだ。
「どこに行けば足湯に入れるのかな?」
「多分、上の方だと思う。あと、温泉は入らないの?」
あー、ユクモ温泉たまごとか食べたいな。何処かでもらうことはできないのだろうか。
今日だってクエストへ行ってきたのだし、それなりの疲れが溜まっている。だから温泉に入って、何か美味しいものとお酒をいただきたいところです。
「なるほど、上の方にあるんだ。それで、温泉だけど……私はまだ入ったことがないんだ。だから、とりあえず足湯に入ってみようと思ってるよ」
「わかった。それじゃ、行こ」
うむうむ、せっかく来たのだし、今日はのんびりゆっくり過ごすとしよう。ユクモの村長もクエストを受けると言えば、きっと快く家だって貸してくれるだろうし。
そんじゃ、とりあえずはのんびり温泉に……うん?
あの坂の下の方を歩いてるの、あのアイシャじゃ……
えっ? ホンモノ? ホンモノのアイシャ? モガ村の看板娘であるあのアイシャ?
いや、確かにゲーム中でもユクモ村へいたけれど、まさかこの世界で会うことができるとは……
「よし、それじゃ、とりあえずネコさんも足湯に……あれ? ネコさーん、どこ行くの?」
後ろからご主人の声が聞こえた気もしたけれど、今はそれ以上に大切なことがある。
アイシャらしき人物を見つけてから直ぐに全力でダッシュ。
「あ、あのちょ、ちょっと良いかニャ?」
そして、後ろから声をかけた。
緊張のせいか声が震える。
「おおっ? これはまた元気のいいネコちゃんですけど……どうしました?」
ノリと勢いだけで話しかけてしまったけれど、さてどうしたものか。
何でもありませんでした、は流石にマズい。
「え、えと、貴方はモガの村の人かニャ?」
「ほい、そうですよー。ハンターズギルドで働いています。それで……ネコちゃんはどうしたのですか?」
うわぁ、うわー! ホンモノだ! ホンモノのアイシャだ!
「握手、握手してほしいニャ!」
一生懸命小さな手を伸ばして、アイシャに頼んでみる。
こんなことがあるのなら、色紙とか持ってきてサインをしてもらえば良かった。あと、すごく写真を一緒に撮ってもらいたい。
「ほいほいっ、そんな慌てなくても大丈夫ですよ。それにしてもネコちゃんにまで私のことが知られているとは……いやぁ、私も有名人になったものですね!」
そりゃあ、人気投票でもぶっちぎりで貴方が一位でしたし、キャラがキャラってこともありかなり印象的だったからなぁ。
一生懸命伸ばした俺の手をアイシャは優しく握ってくれた。これだけで今日此処へ来た意味がある。
ゲーム中ではこのアイシャからいくつかクエストをお願いされたはず。だから、もしかしたら今日も何か頼まれるかもしれない。
そんなことを思い、何か困っていることはないか訪ねようとした時のこと。
「うニャッ!?」
パシンと誰かに頭を叩かれた。それも結構な強さで。
何事かと思い、後ろを向けばあの白ネコの姿。えっ? なんで俺、叩かれたの?
「ご主人さんが待ってるから」
「え、あっ、うん。うニャ」
何がなんだか分からないけど、白ネコさんがすごく怖い。
いや、そりゃあ勝手に飛び出してきたのは悪いと思っているけど、其処まで怒ることじゃ……それにアイシャはゲームの中で俺が一番好きなキャラなんだ。これくらいは許してもらいたい。
その後は、よく分からないけど、怒ってる様子の白ネコさんに引きずられるよう足湯のある場所へ連れて行かれた。
「あっ、帰ってきた。んもう、ネコさんはどこに行っていたのさ」
「ちょっと有名人を見つけたから、握手をしてもらっていたニャ」
足湯の場所へ行くと、ご主人は既に足防具を外し、足湯を楽しんでいる様子だった。
う~ん、もうちょっとアイシャとお喋りしたかったのだけど……まぁ、そのうちまたチャンスは訪れてくれるか。これからはご主人にユクモ村へ何度も来るよう誘導することにしよう。
そんなことを考えつつ、防具を脱ぎ足湯の中へ。
人間と違って全身入ることができるし、こんな時ばかりはネコで良かったと思える。
「どう? ネコさん、温泉の調子は」
「うニャー……良い湯加減ニャ」
いつもはシャワーだけだけど、この疲れが抜けていくような感覚はなんとも心地良い。
「いいなぁ。私も後で大きな温泉に行ってみようかなぁ」
それが良いと思う。
せっかく温泉が有名な場所に来たんだもん。楽しみたいよね。
そうやって、のんびりと温泉へ浸かっていたけれど、何故か何度もあの白ネコにお湯をかけられた。何がしたいんだコイツは。
まぁ、今ばかりはのんびりゆっくりとこの温泉を楽しませてもらおうか。