ネコの手も狩りたい【完結】   作:puc119

65 / 100


半分以上が相棒さんのお話となっています




第60話~あの頃と比べて~

 

 

「討伐、完了です!」

 

 原生林でリオレイア討伐クエストも無事終了。

 ご主人は前回、ナルガと戦った時と同じギルドスタイル。当分はギルドスタイルを練習するんだって。うむうむ、ブシドーやエリアルハンマーも良いけれど、やっぱりギルドスタイルが良いよね。

 

「お疲れ様ニャ」

「お疲れ様」

 

 前回、かなり曖昧にだけどフレーム回避のやり方をご主人へ教えてみた。当たり判定だとか、無敵フレーム数の話なんてできなかったこともあって、上手く伝えられなかったと思う。

 それでも、ナルガとの戦いの最後でご主人も回転攻撃をフレーム回避ができていたし、教えて良かったとは思っている。

 

 ご主人にも言ったように、フレーム回避はできるだけ避けた方が良い。というより、フレーム回避をしなければいけない状況にならないよう、立ち回るのが一番。けれども、やはりフレーム回避が必要になってくる場面はある。だから、それを覚えておくことは大切だと思っている。

 それに、フレーム回避が成功すると、なんか、ほら……自分が上手くなったように思えるよね。そんな楽しみ方があっても良いんじゃないかな。

 

 それと、俺と白ネコの武器がガララ武器になりました。ナルガ防具の生産もお願いしてあるし、これで全員が上位装備に。この装備ならもうHR5のクエストは余裕だと思う。ヴォルガノスっていう癖の強いモンスターはいるけれど……まぁ、ゴリ押しでどうとでもなるモンスターだし、多分大丈夫。

 

「お? こ、紅玉が出たよ!」

 

 サクサク剥ぎ取りをしていると元気の良いご主人の声が響いた。

 

「おめでとうニャ」

「おめでとう」

 

 レイアの本体剥ぎ取りから紅玉は出ないし、落とし物から出たのかな。

 

「……なんだか二人ともリアクションが薄いね」

 

 ああ、うん。いや、だってねぇ。

 残念なことにレイアの紅玉を使うハンマーはほとんどありません。そして、紅玉を使うハンマーの性能も……レウス防具が優秀なこともあって、レウスの紅玉が足りなくなった記憶はあるけど、レイアの紅玉が足りなくなった記憶はなかったり。

 とはいえ、何かの防具に要求されるかもしれないし、出ないよりは良いことだと思う。

 

 それにしても、紅玉を落とすってどういう状況だったんだろうね? まぁ、モンスターの中にはビックリして心臓を落としちゃう一角竜だっているわけですが。

 

「まぁ、いいや。それより、次はどのモンスターと戦えばいいかな?」

 

 ん~……次は本当に何でも良いと思う。戦いたいモンスターはHRが6にならないと戦えないわけですし。だから次は、素材集めも兼ねてショウグンとかで良いんじゃないかな。火山は鉱石系の素材が美味しい。

 

「……ご主人さんが戦いたいモンスターで良いと思う」

 

 そんな白ネコさんの意見。

 そうだね。別に焦る必要なんてないし、のんびりのんびりと進めていこう。

 

「あっ、そうなんだ。んと……じゃあ、次は私が決めちゃうね」

 

 了解です。

 

 ガノでちょっとつまずいてしまったものの、これからはもう詰まることもなさそうだ。また詰まりそうになってしまった時は、ご主人がSBをすれば良いわけですし。順調順調。

 こんな身体になってしまい、最初はどうなることかと思っていたけれど……案外どうとでもなるものなんだね。まぁ、それもご主人さんと白ネコのおかげなんだろうけど。

 

 またこうして、この世界へ来られたことに不満はない。

 ただ……やっぱりハンマーを使いたいよなぁ。ハンマーを使うご主人を見ていると、そんな想いが強くなるばかり。

 現状に不満はない。ないけれど……あの相棒たちと一緒にハンターをしていた時期と今とを比べると、どうしてもモヤモヤしたものを感じてしまう。

 

 また離れ離れになってしまったわけですが、相棒さんってどんな生活をしているんだろうね? あの相棒が元気じゃないところなんて想像できないけれど、そんなことが気になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

「今後の予定ですが、狂竜化したラージャン、セルレギオス、ディアブロスが確認されたので、それらの討伐を。また、古龍が戦闘街へ近づきつつあるとの情報も入りました。そして、六日後に貴族の方々との会食の予定も入っています」

「全部パスでお願いします」

「無茶言わないでくださいよ……」

 

 どうしてこうなったのか本当の理由は分かんないけど、最近はとにかく忙しい。

 先日は久しぶりにバルバレへ行ってダレン・モーランの討伐を。その後直ぐに大老殿へ戻るように言われて戻ってきたら、イビルジョーの討伐。そして休む暇なく、今度は狂竜化モンスターのフルコース。なんだこれは。

 

「あのさ……最近、私の仕事多くない?」

「そ、それは……」

 

 モンスターが現れ、困っている人がいるのだからクエストを受けるのは別に良い。そのことは別に良いんだ。

 でも、最近は私がやらなきゃいけない仕事の数が明らかに多い。狂竜化モンスターや古龍種の討伐クエストとかだったらまだ分かる。けれども最近は、燃石炭の納品クエストだとか、卵の運搬クエストだとか、別に私じゃなくても問題ないクエストまでやらされている。あと、会食とかイベントごともやたらと多い。

 そのせいで、あの彼と彼女がいるベルナ村へ行く時間が全然ないんです。身体を休ませる時間はあるし、弓ちゃんとあの子()がいるからクエスト自体も問題ない。でも次から次へと、中途半端なタイミングで仕事を入れられるせいで長い休みを取ることができないんだ。

 それはまるで、私を大老殿へ縛り付けようとしているみたい。

 

 そして、その考えは間違いじゃないんだろう。

 

「……すみません。貴方にばかり苦労を」

 

 私の言葉に対して、ギルドの人は酷く申し訳なさそうな顔をした。

 むぅ、別に君に対して怒っているわけじゃないんだ。いつも我が儘を聞いてもらって感謝しているし。

 

「はぁ……了解しました。狂竜化モンスターと古龍のクエストは受けます」

「ほ、本当ですか! ありがとうございます!」

 

 きっとこの人も上から色々と言われて苦労しているんだろうなぁ。自分のことだけど、私なんかの世話を任せられ大変そうだ。

 

「でも! 会食には参加しません!」

 

 だって面白くないもん、あれ。

 それに、私みたいな人間に貴族様たちとの会食なんて似合わない。

 

「えっ……いや、むしろ、会食だけは出ていただきたいのですが……」

 

 そんなこと言われても嫌なものは嫌なの。

 お酒は大きなグラスでグビグビっと飲みたいし、マナーなんて気にせずお肉へ齧り付きたい。いくら値段の高い料理もマナーだとか、貴族のご機嫌を気にしていたら味なんて分からない。

 

「お願いしますよぉ……今回の貴族の方はギルドの後援者でもあるんです。大老殿の顔でもある貴方に参加していただければ、きっと支援金も……」

 

 あ、あぅ、そう言われると断れない……

 はぁ。ホント、どうして私はこんな立場になっちゃったんだろうね? 流石にもう自分が下手なハンターだとは思わない。でも、噂ほどの実力はないし、私よりも上手いハンターはいる。

 そうだというのに、ここまで私が持ち上げられているのは……うん、絶対にあのふたりのせいだ。今度あのふたりに会ったら積もり積もった不満をぶちまけよう。

 

「……分かりました。会食も参加します」

「すみません、本当に……」

 

 会食は本当に遠慮したいけれど、此処まで言われてしまったら仕方無い。私の代わりに誰かを参加させるにしても、あの妹じゃ貴族の方に何をするか分からないし、弓ちゃんは貸しを作るのが怖い。ホント、損な役回りですよ……

 

「仕方無いことだって分かっているから、別にいいよ。連絡ありがとね」

「はい、よろしくお願いします」

 

 さて、とりあえず次は狂竜化モンスターたちで、その次はもしかしたら古龍。それで、六日後には会食、と。うへぇ……やること多いなぁ。

 

 ……多分だけど、ギルドの人たちがこうまでして私の自由を奪っているのは――あのふたりが消えてしまったからなんだと思う。

 私たちのパーティーは此処、大老殿でも一番なんて言われていた。そうだというのに、ゴグマジオスを討伐して、あのふたりは消えてしまった。それは大老殿にとっても大きな損失だったはず。

 そんなことがあったせいで、大老殿も過保護ってレベルで私を縛り付けているんだと思う。私にとっては良い迷惑でしかないけど。

 別に私は何処かへ行ったりなんてしないのに……

 

 むぅ、考えれば考えるほど、あのふたりに対しての怒りの感情が出てくる。

 だって、私はこうやって苦労しているっていうのに、どうせあのふたりは槌ちゃんも一緒にのんびり過ごしているはず。いやまぁ、ハンターなのだし、のんびりはしていないだろうけど、少なくとも私よりは自由に生きていると思う。

 

 今の生活に文句があるわけじゃない。

 あるわけじゃないけれど……あのふたりと一緒にハンターをしていた時期と今とを比べると、やっぱりあの頃の方が楽しかったかなって思ってしまう。

 

 ……ホント、ずるいよね。

 別の世界から来ただかなんだか知らないけれど、勝手に私をこんな存在にしておいて、最後まで責任をとってはくれないんだもん。

 槌ちゃんも一緒に大老殿に来てくれれば良いのに。ネコの姿とか関係ないもん。ただ、傍にいてくれるだけで私は……

 

 ああもう! 湿っぽいことを考えるのは終わり! 今は他にやらなきゃいけないことがあるのだから。あのふたりは、次にベルナ村へ行った時、縛ってでも連れてくれば良いんだ。

 とりあえず今は、今後の予定を妹、弓ちゃんと話し合おう。それで、この忙しさを乗り切ったら無理やりにでも長い休みをもらいます! 大老殿を抜けるとか言えば、流石のギルドだって少しは私の意見を聞いてくれるだろうし。

 それに最近は本当に頑張っているのだから、長い休みをもらったって問題ないはず。

 はい、決まり! そうします。

 

 くそぉ、あのふたりめ待ってろよ。嫌がるかもしれないけど、今度会ったらとことん私に付き合ってもらうぞ。

 

 とはいえ、どうせあのふたりを前にしたら怒りの感情なんて消えてしまうんだろう。そして、今の怒りの感情だってきっとただの……

 まぁ、あのふたりと会いたいっていうのは嘘偽りのない本心なんだ。そうだというのなら、私の思うがままに動けば良いはず。

 

 ふつふつと湧いていたモヤモヤも、あのふたりとまた会えることを考えていたら、いつの間にか晴れていた。ホント、あのふたりはずるい人たちですなぁ。

 

 ふふっ、次に会えるのが楽しみだ。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。