ネコの手も狩りたい【完結】   作:puc119

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第55話~乙った数だけ~

 

 

「聞いて聞いて! 私たち宛に緊急クエストが届いたって!」

 

 ケチャワチャを倒した次の日。さて、今日も元気に行ってみましょうかと思っていると、元気の良いご主人の声が響いた。

 緊急クエストが届いたってことは、ソレをクリアすればHRが5になるはず。HR5になれば俺と白ネコの装備を作ることもできるし、美味しい。

 ただ……

 

「……緊急クエストの内容は?」

「んとね、ガノトトスの狩猟だって」

 

 ゲーム通り、か。

 そして、考えられる中で最悪の相手。このパーティー……特にご主人じゃガノは相性が悪すぎる。できればガノとは戦いたくなかったんだけどなぁ。

 

「私、ガノトトスと戦うの初めてなんだけど、どんなモンスターなの?」

「大きな魚ニャ」

 

 さて、これはどうすっかね。

 白ネコが毒武器で、俺が睡眠武器を担ぐのは決まりとして……問題なのはご主人。初見でガノトトスはちょっとキツい。3乙だって考えられる。

 

「ああ、うん。それは分かってるんだけど……えと、強いのかな?」

「……今まで戦ってきたモンスターの中では一番強い。正直、私は戦いたくない」

 

 あの亜空間タックルがなくなったのは良いけれど、尻尾回転攻撃はやたらとトリッキーになりやがったし、這いずりはホーミング。ブレスの種類もさらに2種類追加。そして、あのタイミングをどうしても覚えられない風圧付きの強タックル。

 剣士で一番戦いたくない相手。流石、昔から剣士殺しモンスターとして有名だっただけある。

 

「へ? えっ、ガノトトスってそんなに強いモンスターなの? 確か、危険度は4だったと思うけど……」

 

 どうしてか分からないけど、MHXになってから危険度が下げられたんです。実際の強さは危険度5の中でも上から数えた方が早いくらいの強さだと思う。

 フルーミィシリンジや、パールセレブパラソルでも担いでくれば別だけど、剣士で挑むとなると本当にキツい。

 

 一度、戦ってみないと分からないけど、今回は苦労することになりそうだ。

 

「少なくとも油断できるような相手じゃないニャ。それでもとりあえず、頑張ってみるニャ」

「う、うん、そうだね!」

 

 どうしても無理そうだったら相棒とか呼ぼうかな……

 いや、できる限り自分たちだけで頑張ってみるけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご主人! タックル来るニャ!」

「っつ! それはっ! 分かってるけどっ!」

 

 マップは渓流。エリアは7。

 状況は、かなりマズい。

 

 尻尾側へ避けたご主人にガノのタックルが直撃。相変わらずの理不尽な当たり判定。そして、ご主人はそのままベースキャンプへ。

 

「……これで2乙。厳しいね」

 

 後がなくなりましたね。珍しく白ネコさんの顔も険しい。

 厳しいことは分かっていたけど、ホント強いな、おい。

 

「ドングリはまだ残ってるかニャ?」

「私はもうない」

 

 あら。俺だってドングリをひとつ使ってしまったし……こりゃあ、クリアは無理っぽいですね。

 ここまでで、睡眠は2回。その2回とも爆弾を入れることはできているし、白ネコが毒にもしてくれている。それでも、ガノが倒れてくれない。弱っているかどうかの目安である背びれも元気なままだし……

 

 そもそもガノは、攻撃できる場所が少な過ぎるんだ。ジョーもそうだけど、どうしてお前の脚はそんなに細いんだ。この美脚水竜め。

 ブーメランを上方向へ投げることができればもっとダメージを稼ぐこともできるってのに、まともに攻撃できるのはブレスの時くらい。そのブレスの時だって、新モーションのせいで顔横に張り付くことができない。

 そして何より、ガノの攻撃力が高過ぎる。

 

「とりあえず俺たちもベースキャンプに戻ろう。寝ればドングリも回復するし」

「了解」

 

 まだ、諦めたわけじゃないけれど……これは作戦を考える必要がありそうだ。

 

 

 

 

 

「皆、ホントごめんっ!」

 

 ベースキャンプに戻る途中でご主人と合流し、現在はベースキャンプ。其処で、ご主人に謝られてしまった。

 

「……こればっかりは仕方無い。だから、落ち込まないで」

 

 寝たことで俺たちのドングリは回復。これなら乙ることはないと思う。ただ……ご主人は厳しいよなぁ。秘薬も切らしてしまったみたいだし、本当に絶望的な状況。

 

「うぅ、ごめんね……」

 

 そして、ご主人の落ち込みようがヤバい。

 今回は本当に相手が悪いのだし、白ネコも言っていたように仕方無いことなんだが……モンハンなんて乙ってなんぼのもの。どうか元気を出してください。

 とはいえ、これはどうしたものか……

 

 

 ――操作…ードを切り替えま…か?

 

 

 そして、またあの声が聞こえた。

 うっさいわ。んもう、なんだってんだよ。こちとら、どうやって戦うか真剣に考えているのだから、黙っていてほしい。

 

「……リタイアする?」

 

 そんな白ネコの言葉。

 まぁ、それもひとつの手ではあると思う。このまま戦ったところで勝てる気はしないのだし。

 

「それは……ああ、うん。でも、そっちの方がいいのかな……」

 

 酷く落ち込んだ様子のご主人。

 

「今回は失敗しても仕方無いクエストニャ。だから、ご主人に任せるニャ。ただ……自分に嘘をつくのは良くないと思う」

 

 このまま戦ってもクリアは無理だろう。やれることはやったつもりだけど、まだやれることはあったはず。

 だから、さっさとリタイアしてもう一度、作戦を練り直すのはあり。

 

 でも――

 

「そっか……ごめん、本当にごめん。でも、戦ってみてもいいですか?」

 

 やっぱり逃げたくはないよね。

 

「もちろん」

「了解ニャ!」

 

 頑張れご主人。

 全部が全部上手くいくはずがないんだ。乙りながら覚えれば良い。乙った数だけハンターは成長するって俺は思っているよ。

 

 

 そしてその日、俺たちのパーティーは初めてクエストを失敗した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どうやって戦えば良いと思う」

 

 その帰りの飛行船。白ネコさんと作戦会議。

 ご主人はいつものように寝ています。疲れだって溜まってしまっただろうし、3乙は心にかなりくる。これで、変なことを考えなきゃ良いけど……

 

「う~ん、とりあえず次はもっとガンガン罠を使っていこう。後は、釣りカエルを使うとか……」

 

 ただ、それは根本的な解決にならないわけですよ。付け焼刃も良いところ。

 一番はご主人がガノのモーションに慣れてくれることだけど……そんな簡単なものじゃないしなぁ。いっそ、エリアルスタイルになってもらった方が良かったりするのだろうか? ただ、火力が足りないせいで、ラッシュをかけられないんだよなぁ。

 いっそ、今からでもご主人にボウガンを作ってもらうってのも考えられるくらいだ。ハンマーとガノじゃそれほどに相性が悪い。

 

 その後も白ネコとふたりで、うんうん考えてみたものの良い案が出ることはなく、結局ご主人がガノに慣れるしかないといった結論に。

 ここさえ乗り切ってしまえば楽になるのだけど、厳しいものです。

 

 

 

 

 そして、龍歴院に戻り、ギルドマスターから次は頑張ってくれと言われてから、皆で食事ついでに作戦会議。

 んで、緊急クエストだけど、また受けることはできるっぽいです。まぁ、緊急クエストの内容はガノのままなわけですが。

 

「今日は、本当に、すみませんでした……」

 

 ご主人は相変わらずの落ち込みよう。

 別に気にしなくて良いって何度も言ったんだけどなぁ。今回悪かったのはご主人だけではないのだし。ブメ猫なのに、ヘイトを全然稼げなかった。そうなればご主人が狙われるのだって多くなってしまう。

 

「……気にしなくて良いよ? それより次、どうするのかが大切」

 

 うむ、そうだね。

 まぁ、良い案なんて何も浮かばなかったわけですが。

 

「……帰り道で私も色々と考えてみました。でもね、このまま戦ってもまたやられちゃうと思う」

 

 口には出さないけど、俺もそう思う。1、2回程度で相手の動きを把握するのは難しいのだから。でも、戦わないと仕様が無い。それに、俺はいくらでも付き合います。

 

 

「だからさ……次は――片手剣を使おうと思うんだ」

 

 

 ……うん? ご主人からすごく予想外な言葉が聞こえたぞ。

 確かに片手ならハンマーよりは戦いやすい。あの鬱陶しいタックルもガードをすれば良いわけですし。

 

「え、えと、でもご主人、片手剣なんて持ってるのかニャ?」

 

 ただ、その片手剣がない。適当な片手なら直ぐに作れると思うけど、如何せん攻撃力が足りない。

 そうなると、毒束でも作るのかな? 現時点でもゲリョスとなら戦えるし。

 

「その、ですね……こっそりナルガクルガの片手剣を作っていまして、それを使おうかな、と」

 

 ああ、ヒドゥンエッジか。

 ん~でも、現時点で作ることのできるヒドゥンエッジは流石に攻撃力が低過ぎるから、それならまだハンマーの方が良いと思うけど……まぁ、時間をかければ倒せないこともない……のかな。

 いや、やっぱり厳しくないですか? ヒドゥンエッジの会心率は良いけど、属性がないから物理でごり押すしかない。正直、良い案だとは思えないのですが……

 

「……じゃあ、これからは片手剣を使うの?」

「ううん、今回だけにしようと思ってるよ。やっぱり私はハンマーを上手く使えるようになりたいし」

 

 あっ、なんか嬉しい。

 うんうん、やっぱりハンマーは楽しいよね。HR5になったらナルガやレイアと戦えるようになるし、頭をガツンガツンしてあげようね。

 

「それに……片手剣を使うといっても、そんなに使わないと思う」

 

 え、えと……どういうことですか?

 確か、ご主人が我らの団にいた頃は片手剣を使っていたはず。その頃のことをよく知らないけど、まぁ、何かしらの考えがあるってことなんだろう。

 

「それじゃあ、ご主人はどうやって戦うのニャ?」

 

 エリアルスタイルで乗りの固定ダメを稼ぐとか? どの道、厳しいと思うけど。

 

 そして、そんな質問へのご主人の答えは――

 

 

「その、ですね。爆弾を使おうかなって……」

 

 

 まさかのSB。

 

 

 

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